22 / 52
奴隷商人と皇太子
20
しおりを挟む
玲於と街中を歩いていると、夕食パーティーの集合時間を聞くのを忘れたことに気付いた。この夕方にしては早い時間に家に伺いに行くのも、夕食を催促するみたいで嫌だった。でも、運良く叔母さんの親友であり里親にもなってくれた方と街中で出会うことが出来た。どうやら、足りない食材を買いに来たようだった。
「あら、ラニーが伝え忘れてたの?18時に集合よ。」
「手伝「手伝わなくて良いからね。何が出るのかサプライズで待ってて欲しいの。」…はい。」
言おうとしてたことを見事に当てられてしまった。迷惑を掛けるから、お手伝いしようと思っていたのにこれは無理そうだ。
「パムさんもすみせん。ありがとうございます。」
「あら、良いのよ。玲於君達のお陰で、私達も久しぶりに腕を振る舞えて嬉しいんだから。」
パムさんはニッコリと笑うと空いていない手の代わりに、肘で突っついてくる。
「それに、イケメンと美人ちゃんを拝めるんだから皆んな大喜びよ!」
「何それ。パムさん、まさか美人ちゃんって俺のことじゃないよね?」
「あなた以外に誰がいるのよ?」
俺は思わず苦笑を浮かべた。だが、玲於の顔には微笑が口角に浮かんでいた。これは知ってる。玲於がちょっと俺のことを揶揄おうとしている時の顔だ。
「空杜って、本当に美人過ぎますよね。」
「ええ。でも、女性よりも美人なのは嫉妬しちゃうけどね。」
「そんなことないし、俺嬉しくない。玲於みたいにイケメンって言われたいんだけど?」
「それは縁のない話ね。それじゃ、私は準備があるから行くわね。また後で。」
最後にズバッと酷いことを言って、パムさんは去っていた。
「なあ、空杜って何でラニーさんだけ叔母さんって呼ぶんだ?」
「俺もラニーさんって呼んでたんだけど、叔母さんって呼んでって言われたからかな。玲於は言われてない?」
「言われてないな。理由とか何か言われた?」
「叔母さんのが親戚みたいに聞こえるからだって。」
「空杜は、ほんといろんな人から愛されてるね。」
いろんな人…一瞬疑問がよぎったが、その言葉は胸に入り込んできた。
「うん、俺もそう思うよ。」
以前の自分だったら否定していたと思う。周りが好きだと言ってくれても、それはお世辞にしか聞こえてこなかったから。
でも、玲於と出会って自分の考えが変わった。今では、自分が周りの人達にどれだけ愛されているのか自覚を持ってるようになった。
そして、その中でも俺のことをただ1番愛してくれてる人が目の前にいる。
「俺って今は愛されキャラだからね。」
そう言って笑うと、玲於も嬉しそうに笑う。気分が良いからだろうか、久しぶりの故郷で浮かれているからだろうか。玲於の手を握ると、引っ張るように歩き出す。
「空杜?」
「早く、デートの続きしよ!」
今日が1番生きている中で楽しかった。だから、今までで1番笑えて、素直になれていると思う。
玲於は表情を緩めると握った手を繋ぎ直す。指を1本1本絡めて恋人繋ぎにした。
その途端、一気に恥ずかしくなってきたが、手を離そうとは思わなかった。むず痒いけど幸せな気持ちでいっぱいになったから。
「あと2時間でデートが終わっちゃうな。終わってほしくない?」
「終わってほしくないのはそっちだろ?」
「当たり前じゃん。あー、なんか本当に明日が来て欲しくない。」
俺もそう思う。玲於とは毎日顔を合わせているけれど、今日みたいに自由気ままに過ごせない。
でも、彼はいずれログナート帝国の皇帝となる男だ。やらないといけないことは人一倍に多い。
「こうなったら仕事を真面目にやろうかな。」
「それが普通だから。」
「いや、仕事自体はちゃんとやってるからね?ただ、ゆっくりやるのを止めて、スピードを上げようかなって。」
