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第六章「副隊長編」
初命令
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「だから!リパークの問題は!クリントン候の領土の貴族と商業会のだって言ってるだろ!?」
「何でそこに王子の警護部隊が関わって来るんだよ~!?」
「リパークはかつてライオネル殿下の療養地だった事があんだよ!そのつてを使って、商業会が殿下に直で訴えたんだよ!」
「ええええぇ~!?」
全く話がわからん。
貴族社会、面倒くさい。
俺はちんぷんかんぷんのまま、ガスパーにスパルタ指導を受けていた。
「ちなみにクリントン候の領土になる前は、バル候の領土で、その頃は特に注目されてない田舎都市だったんだよ。そこで商業が発展したから、商業会は大きな力を持ってる。だが新しく領土もらったクリントン候はそれを押さえようと税を増やしたんだよ。わかったか?」
「はぁ……。で?警護部隊は何をしたらいいんだよ??」
「殿下も直に訴えられたら無視もできないだろ?形だけでも何かしないとな。とりあえず誰か送って、調査書上げさせて、殿下に提出。そしたらまたなんかあんだろ。」
「ええええぇ~面倒くさい~。」
「面倒がるなっ!!」
意外と言うか、ガスパーはめちゃくちゃ政治に精通していた。
考えてみれば一番はじめに貴族だからみたいな理由で突っ掛かって来たんだから、当たり前なのか??
それにしたって細かい前後の事まで、しっかり把握してるよな。
ガスパーの鬼指導のお陰で、貯まっていた書類はかなり片付いてきた。
読んでも何だこれはと思っていたものも、ガスパーの説明を聞くと背景がわかって対処できた。
「……つかさ、お前、詳しいんだから書類全部やってくれよ。」
「馬鹿かお前は!?わからないなら!逆にどんどんやって覚えていくしかねぇだろうが!?わかってくりゃ、てめぇ一人でも片付けられる書類が増えていくだろうが!!それを他人任せにしたら!いつまでてってもできねぇままだぞ?!そんな中途半端な覚悟で副隊長代理になったのか!?お前は!?」
「だってもう無理~。なんで貴族とか土地とかって変な呪文みたいな長々しい名前ばっかなんだよ~。そういう名前とか名称とか、団体名とか地方名とか~誰と誰が政敵だとか、覚えきれるわけないだろ~。」
魔術公式や呪文はある程度法則があるからそれが分かれば覚えやすかったけど、何の法則もないよくわからない言葉の羅列を覚えるのは得意じゃないんだよ!!
しかもどことどこが仲違いしてるとか!
そんなもん覚えて何になるんだよ……。
訳がわからなくてぐったりする俺。
そんな俺を見、ガスパーは飽きれたようにため息をついた。
「……わかったわかった。脳筋に詰め込み過ぎた。少し休憩だ。」
「誰が脳筋だよ……。」
「文句があったらかかってこい!なんて言う奴は脳筋だ。」
「……悪かったな。」
ガスパーは口悪く色々言いながらも、手慣れた感じでお茶を入れてくれた。
なんか意外だ。
「ほら、飲んで少し頭を休めろ。」
「ありがとう……。」
入れてくれたのは、甘いミルクティーだった。
疲れた脳に糖分が染み渡っていく。
「甘い……。」
「普段、使わない脳ミソ使ったから、糖分補充した方がいいぞ。」
「なぁ、俺、そこまで脳筋でもないんだけど??」
「だったら早く色々覚えろ。」
ガスパーはソファーに座って、俺が書いた書類のチェックをしている。
何か2つに分けているのは、書き直すやつと大丈夫なやつなのだろうか……。
俺はぼんやりとガスパーを見つめる。
「眼鏡……。」
「はぁ?」
「眼鏡って何かいいな……。」
