上 下
1 / 2

序章

しおりを挟む
『僕』以外誰もいない音楽室は静まりかえっていた。
手に持っているトロンボーンは冷たく、重かった。自主練習をしようと出したが、今のような気分じゃ良い音は出せない。

やっぱり、ケースにしまおうと考えた僕は座っていた椅子から立ち上がり・・・ポケットに入ってあった紙の切れ端を取り出し、クスリと笑った。

「何だよ、これ」

それはいわゆる『女の子』の字と言う程丸っこくて可愛らしいわけでもない、でも角張った字でもない、『彼女』の字で書かれていた。






『君の音がだいすき。』







その後、僕はちょっとだけ彼女のために泣いてあげた。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪戯っ子リリの復活

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

やまびこの山

ホラー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

婚約破棄の現場に遭遇した悪役公爵令嬢の父親は激怒する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:4,891

こわい、こわい、こわい

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

ケーキの甘い夢

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...