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マーシャが兄やアリテーム、ローハたちと共にアノットの隠れ家で生活をするようになって、けっこうな日数が経った。ローハのお蔭で力仕事が楽になり、アリテームもコードの読み書きに勤しんでいる。ジェラは盾を新調し、いつでも万全の状態で闘えるようになった。
そして当のマーシャは――、
「お兄ちゃん! ローハさん! そっち行ったよ!」
狩りをしていた。
獲物は怪物化牛。アリテームの警魔結界に引っかかったやつだ。
ジェラとローハはマーシャの誘導にかかった怪牛を追う。
最短ルートを走ってジェラは怪牛の前に躍り出た。
牛は赤黒い角を突き立てて走ってくる。
ジェラはそれを紙一重で躱し、肩口を突いた。
怪牛が雄叫びを上げて足並みを乱し、木にぶつかる。
木が傾いて倒れてくる。それをローハが受け止め、地面に置いた。
ローハは尚も暴れ突進してくる怪牛と真っ向から組み合い、動きを止めた。
体重に大きな差があるにも関わらず、ローハはがっちりと固定する。
「今だ!」
マーシャは木の上から怪牛目がけて飛び降り、背中に剣を突き立てた。
剣は怪牛の心臓を貫く。
巨体が傾き、怪牛は大きな音を立てて斃れた。
剣を抜くとマーシャはポーチから解体用の刃物を取り出して言う。
「よし、解体しよう」
ジェラも同じようにナイフと鋸を手にしていた。
兄妹は怪牛の皮を剥ぎ、肉を細かく切り取ってゆく。怪物化した獣は体の中まで変質していて、血がほとんど出てこない。
その作業を、ローハがいささか困惑した表情で見守っている。
マーシャは振り返って訊いた。
「あれ? ローハさんもしかして解体したことない?」
「逆にきみたちは解体の経験に富むみたいだが……?」
「まあねー。怪物は厄介だけど、お肉はなかなかおいしいんだよ」
「ぜんぜん血が出ないから解体も楽ですし」とジェラ。
「海底都市では怪物食べたりしないの?」
「いや、怪物魚はかなり安く出回ってて、わたしも少なからず食べるが……」
「あー……」マーシャはエクサポンツーンで見た怪物魚を思い出す。「あのサイズだと一人分すっごく安そう……」
首尾よく解体を完了し、兄妹とローハは肉を袋に入れる。大きな麻袋だが、内側に油脂の一種を塗ってあり、中から血が滴ることはない。においの遮断性もかなりのものだ。
三人は解体した怪物の、使わない部分をその場に埋葬してから隠れ家へと戻る。食肉のほとんどはローハが持ってくれた。
マーシャは言う。
「いや~ローハさんがいて助かった。ありがとー!」
「どういたしまして」
ローハが微笑む。
隠れ家に帰ると、勉強をしていたアリテームがその手を休めて出迎えてくれた。
「おかえり! どうだった?」
「ただいま~」マーシャは答え、ローハに振り返る。「成果はごらんの通りだよ」
ローハが袋の口をがばっと開く。
アリテームは目を輝かせた。
「すごいや! これでしばらくは食料に困らないね!」
「アリちゃんの結界が教えてくれたからね。逃げられる前に倒せてよかったよ」
「えっ? そう?」
アリテームはその言葉を聞いて照れ笑いを浮かべる。
「役に立てたなら嬉しい……」
「ほんとうに助かってるよ。ありがとう」
ジェラが言うと、アリテームは顔を赤くした。耳まで赤くなっていた。
もう昼時だ。四人はさっそく得た肉で昼食を作る。
まずローハが肉を叩いて柔らかくし、そこにマーシャが自作のスパイスをふりかけてよく揉む。ジェラとアリテームは二人が肉を担当している間、パンを切り、野菜でスープをこしらえた。
二口ある焜炉の両方に火を入れる。一方で肉を焼き、もう一方でスープを煮る。室内に空腹を加速させるにおいが満ちて、やがて昼食ができあがった。
マーシャたちはテーブルを囲み、合掌の後に肉にかぶりつく。怪物牛はもともと牧畜だったのか、ほんのりとミルクのような風味がした。焼き加減もいい塩梅で、柔らかく仕上がっている。
舌鼓を打ちながら、ローハがマーシャたちに言った。
「きみらはほんとにすごいな……。その歳でしっかりしている」
「え~? 別に普通だよ?」
「わたしがきみらくらいの頃は、ほとんど母がしてくれたからな……」
「あー、あたしら早いうちにお父さんもお母さんも死んじゃったからかな」
「それあるかも」ジェラも言う。
「……すまん」
「謝んないでよ」マーシャは笑う。「親がいなくてもこうして素敵な仲間がいるしさ。ねえアリちゃん?」
急に話を振られたためか、アリテームはびっくりした顔をする。
「す、素敵……? ボクが?」
「こんなことで嘘はつかないよ。でしょ? お兄やん」
「ああ。アリテームも、ローハさんも、ぼくらの大事な仲間だ」
「……うれしい……ありがと……」
「お、また赤くなった」
マーシャはにやにや笑いで言うと、あることを思いついた。
「ねえ、もしこの隠遁生活が終わったらさ、あたしら四人で一緒に暮らさない?」
「いいね、それ。アリテームは魔法が使えるし、ローハさんは力持ちだし、きっと村のみんなも歓迎してくれるよ」
「わたしは……正直願ったり叶ったりだが……、雇ってくれるところあるだろうか……」
「そのへんはまあ、けっこうユルい村だから……。あたしらもほとんど自給自足で生活してるし」
「たまに村の人に用事を頼まれたりはするね。収穫の手伝いとか店番とか」
ジェラはアリテームに訊く。
「どうかな?」
「……考えとく……。イヤってわけじゃないんだけど……その……」
「まあ、急だよね。ゆっくり考えといて」
ほどなくして食事は終わり、後片付けを済ませて四人は各々の用に手をつけようとする。
その時だった。
マーシャのグリモアにメッセージが来た。
「お、ポックァ村長からだ。久しぶりだな~どれどれ……」
彼女は陽々と文章を読もうとする。が、その表情は一瞬で凍りつき、眉間にしわが寄る。
ジェラたちは首を傾げ、彼女に問いかけた。
「……どうしたの?」
「……あたしたちの村に――ランダウル一味が来た」
◇
ポックァ夫妻は、突然現れた灰色の服の一団に拘束され、森の中を歩いていた。
先頭を歩くのは両手に鉤爪をつけた若い女だ。長身で、美しい顔立ちだが、残虐な心の持ち主であることはその鋭い目が物語っている。
さらに二人は背後から、兵士たちに銃を突きつけられていた。抵抗などできるはずもない。
女はこちらに顔も向けず訊いてくる。
「どこへ行くのか訊かないの?」
「訊いたところで何になるんだ?」
「それもそうね……。でも退屈なのよ」
彼女は横目でこちらを見た。
「こんなきれいな自然の中を歩いているんだもの、すこしくらいおしゃべりしたくて」
「なら私たちじゃなくて手下の兵隊と話したほうがいいんじゃなくて?」
言ったのはポックァ夫人だった。
「知らない人と話すから楽しいんじゃないの」女はため息をつく。「そうだわ。アタシとランダウルさまの馴れ初めを話してあげるわね」
「馴れ初めですって?」
「ええ。アタシはあなたたちのことを知ってるけど、あなたたちはアタシを知らないでしょう?」
「……そうね。あなたがどうやってランダウルを誑かしたのか、教えてもらおうかしら」
「アタシはね、海底都市の地下闘技場ではちょっと名の知れたファイターだったの。急所攻撃アリ凶器アリ、なんでもありのルール無しなデスマッチに明け暮れてたわ……なにせ海の底だからこうして散歩もできなくて……。で、ある日、妙に身なりの良い殿方が現れたと思ったら、アタシを仲間にしたいと言ってきたの」
「それでついて行ったの? ランダウルの顔の良さに惚れて?」
女は笑った。
「まさか! 男前なのは認めるけどそれだけじゃあねえ……? だから彼を闘技場で一番腕の立つ男と闘わせてみたのよ。そしたらもう秒殺。あっという間に首の骨をへし折ってノックアウト。あの鮮やかな手つき、シビれたわね……。運命を感じたわ。ほら、アタシ髪の色もランダウルさまに似てるでしょ? で、今に至るってわけ」
女は足を止め、焼け跡の廃風車を見上げた。
「ついたわね」
村長夫妻は焼け残った柱に縛りつけられる。
「さて……あのコたち来るといいわねえ」
女は二人に背を向け、腕を組んだ。
「楽しみだわ」
◇
マーシャたちが故郷の村の近くまで帰るころには、太陽は西に傾いていた。
四人はまず、小高い丘で敵の様子を窺う。
兄妹は双眼鏡を、アリテームは観測手用のフィールドスコープを使うが、ローハはそのままでも見えるらしく、何も持っていない。
「――見つけた」マーシャは向こうを指差す。「焼け跡の風車近くにいる」
「……村長さんたちが縛られてる」ジェラが言った。「傷は見当たらないけど……」
「あの女がリーダーかな? フレーシやブライレムと同じような服着てるけど……」
「わたしも初めて見る顔だ。たぶんフレーシと同じで戦力増強にスカウトされたんだろう」
それから本村の方を見る。
「……こっからじゃよくわかんないな……。ローハさん見える? 村の様子」
マーシャはローハに双眼鏡を渡した。
「……兵士の姿が。占領というほどではなさそうだがうかつに手出しできなさそうだ」
「警備手の人は?」とアリテーム。
「ちゃんとした警備手はいないんだ……警魔もないよりマシ程度のもので……」
「くそ、卑怯なヤツらだ」
四人は身を隠し、話し合う。
「どうする?」
「リーダー格の女は間違いなくあたしとお兄ちゃんを狙ってる。だからあっちにはあたしたちで行く。アリちゃんとローハさんは村をおねがい」
「わかった」
アリテームは頷き、ジェラに訊ねた。
「村の警魔ってどんなのかわかる?」
「うん。だいたいは」
ジェラが答えるとアリテームはスクロールを展開した。
「なるべく詳しく教えて」
その横で、マーシャはローハに言う。
「村の兵隊をやっつけてからでいいから、あたしたちのところに来てほしいんだけど、頼める?」
「ああ。もちろんだ」
「ありがとう。たぶんあの女の人もヴァンダル化してるだろうから、あたしとお兄ちゃんだけじゃ勝ち目ないと思って……」
「せめてアノットがいればな……。まだ連絡はつかないか?」
「うん。返事待ち」
「先生も海底都市にいてるし……ボクらでやるしかないね」
「あたしたちならやれるよ」
マーシャは剣を抜いた。
「行こう」
兄妹はアリテーム、ローハと分かれて村長夫妻の縛られている焼け跡までやって来た。
女はくつろいだ様子だったが、こちらに気づくと立ち上がる。同時に隙が消えた。
「はじめまして、おチビちゃんたち。アタシはミィパ、よろしく」
「どーも。名乗る必要は無いよね?」
「ええ。ヒュシャンから聞いてるわ」
「村長さんたちを解放して」
「それはまだできないわねぇ。あなたたち、闘う気満々じゃないの」
「じゃあ、武器を置いたら?」
「さあ……?」ミィパはくすくすと笑う。「どうかしらね」
それから彼女は訊いてきた。
「ところで人数足りなくない? ヴァンダルとか、あのストロベリーブロンドのかわいいコとか……」
「何さ、あなたもあのオジサンと同じで効率を重んじるタイプ?」
「まさか! アタシはむしろ遊びたいタイプよ」
ミィパは鉤爪の先をこちらに向けて構えた。
「でも、今回は二人がかりで来てほしいわね。ちっちゃいのに一人ずつだと物足りなさそう」
「だめだ!」村長が叫ぶ。「彼女はタダモノじゃない! 私たちはいいから逃げるんだ!」
「村長……」
「……大丈夫です」ジェラが答えた。「ブレシッドを信じて」
