俺は、嫌われるために悪役になります

葉空

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馬車に乗った瞬間、ブラッドが痛いくらいに抱き締めてきた。

「痛いっ!」

声を荒げると少しばかり力は弱まるが身体が離れることはなかった。そして、やっと顔が見えるようになると嬉しそうな笑みを浮かべているのが目に入った。

「へへっ、アルの好きな人かー。」

「ブラッドとは言ってないぞ。」

「うん、でもすぐに俺の方に視線を向けてくれたじゃない?嬉しい。」

そう言うとチュッ唇にキスをしてきた。アルフは恥ずかしくて勢いのままに彼の胸を押すと、今度こそ身体は引き離された。

「こんな所でやめろ!」

「なら、後でする。」

「はあ?」

「今日、アルの家で泊まることになってるんだ。」

アルフは口をパクパクと開閉した。また、いつの間にか勝手に話が進んでいる。

両親は力が強い者、特に身分が低い者が努力して力を手にした者が大好きだ。だから、ブラッドの無礼な行動なども見逃していることが多い。しかも、自分が知らない間に約束を取り付けていることも多い。

「あと、俺アルフとシたい。」

「シたい?」

「うん、アルフとセックスしたい。」

開いた口が塞がらなかった。突然そんなことを言われたこともあるが、それは男女の間で行うべき行為だから。

「俺ら、男同士だぞ?」

「うん。」

「うんって出来ないから。」

「出来るよ。アルフのここに俺のを挿れたら良いんだよ。」

後孔を指さされてアルフの顔はみるみるうちに赤く染め上がっていく。ブラッドはその様子に満足そうに微笑むと再び唇を交わしてきた。

「本当に可愛い。」

アルフの顔が更に赤く染まったのはいうまでもない。

「……何か、性格変わってないか…」

「そう?」

「ああ、なんか甘ったるい。」

「そう思うならアル限定だな。」

優しく頭を撫でられて気恥ずかしいが、嫌ではなかった。むしろ、もっと触って欲しいくらいに気持ちが良かった。

「…俺以外に止めろよ。」

「ん?」

「だからっ…その、相手の頭を撫でたり、…キスとか……」

「当たり前じゃん!でも、俺よりもアルのが心配だ。」

ブラッドはアルフの表情から分かってないなと苦笑いを浮かべる。

「アルは人の好意を気付かないから、いつの間にかされてそうで嫌だ。今日だって、やっとクラスメイト達から好かれてたこと気付いただろ?」

「…否定は出来ない。」

「だろうね。まあ、下心がある奴が近付いたら、俺たちがなんとしてでも阻止するけど。」

「俺たち?」

「そう。俺以外にも守りたいって思ってる人は大勢いるから。」

よく分からないがへぇーとは言葉にして置いた。ブラッドの様子から分かっていないことはバレバレだったようだが。
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