婚約者の隣にいるのは初恋の人でした

四つ葉菫

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 その数日後、私の不安が形となって現れた。
 校舎の角を曲がったときだった。どんっと勢いよく何かがぶつかってきた。
 私はとっさに受け止める。

「レヒーナ様……ッ!?」

 そこにいたのはジャスミンだった。
 喜びを感じるより先に、痛々しい彼女の目元に視線が引き寄せられる。
 さっと視線を動かせば、彼女の来た方向に生徒たちが群がっているのが見えた。どうやらまた例によって、イグナシオが彼女を詰ったのだろう。
 不安げに揺れる大きな瞳が微かに潤んでいる。 
 胸に鋭い刃が刺さったように、痛みが走った。
 
「ごめん……」

 どうしようもなく情けない。
 彼女の目元に手を伸ばす。
 好きな女性が傷ついているのに、見ていることしかできないなんて。 
 腫れが少しでも治まってほしくて、何度も何度も優しく撫でる。

「ごめん、あと少しだから……」

 もう少しだけ待っていて。
 そしたらもう二度と泣かせない。
 本当はここに永遠にとどまりたかったけど、私にはやらなくてはならないことがある。
 名残惜しかったけど、無理やり足を引き剥がした。
 拳をぎゅっと握った。
 これ以上、一日だって、彼女に辛い思いをさせてなるものか。
 


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