ヤクザ警察アーシャちゃん 異世界に転生したらやりたい放題

竹丈岳

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粉々になったアーシャちゃん

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「さて、そちらからお願いします」

「こちらとしても殺したくは無いんだが、本当に撃って大丈夫なのか?」

「大丈夫です。攻撃は全てこの舞台の下にある魔法陣に吸収されるようにできていますので」


 そう言ってアーサーが下を指差す舞台には、HP8000とそれぞれお互いに映し出されている。


「中々、見たこともない術式だな。ダメージを数値化させて連動させて投射するなんて。一言で言えば、凄いな」

「僕は元々ゲームエンジニアでしたからね。こういうプログラムとほぼ変わらないような仕組みで作れる術式というものは得意だったんです。もし、興味があるのでしたら、色々と教えられますよ」

「ありがたい申し出だが、今はそんなことを考えていられるほど余裕はないのでな」


 人を殺すことに未だに私の中に躊躇があるせいか、アーサーから少し逸れたところを試しに撃つことにした。すると、アーサーはわざわざ銃弾が飛んでいく方まで動いて、剣で銃弾を弾く様子を見せた。

 というのも、飛んでいる銃弾なんてものは目視がしづらく、音や弾痕を頼りに着弾位置を知るしかない。
 なので、剣を振る動作と銃弾が弾かれたような音がしてそう解釈した。というわけだ。

 
 まあ、なんにせよ。一発撃っただけでも、私の作った.357マグナムの反動は凄まじく、私の筋力では、銃弾が銃口から出るまでに反動でブレが生じてしまう。そのため、精度は思ったよりも低く目標から大きくそれていた。


「銃弾くらいでしたら簡単に切れちゃいますよ。僕」

「まあ、落ち着けって勝負は始まったばかりだろ?」


 私は更にガトリング生成する。


「ちょっと! 普通武器は一つでしょ!?」

「そんなこと言ってたか? 武器は私が用意するとは言っていたが、そっちは私の使用する武器に文句は言っていなかったはずだが?」


 あまりにも大きな武器を見たせいか、アーサーが慌てた様子を見せた。

 ガトリングとマシンガンというものの違いについて少し触れると、マシンガンは銃口が一つに対して、ガトリングは複数の銃口が付いているのが特徴だ。

 通常、銃というものは、弾詰まりが起きると、先に弾詰まりを解消しなくては撃つこともできなくなる。

 だが、しかし、ガトリングの場合は複数の銃口が付いているため、一つが弾詰まりを起こしても、確率的に他の銃口が生きているから継続して攻撃を行うことが可能だ。
 しかも、銃身の過熱によるオーバーヒートで、弾が勝手に爆発したり、それこそ、銃身が曲がったりすることも普通はあるが、ガトリングの場合は、それが起きにくいという特徴がある。
 銃口が次々に交代して弾を撃つ仕組みになっているため、休んでいる短い間にも、冷却時間が作れる仕組みになっている。
 こんな素晴らしい武器が、アメリカの南北戦争時代に作られたというのだから驚きだ。


 通常は電気モーターや手動でガトリングを動かすのだが、今回はそれがないため、爆発術式を利用した特性のエンジンで稼働させるようにしている。


 ひとたび私がエンジンを動かすと、自動的に銃口が回転を始めた。

 そして、アーサー以外誰もいない方向に向かってスイッチを押すと、ガトリングから、サイレンのような音が鳴り始めた。
 
 少々特殊に、空気が切り裂かれることによって発生する音がサイレン音なのだが、こうした音が鳴るように設計したのも理由があってのことだ。

 当時、この音に似た兵器があった。
 それは、第二次世界大戦におけるドイツ軍が使うスツーカという近接爆撃機で、ジェリコのラッパとして恐れられたことがあった。
 音というものは、相手に対して心理的なダメージを与えることが可能なのだ。

 アーサーが避けると、遥か向こうに見える山に生えた木々が、チーズのように切り裂かれて飛んでいき、次々に山肌を削り始めた。

 避けるアーサーを追って銃口が動くと、城の外壁に当たりそうになり、そのせいで、わざわざ、アーサーが間に入ってきて、銃弾を受け止め始めた。


「ちょっとタンマ! これじゃあ余計な被害が出ます!」

「すまない! 何を言っているか聞こえない!」


 実は聞こえているのだが、聞こえていないふりをしてそのままアーサーを倒し切ろうとする。

 何とも銃弾を剣で切り裂いているようだが、防御で精いっぱいのようだ。そこに向かって、弾薬を交換した.357マグナムを向ける。
 銃弾はバードショットで、通常、ショットガンに使われるものだ。

 弾丸が雨のように降り注ぎ、アーサーのHPが削れていく様子が見える。


 当然私もこんなことで油断なんてするはずもなく、何かのスキルで一瞬で距離を詰めてきたアーサーを、変成を仕掛ける呪いで押さえつける。


「あがっ!」

「終わりだ」

 
 下半身をナメクジの足に変えたアーサーに向かって最後の銃弾を撃ち込む。

 だが、それよりも先に、なぜか私のHPが削られた。

 アーサーの残りHPは100ちょっと。あと一発でも銃弾を与えられれば勝てるし、殺しきれたかもしれないのに、満タンだった私のHPがいつの間にか0になっていた。


 次の瞬間には私の体が粉々に切り裂かれていた。
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