4 / 93
4、出会い
しおりを挟む
クリスティーナはとりあえず、商業区のほうへと足を向ける。
この王都は王宮を中心に円になるように貴族の屋敷が取り囲み、次に商業区、その周りを平民の家が並んでいる。
クリスティーナの家は低位貴族に属するため、貴族の屋敷のなかでも端の方、商業区よりに建っていた。クリスティーナが商業区を選んだ理由は近い位置にあったこともあげられるが、貴族の屋敷の方面に行っても、延々と広い柵や壁を見つめるだけでつまらないと思ったからだった。
(それに商業区のほうには確か公園があったはずだわ)
運が良ければ、遊び友達が見つかるかもしれない。期待に胸を弾ませ、足取り軽くクリスティーナは歩いた。
歩いて暫くすると、目的の場所にたどり着いた。すぐに見つけられたのは、公園というにはあまりに大きく、広大な土地が使われていたおかげだった。
低い生け垣に取り囲まれ、中から子供のはしゃぐ声が聞こえる。
クリスティーナは公園に足を踏み入れ、声がしたほうに顔を向けた。十人ばかりの同じ年頃の子たちが駆け回っている。
足を進めれば、服装から平民の子たちだと窺えた。一人の子を中心に、周りの子供たちがその子に捕まらないように逃げ回っている。その表情が満面の笑みで、クリスティーナは近いところで足を止め、眺めた。
(楽しそう。どうしたら、仲間にいれてくれるかな。声の掛け方がわからないわ)
逡巡していると、後ろから声がかかった。
「一緒に遊びたいのか? でも無理だぞ。俺もさっき仲間にいれてほしくて声をかけたんだが、『御貴族様は駄目』だってさ」
驚いて振り返ると、ちょうど同じ背丈の男の子が後ろに立っていた。
太陽の光を浴びて、少年の髪が赤く光り輝いて見えた。瞳も同じように、赤みがかっていて、吸い込まれそうな不思議な魅力を放っている。クリスティーナの頭にこの国の神話に登場する、炎の色の髪をした軍神がよぎった。
少年は腕を頭の後ろに組んで、クリスティーナの頭の先からつま先まで眺めた。
「見たところ、お前も貴族だろ。あいつらに声をかけても、断られるだけだぞ」
クリスティーナははっとして、今度は少年の姿を反対に眺め回した。
シャツ一枚だが、艶やかな光沢から明らかに上質な絹織物だとわかる。ズボンも新品同様に縒れておらず、よく見れば細部に手がかかっている。靴もぴかぴかで、同じように装飾に凝っていた。同じ貴族でも自分とは明らかに違う。クリスティーナは自分が着ている色褪せた服と比べて、少年の隣に並ぶには、恥ずかしいと感じた。
おそらく高位の貴族令息――。それにしても少年の格好は明らかに軽装だった。この位の身分なら普通はベストかジャケットを羽織っているものだ。刺繍や飾りのついたベルトもしていなければ、当然クラヴァットもしていない。そこまでいけば、明らかにこの少年はわざと身につけてこなかったことが窺えた。おまけに少年はシャツを着崩し、襟元の釦を開けていた。
クリスティーナもクラヴァットをしていなかったが、それもこの格好が今日一日限りのことと思ったからだった。それでも首元の釦はきっちり上まで留めている。
だんまりを続けるクリスティーナに、少年は少しだけ眉を寄せた。クリスティーナは慌てて、少年の観察を止めた。
遊んでいる子供たちをちらりと見て言う。
「貴族は駄目ってどうして?」
「あのくらいの年齢なら、もう親に言われてるんだろうな。貴族と関わるなとかさ」
クリスティーナは意味がわからず、首を傾げた。少年がそんなクリスティーナを見て、続けて口を開く。
「もし万一、怪我でもしたら責められるのは、あいつらだろ。面倒事がおこったとき、責任をとらされるのは、いつも庶民だから」
「そんな――」
クリスティーナはしょんぼりと肩をおろした。
それではせっかく家を抜け出してきても、遊ぶ彼らを指を咥えて見ているしかできないのか。残念な気持ちとは裏腹に、子供達の歓声がいくつも耳に届く。羨ましげに見ていると、横から声がかかった。
「なあ、お前も遊びに来たんだろ。それなら俺と遊ばないか?」
少年の言葉に耳を疑い、けれど次の瞬間クリスティーナは勢いよく振り返った。
「いいの!?」
満面の笑みを浮かべて問えば、相手はクリスティーナの勢いにびっくりしたように頷いた。
「……ああ。もちろん」
「嬉しい!」
人生初めての誘いに、クリスティーナは飛び上がりたくなった。初対面の相手にお前呼ばわりされることも、最早ささやかなことに思える。
「そういえば名前、まだ訊いてなかったな。俺はアレクシスだ」
「わたしはクリスティー……。ぼっ、僕の名前はクリス! クリスだよっ」
危うく本名を言いそうになって、クリスティーナは慌てて訂正した。
(いけない。今は男の子の格好してるんだった)
焦ったせいで家名を言い忘れてしまったことに気づく。
(でもアレクシスも名乗っていなかったし、いいのかな)
アレクシスも特に気にしてない様子で、クリスティーナに笑顔を向ける。
「クリスか、よろしくな」
クリスティーナも笑顔で答えた。
「うん」
「ここはあいつらの遊び場みたいだし、あっちに行ってみないか」
アレクシスが指した方向に木々が密集しているのが見えた。クリスティーナは初めての場所で、何があるのかよく知らなかったため、相手に従うことにした。
「うん、行ってみよう」
「よし。あそこまで競争だ」
アレクシスはいたずらっぽく笑うと、言うや否や、走り出した。
「待って!」
クリスティーナも慌ててあとを追う。
「はは」
アレクシスは出し抜いたことが可笑しいのか、声をあげて笑いだす。
クリスティーナは必死に追いすがりながらも、アレクシスの楽しげな様子に引きづられ、気づけば自分も笑っていた。全力疾走で息が苦しいのに、逆に気分は気持ちよくさえ感じる。
(こんなに走るのはいつぶりだろう)
自由に力一杯走れることが、とても嬉しい。
アレクシスの背を追いかけ、木立を抜ける。
先に行って立ち止まったアレクシスの背が目に入り、クリスティーナはやっと追いつけたことにほっとした。横に並んで、はずんだ息を整える。顔をあげるとクリスティーナは眼前の光景に目を奪われた。きらきらと輝く川面が目に飛びこんできたのだ。
「川があるよ! すごい!」
クリスティーナが歓声をあげると、アレクシスが口を開いた。
「王都を流れるリューズ川だ。この公園を造るとき、せっかくだからと土地を広げて川を取り込んだんだ。――皆が川を楽しめるように」
「へえ、そうなんだ。知らなかった」
アレクシスの後半の声の調子が、一段低く聴こえたせいで、クリスティーナはこの公園をまるでアレクシスが造ったかのように感じてしまった。
「せっかくだから近くまで行ってみようよ」
「ああ」
クリスティーナはアレクシスを誘い、川に近付いた。川の流れは絶え間なく流れ、川底が歪んで見える。流れはそれほど速くはないようだが、クリスティーナはこんな近くになるほど川を見た経験がなかったため、しゃがんで恐る恐る手を伸ばした。川面に指先が触れる。
「冷たい!!」
クリスティーナは思わず、手を引っ込めた。クリスティーナが驚きに目を見開いていると、アレクシスも同様に目を丸くしてクリスティーナを見ていた。
「お前、反応がいちいち大袈裟だよな」
気に障ったのだろうか。クリスティーナは水に濡れた手をぎゅっと握りしめた。
「おかしかった?」
不安そうに呟くと、アレクシスの口調はクリスティーナとは反対に明るいものだった。
「何考えてるか、わかんないやつよりよっぽど良い。――お前はそのままでいい、――と思う」
後半、迷うように言ってしまったのは少し自信がなかったからだ。アレクシスの教育係は、感情を隠せるようになりなさいと口煩く言う。まだクリスティーナと同じ10歳のアレクシスには、大人の言うことを完全に否定できるほど、クリスティーナに対して責任が持てないことに途中で思い至ったのだ。
軽はずみな自分の言葉に悩んでいると、クリスティーナがぱっと顔を輝かせた。
「うん! ありがとう!」
アレクシスは今度も面食らった。
(変なやつ)
でも一緒にいて、嫌な気分はしない。こんな素直に感情を表に現す人間はこれまで自分の周りにはいなかった。
声をかけたのは、ただの気まぐれからだったが、もう少しこの少年と一緒にいるのも悪くないことのように思えた。
この王都は王宮を中心に円になるように貴族の屋敷が取り囲み、次に商業区、その周りを平民の家が並んでいる。
クリスティーナの家は低位貴族に属するため、貴族の屋敷のなかでも端の方、商業区よりに建っていた。クリスティーナが商業区を選んだ理由は近い位置にあったこともあげられるが、貴族の屋敷の方面に行っても、延々と広い柵や壁を見つめるだけでつまらないと思ったからだった。
(それに商業区のほうには確か公園があったはずだわ)
運が良ければ、遊び友達が見つかるかもしれない。期待に胸を弾ませ、足取り軽くクリスティーナは歩いた。
歩いて暫くすると、目的の場所にたどり着いた。すぐに見つけられたのは、公園というにはあまりに大きく、広大な土地が使われていたおかげだった。
低い生け垣に取り囲まれ、中から子供のはしゃぐ声が聞こえる。
クリスティーナは公園に足を踏み入れ、声がしたほうに顔を向けた。十人ばかりの同じ年頃の子たちが駆け回っている。
足を進めれば、服装から平民の子たちだと窺えた。一人の子を中心に、周りの子供たちがその子に捕まらないように逃げ回っている。その表情が満面の笑みで、クリスティーナは近いところで足を止め、眺めた。
(楽しそう。どうしたら、仲間にいれてくれるかな。声の掛け方がわからないわ)
逡巡していると、後ろから声がかかった。
「一緒に遊びたいのか? でも無理だぞ。俺もさっき仲間にいれてほしくて声をかけたんだが、『御貴族様は駄目』だってさ」
驚いて振り返ると、ちょうど同じ背丈の男の子が後ろに立っていた。
太陽の光を浴びて、少年の髪が赤く光り輝いて見えた。瞳も同じように、赤みがかっていて、吸い込まれそうな不思議な魅力を放っている。クリスティーナの頭にこの国の神話に登場する、炎の色の髪をした軍神がよぎった。
少年は腕を頭の後ろに組んで、クリスティーナの頭の先からつま先まで眺めた。
「見たところ、お前も貴族だろ。あいつらに声をかけても、断られるだけだぞ」
クリスティーナははっとして、今度は少年の姿を反対に眺め回した。
シャツ一枚だが、艶やかな光沢から明らかに上質な絹織物だとわかる。ズボンも新品同様に縒れておらず、よく見れば細部に手がかかっている。靴もぴかぴかで、同じように装飾に凝っていた。同じ貴族でも自分とは明らかに違う。クリスティーナは自分が着ている色褪せた服と比べて、少年の隣に並ぶには、恥ずかしいと感じた。
おそらく高位の貴族令息――。それにしても少年の格好は明らかに軽装だった。この位の身分なら普通はベストかジャケットを羽織っているものだ。刺繍や飾りのついたベルトもしていなければ、当然クラヴァットもしていない。そこまでいけば、明らかにこの少年はわざと身につけてこなかったことが窺えた。おまけに少年はシャツを着崩し、襟元の釦を開けていた。
クリスティーナもクラヴァットをしていなかったが、それもこの格好が今日一日限りのことと思ったからだった。それでも首元の釦はきっちり上まで留めている。
だんまりを続けるクリスティーナに、少年は少しだけ眉を寄せた。クリスティーナは慌てて、少年の観察を止めた。
遊んでいる子供たちをちらりと見て言う。
「貴族は駄目ってどうして?」
「あのくらいの年齢なら、もう親に言われてるんだろうな。貴族と関わるなとかさ」
クリスティーナは意味がわからず、首を傾げた。少年がそんなクリスティーナを見て、続けて口を開く。
「もし万一、怪我でもしたら責められるのは、あいつらだろ。面倒事がおこったとき、責任をとらされるのは、いつも庶民だから」
「そんな――」
クリスティーナはしょんぼりと肩をおろした。
それではせっかく家を抜け出してきても、遊ぶ彼らを指を咥えて見ているしかできないのか。残念な気持ちとは裏腹に、子供達の歓声がいくつも耳に届く。羨ましげに見ていると、横から声がかかった。
「なあ、お前も遊びに来たんだろ。それなら俺と遊ばないか?」
少年の言葉に耳を疑い、けれど次の瞬間クリスティーナは勢いよく振り返った。
「いいの!?」
満面の笑みを浮かべて問えば、相手はクリスティーナの勢いにびっくりしたように頷いた。
「……ああ。もちろん」
「嬉しい!」
人生初めての誘いに、クリスティーナは飛び上がりたくなった。初対面の相手にお前呼ばわりされることも、最早ささやかなことに思える。
「そういえば名前、まだ訊いてなかったな。俺はアレクシスだ」
「わたしはクリスティー……。ぼっ、僕の名前はクリス! クリスだよっ」
危うく本名を言いそうになって、クリスティーナは慌てて訂正した。
(いけない。今は男の子の格好してるんだった)
焦ったせいで家名を言い忘れてしまったことに気づく。
(でもアレクシスも名乗っていなかったし、いいのかな)
アレクシスも特に気にしてない様子で、クリスティーナに笑顔を向ける。
「クリスか、よろしくな」
クリスティーナも笑顔で答えた。
「うん」
「ここはあいつらの遊び場みたいだし、あっちに行ってみないか」
アレクシスが指した方向に木々が密集しているのが見えた。クリスティーナは初めての場所で、何があるのかよく知らなかったため、相手に従うことにした。
「うん、行ってみよう」
「よし。あそこまで競争だ」
アレクシスはいたずらっぽく笑うと、言うや否や、走り出した。
「待って!」
クリスティーナも慌ててあとを追う。
「はは」
アレクシスは出し抜いたことが可笑しいのか、声をあげて笑いだす。
クリスティーナは必死に追いすがりながらも、アレクシスの楽しげな様子に引きづられ、気づけば自分も笑っていた。全力疾走で息が苦しいのに、逆に気分は気持ちよくさえ感じる。
(こんなに走るのはいつぶりだろう)
自由に力一杯走れることが、とても嬉しい。
アレクシスの背を追いかけ、木立を抜ける。
先に行って立ち止まったアレクシスの背が目に入り、クリスティーナはやっと追いつけたことにほっとした。横に並んで、はずんだ息を整える。顔をあげるとクリスティーナは眼前の光景に目を奪われた。きらきらと輝く川面が目に飛びこんできたのだ。
「川があるよ! すごい!」
クリスティーナが歓声をあげると、アレクシスが口を開いた。
「王都を流れるリューズ川だ。この公園を造るとき、せっかくだからと土地を広げて川を取り込んだんだ。――皆が川を楽しめるように」
「へえ、そうなんだ。知らなかった」
アレクシスの後半の声の調子が、一段低く聴こえたせいで、クリスティーナはこの公園をまるでアレクシスが造ったかのように感じてしまった。
「せっかくだから近くまで行ってみようよ」
「ああ」
クリスティーナはアレクシスを誘い、川に近付いた。川の流れは絶え間なく流れ、川底が歪んで見える。流れはそれほど速くはないようだが、クリスティーナはこんな近くになるほど川を見た経験がなかったため、しゃがんで恐る恐る手を伸ばした。川面に指先が触れる。
「冷たい!!」
クリスティーナは思わず、手を引っ込めた。クリスティーナが驚きに目を見開いていると、アレクシスも同様に目を丸くしてクリスティーナを見ていた。
「お前、反応がいちいち大袈裟だよな」
気に障ったのだろうか。クリスティーナは水に濡れた手をぎゅっと握りしめた。
「おかしかった?」
不安そうに呟くと、アレクシスの口調はクリスティーナとは反対に明るいものだった。
「何考えてるか、わかんないやつよりよっぽど良い。――お前はそのままでいい、――と思う」
後半、迷うように言ってしまったのは少し自信がなかったからだ。アレクシスの教育係は、感情を隠せるようになりなさいと口煩く言う。まだクリスティーナと同じ10歳のアレクシスには、大人の言うことを完全に否定できるほど、クリスティーナに対して責任が持てないことに途中で思い至ったのだ。
軽はずみな自分の言葉に悩んでいると、クリスティーナがぱっと顔を輝かせた。
「うん! ありがとう!」
アレクシスは今度も面食らった。
(変なやつ)
でも一緒にいて、嫌な気分はしない。こんな素直に感情を表に現す人間はこれまで自分の周りにはいなかった。
声をかけたのは、ただの気まぐれからだったが、もう少しこの少年と一緒にいるのも悪くないことのように思えた。
10
あなたにおすすめの小説
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる