【完結】《今世は、彼と出会わない》何度死んでも愛してる

のんびり歩く

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彼の話

君に会いに

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気付けば俺は、小さな少年の前で漂っていた。
てっきり転生するものだと思っていたのに身体は無く、魂だけで漂っている。
そんな俺を、少年は真っ直ぐ見据え、呆れた様な声で

「本当に、愛とは恐ろしいものですね。」

と言った。
ドラゴンだった俺の首を、一撃で切り落とした男と同じ言葉を。

『お前は・・・・』

「お久しぶりですね。とは言っても、言葉を交わすのは初めてですが。」

俺を切り落とした男が、何故この世界に?
しかも魂だけの俺を真っ直ぐに見据えて。混乱する俺に、少年は困った顔をする。

「恨み言は受付ませんからね。あれ以上暴れられては、あの世界まで壊れかける所でしたから。」

『お前・・・何者だ?』

目の前の少年は、ドラゴンだった俺を知っている。俺の首を切り落とした事を覚えている。
そんな者が何故ここに?彼女の居るこの世界に?

「・・・はぁ。何の説明もされてないのですね。警戒する必要はありませんよ。私は貴方にこの身体を引き渡して、この世界から出て行きますから。」

『は??』

「私は元々この身体を成長させる為にこの世界に来たんですよ。あの世界での、貴方の役目が早く終わりそうだったので、そうなると彼女に会いたいと言い出すだろうと思いましたからね。赤ん坊では彼女の元へは行けませんし、突然何の身寄りも無い男が彼女を訪ねて行ったところで、彼女にたどり着く事も出来ないでしょうから。」

そう言って笑う少年は、楽しそうに見える。その話が本当なら、少年は俺の為だけに転生したという事になるのに。

『何故・・・』

何故そこまでする?

「そうですね、弟が困っていたら助けるのが兄の役目でしょう?」

『兄?』

俺はどの世界においても、兄がいた事など無い。

「君の魂の半分は、最初の世界の人々の思い。それじゃあ残りの半分は?」

そう言うと、少年はクスクスと笑いながら俺の魂を掴み、自分の胸に押し当てた。
俺の魂が少年の魂と入れ替わり、同時に少年の記憶が俺の中へと流れ込んでくる。温かな両親とそれを妬む人達。
そして時折やってくる、今世の彼女の姿に似た女性・・・・

『さあ、お膳立てはしておきましたよ。後は貴方次第です。それでは私に、伝言を伝えていただけますか?』

伝言・・・?

「ああ、『予想通りになったから。』と伝えてくれと・・・」

『分かりました。それでは、この世界を去る時にまた会いましょう。今度は世界を壊そうとしないでくださいね。わたしが大変なので。』

そう言いながら、少年の魂はコロコロと笑いながら去って行き、残された俺は、彼女に会いに行く。
久々に感じる彼女の気配に、俺の心が色を取り戻して行くのを感じる。

まずは、彼女によく似た女性に会いに行こう。あの女性がきっと彼女の元へと連れて行ってくれる。

彼女は、何と言ってくれるだろう。
会いたかったと言ってくれるだろうか?
遅いと怒るだろうか?

どちらでも良い。彼女が俺を見てくれるのなら。
俺に声をかけてくれるのなら。
側に居てくれるのなら。
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