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チャプター12(終章)
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バーキンはブレード・ディフェンドの旧本社跡地に来ていた。
彼にとっての、もうひとつの故郷に。荒涼として、人の気配が無くなったとしても、それは変わらない。
何をするでもなく、ただ青天とおそろいの色をした海を眺める。
すると、端末にメッセージが来た。アリシアからの写真だ。
きれいでオシャレな部屋を背景に、ルカとアリシアが一緒に写っている。二人とも嬉しそうな笑顔だった。
続けて、文字のメッセージが来る。
――引っ越し完了! いい部屋でしょ?
バーキンは思わず微笑み、胸のあたりにぬくもりを感じた。
お疲れさま、と心の中で二人を労い。
――お幸せに。こんど赤飯とか持ってくよ。
と返信して、端末を懐に戻す。
彼は海を見たまま言った。
「――生きてたんだな」
「そう簡単には死なんよ。……いや、さすがにあの時は危なかったか」
バーキンは振り向く。
そこに立っていたのは、ブランドンだった。
彼は笑い、それから言う。
「まあ、結果オーライだ」
「ヒュシャンはどうした?」
「私の補佐をしてくれてる」
「……結局、父上どのの後を継いだっていうことだ」
「目的は果たしたからな。それも私が想定していたよりもずっと愉快な結果だ」
「愉快か……」
バーキンは、かすかに苦笑いを浮かべる。
「今も神殿へ配送をしてるんだろう?」ブランドンが訊ねた。
「ああ。運ぶのは栄養剤満載のタンクだけどね」
「知ってるさ。たまに執務室から見ているよ。……台車ひとつとっても仰々しかったというのに、今はどこぞの倉庫からもらってきたカゴ車に乗っけてるとは……」
ブランドンは嗤う。
「邪教の神も落ちぶれたな」と、バーキン。
「生ける屍の状態だよ。神性を失ったのさ。教団の、宗教団体としての力も……今後弱まる見通しだ」
「おれとしては、街がいつも通りでルカさんやアリシアに危害が加わらないならそれでいい」
「安心しろ。もうテヤンの日もヴェラボの姪も無い」
「ならよかったよ」
バーキンは一歩前に出て、そのままブランドンとすれ違い、去ろうとする。
「殺し合いしたのにこう言うのは変だけどさ、達者でな」
「まだ、私のもとへ帰る気は無いか?」
バーキンは足を止めた。
すこしの間だけ目を閉じ、短く息を吐いてから答える。
「無い。おれは、昔のあんたが――人としての正派であろうとするあんたを、敬ってた」
「そうか……」
「もう行くよ」
再び歩みだそうとする。
が、ブランドンは、
「だがその前に」
バーキンの身を引き寄せた。
彼が驚いている間に、ブランドンはバーキンの唇を奪う。
頭の中が真っ白になり、バーキンは動けなくなった。
目を閉じ、ブランドンに己を委ねた。
唇が離れる。
「ずっと、これを望んでたんだろう?」
ブランドンはささやいた。
「私からの、せめてもの贈り物だ」
彼はバーキンの肩をぽんと叩き、立ち去る。
バーキンはブランドンの背中を見つめながら、半ば放心状態で唇に触れる。
「……ありがたく受け取っておくよ」
バーキンは、またすこしだけ笑った。
「より近い場所で、あんたがどんな末路を辿るか――見ててやる」
了
バーキンはブレード・ディフェンドの旧本社跡地に来ていた。
彼にとっての、もうひとつの故郷に。荒涼として、人の気配が無くなったとしても、それは変わらない。
何をするでもなく、ただ青天とおそろいの色をした海を眺める。
すると、端末にメッセージが来た。アリシアからの写真だ。
きれいでオシャレな部屋を背景に、ルカとアリシアが一緒に写っている。二人とも嬉しそうな笑顔だった。
続けて、文字のメッセージが来る。
――引っ越し完了! いい部屋でしょ?
バーキンは思わず微笑み、胸のあたりにぬくもりを感じた。
お疲れさま、と心の中で二人を労い。
――お幸せに。こんど赤飯とか持ってくよ。
と返信して、端末を懐に戻す。
彼は海を見たまま言った。
「――生きてたんだな」
「そう簡単には死なんよ。……いや、さすがにあの時は危なかったか」
バーキンは振り向く。
そこに立っていたのは、ブランドンだった。
彼は笑い、それから言う。
「まあ、結果オーライだ」
「ヒュシャンはどうした?」
「私の補佐をしてくれてる」
「……結局、父上どのの後を継いだっていうことだ」
「目的は果たしたからな。それも私が想定していたよりもずっと愉快な結果だ」
「愉快か……」
バーキンは、かすかに苦笑いを浮かべる。
「今も神殿へ配送をしてるんだろう?」ブランドンが訊ねた。
「ああ。運ぶのは栄養剤満載のタンクだけどね」
「知ってるさ。たまに執務室から見ているよ。……台車ひとつとっても仰々しかったというのに、今はどこぞの倉庫からもらってきたカゴ車に乗っけてるとは……」
ブランドンは嗤う。
「邪教の神も落ちぶれたな」と、バーキン。
「生ける屍の状態だよ。神性を失ったのさ。教団の、宗教団体としての力も……今後弱まる見通しだ」
「おれとしては、街がいつも通りでルカさんやアリシアに危害が加わらないならそれでいい」
「安心しろ。もうテヤンの日もヴェラボの姪も無い」
「ならよかったよ」
バーキンは一歩前に出て、そのままブランドンとすれ違い、去ろうとする。
「殺し合いしたのにこう言うのは変だけどさ、達者でな」
「まだ、私のもとへ帰る気は無いか?」
バーキンは足を止めた。
すこしの間だけ目を閉じ、短く息を吐いてから答える。
「無い。おれは、昔のあんたが――人としての正派であろうとするあんたを、敬ってた」
「そうか……」
「もう行くよ」
再び歩みだそうとする。
が、ブランドンは、
「だがその前に」
バーキンの身を引き寄せた。
彼が驚いている間に、ブランドンはバーキンの唇を奪う。
頭の中が真っ白になり、バーキンは動けなくなった。
目を閉じ、ブランドンに己を委ねた。
唇が離れる。
「ずっと、これを望んでたんだろう?」
ブランドンはささやいた。
「私からの、せめてもの贈り物だ」
彼はバーキンの肩をぽんと叩き、立ち去る。
バーキンはブランドンの背中を見つめながら、半ば放心状態で唇に触れる。
「……ありがたく受け取っておくよ」
バーキンは、またすこしだけ笑った。
「より近い場所で、あんたがどんな末路を辿るか――見ててやる」
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