美少年幽霊との誕生日ラブラブえっち

べーこ

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誕生日のラブラブえっち

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 仕事が終わってからの帰り道でお気に入りのケーキ屋さんで2ピースのケーキを買って帰る。

 今日は誕生日なので奮発してもいいだろうと思って一番高いケーキを購入した。

 家に戻ると陽光君が既にいて、夕食の準備をしていた。
 陽光君とは私が高校生だった時のクラスメイトで今は幽霊だ。
 若くして亡くなったが私への恋心が未練となり今でもそばにいる。とても素敵で優しい恋人でもある。怒るとめちゃくちゃ怖いのがキズだが。

 真っ先に目についたのは食卓テーブルだった。

 テーブルの上には色とりどりの野菜が綺麗に盛られたサラダ、具がいっぱいのコンソメスープは出来立てだからか湯気を立てている。
 そしてメインディッシュであろうアクアパッツァ。
 白ワインのボトルとワイングラスが置かれている。テーブルもお洒落な白いクロスがかけられている。

 数日前に陽光君からお肉とお魚のどちらが食べたいか訊かれていたのを思い出す。おそらくこの日のための質問だったのだろう。

「ほのか、おかえり。お仕事お疲れ様」
「ただいま。すごい! 美味しそう」
「ほのかと比べたら大したものじゃないけど腕によりをかけたんだ。……失敗してたらごめんね」
「こうやって準備してくれたのが嬉しい。毎年レベル上がってるよね」

 これは毎年恒例の行事だ。誕生日は陽光君が家の事を全て受け持ってくれていつもよりも手の込んだ料理で祝ってくれる。

 陽光君は私に形になるものを残せないのをかなり残念に思っているらしい。
 毎年申し訳なさそうにプレゼントをあげられなくてごめんねと言われる。

 だけど彼は毎年想いを綴った手紙とやたら凝った手作りのバースデーカードを必ずくれる。

 私の誕生日を祝いたいという想いがはっきりと伝わってくるので文句はない。むしろここまで愛されて幸せだとすら思える。

 彼の料理の腕も大分上がった。一緒に暮らし始めた当初は簡単な料理しか作れなかった彼が今ではお洒落で手の込んだ料理を当たり前に出せるようになっていた。

 全ての料理はレシピを調べて作ったのだろう。その手間暇をかけてくれるだけでとても嬉しい。調理工程の間違いとレシピの出来がハズレではない限り大丈夫だろう。

「座って。ワイン飲む?」

 陽光君が言うとボトルが浮かび上がってグラスにワインが注がれる。ワインの香りがふわりと漂ってくる。

「ありがとう。その前に上着脱いで鞄しまってくるね」
「それくらい僕がやるよ」

 上着は勝手に脱げて、鞄も手元から離れていつもの場所に置かれる。
 ワインの件も含めて、全てポルターガイストの応用だそうだ。便利すぎる能力だ。
 幽霊である陽光君はポルターガイストでものを動かす。


「ケーキ買ってきたの。手を洗ったらケーキだすね」
「それも僕がやるからいいよ」

 手を洗ってリビングに戻ると買ってきたケーキがお皿にのっている。だけど私の分しか用意されていない。一体何のために二つ買ってきたのかと思う。

「陽光君の分も用意するね」
「えっ?」

 陽光君が戸惑っている間にお皿を用意して彼の分のも用意する。そして一本の小さなロウソクを私のケーキにさして完成だ。私も陽光君のケーキも苺がのった生クリームのスタンダードなものだ。

「僕の分まで買ってこなくてもいいのに。食べられないんだから」
「陽光君と二人で祝いたいからこれでいいの!食べられない分は明日私が食べる」
「そっか。ありがとう」

 椅子に座ると向かいには陽光君が座る。

「ほのか、お誕生日おめでとう。乾杯」
「ありがとう、陽光君」

 私はワインの入ったグラスを陽光君は空のグラスを浮かせて乾杯する。

「ほのか、ほらロウソク消して」
「うん」

 ふーッと息を吹きかけてロウソクを消す。

「ハッピーバースデー、ほのか!」

***
 
「ごちそうさまでした」
「……美味しかった?」

 陽光君がおずおずと話しかけてくる。毎年の事だが物を食べられない陽光君は自分では料理の出来はわからない。だから感想を求めるときは少し緊張するそうだ。

「美味しかったよ。年々上達してきてすごいよ!」
「よかった。料理に関しては今でも緊張する。調味料間違っていないか、ほのかの口に合うかとか色々気になることが多いんだ。ほのかの方が料理上手だし」
「私はそんなに上手じゃないよ。どれも美味しかったよ」
「ありがとう。そうだ。これ渡すね。大したものじゃないけど受け取って欲しいな」

 そう言って今年もバースデーカードと想いを綴った手紙を渡される。絵も字もとても上手な彼が作るバースデーカードは毎年素敵なものだ。手紙の字も相変わらず達筆で見ているだけですごいと思ってしまう。

「お風呂から上がったら読むね」
「わかった。後は僕が全部やっておくからお風呂入ってきていいよ」
「ありがとう。至れり尽くせりだね」

 お風呂からあがると片付けはあらかた済んでいた。明日の準備もバッチリされていて、私は本当に寝るだけの状態になった。
 頼んでいないのに仕事で着ていくブラウスのアイロンがけも綺麗にされていた。

 もらった封筒を開けて手紙を読む。手紙の内容は私への感謝とどれだけ私のことが好きなのかを綴ってある文章だ。

 決して文豪みたいなロマンチックな内容ではない。だけど彼の落ち着いた雰囲気の文章が私は好きだ。飾り気がなくて真っ直ぐな文章が胸に響くのだ。時々過激で重たすぎて少し引いてしまう愛の表現は彼らしさという事でご愛嬌だ。

 達筆だけれども読みやすい字だ。一文字一文字が丁寧に書かれていることが伝わってくる。

 バースデーカードは上質な紙に誕生日ケーキが手書きで書かれている。
 そして可愛らしいネズミと女の子の絵が描かれている。女の子はおそらく私だろう。どことなく私に似ている。

 あと書かれている絵がネズミなのはおそらく私たちの干支がネズミだからだろう。

 陽光君は見かけによらずに可愛らしい絵を描く。実は陽光君の手書きの絵は好きでお手製のバースデーカードは毎年の楽しみだったりするのだ。

 手紙もバースデーカードも大事にファイリングして保管している。というか捨てたら呪われそうで怖い。

 何よりも彼との思い出の品物だ。

 手紙も読み終わったし寝ようとベッドに横になる。だけど身体がムズムズとする。

 間違いなく性欲が高まっている。この現象は月に何回かくるものなので驚きはしない。さらに今日はお酒が入っているので尚更だろう。

 だけど陽光君の目を盗んで性欲を発散させるのは結構大変だ。彼は暇さえあれば私のそばにいる。
 大体はお風呂に入っている時に自慰をして性欲を発散させている。今日はもうお風呂に入ってしまったし、トイレでするにしてもトイレにいる時間が長いと陽光君に気がつかれてしまう。どうしようと思っていた矢先の事だった。

「ほのか、ムズムズしてどうしたの? もしかして気持ちよくなりたいの?」
「びっくりした。急に出てこないで!」
「驚かしたかったんだ。ごめんね。で、どうなの?」

 いつの間にかそばにいた陽光君が私の体を服越しにゆっくりと撫でる。冷たい手は私の性感帯を熟知していて感じやすいところを的確に刺激してくる。それだけではなく不思議な色気を放つ血のような赤い目に誘われてしまう。

「うん……」

「ほのか、どうして欲しいの? はっきりと言わないとダメだよ。ほのかは僕に気持ちよくして欲しいの? はいかイエスで答えてね」

 言っていることは無茶苦茶なのに、陽光君の手で気持ちよくされてしまうと思うと理性が飛んでしまう。陽光君は不思議な力で私を快楽の渦に飲み込もうとする。

「お願い。陽光君と気持ちよくなりたい」
「素直でいい子だね。僕にしかできないやり方でいっぱい気持ちよくしてあげるね」

 陽光君はベッドに横になっていた私を自分と向かい合うように座らせた。そして陽光君は両手で私の顔に触れる。彼の顔が近づいてきて唇が触れ合う。陽光君の唇は柔らかくて冷たい。そして舌が口内に侵入する。私も陽光君に応えるように舌を絡ます。お互い上手とは言えないキスだけど愛しい人とこうしているだけで幸せだ。

 お互いの唇が離れると名残惜しそうに銀色の糸が引く。

 陽光君は私を押し倒して私のパジャマのボタンに手をかける。そして一つ一つ壊れ物を扱うかのように外していく。パジャマの上が脱がされ、下のズボンもあっという間に脱がされてブラジャーとショーツといった下着だけの格好になる。

 「可愛い」

 陽光君の手が脚に触れる。手の動きは下半身から上へと向かっていく。足を撫でた後は脇腹を撫でる。その手つきは優しくも快楽を誘うものだ。今は私のお臍のあたりをずっと撫でている。そして私の首筋にキスをして所有の証を刻む。

 体を重ねた当初はたどたどしかった手つきも今ではすっかり慣れたもので的確に私の性感帯を刺激してくる。陽光君の優しい愛撫に身体が徐々に熱を持ち始め、秘部がうずき始める。

 そして彼はブラジャーの布越しに乳首を弄っている。羽を触るような優しい手つきだけどその緩やかな刺激がもどかしい。

「この胸も、背中にある小さい黒子も、少しだけガサついた手もアザがある可愛い足もぜんぶ、ぜーんぶ僕のもの」

 熱に浮かされたように陽光君は私に語りかける。昔は怖かった愛情と独占欲と所有欲を全て混ぜたような甘くて胸焼けしそうな言葉。だけど今はその重たすぎる愛情をぶつけられるのは嫌ではない。むしろ愛されていると実感できて幸せだ。全身で愛されているのがわかってしまう。

「ほのか感じてくれてるの? 嬉しい。ねえ、気付いてる? ショーツがグショグショなの。そんなに気持ちよかったの?」

 陽光君はショーツに触れる。ビショビショになったそれは快楽を求めて私の体が準備しているのを如実に証明していた。

 だけど言葉にするのは恥ずかしくて首を小さく縦に振る。陽光君は妖艶に笑う。美形は何をしても絵になるので卑怯だ。

「そうだ。ほのかは催眠セックスって知ってる?」

 聞いたことだけはある。感度が上がってとてつもない快楽と絶頂を味わえると。だけどそれが本当かどうか知らない。正直アダルトビデオの中だけの世界だと思っている。

「聞いたことはある。だけどそれってフィクションでのお話でしょ?」
「そうだね。フィクションでやってるようなのは嘘くさいよね。だけど実際にあるんだよ。催眠で狂っちゃうほどの快感を味わってみたいと思わない?」

 魅力的な誘惑だ。私の身体は快楽を求めてさらに疼き始める。

「興味津々って顔だね」
「実はすごく気になる」
「いいよ。忘れられない夜にしてあげる♡僕の目をちゃんと見てね」

 言われた通りに陽光君の赤い瞳を見つめる。普通の人間にはあり得ない鮮やかな深紅の瞳は吸い込まれそうなほどに綺麗だ。炯々と輝く瞳を見ると意識が遠のく感じがした。

「いい子だね。ちゃんと僕の目を見られたね。これから君はとっても気持ちよくなれる。そしてこの快楽は僕との情事が終わるまで続く。いい?」

 陽光君の声が頭に直接響く。まるで脳みそに直接語りかけているようだった。まるでマイクで喋っているかのようにエコーがかった響きだ。その声だけで胸がキュンとする。

「ほのか、今から10カウントするね。カウントする度に君の感度は増していく。そして0になると君の感度は最大になる。わかった?」
「うん」

「10」
 その言葉を聞くだけで気持ちよくなってくる。皮膚の感覚が研ぎ澄まされるというか敏感になっている。下着の布が当たっているだけでくすぐったいけどどこか気持ちいい。

「9、8……」

 カウントはゆっくりと進められていく。カウントが進む毎に身体の感覚が敏感になって秘部が疼き、胸の突起も痛いくらいになってくる。まるで見えない手に愛撫されているようだ。

「5、4……」
「あっ、ヤダ、なにこれぇ」

 快楽の波が大きくうねって私を蝕む。触れられてもいないのに絶頂しそうだ。その様子を彼は優雅に微笑んで見ている。

「3」
「んっ、もっともっときもちくなりたい」

 快楽が物足りず目の前に陽光君がいるのに秘部に手がつい伸びてしまう。もどかしくて仕方がないのだ。

「ほのか、触っちゃダメ」

 その言葉と同時に手が動かなくなる。それなのにいけそうでいけないという快楽は引くことがない。

「2、1……0」
「ああああああっ。イくぅ。あああああ!!」

 0と言われた瞬間にとんでもない快感が電流のように全身を駆け巡った。感度が最大になるって言われていたけどまさかイくとかでは思わなかった。触れられてもいないのに中が痙攣する。そしてイったせいか愛液がごぽりと流れてくる。

「触られてもいないのにイッたんだね。催眠だけでイくなんてとてもエッチで可愛い♡」
「言わないでぇ」

 そもそも催眠だけで絶頂させるなんて反則すぎる。催眠自体が相当強力なものなのだろう。

「恥ずかしがっているほのかも可愛いよ。じゃあほのかな大好きなアレをしてあげる。その前にグショグショのショーツは脱いじゃおうね」

 私が密かに期待していた言葉を陽光君はくれる。陽光君の言葉に反応して愛液がゴポリと再び流れる。

 陽光君の手でショーツが脱がされる。さらなる快楽を待ちわびた身体ははしたなくてトロトロと蜜を溢して秘部をテラテラと光らせていた。

「ほのかのアソコ、トロトロってエッチな液を溢していて美味しそう。ここも後で可愛がってあげるね。今は君のだーいすきなアソコを弄ってあげる」

 陽光君の手がお臍の少し下の部分にそっと触れる。そしてその手はゆっくりと私の体の中に沈んでいく。
 不思議なことに痛みもないし、出血もしていない。初めてコレをされた時は怖くて怖くて仕方がなかった。
 だけど今は彼の手が極上の快楽をもたらしてくれるって知っている。だから怖くはない。

「たーっぷりと狂ってね♡♡」

 快楽の波が私を襲ってくる。今までの緩い快感ではなく稲妻のような鮮烈なものだ。そんな快感が全身を駆け抜けていく。さわさわとお腹の中が撫でられるたびに甘い快楽が駆け巡る。

「ああああああ♡♡きもちいいよお♡これっ、これしゅきいいい」
「子宮愛撫そんなに好き? いいよ♡♡好きなだけ声出して♡快楽に身を委ねて♡」

 陽光君の手は直接私の子宮を撫でている。実体を持たず、さらに霊としても強大な力を持つ彼にしかできない不思議な愛撫だ。

 本人曰く私の体限定で触れたいものとそうでないものを自由に選別できるらしい。

 陽光君の霊力を纏った手に優しく触れられた子宮は悦んでいるのか中が今まで以上に疼く。

 陽光君に愛撫されて可愛がられた子宮は開発されて、既に一つの性感帯となってしまった。

 軽く触られるだけで麻薬みたいな快感をもたらすのだ。そして私は子宮愛撫なしではいられないほどにこの快楽の虜になってしまった。

「子宮愛撫しゅきいいい♡もうこれがないとダメええええ♡」
「ほのかの子宮あったかいよ♡♡子宮撫でられていっちゃうなんて変態さんだね♡♡こんな事できるの僕しかいないよ♡♡だからずーっと一緒にいてね♡♡」
「いりゅっ♡♡ようこうくんとずっといっしょにいるうう♡♡ようこうくんだいしゅきっ♡」
「僕も大好きだよ♡ほらイって♡」

 陽光君が一番感じる部分に触れた。私はその言葉と共に潮をピュッと吹いてしまう。透明の液体がベッドを濡らす。そして近くにいた陽光君にもかかってしまう。

「潮吹いちゃったね。かーわいい」

 私のお腹に沈んでいた彼の手がでてくる。 陽光君は舌舐めずりをして私を見る。目はギラギラとしていて獣のような獰猛さを秘めている。整った顔も相まって凄絶ともいえる色気を発している。

 幽霊は性的な事を嫌うって言うけど嘘もいい所だ。陽光君は嬉々として私を責める。

 彼には塩も神社のお守りも効かない上に昼間でも平気で行動しているのでよくある幽霊の法則に当てはめてはいけないのだろう。

 陽光君はありとあらゆる方法で私を籠絡する。最初は恐怖と甘い猛毒のような愛情、次は魂という物理的な形、そして最後は快楽という名の鎖で縛られる。

 実際こんな事ができるのは世界中でも彼一人だけだろう。 

「嬉しい。僕とっても幸せ。だって今の君は爪の先から骨の髄まで僕のものなんだもの。絶対誰にも渡さない。その代わり僕の全ても君のものだよ。僕の全てを君にあげる♡」

 甘く蕩けた赤い目が私を見つめてくる。そして私をベッドに座らせる。私の左手を取って口元へと持っていく。

 薬指につけている赤い宝石のついた指輪が嫌でも目に入る。この指輪は彼からのプレゼントだ。そして私が陽光君のものになったという証だ。

 そして陽光君は私に跨る形になって指輪ごと左手の薬指を口に含む。ぺちゃぺちゃと音を立てながら指を舐める。時折じゅるっと音を立てて丹念になめていく。

 じゅるっ、ぺちゃぺちゃと情事を思わせる音を立てながらしばらく彼は私の指をしゃぶっていた。
 その音は私の発情を今まで以上に促す。指を舐められているだけなのに何故か気持ちよくなっている私がいた。

 私の指を丹念に舐める陽光君の仕草は妖しい色気に満ちていた。そして見せつけるようにゆっくりと口から指を解放する。唾液で私の指はテラテラと光っている。

「ごちそうさま♡ほのかの可愛い指いっぱい舐めちゃった。ねえほのか、私は陽光君のものですって言って」

 陽光君はセックスするといつも所有欲を露にする。恍惚とした目で私自身に「陽光君のものである」と言わせようとするのだ。そして私も彼の言葉に答える。

「もちろんだよ♡私はとっくにようこう君のものだよ」

 快楽に浮かされているせいかいつもよりも素直に言葉が出てくる。

「嬉しい。触りたいところがあるんだ。触ってもいい?」

 優しく笑う陽光君の言葉に逆らえない私は首を振った。

「いいよ♡さわって」
「ありがとう♡後目を閉じて。きっとそっちの方がたくさん感じられて気持ちいいよ♡」

 彼に言われるがままに目を閉じる。そしてベッドで抱き抱えられたまま耳を舐められる。

「あんっ♡」

 脳内にピチャピチャ、ジュポジュポといやらしく響く水音と舌で耳の中を愛されているという感覚で思考が麻痺してくる。

 最初は全然上手じゃなかったけど今では恐ろしいほどのテクニックで私を翻弄する。
 催眠で敏感になった身体も相まって耳を舐められているだけで再び絶頂してしまいそうだ。冷たい舌に耳の神経が全て愛撫されているようだ。
 それにしか集中できず陽光君が何をしているかまでは考えられなかった。さらに視界に神経を使う必要がないせいか聴覚がより敏感になっている気がする。だからいつも以上に耳を舐められている音と感覚に翻弄される。

 だから陽光君の空いた手がどこに触れているかなんて知りやしなかった。

「あっああああ」

 胸に不思議な刺激が走る。痛みでも快楽でも苦しみでもない不思議な感覚に声を上げてしまう。この感覚を上手く言い表せられない。

「ねえほのか、耳舐められてご満悦のところ悪いけれど今僕の手はどこに触れていると思う?当ててみてよ」

 陽光君の声が直接頭の中に響く。耳は犯されたままで今でも水音がジュポジュポとしている。
 そして胸から全身を駆け巡る不思議な刺激で思考が働かない。

「きもちよくてあたまがはたらかないのっ♡」
「快楽でズブズブなんだね。ねえほのか左胸見て」

 陽光君に言われて目を開ける。そして左胸を見ると陽光君の手はブラジャーを貫通して私の体内に沈み込んでいた。もしかして陽光君が今触れているのって……

「もうわかったよね♡僕が触れているのは君のし・ん・ぞ・う」

 艶のある唇を歪めて笑う彼はきっと世界で一番綺麗だ。彼の美しさにはいまだに慣れない。

 美人は三日で飽きるとか言うけど大嘘だ。出会ってから十年以上一緒にいるのに未だに妖しい美貌に惑わされそうになる。

 そもそも陽光君が十六歳という若さで亡くなったのは神様が綺麗なまま彼を手元に置いて置きたかったからかもしれない。だけど本人は神様のところに行くどころか私の元に現れた。

 十六歳の少年の姿の陽光君は大人でも子供でもない不思議な魅力を持つ。その魅力は人間離れしていて怪物といっても差し支えはないと思う。それほどに彼は整った、ううん整いすぎた顔立ちなのだ。

「君の心臓の鼓動がはっきりと伝わってくるよ。トクントクンと脈打ってる」

 心臓を再び撫でられる。陽光君の甘ったるい声にゾクゾクってきてしまう。

 この美しい支配者に命を含む全てを握られている。だって陽光君はきっとその気になれば私の心臓を握り潰すことだってできるだろう。

 そう考えると胸がドキンとする。きっと直接触れている陽光君は気がついているかもしれない。

 だけどこの人になら全てを捧げてもいいと今では思っている。おかしいな。私はマゾヒストなんかじゃないのに。陽光君だったらそれでもいいと思ってしまう。

「心臓の鼓動が速くなったね。僕に生殺与奪を握られて怖いの? 大丈夫だよ。殺さないから。快楽だけをあげる」

 心臓をひと撫でされて再び不思議な感覚を味わう。そして手が胸から抜かれていく。

「全部脱ごうか」

 ついにブラジャーまで外されて私は生まれたままの姿になる。こうして裸になるのは今でも少し恥ずかしい。

「ほのか綺麗だよ。君の全てが好き、愛してる」

 陽光君は私の額にちゅっとリップ音を立ててキスをする。催眠で感度の上がった身体はこのキスですら快楽を享受してしまう。

「陽光君ってキス好きだよね」
「大好きだよ。だって愛情を伝えられるから。そうだ。君のここ綺麗にしないとね」

 陽光君は私のしとどに濡れた秘部をじっと見る。そして顔を近づけて舐め始めた。ピチャピチャと生々しい音を立てている。神経の密集している突起をペロリと舐められる。

「あっ、そこ♡」
「クリトリス気持ちいいんだね」

 陽光君はじゅるじゅると音を立てて愛液を吸っていく。そしてゴクンと飲んでしまう。

「ごちそうさま♡」
「いやああああ。ヤダ。これ恥ずかしいからやめて♡」
「それはできない相談だよ。それにやめてって言っているけど乳首がツンってしている。体は快楽を求めているのに素直にならないとだめだよ♡じゃあ本番に行こうか」

 陽光君はスラックスのファスナーを下ろして前を寛げる。陽光君は私の服は脱がせるのに自分は絶対に脱ごうとしない。

「私だけ裸なの恥ずかしい……ねえ陽光君も脱いで」
「えっ……? 脱がなきゃだめ? 正直身体にコンプレックスあるからあまり脱ぎたくはないんだけど……」

 陽光君が恥ずかしそうに言う。すごく恥じらっているところ申し訳ないけど、さっきまで私にしていた行為や言葉責めの方が数十倍恥ずかしいと思う。それに自分だけが裸なのも恥ずかしい。何よりも肌と肌で陽光君と触れ合いたいのだ。

