奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される

葉空

文字の大きさ
46 / 52
奴隷商人と皇太子

44

しおりを挟む
目を覚ますと「おはよう」と声と共に見覚えのない物が首に掛かっていることに気付いた。

銀色のチェーンに十字架のネックレス。

「何これ?」

指先で触れてまじまじと見てしまう。シンプルなのにカッコいいと思った。

「プレゼント。」
「プレゼント?」
「そう。ルーカス誕生日おめでとう。」
「何で知ってんの?」
「子ども達に聞いたから。」
「そっか。ありがとう。」

正直、何かを貰うことに慣れていないので、どう反応したら良いのか分からない。しかも、こんな高価そうな物は初めてだ。いつもお花や豪華な食事をプレゼントしてくれてたのが懐かしいと思った。

弄るようにネックレスを触っていると、柔らかい声が耳に届く。

「気に入ってくれた?」

「うん、嬉しい。これ、俺とリアムをイメージしてる?」

側面に黒色と金色の宝石が2つ嵌め込まれているので、それを指さすと頷かれる。

「俺も20歳になったのか。」
「2歳差になったな。」
「そうだね。」

リアムは早生まれであるため、今年の誕生はもう終えている。だから、暫くは3歳差ではなく2歳差の時間を過ごせるわけだ。歳が近付いただけで、何だか嬉しい気持ちになる。

「でも、今日は大変な1日になると思うぞ?」

苦笑を溢される。

「何で?」
「そりゃー、色んな人達が誕生日祝いに駆けつけてくるからだろ。」
「俺、ノアと兄ちゃん以外に誕生日教えた記憶ないよ?」

当然のごとくその2人は知っていた。幼い頃からの中であるから。

「俺やセス、あとノアで他にもバレバレなんだよ。誕生日を教えろって聞いてくる奴らばっかだったから。」
「そうなんだ。」

自分に興味を持ってくれてる人がいる。それを知れただけでも良かったと思えた日だった。

ベッドから身体を起こして、服を着替えようとすると見覚えのない物が机の上に用意されていた。手に取ってみると、赤色を主要とし、黒色で装飾されていた。

「今日はそれを着てくれ。」

肩に重みを感じると同時に胸の前にリアムの腕が映る。

「なんか、豪華だ…」

煌びやかな服に思わず顔が引き攣ってしまう。

「それでも、主役衣装としては抑えて貰った方なんだ。父さんと母さんがこれ以上は嫌だって聞かなかったんだよ。」

「皇帝陛下と皇后陛下も考えてくれたの?」
「そう。ちなみに俺もお揃いの服。」
「え?」

驚いて視線を横に向けると、彼は目を細めて視線を一箇所に向ける。そちらに顔を向けると確かに赤色を中心に使った服が見える。

リアムは基本落ち着いた色合いのものを着るため、珍しいと思った。

「それじゃ、着替えたら行こう。」
「うん。」

温もりが離れると、俺は手にしていた服装に着替えた。普通ならこんな色合いの服は売っていない。黒色も赤色も珍しく、どちらかというと嫌われている色であるからだ。

着替え終わって背後を見ると既にリアムも身に纏っており、青い瞳と視線が交わう。

「似合うね。」
「ありがとう。リアムも似合ってる。」
「ありがとう。」

リアムは照れたように金髪をかきあげる。彼が自分と同じ格好をしているのは不思議で、でも俺のものと言っているようで恥ずかしい気持ちにもなった。

「ルーカス。」

差し出された手に片手を添えると、ぎゅっと握り締められる。リアムに腕を引かれながら部屋を出るといつもの朝食会場ではなく、別の部屋に連れて行かれる。

疑問に抱きながらも大人しく扉を潜ると目を疑うような光景が目に入る。

「ルーカス!」
「ルーカスちゃん、おめでとう!」
「20歳おめでとう!」

会場には自分達と同じくお揃いの色合いを身に付けた者達があふれていた。仲の良いメンバーだけでなく、メイドや執事達までもだ。

「ルーカス!」
「ノア?!」

走り寄ってきた幼馴染が抱き締めてくる。グレイがかった白髪をかきあげてセットしており、緑色の瞳は嬉しそうに目尻を下げていた。

「誕生日おめでとう!」
「あ、りがとう。」

ノアはポンチョみたいにゆったりとした格好をしており、彼によく似合っていた。

「俺が飯を作ったからな!」
「本当に?!」
「おう!」

それを聞いて嬉しかった。誕生日はいつもノアと叔母さん、あと子ども達が手伝って毎年のように作ってくれていたから。

「おめでとうございます。」
「おめでと!」

傍にウィル、カールが近寄って来てお祝いの言葉を伝えてくれる。

「ありがとう!」

つい泣きそうになった。自分が生まれたことをこれほどお祝いしてくれる人がいることを知って、幸せ過ぎて泣きたくなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,8時,12時,18時,20時に2話ずつ更新

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...