「ジェラ……」
ミィパは横目で夫妻を見てから、鼻で笑う。
「ブレシッド……その恩恵はランダウルさまのものよ」
爪を鳴らして、ミィパは突進してきた。
両手を広げて二人に斬りかかる。が、兄妹は左右に散って避けた。
マーシャはミィパの背後を取り、斬撃を繰り出す。
ミィパは身を屈め躱した。
同時に彼女は両手を地面につき脚で斬撃をはじく。
マーシャとジェラはのけぞり、この隙に背後を取られる。ミィパは腕力で跳んだのだ。
鉤爪の斬撃が二人を襲う。
ジェラは盾と剣でどうにか防ぎ続けるが、マーシャは何発か間に合わず攻撃を受けてしまう。
マーシャの腕と脚に刀傷ができた。
そればかりではない。剣身が刃こぼれしていた。
ミィパはマーシャに顔を向けると、後ろに軽く身を引き、それから突っ込んだ。
ジェラは咄嗟に盾を構えマーシャの前に出る。
ミィパの貫手がジェラの盾に突き立った。
衝撃でジェラは吹き飛ばされマーシャにぶつかる。
二人はしたたかに背を打つが、すぐ立ち上がって構え直した。
「腕大丈夫? お兄ちゃん」
「今回は防ぎきってくれたよ」
「あらあら、頑丈な盾ねえ」
ミィパは舌なめずりする。
「頑丈なのは好きよ。壊し甲斐があるもの」
「ならやってみなよ」
ジェラが盾での打撃を繰り出した。
ミィパはそれをたやすく避けるが、ジェラは盾をミィパの眼前に振り上げた。
兄の視界封じに乗じて、マーシャは斬りかかる。ジェラもミィパの脚を狙った。
ジェラの刺突は蹴りでガードされたが、マーシャの斬撃は薙いだ爪を押して体勢を崩させる。
好機だった。
マーシャは柄頭でミィパの顎を打つ。クリーンヒットである。
ミィパは大きく傾き、そこにジェラのタックルが入った。
吹っ飛んだミィパはよろめきつつも立った状態を保つ。
彼女は血の唾を吐き捨て、言った。
「さすがね……あんなに小さかったのが立派に育って。あの方も鼻が高いでしょうね……」
「……どういうこと?」
「あら? 知らなかったの?」
ミィパはポックァ夫妻に向き直る。
村長が叫んだ。
「よせ! そのことは――!」
「ヒドイわねえ……アタシは事細かに教えてもらったわよ」
「さっきから何わかんないこと言ってんのさ!」
「マーシャちゃん、この場所……どうして焼け跡になったか、なんて教えてもらった?」
ミィパの質問に、マーシャは斬撃で答える。
「惑わそうったって無駄だから!」
剣と爪がぶつかり、ミィパはさらにこう言う。
「あのポックァという人、とても良い人ね。村長にふさわしいわ」
ジェラも斬りかかる。
ミィパは二人の攻撃を防御しながら続けた。
「だけどアタシ知ってるのよ。先代の村長はどうしようもないゴミクズだったって」
「だからなに!」
「あの方をノッポ野郎だなんて悪意たっぷりに言って執拗に嫌がらせしてたのよ? ひどいわよね。大事な村民なのに」
マーシャとジェラの斬撃を、ミィパは受け止めて膠着した。
「この村、昔はもっと大きかったけどそれだけ老害がでかい顔してたんですって」
左手の鉤爪にヒビが入る。だがミィパはお構いなしの様子だ。
「まだ赤ちゃんだったから覚えてないでしょうねえ……。だけどあの方が念入りにゴミ掃除してくれたから、あなたたちも伸び伸びと良い子に育った。感謝なさいよ?」
「遠回しに言わずにハッキリ言ったらどうなのさ!」
マーシャは剣を力任せに引っ張る。
ミィパの鉤爪が折れた。
ジェラも剣を手放しシールドバッシュで攻める。
ミィパはジェラの剣を捨て、回し蹴りで兄妹の攻撃をいなした。
強烈な衝撃。マーシャは地に伏せ、ジェラは壁の残骸にぶつかる。
「マーシャ! ジェラ!」村長夫妻の叫び声。
マーシャは立ち上がろうと手をつく。
そんな彼女の後頭部に、ミィパは足の裏を乗せた。
「お望み通り、はっきり言ってあげるわね」
