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奴隷商人と皇太子
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「いらっしゃい!」
叔母さんの家に行くと既に皆んな揃っているようだった。顔を出すと、待ち構えたかのように子ども達が駆け寄ってくる。
「「「空杜、玲於!」」」
一気に駆け寄られても受け止められなくて、思わず倒れそうになる。でも、直人と彩花の出会いのお陰で、あらかじめ気持ちの準備は整えられてはいた。だから、倒れることなくギリギリ受け止めることが出来た。衝撃と痛みによってお腹は痛いが。
「おい!」
呼ばれた方に視線を向けると、そこには最後に見送った子がいた。
「翔?」
思わず目を疑った。だって、彼の身長が一気に伸びていたから。
「空杜も玲於も久しぶりだな!」
「久しぶり。翔も元気そうで安心したよ。」
「俺が病気なんかするわけないだろ?」
胸を張る姿がつい別れた時を思い出させる。
「確かに翔はずっと健康だったもんな。それで、いつ空杜兄って呼んでくれるわけ?」
「はあ?何で俺だけに言うんだよ!」
「翔だけ、1回も呼んだことないから。」
そう、翔だけ1回もない。他の子ども達は甘えたい時や泣いた時、そう呼びたい時に空杜兄って呼んできていた。これまで里親の元に旅立った子ども全員含めてもだ。だから、全員呼んでくれたという他の人からしたらどうでも良い地味な結果が欲しい。
「ほら、ご飯にするわよ!」
叔母さんがこちらに向かって声を掛けてくる。俺は抱き付いて来た子ども達に席に着くように促した。子ども達は少し口を尖らせながらもそれぞれの親の元に歩いて行く。それは隣にいた玲於に抱き付いていた子ども達も同じである。
叔母さんは街で1番人気の食堂を運営しているだけでなく、他の事業もしている。両方とも経営が上手く出来ているので、お金に余裕があるらしい。だから、家業を継いで無一文になった時、食事を無償に提供して助けてくれたこともあった。
テーブルに並べられた食事は初めて見るものや懐かしいものまで揃っていた。始めは席に座っていたが、次第に席を立ち好きな所に移動する形になった。相変わらず、叔母さんの料理は美味しくて自然と手が進んでお腹が苦しくなる。
夕食後は、子ども達だけではなく、親御さんとの会話を楽しんだ。雑談を交わしていると、玲於がこちらに向かって足を進めている。
「あら、空杜ちゃん彼氏が来たわよ!」
嬉しそうに笑う叔母さんの言葉に不思議に思った。
彼氏…その言葉は疑問に思う。だって、別に付き合ってと言われた訳じゃないから。両想いであることら互いに分かっているが、別に付き合って、と告白されたわけではない。だから、恋人という関係ではない。
「彼氏じゃないよ?」
玲於を見た瞬間に女性方は頬を染め出し、俺にはされない反応を示される。その反応を羨ましく思っていると、彼が申し訳なさそうな表情を向けてきた。それだけで、彼が何を言おうとしているのか察する。
「もうそろそろ、帰ろう。」
「…うん。」
少し寂しく思いながら席を立つと、叔母さんが片手を前に差し出して、抑止する。
「ちょっと、待って!2人は付き合ってないの?!」
叔母さんの言葉に反応するように玲於はこちらに視線を向けてくる。
「うん、だって付き合う話してないもん。」
「はあ?」
玲於が驚いたように声を上げる。でも、すぐさま頭を抱えて何かを考え出す。
「…そうだな、俺はてっきりそのつもりだったけど…言わないと分からなかったよな。」
周囲は一段と騒がしくなる。急に煩くなった意味が分からないが、叔母さんは何やら嬉しそうに両手を合わせて横にずれる。玲於は目の前に来ると、地面に膝をついて片手を握って来た。
「ちょっ、立ってよ!」
「空杜。」
柄にもなく真面目に名前を呼んできたので、大人しく口を閉じる。
「俺と付き合って欲しい。」
「え?」
「俺の恋人になって、傍にいて欲しい。」
「えっ、と……」
生まれて初めての告白を受けて、言葉がすぐにでてこない。綺麗な青色の瞳が真っ直ぐ自分を映し出していて、逸らせない。
「空杜が初恋なんだ。誰よりも大切にしたいし、誰よりも愛したい。俺を彼氏にしてくれませんか?」
聞いてるこっちが気恥ずかしくなることを玲於は平気で言うもんだから、自分も共感性羞恥なんかに負けてられない。
「…お、願いします。」
その途端に歓声が湧き上がる。街中で抱き合った時の比ではない。もう、今は本気で死ねるレベルの恥ずかしさだ。
「早く帰ろう!」
玲於の腕を引っ張ると冷やかすように口笛が上がる。でも、入り口には扉を塞ぐように1人の子どもが立っていた。
「翔?」
「空杜は玲於が好きなの?!」
これほどじっと見つめてくるのは初めてだ。だから、正直に答えようと思った。
「好きだよ。」
そう言うと傷付いた様子を見せる。
「…なら、今幸せ?」
「うん、幸せだよ。」
笑って翔の頭を撫でてやると、彼は寂しそうにでもすぐに笑って見せる。
「なら良いや!空杜兄、これからも幸せにな!」
空杜は目を大きく見開くと、次には歯を見せて笑い掛けた。
「当たり前だろ?翔も幸せにな!」
「当たり前だ!玲於、空杜兄を頼んだぞ!」
「ああ、任せとけ。」
玲於と翔は拳を交わすと、俺達は食堂から外に出た。
玲於と恋人になって初めて手を繋ぎながら、馬車がある所まで歩く。
今日は本当に1日濃い時間となった。久しぶりに故郷に来て、玲於とキスをして恋人にもなって、子ども達や親御さん達とご飯も食べて…それに、自分が付けた名前で呼ぶことを親御さんが許してくれた。
本当は自分の元から離れた子ども達は、里親の方が付けた名前で呼ぶようにしていた。もう、俺が育てている子どもじゃないから。
だから、ずっと日本名で呼ばないよう気を付けてきた。
でも、今日はつい浮かれていて日本名で呼んでしまった。直人や彩花、そして翔にももちろん名前が付けられた。でも、皆んな俺が付けた名前で呼ぶことを許してくれたのだ。それが、ただ嬉しかった。
玲於に手を引かれて顔を上げると、何やら見守るような視線を向けられていた。
「何?」
「ん?空杜の親代わりさん達に認められたのが嬉しくてね。あと、ライバル達の応援にも応えなくちゃっと思って。空杜は俺が嫌っていうほど幸せにするからね。」
「確かに、俺の親みたいな人達でもあるな。あと、誰かと勝負でもしてたのか?」
「してたね。小さなライバル達と。」
「ふーん、よく分からんけど勝ったみたいだな。おめでとう。」
「うん、ありがとう。」
視界にこちらを見る騎士が映る。自分と同じこの人を守る仲間。色んな人から慕われ、愛されるのは玲於の方だ。この人を守りたい、そう決意を改める日ともなった。
叔母さんの家に行くと既に皆んな揃っているようだった。顔を出すと、待ち構えたかのように子ども達が駆け寄ってくる。
「「「空杜、玲於!」」」
一気に駆け寄られても受け止められなくて、思わず倒れそうになる。でも、直人と彩花の出会いのお陰で、あらかじめ気持ちの準備は整えられてはいた。だから、倒れることなくギリギリ受け止めることが出来た。衝撃と痛みによってお腹は痛いが。
「おい!」
呼ばれた方に視線を向けると、そこには最後に見送った子がいた。
「翔?」
思わず目を疑った。だって、彼の身長が一気に伸びていたから。
「空杜も玲於も久しぶりだな!」
「久しぶり。翔も元気そうで安心したよ。」
「俺が病気なんかするわけないだろ?」
胸を張る姿がつい別れた時を思い出させる。
「確かに翔はずっと健康だったもんな。それで、いつ空杜兄って呼んでくれるわけ?」
「はあ?何で俺だけに言うんだよ!」
「翔だけ、1回も呼んだことないから。」
そう、翔だけ1回もない。他の子ども達は甘えたい時や泣いた時、そう呼びたい時に空杜兄って呼んできていた。これまで里親の元に旅立った子ども全員含めてもだ。だから、全員呼んでくれたという他の人からしたらどうでも良い地味な結果が欲しい。
「ほら、ご飯にするわよ!」
叔母さんがこちらに向かって声を掛けてくる。俺は抱き付いて来た子ども達に席に着くように促した。子ども達は少し口を尖らせながらもそれぞれの親の元に歩いて行く。それは隣にいた玲於に抱き付いていた子ども達も同じである。
叔母さんは街で1番人気の食堂を運営しているだけでなく、他の事業もしている。両方とも経営が上手く出来ているので、お金に余裕があるらしい。だから、家業を継いで無一文になった時、食事を無償に提供して助けてくれたこともあった。
テーブルに並べられた食事は初めて見るものや懐かしいものまで揃っていた。始めは席に座っていたが、次第に席を立ち好きな所に移動する形になった。相変わらず、叔母さんの料理は美味しくて自然と手が進んでお腹が苦しくなる。
