Love Potion

煉彩

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願い 2

 そうだ!
 私のことを犬から守ってくれたのは、男の子だ。
 毎日のように一緒に遊んで……。お兄ちゃんみたいで。
 理由はわからなかったが、彼に惹かれていた。

 犬に襲われた時、自分の身体で私を隠してくれて。
 私の代わりに噛まれて、それで――。

「迅くん!」
 大きな声を出してしまい、私の声に反応し、振り返る通行人もいた。

「迅くんだ」
 モヤモヤが一気に晴れた。

 迅くんって、もしかして加賀宮さん?同じ人?
 だから、私のことを知っているの?

 私はバッグからスマホを取り出し、母に電話をかけた。

<もしもし?>

「ねぇ、お母さん!聞きたいことがあるの!」

<どうしたの?そんなに慌てて>

「私が小さい頃、犬に噛まれそうになった時に助けてくれた男の子、なんて名前だったか覚えてる?」

<いきなり……。そんな昔のこと。どうしたの?>

 必死だった。
 あの時の迅くんが加賀宮さんだったら、全て繋がる。

<名前……ね。えっと。名字は一ノ瀬……。だったかしら?下の名前までは覚えてないわ>

 名字が違う。
 加賀宮 迅かがみや じん、じゃないの?
 加賀宮は本当の名字。彼の会社のホームページ、契約書にもちゃんと載ってた。

「どうしてずっと嘘をついてたの?助けてくれたのは近所の大人だって!」

<そんな昔の話、どうでも良いじゃない。今更、どうしたの?その子のお父さん、悪い噂で近所じゃ有名で。あなたと仲良くしてほしくなかったのよ。何かあったら怖いじゃない。それより、孝介さんとは……>

 孝介さんとはどう?って聞きたいんでしょ。

「もういい。ありがとう」
 私は一方的に電話を切った。

 マンションに帰り、落ち着いて考える。
 加賀宮さんは事情がある人だ。
 当時の名字と違っていたっておかしくはない。
 そんなことばかり考えていた。

 あっ、カフェベガのこともちゃんと考えなきゃ。ノートの内容、まとめなきゃいけない。
 
 加賀宮さんが私を助けてくれたであるか、確かめたい。
 けれど、思い出したと言って彼は素直に答えてくれるだろうか。
 今日みたいな加賀宮さんだったら教えてくれそうな気がするけど。

 何から手をつけようか悩んでいた時、玄関が開く音がした。

 もうそんな時間?孝介、帰って来たの?
 
 夕ご飯、準備しなきゃ。
 お皿を取り出していた時だった。

「お前、自分が仕事らしいこと始めたからって、夫が帰って来ても出迎えもないのか?」

 あぁ、怒ってる。

「ごめんなさい。ちょっとバタバタしてて」

 お皿を置き、孝介と向き合う。
 身体が硬直する。この空気が嫌だ。

「お前。今日、休みのはずだったよな?だけど、ずっと家に居なかったって美和さんから連絡が来たぞ。何をしてたんだ?」

 ゾクっと背筋が凍った。
 急いでいて、細かいところまで考えていなかった。
 
 どうして私のスケジュール、知ってるの?
 興味なんかないと思っていたのに。美和さんに一言伝えておけば良かった。

 仕事になったって嘘をつけば良かったの?
 もし嘘がバレたら、まさか本当のことなど言えるはずがない。

「急に仕事になったの。伝えるのが遅くなってすみません」
 他に言い訳が考えられなかった。

「ふーん」
 鼻で返事をされたけど、まだ孝介は疑っている。
 その場から立ち去ろうとしない。

「お前、財布見せてみろ?」

 財布?

「どうして?」

「仕事始めたからって、で余計な買い物とかしてるんじゃないだろうな?俺が養ってやってる分際で」

 どこかに隠しておいた金?
 もしかしてあの貯金のこと、バレてるの?
 今財布の中を見られたらヤバい。
 バッグにはまだ隠している通帳とか入っているし、財布にも下ろしたお金がまだ残ってる。

「どこかに隠しておいたお金って、そんなお金があるわけないじゃない。全てあなたが管理しているんだもの」
 
 落ち着け、孝介には私の過去の貯金、バレてないはず。もしバレてたらとっくに取り上げられている。

「じゃあ、いいだろ。財布、出せよ」

 どうしよう。
 出さなくても怪しまれるし、中身を見られても問い詰められる。
 
 その時――。
<プルルルル……。プルルルル……>
 孝介のスマホが鳴っている。

 彼はポケットから取り出し
「もしもし?」
 すぐに反応をした。

「ああ、父さん?今?大丈夫だけど……」
 
 お義父さんからの電話?
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