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3話(ステーシア《美優視点》)
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その後、アンから一通りの話を聞き終えたわたくしは、まず手始めにここを出て、お金をなんとかしなければと考えた。そしてわたくしはアンに聞いてみた。
「この国に不正行為を訴える場所はあるのかしら?」
「それでしたら地方裁判所が有りますが」
それを聞いたわたくしは『良かった、こちらの世界にも裁判所はあるようね』と心の中で思った。
そしてわたくしは早速、その手続きに必要な書類を集めるにはどうしたら良いのかを調べる為、アンに誰か相談できる方はいないのか聞くと、亡くなった父の姉がいるという。
「侯爵家に嫁いだ伯母のキャサリン様がおられます」
そしてその方はわたくし、つまりはステーシアに好意的だったか聞くと、父が亡くなった直後は気に掛けてくれていたそうだが、継母がわたくし、つまりはステーシアを脅かし、その伯母に継母はとても優しく気遣ってくれるので心配しないようにと嘘をつかせたと言う。
そして父が亡くなってすぐの頃はこの屋敷を度々訪ねてくれたそうだが、継母の嘘に騙された伯母は安心したせいかこのところは訪れていないという。
そこで安心した継母はこんな見窄(みすぼ)らしい格好しかさせなくなったらしい。
それを聞いたわたくしはアンに尋ねた。
「何故この屋敷を出てその伯母様に助けを求めに行かなかったの?」
「私もお嬢様にそう申し上げたらお嬢様は伯母様にご迷惑をお掛けしたくないと仰ったではないですか」
それを聞き、わたくしは思わず口にした。
「は? なんてお人好しな子なの?」
アンは意味の分からぬ顔をした。思わず心の中で『それはそうよね』
と苦笑した。
だってこの身体の持ち主は今はわたくしなのだから。だとしたら元の持ち主は亡くなってしまったのかしら? こればかりは誰にも聞くことはできないわよね。
その後わたくしはアンと共にその伯母様を訪ねる計画を立てた。
アンによると前に働いていた執事や、使用人達は、皆総入れ替えをして、今、働いている人達はお給金も前よりも随分と安く雇い入れたという。そしてアン自身も解雇されてしまったと言う。
アンはすまなそうに答えてくれた。
「まさか、あの時のお嬢様を一人置いて実家の男爵家に私だけが帰るなんて出来ませんでしたので、メイドとして雇ってもらったのですがお給金を半分にされてしまい、すいません、あまりお金は持っていません」
そして継母はわたくしのことは常に見張らせていて、この屋敷から出て行かせないようにしていたらしい。
わたくしたちはまず辻馬車、ようは、わたくしのいた世界のタクシーの様な物みたいね。その辻馬車で、伯母のところに行くことにした。
アンには申し訳ないが、そのために必要なお金はアンが貯めた僅かなお金があると言うので取り敢えず借りることにした。
問題はいつ決行するかだが、そんな話をしていたら大きな体をした男を連れた継母が突然、部屋に入って来た。
「ほら、さっさと掃除しなさい。何をさぼっているの!」
そして先程のお返しとばかりにわたくしの頬を叩こうとしたので、またもやわたくしはその手を払った。すると隣の男に命令をしてわたくしの頬を殴れと言ったが、わたくしは反射的にそれをかわした。
「わたくしに指一本でも触れてみなさい、出るところに出て訴えてやるから」
「やれるものならやって見なさい、それよりこの娘を納屋に閉じ込め、表からつっかえ棒をしておくのよ」
と男に命令した。すると男はわたくしを無理矢理引っ張って納屋へと押し込めてしまった。
いくら護身術を教え込まれたといってもこんな大男相手では諦めるしかなかった。後ろではアンが叫んでいる。
「奥様、どうぞおやめ下さい!」
しかしその言葉は全く意味を成さなかった。
その後わたくしはどうしたものかと考えを巡らせていたが、あまりの空腹感で流石に動く気力はなかった。
そして前にいた世界を思い出しながら『あー、ステーキが、肉の塊が食べたい』と叫んでいた。
どうしてこんなことになってしまったのかしらね、何か、わたくし悪い事でもしたかしら? と自問自答をしていた。
その後アンは継母に掛け合った。
「高熱から覚めたばかりのお嬢様をあのまま放っておいたら死んでしまいます。せめてお水とパンだけでもお願いします」
すると継母は流石に死なれたら周りに対しても、父が亡くなったすぐ後では不味いと思い、あの大男に水とパンの切れはしを運ばせた。
それを見届けてからアンは自分の今まで貯めていた僅かなお金を握りしめて『お嬢様も伯母様に助けを求めることを了承したのだから私が告げても大丈夫』と思い、ステーシアの伯母の所へと急いだ。
そして夜も深まる時間にその伯母のお屋敷へと辿り着き、門番に取り次ぎを頼んだが、あまりにも見窄らしい格好だったので怪しまれはしたが、取り敢えず取り次いでもらえた。
ステーシアの名前を聞いた伯母は慌ててアンを中に通し、一緒にいたご主人である侯爵様とアンの話を全て聞き終えると、お二人共もの凄い顔で怒った。
「馬車を出せ! すぐにステーシアの元に向かうぞ」
すぐに従者を連れてアンも一緒に侯爵夫妻と共に伯爵邸へと向かった。
その頃ステーシア(美優)は差し入れされた水とパンの切れはしを食べながら『空腹は最高の調味料ね』と言いながら生まれて初めてのパンの切れはしを口にしていた。
「この国に不正行為を訴える場所はあるのかしら?」
「それでしたら地方裁判所が有りますが」
それを聞いたわたくしは『良かった、こちらの世界にも裁判所はあるようね』と心の中で思った。
そしてわたくしは早速、その手続きに必要な書類を集めるにはどうしたら良いのかを調べる為、アンに誰か相談できる方はいないのか聞くと、亡くなった父の姉がいるという。
「侯爵家に嫁いだ伯母のキャサリン様がおられます」
そしてその方はわたくし、つまりはステーシアに好意的だったか聞くと、父が亡くなった直後は気に掛けてくれていたそうだが、継母がわたくし、つまりはステーシアを脅かし、その伯母に継母はとても優しく気遣ってくれるので心配しないようにと嘘をつかせたと言う。
そして父が亡くなってすぐの頃はこの屋敷を度々訪ねてくれたそうだが、継母の嘘に騙された伯母は安心したせいかこのところは訪れていないという。
そこで安心した継母はこんな見窄(みすぼ)らしい格好しかさせなくなったらしい。
それを聞いたわたくしはアンに尋ねた。
「何故この屋敷を出てその伯母様に助けを求めに行かなかったの?」
「私もお嬢様にそう申し上げたらお嬢様は伯母様にご迷惑をお掛けしたくないと仰ったではないですか」
それを聞き、わたくしは思わず口にした。
「は? なんてお人好しな子なの?」
アンは意味の分からぬ顔をした。思わず心の中で『それはそうよね』
と苦笑した。
だってこの身体の持ち主は今はわたくしなのだから。だとしたら元の持ち主は亡くなってしまったのかしら? こればかりは誰にも聞くことはできないわよね。
その後わたくしはアンと共にその伯母様を訪ねる計画を立てた。
アンによると前に働いていた執事や、使用人達は、皆総入れ替えをして、今、働いている人達はお給金も前よりも随分と安く雇い入れたという。そしてアン自身も解雇されてしまったと言う。
アンはすまなそうに答えてくれた。
「まさか、あの時のお嬢様を一人置いて実家の男爵家に私だけが帰るなんて出来ませんでしたので、メイドとして雇ってもらったのですがお給金を半分にされてしまい、すいません、あまりお金は持っていません」
そして継母はわたくしのことは常に見張らせていて、この屋敷から出て行かせないようにしていたらしい。
わたくしたちはまず辻馬車、ようは、わたくしのいた世界のタクシーの様な物みたいね。その辻馬車で、伯母のところに行くことにした。
アンには申し訳ないが、そのために必要なお金はアンが貯めた僅かなお金があると言うので取り敢えず借りることにした。
問題はいつ決行するかだが、そんな話をしていたら大きな体をした男を連れた継母が突然、部屋に入って来た。
「ほら、さっさと掃除しなさい。何をさぼっているの!」
そして先程のお返しとばかりにわたくしの頬を叩こうとしたので、またもやわたくしはその手を払った。すると隣の男に命令をしてわたくしの頬を殴れと言ったが、わたくしは反射的にそれをかわした。
「わたくしに指一本でも触れてみなさい、出るところに出て訴えてやるから」
「やれるものならやって見なさい、それよりこの娘を納屋に閉じ込め、表からつっかえ棒をしておくのよ」
と男に命令した。すると男はわたくしを無理矢理引っ張って納屋へと押し込めてしまった。
いくら護身術を教え込まれたといってもこんな大男相手では諦めるしかなかった。後ろではアンが叫んでいる。
「奥様、どうぞおやめ下さい!」
しかしその言葉は全く意味を成さなかった。
その後わたくしはどうしたものかと考えを巡らせていたが、あまりの空腹感で流石に動く気力はなかった。
そして前にいた世界を思い出しながら『あー、ステーキが、肉の塊が食べたい』と叫んでいた。
どうしてこんなことになってしまったのかしらね、何か、わたくし悪い事でもしたかしら? と自問自答をしていた。
その後アンは継母に掛け合った。
「高熱から覚めたばかりのお嬢様をあのまま放っておいたら死んでしまいます。せめてお水とパンだけでもお願いします」
すると継母は流石に死なれたら周りに対しても、父が亡くなったすぐ後では不味いと思い、あの大男に水とパンの切れはしを運ばせた。
それを見届けてからアンは自分の今まで貯めていた僅かなお金を握りしめて『お嬢様も伯母様に助けを求めることを了承したのだから私が告げても大丈夫』と思い、ステーシアの伯母の所へと急いだ。
そして夜も深まる時間にその伯母のお屋敷へと辿り着き、門番に取り次ぎを頼んだが、あまりにも見窄らしい格好だったので怪しまれはしたが、取り敢えず取り次いでもらえた。
ステーシアの名前を聞いた伯母は慌ててアンを中に通し、一緒にいたご主人である侯爵様とアンの話を全て聞き終えると、お二人共もの凄い顔で怒った。
「馬車を出せ! すぐにステーシアの元に向かうぞ」
すぐに従者を連れてアンも一緒に侯爵夫妻と共に伯爵邸へと向かった。
その頃ステーシア(美優)は差し入れされた水とパンの切れはしを食べながら『空腹は最高の調味料ね』と言いながら生まれて初めてのパンの切れはしを口にしていた。
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