途端に、何やら考え始めた玲於に首を傾げる。
「…うん、いけるな。」
「何が?」
「俺が頑張れば、空杜と遊べる時間を週一で確保出来る!」
満面の笑みを浮かべている所、申し訳ないが眉間に皺が寄ってしまう。
「止めろ。それで頑張って身体を壊したらどうするんだよ?」
玲於はまさか否定されるとは思っていなかったみたいで目を瞬かせる。
「今のペースでやれ、無理すんな。遊ぶなら休む時間を確保しろ。」
「空杜は、俺と遊びたくないの?デートしたくないの?」
う"っ…そんな捨てられた子犬のような目で見ないで欲しい。
「そんなに、俺といるの嫌?」
指が離れ、繋がれていた手までもが離れそうになる。慌てて掌を握り締め温もりを引きつける。
「いたいよ!2人でもっと出掛けたい!」
「だよね!」
まるでそう言うことが分かってたように玲於は意地悪な笑みを浮かべる。
また、騙された…そう気付いて顔を赤く染め出すと身体が包まれる。もう、この顔が見られないなら良いやと投げやりになって、玲於の胸に顔を埋める。
「空杜は、もっと自分の意見を言って。特に俺に関することはさ。じゃないと、逆に寂しいな。」
「…分かったよ。」
背中を優しく撫でられて、顔を上げると玲於の向こうにいる人と目が合った。ゆっくりと顔を横に向けていくと、どの方向にいる人とも視線が合う。今は人が少ないといえるほどの時刻でもない。
心から恥ずかしい局面に晒されていると、「お幸せに!」という声が聞こえてきた。それにつられるように他の人からも祝福するような、ヤジを飛ばすような声も上がり出す。
もう、死にたいほど恥ずかしくなってまた俺は玲於の胸に顔を埋めた。それに対して玲於は、堂々と手を振ってお礼の言葉を述べている。この状況が満更でもないみたいだ。
帰ったらしばこう、そう心に決めた。
「あら、ラニーが伝え忘れてたの?18時に集合よ。」
「手伝「手伝わなくて良いからね。何が出るのかサプライズで待ってて欲しいの。」…はい。」
言おうとしてたことを見事に当てられてしまった。迷惑を掛けるから、お手伝いしようと思っていたのにこれは無理そうだ。
「パムさんもすみせん。ありがとうございます。」
「あら、良いのよ。玲於君達のお陰で、私達も久しぶりに腕を振る舞えて嬉しいんだから。」
パムさんはニッコリと笑うと空いていない手の代わりに、肘で突っついてくる。
「それに、イケメンと美人ちゃんを拝めるんだから皆んな大喜びよ!」
「何それ。パムさん、まさか美人ちゃんって俺のことじゃないよね?」
「あなた以外に誰がいるのよ?」
俺は思わず苦笑を浮かべた。だが、玲於の顔には微笑が口角に浮かんでいた。これは知ってる。玲於がちょっと俺のことを揶揄おうとしている時の顔だ。
「空杜って、本当に美人過ぎますよね。」
「ええ。でも、女性よりも美人なのは嫉妬しちゃうけどね。」
「そんなことないし、俺嬉しくない。玲於みたいにイケメンって言われたいんだけど?」
「それは縁のない話ね。それじゃ、私は準備があるから行くわね。また後で。」
最後にズバッと酷いことを言って、パムさんは去っていた。
「なあ、空杜って何でラニーさんだけ叔母さんって呼ぶんだ?」
「俺もラニーさんって呼んでたんだけど、叔母さんって呼んでって言われたからかな。玲於は言われてない?」
「言われてないな。理由とか何か言われた?」
「叔母さんのが親戚みたいに聞こえるからだって。」
「空杜は、ほんといろんな人から愛されてるね。」
いろんな人…一瞬疑問がよぎったが、その言葉は胸に入り込んできた。
「うん、俺もそう思うよ。」
