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29話(進展)
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お兄様の誘いを断ってから半月が経ち、やっと勇気を出して自分から連絡をすることにした。
私から連絡をしなかったら、このままお兄様からは連絡が来ないと思った。だって『美優の都合のいい時に連絡してくれ』が最後の言葉だったから。
お兄様は私からの連絡をもしかしたらずっと待っていてくれているのかしら? と、少しの期待を抱きながら連絡を取った。
LINEで『お兄様の都合のいい日に会えませんか?』と送る。すると一瞬で返信が来たので『もしかしたら本当にずっと待っていてくれたのかしら?』と、とても嬉しくなった。
お兄様は『今日、大学が終わったら連絡してくれ。寮の前まで迎えに行くから』と返信をくれたので『では、終わり次第連絡します』と返した。
夕方になり、大学もいつも通り終わりそうだったので『あと三十分ほどで終わります』と送った。
そして随分と久しぶりにお兄様と再会した。
なんだか今までとは違って、お互い少し遠慮気味に会話を交わした。
「元気そうで安心したよ。いつ連絡をくれるのかずっと待っていたんだ」
それを聞いた私は嬉しい気持ちを隠しながら伝えた。
「なんだか連絡するきっかけをなくしてしまって、ずるずるときてしまいました」
「もしかしたらもう連絡をくれないのかもしれないと、気が気ではなかったよ」
そんなお兄様に私は正直になれた。
「ずっと連絡をしたかったけれど、なんだか素直になれなくてごめんなさい」
「いいよ、こうして会ってくれたんだから」
お兄様は相変わらず優しかった。
その後、久しぶりに会った私たちは、お兄様が予約をしてくれたお店へと行き食事をすることになった。
相変わらず、お兄様は、私が好きであろう食事を次々と運ばせては微笑んでいる。
「美優、遠慮しないでどんどん食べなさい」
今日のお兄様は今まで会えなかった分を取り戻すように、いつもより少しおしゃべりだった。
そんなお兄様との会話を楽しみながら食事をするのはいつぶりかしらと思いながら、今日は素直になれている自分に安心していた。
そして私は、自分でも信じられないほど自然に言葉が出た。
「来年からの住まいのことなんですけれど、やはりお兄様のところから通ってもいいですか?」
するととても驚き、それに嬉しそうに言ってくれた。
「もちろん。元々そのつもりだったから、逆に一人暮らしをすると言われた時はとても寂しく感じたよ」
そしてその後のお兄様はとても機嫌が良く、いつもはしないお仕事の話もしてくれた。
こんなに楽しい時間は私にとってもいつぶりかしらと、思い出せないほど長い時間が経っていた。
私は大学での授業のことや新しくできたお友達の話をした。
そして食事が終わり、寮の前までお兄様に送っていただいた。
「お兄様、今日はとても楽しかったです。ありがとうございました」
「私も久しぶりに楽しい食事ができたよ。私はいつでも大歓迎だ。また美優が都合のいい時に連絡してくれ。何なら毎日でもいいぞ」
笑顔で言ってくれた。
「それでは遠慮なく、またすぐにでも連絡しますね」
そう笑顔で返した。そしてお兄様も優しく微笑んだ。
「では、おやすみ。今度もまた、楽しみにしているよ」
お兄様は名残惜しそうに帰っていかれた。
残された私は『今日は本当に楽しかったわ』と心の中で思いながら部屋へと戻った。
ーーーー
美優を送り届けた後、車を運転しながら久しぶりの再会を楽しんだ私は今夜の余韻に浸っていた。
今日の美優はとても素直に自分の周りの出来事を語ってくれた。
そして何より驚かされたのは、来年からの住まいを私のところに移して大学に通いたいと言ってくれたことだった。
どんな心境の変化があったのかは、あえて聞かなかったが、きっと彼女なりに悩んで決めてくれたのだろう。
それに大和のことも気になっていたのでこの際だから聞いてみた。
「美優は大和のことをどう思っているんだ?」
「大和さんのことは正直お友達としか思えません。それに元々私と大和さんは幼馴染みというだけではないのですか? 今更、何故そんなこと聞くんですか?」
「いや、美優の気持ちを聞きたかっただけだ」
それを聞き、私は心の中で安堵していた。確かに記憶を無くす前の二人とは違う気はしていたが実際美優の口から聞いて安心をしたかった。
だから今日はなんて自分にとって幸せな日だろうとしみじみ思っていた。
私は来年からの美優との暮らしを楽しみにし、美優のためだったらどんなことでもしてあげたいと思っている。
『そうだ、美優の好きなピアノも用意しよう』それからマーサーにも一人増えるのだから、お給料を上げてやらねばと色々なことを考えながら、それさえも楽しく感じていた。
住まいに着くとマーサーがいつもの笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさいませ」
そして私はマーサーに伝えた。
「当初の予定通り来年から美優もここから大学に通うことになった」
「何だか今日の一馬様、とてと楽しそうですね」
思わず『今日の私はそんなに分かりやすいほど楽しそうに見えるのか?』と苦笑した。
「美優様でしたか? とても素敵なお嬢様でしたね。こちらの言葉も話されるので安心しました。今から楽しみです」
優しい笑顔で言ってくれた。そしてその言葉がとても嬉しく感じた。
今日、やはり自分は、美優を一人の女性として見ていることを思い知った。そして一緒に暮らすようになって、私のこの気持ちを美優が知ったらどう思うのだろうか? どうなってしまうのか、今は未だ考えたくはなかった。
何度もこの気持ちを伝えようとする度に何かと邪魔が入り、伝えられなかったということは、未だその時ではないと言われているような気がした。だからもうしばらくはこのままでいいのかもしれない。むしろ、これからの時間の中で少しずつ伝えていった方がいいとさえ思えてきた。
『そうだ、もう焦ることはやめよう』これからは時間をかけて美優の気持ちを確かめていくことにしよう。
こうしてやっと自分の気持ちを切り替えることができた気がした。
そして今までの自分はいったいどうして気持ちを伝えることだけにこだわっていたのかさえ、わからなくなっていた。
そんなことを考えながらいつの間にか深い眠りに落ちていた。
私から連絡をしなかったら、このままお兄様からは連絡が来ないと思った。だって『美優の都合のいい時に連絡してくれ』が最後の言葉だったから。
お兄様は私からの連絡をもしかしたらずっと待っていてくれているのかしら? と、少しの期待を抱きながら連絡を取った。
LINEで『お兄様の都合のいい日に会えませんか?』と送る。すると一瞬で返信が来たので『もしかしたら本当にずっと待っていてくれたのかしら?』と、とても嬉しくなった。
お兄様は『今日、大学が終わったら連絡してくれ。寮の前まで迎えに行くから』と返信をくれたので『では、終わり次第連絡します』と返した。
夕方になり、大学もいつも通り終わりそうだったので『あと三十分ほどで終わります』と送った。
そして随分と久しぶりにお兄様と再会した。
なんだか今までとは違って、お互い少し遠慮気味に会話を交わした。
「元気そうで安心したよ。いつ連絡をくれるのかずっと待っていたんだ」
それを聞いた私は嬉しい気持ちを隠しながら伝えた。
「なんだか連絡するきっかけをなくしてしまって、ずるずるときてしまいました」
「もしかしたらもう連絡をくれないのかもしれないと、気が気ではなかったよ」
そんなお兄様に私は正直になれた。
「ずっと連絡をしたかったけれど、なんだか素直になれなくてごめんなさい」
「いいよ、こうして会ってくれたんだから」
お兄様は相変わらず優しかった。
その後、久しぶりに会った私たちは、お兄様が予約をしてくれたお店へと行き食事をすることになった。
相変わらず、お兄様は、私が好きであろう食事を次々と運ばせては微笑んでいる。
「美優、遠慮しないでどんどん食べなさい」
今日のお兄様は今まで会えなかった分を取り戻すように、いつもより少しおしゃべりだった。
そんなお兄様との会話を楽しみながら食事をするのはいつぶりかしらと思いながら、今日は素直になれている自分に安心していた。
そして私は、自分でも信じられないほど自然に言葉が出た。
「来年からの住まいのことなんですけれど、やはりお兄様のところから通ってもいいですか?」
するととても驚き、それに嬉しそうに言ってくれた。
「もちろん。元々そのつもりだったから、逆に一人暮らしをすると言われた時はとても寂しく感じたよ」
そしてその後のお兄様はとても機嫌が良く、いつもはしないお仕事の話もしてくれた。
こんなに楽しい時間は私にとってもいつぶりかしらと、思い出せないほど長い時間が経っていた。
私は大学での授業のことや新しくできたお友達の話をした。
そして食事が終わり、寮の前までお兄様に送っていただいた。
「お兄様、今日はとても楽しかったです。ありがとうございました」
「私も久しぶりに楽しい食事ができたよ。私はいつでも大歓迎だ。また美優が都合のいい時に連絡してくれ。何なら毎日でもいいぞ」
笑顔で言ってくれた。
「それでは遠慮なく、またすぐにでも連絡しますね」
そう笑顔で返した。そしてお兄様も優しく微笑んだ。
「では、おやすみ。今度もまた、楽しみにしているよ」
お兄様は名残惜しそうに帰っていかれた。
残された私は『今日は本当に楽しかったわ』と心の中で思いながら部屋へと戻った。
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美優を送り届けた後、車を運転しながら久しぶりの再会を楽しんだ私は今夜の余韻に浸っていた。
今日の美優はとても素直に自分の周りの出来事を語ってくれた。
そして何より驚かされたのは、来年からの住まいを私のところに移して大学に通いたいと言ってくれたことだった。
どんな心境の変化があったのかは、あえて聞かなかったが、きっと彼女なりに悩んで決めてくれたのだろう。
それに大和のことも気になっていたのでこの際だから聞いてみた。
「美優は大和のことをどう思っているんだ?」
「大和さんのことは正直お友達としか思えません。それに元々私と大和さんは幼馴染みというだけではないのですか? 今更、何故そんなこと聞くんですか?」
「いや、美優の気持ちを聞きたかっただけだ」
それを聞き、私は心の中で安堵していた。確かに記憶を無くす前の二人とは違う気はしていたが実際美優の口から聞いて安心をしたかった。
だから今日はなんて自分にとって幸せな日だろうとしみじみ思っていた。
私は来年からの美優との暮らしを楽しみにし、美優のためだったらどんなことでもしてあげたいと思っている。
『そうだ、美優の好きなピアノも用意しよう』それからマーサーにも一人増えるのだから、お給料を上げてやらねばと色々なことを考えながら、それさえも楽しく感じていた。
住まいに着くとマーサーがいつもの笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさいませ」
そして私はマーサーに伝えた。
「当初の予定通り来年から美優もここから大学に通うことになった」
「何だか今日の一馬様、とてと楽しそうですね」
思わず『今日の私はそんなに分かりやすいほど楽しそうに見えるのか?』と苦笑した。
「美優様でしたか? とても素敵なお嬢様でしたね。こちらの言葉も話されるので安心しました。今から楽しみです」
優しい笑顔で言ってくれた。そしてその言葉がとても嬉しく感じた。
今日、やはり自分は、美優を一人の女性として見ていることを思い知った。そして一緒に暮らすようになって、私のこの気持ちを美優が知ったらどう思うのだろうか? どうなってしまうのか、今は未だ考えたくはなかった。
何度もこの気持ちを伝えようとする度に何かと邪魔が入り、伝えられなかったということは、未だその時ではないと言われているような気がした。だからもうしばらくはこのままでいいのかもしれない。むしろ、これからの時間の中で少しずつ伝えていった方がいいとさえ思えてきた。
『そうだ、もう焦ることはやめよう』これからは時間をかけて美優の気持ちを確かめていくことにしよう。
こうしてやっと自分の気持ちを切り替えることができた気がした。
そして今までの自分はいったいどうして気持ちを伝えることだけにこだわっていたのかさえ、わからなくなっていた。
そんなことを考えながらいつの間にか深い眠りに落ちていた。
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