「陽光君、だめ?」
「ああ! そんな可愛い顔でお願いされたら断れないよ。見ても引かないでね」

 陽光君はそう言って洋服を脱ぎ始める。シャツのボタンを一つ一つ外し、ズボンも下着も全て脱ぐ。

 陽光君も一糸纏わぬ姿になる。陽光君の体は心配になるほど華奢だった。雪のように真っ白い腕や脚は成長期前の少女のようだ。無駄な脂肪は一切付いていないどころか必要な肉すらついてないように見える。
 さらに身長の割に手足が長いせいか、尚更そう思ってしまう。

 年頃の男の子とは思えないほど彼の身体は薄い。さらに肉がなさすぎて肋骨が浮かび上がっている。
 よくいえば少年人形のような華奢な体型、悪くいえば痩せすぎと言ってもいいような体躯だ。女の私よりも華奢なのではないのだろうか。

「陽光君、細いとは思ってたけど本当に細いね」
「細い……。痩せすぎて骸骨みたいだからあまり見られたくなかったんだよ。だって格好悪いでしょ。女の子は脱ぐと実はスゴイみたいな体が好きだってテレビでやってた」

 陽光君は意外と自己評価が低い。これだけ美形なのに自分の顔形はあまり好きじゃないらしい。

 陽光君曰く顔立ちはキツイし昔から気取ってると思われることが多く、あまりいい思い出はないらしい。ちなみに理想は長身スポーツマン体型だそうだ。

「それは世間での評価でしょ? そしたら私だってもっと胸が大きくて腰はきゅっと括れていて、スタイルが良い方が男性は好きなんじゃない?」
「違う! 僕はほのかじゃないと嫌だ。ほのかだったら何でもいいよ!」

 私の言葉に被せるように反論してくる。その焦った様子が少し可愛い。

「それと同じだよ。あまり体型は気にしないでよ。私は今の陽光君が好きだよ」
「そう。ありがとう。……ねえ、挿れてもいい?」
「いいよ、来て」
「じゃあ挿れるよ」

 陽光君に仰向けに寝かされて陰茎がズブズブって挿入される。
 陽光君に可愛がられた身体は準備バッチリで陽光君のものを滞りなく受け入れた。

 身体を重ねたことは今までに何度かあるけれど冷たい塊が挿入される感覚はいまだに慣れない。

 そして挿入したまま抱きしめられる。下腹部に大きい塊が入って違和感がある。肌と肌がピッタリと重なる。陽光君の冷たい身体に熱が奪われるけどその感覚が心地いい。抱きしめたまま陽光君は動こうとしない。

 快楽が欲しくて腰を動かそうとする。だけど陽光君に全身をガッチリとホールドされて動けなくされてしまう。

「もどかしいの? でもまだだめ。もう少しこうして繋がっていたい」

 彼はいっつも挿入した後は動こうとしない。彼は私とこうしてくっついている時間が好きらしいのだ。

「なんか裸で、しかも挿入したまま抱き合うのって恥ずかしいしなんか照れるよ」
「照れてるほのかも可愛いよ」
「陽光君は何をしても可愛いってしか言わないでしょ」
「本当の事だからね。ほのか生まれてきてくれてありがとう。だから君の誕生日は毎年嬉しくなるんだ」

 すごく優しい微笑みをたたえて陽光君は私の体を撫でる。生まれてきてくれてありがとうなんてはっきりと言われたのは初めてで恥ずかしくなる。

「ありがとう……」

 あまりにも好意を隠さない言葉は照れ臭くなる。そもそも私はこういった雰囲気はあまり得意じゃないのだ。恥ずかしくなって顔を逸らす。顔が熱い。おそらく今私の顔はりんごのように真っ赤になっているのだろう。

「顔赤いの? わかりやすくて可愛いね」
「わかりやすいのは私が一番自覚してる」
「拗ねないでよ。ほのかとこういった関係になれると思わなかったからとても幸せなんだ。僕はほのかをいっぱい傷つけた。それはどういう形であれ僕のもとにいて欲しかったからなんだ。嫌われても怖がられても、憎まれてもいい。どんな手段を使ってでも君を手放したくなかったし僕を一番に見ていて欲しかったんだ。そのために卑怯な事をいっぱいしたのもわかっているんだ。それなのにほのかは僕を受け入れてくれた。だから今本当に幸せなんだ」

 陽光君は静かにゆっくりと語る。陽光君とは本当に色々あった。彼が化けて出てきたときは怖くて怖くてどうしようもなかった。それどころか私は彼のせいで多くのものを失った。

 付き合っていた彼氏は彼によって廃人にさせられた。高校生の時の友達は陽光君が引き起こす怪奇現象に怯えて私に近寄らなくなった。

 未来だって陽光君と過ごすという選択肢しか与えられず他の選択肢は与えられなかった。

 それでも彼と一緒にいるうちに彼のことが愛おしいと思うようになった。しっかりしていて大人びて見えるのに内面は少し子供っぽいところ。過保護といってもいいくらいに私の事を気にかけてくれるところ。
 不思議と趣味が合って話が合うところ。
 ペンだこのある意外と男の子らしい骨張った手。私を見つめる時の優しい眼差し。

 他にもたくさんある。いつのまにか私も陽光君に惹かれていたのだ。

「ねえほのか。そろそろ動くね」

 物思いに耽っていると正常位で陽光君がゆるりとピストンを 始める。そしてスピードが少しずつ上がってくる。中が刺激されて快楽の波が迫ってくる。パンパンとピストンの音が聞こえてくる。さらに催眠で感度が上がっているせいでいつも以上に気持ちよく感じてしまう。

「あっ。気持ちいい。あんっ」

 中が悦んでヒクヒクしながら締め付けているのがわかる。
「ほのかっ、すごいよ。ぎゅうぎゅう締め付けてるね。僕も気持ちいいっ」

 陽光君も余裕がないみたいで快楽で顔を歪ませながら腰を動かす。陽光君が奥の気持ちいいところをグリグリと押しつけてくる。しかも中でまた大きくなっている。

「おおきくなったあ。イク、イク、イッちゃうう」

 身体に電流のように快楽が流れ込んでくる。オーガズムを迎えた身体がビクンと痙攣する。そして膣は思い切り中のものを締め付ける。

「すごいっ! 持って行かれそう。僕もイくっ!」

 中に冷たいものが流れ込んでくる。
 私も陽光君もハアハアと息が乱れている。

「ほのかお疲れ様。まだする?」
「もうむりぃ。いっぱいイッてきもちよすぎてこわれそう」
「わかった。じゃあ催眠を解いてあげる。」

 陽光君はパチンと指を鳴らす。すると敏感だった皮膚の感覚が元に戻る。陽光君の誘いは魅力的だけど正直眠たくて仕方がない。久々に激しいセックスをしたせいだろう。眠気が襲ってきて身体が動かない……

 あの後私はすぐに眠ってしまった。シャワーも浴びずにそのままベッドに倒れ込んだのだ。

 目が覚めると体は綺麗になっていてパジャマも着せられていた。さらに情事でぐちゃぐちゃになったはずのベッドも綺麗になっていた。陽光君が全部後処理をしてくれたのだろう。

 陽光君は私の隣で眠っている。普段苛烈でちょっと怖い陽光君も寝顔は穏やかだ。整った顔立ちだと寝顔まで美しいのだから卑怯だ。

 起き上がろうとすると身体が引き寄せられる。そして、ギュッと抱きしめられる。
 陽光君も起きたのかと思って呼びかける。だけど反応はない。おそらく寝ぼけているのだろう。

「ほのか大好きだよ」

 陽光君は聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った。起きているのかと思って身体を揺すってみたけど反応がない。ただの寝言みたいだ。

「私も大好きだよ」

 きっと陽光君には聞こえていないだろう。だから素直に出てくる言葉だった。今日は仕事も休みだしこうしているのも悪くはないだろう。彼の冷たい体温に包まれて私は微睡んだ。


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