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13話
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その後、教会裁判所に於いて、厳密な審査を経て無事に婚姻無効が認められた。
ここで初めて、私に関わってくれた方々に全ての報告をした。
皆、一様に驚いていたが、今までの私のやって来たことに対して労(ねぎら)いの言葉を掛けてくれた。
そして身の回りの片付けも終わり、この後に控えたデイビス様や父を含めた三大公爵様、そしてエマ様との会談に臨んだ。
皆様が待っている会談場所へと着き、父に話した時の内容と同じことを丁寧に包み隠さずに話した。
やはり、皆驚いていたが、理解もしてくれた。
デイビス様は動揺しているが、それを必死に隠しているのが見て取れた。
私自身もとても複雑な心境だった。
そして今後の話し合いへと話しは移る。
先ずデイビス様に頼んで、下院への説得、このまま関税の引き上げ案が通ってしまったら大変なことになるということを説いてもらう。
そしてもし関税引き上げが可決してしまった時の他国への対応だ。
もし隣接する三国に同盟でも結ばれては大変な事となる。
先ずはそれぞれの国に赴(おもむ)き、関税引き上げが決まってしまったら、報復措置としてそれぞれの国も我が国に対し報復関税をして欲しいと願い出る。
一時的には苦しくなるが、必ずそれは長くは続かないので待ってくれるように頼む。
何故なら今の我が国の品質の物では国民は満足する筈がない。
かといって、今迄の輸入品は高くて買えなくなる。
それが続けば不平不満が民衆の間から必ず起こる。
その時に我々三大公爵達が総力を持って民衆と共に、今の王権を倒す。
だからそれ迄なんとか待って欲しいと。
そして、隣接する三国で同盟を結ぶのもやめて欲しいとお願いをする。
お互い戦争にでもなればケタはずれな費用がかかる。
現在の経済を取り戻す為にどれだけの時を要するか、その説得を誰がどのタイミングて行うか話し合った。
するとエマ嬢が名乗りを上げてくれた。
「リンドバーグ王国は私に任せて」
第二王子に嫁いだお姉様にお願いをして、国王陛下に謁見のお願いをしてみるわ。
最も留学中にも陛下とはあちらの社交界で面識もあったし、とても良識のあるお方だったわ。
だからこっちは私に任せてと頼もしい言葉を言ってくれた。
そして今度は私が名乗りを上げた。
「バーミヤン王国へは私に行かせて下さい」
知っての通りあちらの国王陛下に嫁いだ方は、この国の陛下のお姉様であるベネッセ様です。
お義姉様(婚姻無効となった今は違うが)とは、前陛下の崩御の時、以来お会いしてませんが、定期的にお手紙のやり取りは続いています。
考え方は崩御なされた前王妃様の血を色濃く受け継がれた方です。
今回の私の立場をとても心配なさってくださいました。
話せば必ず理解なさってくださるはずです。
現に今の陛下のことは諦めているご様子のお手紙も頂いていますからと申し出た。
そして最後のインガスター王国、この国には誰もなんのツテもない。
しかし、デイビス様が名乗りを上げて下さった。
「あちらの国王陛下とは面識はありませんが、長きに渡り貿易は続いているのですから、なんとか説得してみます」
そうして長い会談は、一旦終了した。
最後に私はデイビス様に一つだけお願いをした。
「学校の件ですが、私が王妃の立場で無くなった今、まだ私財は残っているのですが、それに底がついてしまった時には国費として捻出できるよう働きかけて下さいませんか?」
尤も、私財の中の先王陛下から頂いた分についてはその時の条件は果たせなかったが、崩御された王妃様もご賛同くださっていたので有り難く使わせてもらうことにした。
デイビス様は賛同してくれた。
「それは問題無い。それに反対をすれば民衆の反感を買うのは間違いないからな。国王も大臣もあれだけ民衆を意識しているのだから、それについては心配はいらない」
自信を持って言っていただいた。
私は婚姻無効のあとの学校の存続のことが何よりも心配だったのでデイビス様の言葉は何よりも嬉しかった。
尤も、デイビス様だったらそう言ってくれると信じていたのも事実ですが。
ここで初めて、私に関わってくれた方々に全ての報告をした。
皆、一様に驚いていたが、今までの私のやって来たことに対して労(ねぎら)いの言葉を掛けてくれた。
そして身の回りの片付けも終わり、この後に控えたデイビス様や父を含めた三大公爵様、そしてエマ様との会談に臨んだ。
皆様が待っている会談場所へと着き、父に話した時の内容と同じことを丁寧に包み隠さずに話した。
やはり、皆驚いていたが、理解もしてくれた。
デイビス様は動揺しているが、それを必死に隠しているのが見て取れた。
私自身もとても複雑な心境だった。
そして今後の話し合いへと話しは移る。
先ずデイビス様に頼んで、下院への説得、このまま関税の引き上げ案が通ってしまったら大変なことになるということを説いてもらう。
そしてもし関税引き上げが可決してしまった時の他国への対応だ。
もし隣接する三国に同盟でも結ばれては大変な事となる。
先ずはそれぞれの国に赴(おもむ)き、関税引き上げが決まってしまったら、報復措置としてそれぞれの国も我が国に対し報復関税をして欲しいと願い出る。
一時的には苦しくなるが、必ずそれは長くは続かないので待ってくれるように頼む。
何故なら今の我が国の品質の物では国民は満足する筈がない。
かといって、今迄の輸入品は高くて買えなくなる。
それが続けば不平不満が民衆の間から必ず起こる。
その時に我々三大公爵達が総力を持って民衆と共に、今の王権を倒す。
だからそれ迄なんとか待って欲しいと。
そして、隣接する三国で同盟を結ぶのもやめて欲しいとお願いをする。
お互い戦争にでもなればケタはずれな費用がかかる。
現在の経済を取り戻す為にどれだけの時を要するか、その説得を誰がどのタイミングて行うか話し合った。
するとエマ嬢が名乗りを上げてくれた。
「リンドバーグ王国は私に任せて」
第二王子に嫁いだお姉様にお願いをして、国王陛下に謁見のお願いをしてみるわ。
最も留学中にも陛下とはあちらの社交界で面識もあったし、とても良識のあるお方だったわ。
だからこっちは私に任せてと頼もしい言葉を言ってくれた。
そして今度は私が名乗りを上げた。
「バーミヤン王国へは私に行かせて下さい」
知っての通りあちらの国王陛下に嫁いだ方は、この国の陛下のお姉様であるベネッセ様です。
お義姉様(婚姻無効となった今は違うが)とは、前陛下の崩御の時、以来お会いしてませんが、定期的にお手紙のやり取りは続いています。
考え方は崩御なされた前王妃様の血を色濃く受け継がれた方です。
今回の私の立場をとても心配なさってくださいました。
話せば必ず理解なさってくださるはずです。
現に今の陛下のことは諦めているご様子のお手紙も頂いていますからと申し出た。
そして最後のインガスター王国、この国には誰もなんのツテもない。
しかし、デイビス様が名乗りを上げて下さった。
「あちらの国王陛下とは面識はありませんが、長きに渡り貿易は続いているのですから、なんとか説得してみます」
そうして長い会談は、一旦終了した。
最後に私はデイビス様に一つだけお願いをした。
「学校の件ですが、私が王妃の立場で無くなった今、まだ私財は残っているのですが、それに底がついてしまった時には国費として捻出できるよう働きかけて下さいませんか?」
尤も、私財の中の先王陛下から頂いた分についてはその時の条件は果たせなかったが、崩御された王妃様もご賛同くださっていたので有り難く使わせてもらうことにした。
デイビス様は賛同してくれた。
「それは問題無い。それに反対をすれば民衆の反感を買うのは間違いないからな。国王も大臣もあれだけ民衆を意識しているのだから、それについては心配はいらない」
自信を持って言っていただいた。
私は婚姻無効のあとの学校の存続のことが何よりも心配だったのでデイビス様の言葉は何よりも嬉しかった。
尤も、デイビス様だったらそう言ってくれると信じていたのも事実ですが。
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