夕食後は、子ども達だけではなく、親御さんとの会話を楽しんだ。雑談を交わしていると、玲於がこちらに向かって足を進めている。
「あら、空杜ちゃん彼氏が来たわよ!」
嬉しそうに笑う叔母さんの言葉に不思議に思った。
彼氏…その言葉は疑問に思う。だって、別に付き合ってと言われた訳じゃないから。両想いであることら互いに分かっているが、別に付き合って、と告白されたわけではない。だから、恋人という関係ではない。
「彼氏じゃないよ?」
玲於を見た瞬間に女性方は頬を染め出し、俺にはされない反応を示される。その反応を羨ましく思っていると、彼が申し訳なさそうな表情を向けてきた。それだけで、彼が何を言おうとしているのか察する。
「もうそろそろ、帰ろう。」
「…うん。」
少し寂しく思いながら席を立つと、叔母さんが片手を前に差し出して、抑止する。
「ちょっと、待って!2人は付き合ってないの?!」
叔母さんの言葉に反応するように玲於はこちらに視線を向けてくる。
「うん、だって付き合う話してないもん。」
「はあ?」
玲於が驚いたように声を上げる。でも、すぐさま頭を抱えて何かを考え出す。
「…そうだな、俺はてっきりそのつもりだったけど…言わないと分からなかったよな。」
周囲は一段と騒がしくなる。急に煩くなった意味が分からないが、叔母さんは何やら嬉しそうに両手を合わせて横にずれる。玲於は目の前に来ると、地面に膝をついて片手を握って来た。
「ちょっ、立ってよ!」
「空杜。」
柄にもなく真面目に名前を呼んできたので、大人しく口を閉じる。
「俺と付き合って欲しい。」
「え?」
「俺の恋人になって、傍にいて欲しい。」
「えっ、と……」
生まれて初めての告白を受けて、言葉がすぐにでてこない。綺麗な青色の瞳が真っ直ぐ自分を映し出していて、逸らせない。
「空杜が初恋なんだ。誰よりも大切にしたいし、誰よりも愛したい。俺を彼氏にしてくれませんか?」
聞いてるこっちが気恥ずかしくなることを玲於は平気で言うもんだから、自分も共感性羞恥なんかに負けてられない。
「…お、願いします。」
その途端に歓声が湧き上がる。街中で抱き合った時の比ではない。もう、今は本気で死ねるレベルの恥ずかしさだ。
「早く帰ろう!」
玲於の腕を引っ張ると冷やかすように口笛が上がる。でも、入り口には扉を塞ぐように1人の子どもが立っていた。
「翔?」
「空杜は玲於が好きなの?!」
これほどじっと見つめてくるのは初めてだ。だから、正直に答えようと思った。
「好きだよ。」
そう言うと傷付いた様子を見せる。
「…なら、今幸せ?」
「うん、幸せだよ。」
笑って翔の頭を撫でてやると、彼は寂しそうにでもすぐに笑って見せる。
「なら良いや!空杜兄、これからも幸せにな!」
空杜は目を大きく見開くと、次には歯を見せて笑い掛けた。
「当たり前だろ?翔も幸せにな!」
「当たり前だ!玲於、空杜兄を頼んだぞ!」
「ああ、任せとけ。」
玲於と翔は拳を交わすと、俺達は食堂から外に出た。
玲於と恋人になって初めて手を繋ぎながら、馬車がある所まで歩く。
今日は本当に1日濃い時間となった。久しぶりに故郷に来て、玲於とキスをして恋人にもなって、子ども達や親御さん達とご飯も食べて…それに、自分が付けた名前で呼ぶことを親御さんが許してくれた。
本当は自分の元から離れた子ども達は、里親の方が付けた名前で呼ぶようにしていた。もう、俺が育てている子どもじゃないから。
だから、ずっと日本名で呼ばないよう気を付けてきた。
でも、今日はつい浮かれていて日本名で呼んでしまった。直人や彩花、そして翔にももちろん名前が付けられた。でも、皆んな俺が付けた名前で呼ぶことを許してくれたのだ。それが、ただ嬉しかった。
玲於に手を引かれて顔を上げると、何やら見守るような視線を向けられていた。
「何?」
「ん?空杜の親代わりさん達に認められたのが嬉しくてね。あと、ライバル達の応援にも応えなくちゃっと思って。空杜は俺が嫌っていうほど幸せにするからね。」
「確かに、俺の親みたいな人達でもあるな。あと、誰かと勝負でもしてたのか?」
「してたね。小さなライバル達と。」
「ふーん、よく分からんけど勝ったみたいだな。おめでとう。」
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