人殺しのあなたへ

竹丈岳

文字の大きさ
25 / 49

25

しおりを挟む
 俺とカンナで会議をしてから二日後。市民の暴動は、俺の予想よりも早くに起きてしまった。

 下剤は届かなかったが、火薬は大量に手もとにある。

 俺の部下たちが宮殿に浸透して、いつでも計画を実行できるよう配置につく。

 市民たちがライフル銃やら農具やらで武装をして今にも宮殿に迫っている。

 数は100辺りから徐々にその数を増し、今では1000人を超え、さらに数を増やしていっている。

「この調子だと一万人に達するだろうな」
「成功すると良いね」
「成功してもらわなくちゃ困る。俺たちの生活だってかかっているしな」

 黒と白の入り混じった煙幕の中、警備兵を潜り抜けて、俺がレバーを落して、宮殿への橋を架ける。

 それを皮切りに、市民たちが雄たけびを上げて、一斉に宮殿内へと突撃した。

 俺たちが声をかけ、視界の悪い煙幕の中、市民たちを王の元へと誘導し、自らの手で殺させるよう仕向ける。

 これは市民の怒りであり、市民の正義なのだ。殺すのは俺たち怪盗の役目じゃない。

 だだっ広い王室の中で、ふてぶてしい王は、過度に金や宝石で装飾された椅子に座っていた。

 市民たちの怒りが一斉に王へと向けられる。

「待て! 話せば分かる!」
「問答無用!」

 ピッチフォークや鍬が一斉に王へと突き刺さり、恨みを晴らすように何度も何度も市民たちの手によって肉が抉りだされる。

 本来この国は、元々財政難だったわけだが、それでも、王に責任が無いとは言い切れない。税を課している以上、市民のことを考える必要はあっただろう。

 王の首が、生きたままねじ切られ、それを掲げると、市民たちは狂喜した。

「なんだか、狂ってるよ」
「これが、人殺しってやつだ。お前は二度とするなよ」
「分かった」

 政府転覆は成功した。
 だが、本当の試練はここからが始まりだということを、市民たちは、身をもって知ることになる。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

処理中です...