以前の自分だったら否定していたと思う。周りが好きだと言ってくれても、それはお世辞にしか聞こえてこなかったから。
でも、玲於と出会って自分の考えが変わった。今では、自分が周りの人達にどれだけ愛されているのか自覚を持ってるようになった。
そして、その中でも俺のことをただ1番愛してくれてる人が目の前にいる。
「俺って今は愛されキャラだからね。」
そう言って笑うと、玲於も嬉しそうに笑う。気分が良いからだろうか、久しぶりの故郷で浮かれているからだろうか。玲於の手を握ると、引っ張るように歩き出す。
「空杜?」
「早く、デートの続きしよ!」
今日が1番生きている中で楽しかった。だから、今までで1番笑えて、素直になれていると思う。
玲於は表情を緩めると握った手を繋ぎ直す。指を1本1本絡めて恋人繋ぎにした。
その途端、一気に恥ずかしくなってきたが、手を離そうとは思わなかった。むず痒いけど幸せな気持ちでいっぱいになったから。
「あと2時間でデートが終わっちゃうな。終わってほしくない?」
「終わってほしくないのはそっちだろ?」
「当たり前じゃん。あー、なんか本当に明日が来て欲しくない。」
俺もそう思う。玲於とは毎日顔を合わせているけれど、今日みたいに自由気ままに過ごせない。
でも、彼はいずれログナート帝国の皇帝となる男だ。やらないといけないことは人一倍に多い。
「こうなったら仕事を真面目にやろうかな。」
「それが普通だから。」
「いや、仕事自体はちゃんとやってるからね?ただ、ゆっくりやるのを止めて、スピードを上げようかなって。」
途端に、何やら考え始めた玲於に首を傾げる。
「…うん、いけるな。」
「何が?」
「俺が頑張れば、空杜と遊べる時間を週一で確保出来る!」
満面の笑みを浮かべている所、申し訳ないが眉間に皺が寄ってしまう。
「止めろ。それで頑張って身体を壊したらどうするんだよ?」
玲於はまさか否定されるとは思っていなかったみたいで目を瞬かせる。
「今のペースでやれ、無理すんな。遊ぶなら休む時間を確保しろ。」
「空杜は、俺と遊びたくないの?デートしたくないの?」
う"っ…そんな捨てられた子犬のような目で見ないで欲しい。
「そんなに、俺といるの嫌?」
指が離れ、繋がれていた手までもが離れそうになる。慌てて掌を握り締め温もりを引きつける。
「いたいよ!2人でもっと出掛けたい!」
「だよね!」
まるでそう言うことが分かってたように玲於は意地悪な笑みを浮かべる。
また、騙された…そう気付いて顔を赤く染め出すと身体が包まれる。もう、この顔が見られないなら良いやと投げやりになって、玲於の胸に顔を埋める。
「空杜は、もっと自分の意見を言って。特に俺に関することはさ。じゃないと、逆に寂しいな。」
「…分かったよ。」
背中を優しく撫でられて、顔を上げると玲於の向こうにいる人と目が合った。ゆっくりと顔を横に向けていくと、どの方向にいる人とも視線が合う。今は人が少ないといえるほどの時刻でもない。
心から恥ずかしい局面に晒されていると、「お幸せに!」という声が聞こえてきた。それにつられるように他の人からも祝福するような、ヤジを飛ばすような声も上がり出す。
もう、死にたいほど恥ずかしくなってまた俺は玲於の胸に顔を埋めた。それに対して玲於は、堂々と手を振ってお礼の言葉を述べている。この状況が満更でもないみたいだ。
帰ったらしばこう、そう心に決めた。
49
あなたにおすすめの小説
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,8時,12時,18時,20時に2話ずつ更新
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる