奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される

葉空

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奴隷商人と皇太子

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「リアム!仕事に集中しろって!」

腰に巻きつく腕を何度も外すが、懲りずに抱きついてくる。

「なら、俺の膝に座れ。」
「そんな護衛がどこにいる?!」
「ここにいる。」
「いない!」
「なら、護衛を止めろ!」
「嫌だ!」

信じられない。何って自分勝手な皇太子様だと思った。かつての大人の余裕を持ち合わせたリアムはどこにいってしまったのかと疑うほどだ。

ログナート帝国に帰ってきて2ヶ月が経つが、ここでのやりとりは何も変わらない。これまで迷惑を掛けたことやお世話になっている礼として、護衛に戻して欲しいと5日頼み込んでようやく復帰出来たのに、リアムはなかったことにしようとする。

リアムが皇太子として正式に命令したら、辞めざるをえないが彼はそんなことはしなかった。俺にやりたいことをやらせると言ったからだろう。

「ルーカス。」

「うっ…」

どこか咎めるように言われて、視線を逸らすと顔を掴まれて視線を合わせられる。

「俺から離れて、辛い思いをさせるのか?」
「すぐ傍にいるじゃないですか…」
「そんなに俺の上に座るのが嫌なのか?」

もう、めちゃくちゃだ。

俺だって離れてるのは辛かったし、会えなくて寂しくて泣いたこともあった。でも、それを言うとまた意味の分からない言葉を並べて、誘導するのだから言わなくなった。

でも、言わなくても子どもが捨てられたような寂しい目をずっと向け続けてくるので、結局は同じ結末を迎える。

「座るかわりに話しかけないで下さいね。あと、触るのも禁止です。」

そうでなければ、彼が仕事をしてくれなくなる。俺としては嬉しいが、それを許せる立場ではないのは分かっている。

「それでいいからおいで。」

両手を広げられて、嬉しそうな笑みを浮かべられては今更、後には引けない。渋々、彼の片膝に座ってなるべく利き腕の邪魔にならないようにはけると少し不服そうな表情をしながらも職務に取り組み出した。

俺は、ようやく大人しくなったリアムにホッとした。先程とは打って変わって、真面目な表情で淡々と手を動かし始めたからだ。ここまできたら、彼も集中して仕事が終わるまで取り組んでくれる。

俺は膝の上からその姿を眺めるのが、結構好きだった。凛々しい顔はここでしか見ることが出来ないからだ。本当はもう少し離れて、リアムの姿を見てみたいがどうも上手くいかない状態が続く。

まあ、こんなに間近で見れるのは俺だけだって知っている。だから、時たま嬉しくなってニヤけてしまうのは仕方がない。
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