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次の日は学校があるため、夜には家に帰った。正直、ブラッドといるのも恥ずかしくて早く帰りたかったが、帰ろうとした時にブラッドの父親であるエフラント殿とばったり会った。それによって、再び話に花が咲いて結局、長居することになったのだ。
家に帰ると両親からイニスがいたことを伝えられた。どうやら、先程まで自分が帰ってくるのを待っていたそうだが夜分遅いため帰らせたそうだ。アルフは明日謝ろうと思い、その日は眠りについた。
だから、目が覚めたら驚いた。だって、イニスが部屋の中にいたから。
イニスはアルフが起きたことに気付くと少し足音を立てながら近付いてきた。そして、驚いている自分の手首を掴むとベッドに押さえ付けてきたのだ。
「イニス…」
「アイツと何してたの?」
握り締められたところが痛くて顔を歪めるが、イニスは更に力を込めてくる。
「痛いっ」
「なら、早く答えてよ。なんで、嘘ついた?なんで泊まることを黙ってたの。」
淡々と述べているが彼の表情からは怒りの感情が窺える。正直、イニスがなぜこれほど怒っているのか理解が出来なかった。でも、怒りたいのはこっちだった。
「なんで、そんなことを言う必要があるんだ。」
「はあ?」
「俺とイニスはそんなことを教えるほど仲が良くないだろ。」
睨み返すとイニスは歯を噛み締めた。この癖はよく知ってる。これはイニスの思い通りに行かない時によくしていた仕草だ。
「俺はアルフが大切だよ。あの頃からずっと大好きなんだ。」
「…そんなの信じられるか。俺を避けていた癖に。」
「それは…」
再び口を閉じたイニスにアルフは溜息を吐いた。早く退いて欲しいが彼の力が一向に弱まる気配はない。
「…ごめん。俺はアルフに嫉妬して欲しかったんだ。いつも俺ばかりアルフのことが好きなようで悔しかったんだ。」
目を伏せていうものだから、徐々に自分が悪いように思えて罪悪感が湧いてくる。だが、もうかつてのように許そうという思いは芽生えてこなかった。
「そうなんだ。…昨日はブラッドと遊んでいただけだよ。答えたから早く手を離して。」
真っ直ぐイニスの瞳を見ると、その視線から逃れようと肩に顔を埋めてきた。
「嫌だ…なんで?…アルフも俺を見捨てるの?」
「見捨てる?」
意味が分からなかった。そっちが先に離れていったのに、なんでこっちが悪いみたいに話すのか。
「俺、…バーリィ家の子どもじゃないんだ。」
「は?」
イニスの口から突然、そんなことを言われて思考が止まる。15年間、聞いたことがない。
バーリィ家は我がクラークソン家の次に爵位が高い地位を持つ。そんな貴族が実子じゃないとなれば、貴族社会にすぐさま広まるはずだ。だが、そんな噂は一度も耳にしたことがない。
「両親の間には子どもが恵まれなかったんだって…。でも、当主の子どもが爵位を継ぐ決まりがあって、叶わなければ国外に追放され野垂れ死ぬ運命が課せられる。」
肩から温もりが離れる同時に腕の拘束も解かれる。でも、アルフは身体を動かそうとしなかった。いや、どうしたら良いのか分からなくて動けなかったのだ。
「俺は…赤子の時に闇市場で売られてたんだって。それを今の両親が見つけて買ったらしい。母さんは妊娠を偽ってて、もうすぐ産まれるって周りに言ってたから、生まれて間もない俺が丁度良かったんだって。それからは、金に見合うように色々と叩き込まれたよ。特に家のためになりそうな知識をね。」
どこか他人事のように話すイニスの瞳は何も映していないように見えた。自分を真っ直ぐ見ているはずなのに、どこか遠くを見ている感じな。アルフはこの様子に見覚えがあった。前世で何もかも嫌になってすべてを諦めたくなった自分と同じだったから。
アルフはイニスの頬に手を差し伸ばそうとしたがイニスは避けるように顔を後ろに引いてしまった。
家に帰ると両親からイニスがいたことを伝えられた。どうやら、先程まで自分が帰ってくるのを待っていたそうだが夜分遅いため帰らせたそうだ。アルフは明日謝ろうと思い、その日は眠りについた。
だから、目が覚めたら驚いた。だって、イニスが部屋の中にいたから。
イニスはアルフが起きたことに気付くと少し足音を立てながら近付いてきた。そして、驚いている自分の手首を掴むとベッドに押さえ付けてきたのだ。
「イニス…」
「アイツと何してたの?」
握り締められたところが痛くて顔を歪めるが、イニスは更に力を込めてくる。
「痛いっ」
「なら、早く答えてよ。なんで、嘘ついた?なんで泊まることを黙ってたの。」
淡々と述べているが彼の表情からは怒りの感情が窺える。正直、イニスがなぜこれほど怒っているのか理解が出来なかった。でも、怒りたいのはこっちだった。
「なんで、そんなことを言う必要があるんだ。」
「はあ?」
「俺とイニスはそんなことを教えるほど仲が良くないだろ。」
睨み返すとイニスは歯を噛み締めた。この癖はよく知ってる。これはイニスの思い通りに行かない時によくしていた仕草だ。
「俺はアルフが大切だよ。あの頃からずっと大好きなんだ。」
「…そんなの信じられるか。俺を避けていた癖に。」
「それは…」
再び口を閉じたイニスにアルフは溜息を吐いた。早く退いて欲しいが彼の力が一向に弱まる気配はない。
「…ごめん。俺はアルフに嫉妬して欲しかったんだ。いつも俺ばかりアルフのことが好きなようで悔しかったんだ。」
目を伏せていうものだから、徐々に自分が悪いように思えて罪悪感が湧いてくる。だが、もうかつてのように許そうという思いは芽生えてこなかった。
「そうなんだ。…昨日はブラッドと遊んでいただけだよ。答えたから早く手を離して。」
真っ直ぐイニスの瞳を見ると、その視線から逃れようと肩に顔を埋めてきた。
「嫌だ…なんで?…アルフも俺を見捨てるの?」
「見捨てる?」
意味が分からなかった。そっちが先に離れていったのに、なんでこっちが悪いみたいに話すのか。
「俺、…バーリィ家の子どもじゃないんだ。」
「は?」
イニスの口から突然、そんなことを言われて思考が止まる。15年間、聞いたことがない。
バーリィ家は我がクラークソン家の次に爵位が高い地位を持つ。そんな貴族が実子じゃないとなれば、貴族社会にすぐさま広まるはずだ。だが、そんな噂は一度も耳にしたことがない。
「両親の間には子どもが恵まれなかったんだって…。でも、当主の子どもが爵位を継ぐ決まりがあって、叶わなければ国外に追放され野垂れ死ぬ運命が課せられる。」
肩から温もりが離れる同時に腕の拘束も解かれる。でも、アルフは身体を動かそうとしなかった。いや、どうしたら良いのか分からなくて動けなかったのだ。
「俺は…赤子の時に闇市場で売られてたんだって。それを今の両親が見つけて買ったらしい。母さんは妊娠を偽ってて、もうすぐ産まれるって周りに言ってたから、生まれて間もない俺が丁度良かったんだって。それからは、金に見合うように色々と叩き込まれたよ。特に家のためになりそうな知識をね。」
どこか他人事のように話すイニスの瞳は何も映していないように見えた。自分を真っ直ぐ見ているはずなのに、どこか遠くを見ている感じな。アルフはこの様子に見覚えがあった。前世で何もかも嫌になってすべてを諦めたくなった自分と同じだったから。
アルフはイニスの頬に手を差し伸ばそうとしたがイニスは避けるように顔を後ろに引いてしまった。
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