ガスパーの眼鏡姿を見てそんな事を思う。
ウィルも本をよく読むし、眼鏡かけないのかな~。絶対、似合うよな~。
そんな事を考えてニマニマしてしまう。
ガスパーは俺の言葉にカッと赤くなり、慌てた様に眼鏡を外した。
「……変な事、言うんじゃねぇよ……。」
「いやごめん。何か眼鏡ひとつで、ガスパーでも何かドキッとするな~と思って。」
「……お前……その言い方、酷くないか?……あ~も~……何で俺はこんなヤツを……。」
「俺が何だって??」
「何でもない!!休めたなら、この書類、書き直せっ!!誤字!後、言い回しが全く駄目だっ!!」
「ええええぇ~!?鬼だ~!!」
「つべこべ言うなっ!!」
飲み終わったカップを取り上げられ、代わりに書類がガンと置かれる。
俺は涙目になってガスパーを見上げた。
「どこが悪いかわかりません、先生~。」
「……本当に手が焼けるな、お前……。」
ガスパーはほとほと呆れたと言った感じで、俺の背後に回った。
椅子に座る俺に被さる様に書類を見る。
「ここ、字が違う。後、こういう時は、言い回しが決まってる。……この書類の書き方を参考にしろ。」
「うんうん。」
俺は指示通りに直していく。
ガスパーはそれを確認しながら、他の書類に軽く目を通していた。
「お前さ~。」
「何だよ?」
「こう言う仕事、得意なわけ??」
「得意って訳じゃない。この程度、一般的な貴族育ちなら常識だろ?」
「いや、サムともライルさんとも書類の処理したけどさ、お前が一番詳しいよ。前の歴史とか背後関係とかもわかってるし。何でそんなに詳しいんだ??」
俺は顔を上げてガスパーを見た。
かなり至近距離で目が合ったせいで、ガスパーはぎょっと慌てて飛び退いた。
赤くなって口許を手で押さえる。
「……別に……うちの家系は代々そういう仕事につく事が多いから……自然と各方面の情報が耳に入るだけだ……。」
「お前も将来的には政治の中枢的な役職で働くのか?」
「多分な。他にできる事もねーし。」
「いや十分、凄い才能だろ、それ。俺、ガスパーってただ貴族なのを鼻にかけてるお坊ちゃんかと思ってたから、今日、スゲーびっくりした。」
「お前……少しはオブラートに包めよ……。」
「悪い。でも、どういう過去があってこの件があるのか、この人はあの人と繋がりがあるから考慮した方がいいとか、そういうの聞かれてぱっと答えられるとかマジで才能あると思うぞ?」
「政治ってのは、どんだけ敵を作らないかが大事なんだよ。味方の数よりもな。」
「何かスゲーわ。尊敬する。」
「別に俺が凄い訳じゃない。あの家で育てばこの程度、常識だっつーの。」
「そんな事ない。お前、結構、努力してるだろ?」
そう言われたガスパーは、真っ赤になって俯いた。
怒っているみたいな顔をしている。
まずい事を言ってしまったかな、と俺は思った。
ガスパーみたいなタイプは、人に努力を知られるのを嫌う。
それを弱味みたいに感じるからだ。
努力しているんだから、素直に誉められたらいいのにと思う。
でも、そういうのが出来ないところがガスパーだよな、と、俺はため息をついた。
「……なぁ?今後も俺の補佐になってくんない?」
俺はそう言った。
誉められても喜ばないなら、実力を認めて仕事を担当させてやるのがいいと思った。
ガスパーは少し戸惑っていた。
何で躊躇うんだよ?お前のその実力は、もっと認められていいもののはずだ。
ライルさんが何でお前を助っ人に選んだのか、今はわかる。
俺はだめ押しした。
「つか、むしろ、お前、副隊長代理やった方がよくね?」
「俺はお前と勝負したって勝てない。」
「拳ではだろ?」
俺はじっとガスパーを見つめた。
かかって来いとは言ったが、拳だけで勝負するとは言ってないぞ?俺?
まぁ、警護部隊だから剣が強くてなんぼの世界で、そう言った実力を示すのが上に立つには手っ取り早いけど、仕事をこなす能力を考えれば、こういう方面の勝負だって大事だ。
俺が何が言いたいかは伝わったらしく、ガスパーは困った様に頭を掻いた。
「……別に俺は……副隊長代理になりたい訳じゃねーし……。」
「なら、補佐はやるよな?」
「別に、いいけどよ……。」
ガスパーは少し赤くなってそう言った。
その顔は努力を誉めた時より嬉しそうに見える。
やっぱり直接誉めるより、その実力を認められた上でそれを活かせる立場になる事の方が素直に喜んでくれるらしい。
何かひねくれてて、ガスパーらしいなと思う。
でもこういうのを見ると、からかいたくなるんだよな~。
俺はにんまりと笑った。
「なら決定。副隊長代理命令で、ガスパーはライルさんと一緒に今後は俺の補佐をやりま~す。」
「は!?命令とか!ふざけんなっ!!」
「やだな~そんなに喜ぶなよ~。」
「喜んでねぇっ!!」
真っ赤になるガスパーを笑いながら、俺は少し安堵していた。
政治的な事は本当にわからなかった。
だからこの副隊長代理の仕事に不安がなかった訳じゃない。
でも俺には強い味方ができた。
ちょっと予想外だったけど、悪い気分じゃない。
あんまりからかうと怒って出ていってしまいそうだから、程ほどにしよう。
大丈夫。
俺は一人じゃない。
それを俺はあの旅で痛感した。
離れたからこそ感じた、周囲の支え。
今朝の騒ぎといい、わからないから対応出来ない事は多いけど、ガスパーの言う通り少しずつ覚えていこう。
焦らなくても、ガスパーや皆に怒られながら少しずつ頑張っていけばいい。
ぶつぶついいながら、腹いせなのか書類を目の前に叩きつけるガスパーとやり取りしながら、俺はそんな事を思っていた。
「何でそこに王子の警護部隊が関わって来るんだよ~!?」
「リパークはかつてライオネル殿下の療養地だった事があんだよ!そのつてを使って、商業会が殿下に直で訴えたんだよ!」
「ええええぇ~!?」
全く話がわからん。
貴族社会、面倒くさい。
俺はちんぷんかんぷんのまま、ガスパーにスパルタ指導を受けていた。
「ちなみにクリントン候の領土になる前は、バル候の領土で、その頃は特に注目されてない田舎都市だったんだよ。そこで商業が発展したから、商業会は大きな力を持ってる。だが新しく領土もらったクリントン候はそれを押さえようと税を増やしたんだよ。わかったか?」
「はぁ……。で?警護部隊は何をしたらいいんだよ??」
「殿下も直に訴えられたら無視もできないだろ?形だけでも何かしないとな。とりあえず誰か送って、調査書上げさせて、殿下に提出。そしたらまたなんかあんだろ。」
「ええええぇ~面倒くさい~。」
「面倒がるなっ!!」
意外と言うか、ガスパーはめちゃくちゃ政治に精通していた。
考えてみれば一番はじめに貴族だからみたいな理由で突っ掛かって来たんだから、当たり前なのか??
それにしたって細かい前後の事まで、しっかり把握してるよな。
ガスパーの鬼指導のお陰で、貯まっていた書類はかなり片付いてきた。
読んでも何だこれはと思っていたものも、ガスパーの説明を聞くと背景がわかって対処できた。
「……つかさ、お前、詳しいんだから書類全部やってくれよ。」
「馬鹿かお前は!?わからないなら!逆にどんどんやって覚えていくしかねぇだろうが!?わかってくりゃ、てめぇ一人でも片付けられる書類が増えていくだろうが!!それを他人任せにしたら!いつまでてってもできねぇままだぞ?!そんな中途半端な覚悟で副隊長代理になったのか!?お前は!?」
「だってもう無理~。なんで貴族とか土地とかって変な呪文みたいな長々しい名前ばっかなんだよ~。そういう名前とか名称とか、団体名とか地方名とか~誰と誰が政敵だとか、覚えきれるわけないだろ~。」
魔術公式や呪文はある程度法則があるからそれが分かれば覚えやすかったけど、何の法則もないよくわからない言葉の羅列を覚えるのは得意じゃないんだよ!!
しかもどことどこが仲違いしてるとか!
そんなもん覚えて何になるんだよ……。
訳がわからなくてぐったりする俺。
そんな俺を見、ガスパーは飽きれたようにため息をついた。
「……わかったわかった。脳筋に詰め込み過ぎた。少し休憩だ。」
「誰が脳筋だよ……。」
「文句があったらかかってこい!なんて言う奴は脳筋だ。」
「……悪かったな。」
ガスパーは口悪く色々言いながらも、手慣れた感じでお茶を入れてくれた。
なんか意外だ。
「ほら、飲んで少し頭を休めろ。」
「ありがとう……。」
入れてくれたのは、甘いミルクティーだった。
疲れた脳に糖分が染み渡っていく。
「甘い……。」
「普段、使わない脳ミソ使ったから、糖分補充した方がいいぞ。」
「なぁ、俺、そこまで脳筋でもないんだけど??」
「だったら早く色々覚えろ。」
ガスパーはソファーに座って、俺が書いた書類のチェックをしている。
何か2つに分けているのは、書き直すやつと大丈夫なやつなのだろうか……。
俺はぼんやりとガスパーを見つめる。
「眼鏡……。」
「はぁ?」
「眼鏡って何かいいな……。」
ガスパーの眼鏡姿を見てそんな事を思う。
ウィルも本をよく読むし、眼鏡かけないのかな~。絶対、似合うよな~。
そんな事を考えてニマニマしてしまう。
ガスパーは俺の言葉にカッと赤くなり、慌てた様に眼鏡を外した。
「……変な事、言うんじゃねぇよ……。」
「いやごめん。何か眼鏡ひとつで、ガスパーでも何かドキッとするな~と思って。」
「……お前……その言い方、酷くないか?……あ~も~……何で俺はこんなヤツを……。」
「俺が何だって??」
「何でもない!!休めたなら、この書類、書き直せっ!!誤字!後、言い回しが全く駄目だっ!!」
「ええええぇ~!?鬼だ~!!」
「つべこべ言うなっ!!」
飲み終わったカップを取り上げられ、代わりに書類がガンと置かれる。
俺は涙目になってガスパーを見上げた。
「どこが悪いかわかりません、先生~。」
「……本当に手が焼けるな、お前……。」
ガスパーはほとほと呆れたと言った感じで、俺の背後に回った。
椅子に座る俺に被さる様に書類を見る。
「ここ、字が違う。後、こういう時は、言い回しが決まってる。……この書類の書き方を参考にしろ。」
「うんうん。」
俺は指示通りに直していく。
ガスパーはそれを確認しながら、他の書類に軽く目を通していた。
「お前さ~。」
「何だよ?」
「こう言う仕事、得意なわけ??」
「得意って訳じゃない。この程度、一般的な貴族育ちなら常識だろ?」
「いや、サムともライルさんとも書類の処理したけどさ、お前が一番詳しいよ。前の歴史とか背後関係とかもわかってるし。何でそんなに詳しいんだ??」
俺は顔を上げてガスパーを見た。
かなり至近距離で目が合ったせいで、ガスパーはぎょっと慌てて飛び退いた。
赤くなって口許を手で押さえる。
「……別に……うちの家系は代々そういう仕事につく事が多いから……自然と各方面の情報が耳に入るだけだ……。」
「お前も将来的には政治の中枢的な役職で働くのか?」
「多分な。他にできる事もねーし。」
「いや十分、凄い才能だろ、それ。俺、ガスパーってただ貴族なのを鼻にかけてるお坊ちゃんかと思ってたから、今日、スゲーびっくりした。」
「お前……少しはオブラートに包めよ……。」
「悪い。でも、どういう過去があってこの件があるのか、この人はあの人と繋がりがあるから考慮した方がいいとか、そういうの聞かれてぱっと答えられるとかマジで才能あると思うぞ?」
「政治ってのは、どんだけ敵を作らないかが大事なんだよ。味方の数よりもな。」
「何かスゲーわ。尊敬する。」
「別に俺が凄い訳じゃない。あの家で育てばこの程度、常識だっつーの。」
「そんな事ない。お前、結構、努力してるだろ?」
そう言われたガスパーは、真っ赤になって俯いた。
怒っているみたいな顔をしている。
まずい事を言ってしまったかな、と俺は思った。
ガスパーみたいなタイプは、人に努力を知られるのを嫌う。
それを弱味みたいに感じるからだ。
努力しているんだから、素直に誉められたらいいのにと思う。
でも、そういうのが出来ないところがガスパーだよな、と、俺はため息をついた。
「……なぁ?今後も俺の補佐になってくんない?」
俺はそう言った。
誉められても喜ばないなら、実力を認めて仕事を担当させてやるのがいいと思った。
ガスパーは少し戸惑っていた。
何で躊躇うんだよ?お前のその実力は、もっと認められていいもののはずだ。
ライルさんが何でお前を助っ人に選んだのか、今はわかる。
俺はだめ押しした。
「つか、むしろ、お前、副隊長代理やった方がよくね?」
「俺はお前と勝負したって勝てない。」
「拳ではだろ?」
俺はじっとガスパーを見つめた。
かかって来いとは言ったが、拳だけで勝負するとは言ってないぞ?俺?
まぁ、警護部隊だから剣が強くてなんぼの世界で、そう言った実力を示すのが上に立つには手っ取り早いけど、仕事をこなす能力を考えれば、こういう方面の勝負だって大事だ。
俺が何が言いたいかは伝わったらしく、ガスパーは困った様に頭を掻いた。
「……別に俺は……副隊長代理になりたい訳じゃねーし……。」
「なら、補佐はやるよな?」
「別に、いいけどよ……。」
ガスパーは少し赤くなってそう言った。
その顔は努力を誉めた時より嬉しそうに見える。
やっぱり直接誉めるより、その実力を認められた上でそれを活かせる立場になる事の方が素直に喜んでくれるらしい。
何かひねくれてて、ガスパーらしいなと思う。
でもこういうのを見ると、からかいたくなるんだよな~。
俺はにんまりと笑った。
「なら決定。副隊長代理命令で、ガスパーはライルさんと一緒に今後は俺の補佐をやりま~す。」
「は!?命令とか!ふざけんなっ!!」
「やだな~そんなに喜ぶなよ~。」
「喜んでねぇっ!!」
真っ赤になるガスパーを笑いながら、俺は少し安堵していた。
政治的な事は本当にわからなかった。
だからこの副隊長代理の仕事に不安がなかった訳じゃない。
でも俺には強い味方ができた。
ちょっと予想外だったけど、悪い気分じゃない。
あんまりからかうと怒って出ていってしまいそうだから、程ほどにしよう。
大丈夫。
俺は一人じゃない。
それを俺はあの旅で痛感した。
離れたからこそ感じた、周囲の支え。
今朝の騒ぎといい、わからないから対応出来ない事は多いけど、ガスパーの言う通り少しずつ覚えていこう。
焦らなくても、ガスパーや皆に怒られながら少しずつ頑張っていけばいい。
ぶつぶついいながら、腹いせなのか書類を目の前に叩きつけるガスパーとやり取りしながら、俺はそんな事を思っていた。
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