マーシャの頭を踏みつける足の力が増す。
「あなたたちの伯父なのよ。ランダウルさまは」
マーシャが兄やアリテーム、ローハたちと共にアノットの隠れ家で生活をするようになって、けっこうな日数が経った。ローハのお蔭で力仕事が楽になり、アリテームもコードの読み書きに勤しんでいる。ジェラは盾を新調し、いつでも万全の状態で闘えるようになった。
そして当のマーシャは――、
「お兄ちゃん! ローハさん! そっち行ったよ!」
狩りをしていた。
獲物は怪物化牛。アリテームの警魔結界に引っかかったやつだ。
ジェラとローハはマーシャの誘導にかかった怪牛を追う。
最短ルートを走ってジェラは怪牛の前に躍り出た。
牛は赤黒い角を突き立てて走ってくる。
ジェラはそれを紙一重で躱し、肩口を突いた。
怪牛が雄叫びを上げて足並みを乱し、木にぶつかる。
木が傾いて倒れてくる。それをローハが受け止め、地面に置いた。
ローハは尚も暴れ突進してくる怪牛と真っ向から組み合い、動きを止めた。
体重に大きな差があるにも関わらず、ローハはがっちりと固定する。
「今だ!」
マーシャは木の上から怪牛目がけて飛び降り、背中に剣を突き立てた。
剣は怪牛の心臓を貫く。
巨体が傾き、怪牛は大きな音を立てて斃れた。
剣を抜くとマーシャはポーチから解体用の刃物を取り出して言う。
「よし、解体しよう」
ジェラも同じようにナイフと鋸を手にしていた。
兄妹は怪牛の皮を剥ぎ、肉を細かく切り取ってゆく。怪物化した獣は体の中まで変質していて、血がほとんど出てこない。
その作業を、ローハがいささか困惑した表情で見守っている。
マーシャは振り返って訊いた。
「あれ? ローハさんもしかして解体したことない?」
「逆にきみたちは解体の経験に富むみたいだが……?」
「まあねー。怪物は厄介だけど、お肉はなかなかおいしいんだよ」
「ぜんぜん血が出ないから解体も楽ですし」とジェラ。
「海底都市では怪物食べたりしないの?」
「いや、怪物魚はかなり安く出回ってて、わたしも少なからず食べるが……」
「あー……」マーシャはエクサポンツーンで見た怪物魚を思い出す。「あのサイズだと一人分すっごく安そう……」
首尾よく解体を完了し、兄妹とローハは肉を袋に入れる。大きな麻袋だが、内側に油脂の一種を塗ってあり、中から血が滴ることはない。においの遮断性もかなりのものだ。
三人は解体した怪物の、使わない部分をその場に埋葬してから隠れ家へと戻る。食肉のほとんどはローハが持ってくれた。
マーシャは言う。
「いや~ローハさんがいて助かった。ありがとー!」
「どういたしまして」
ローハが微笑む。
隠れ家に帰ると、勉強をしていたアリテームがその手を休めて出迎えてくれた。
「おかえり! どうだった?」
「ただいま~」マーシャは答え、ローハに振り返る。「成果はごらんの通りだよ」
ローハが袋の口をがばっと開く。
アリテームは目を輝かせた。
「すごいや! これでしばらくは食料に困らないね!」
「アリちゃんの結界が教えてくれたからね。逃げられる前に倒せてよかったよ」
「えっ? そう?」
アリテームはその言葉を聞いて照れ笑いを浮かべる。
「役に立てたなら嬉しい……」
「ほんとうに助かってるよ。ありがとう」
ジェラが言うと、アリテームは顔を赤くした。耳まで赤くなっていた。
もう昼時だ。四人はさっそく得た肉で昼食を作る。
まずローハが肉を叩いて柔らかくし、そこにマーシャが自作のスパイスをふりかけてよく揉む。ジェラとアリテームは二人が肉を担当している間、パンを切り、野菜でスープをこしらえた。
二口ある焜炉の両方に火を入れる。一方で肉を焼き、もう一方でスープを煮る。室内に空腹を加速させるにおいが満ちて、やがて昼食ができあがった。
マーシャたちはテーブルを囲み、合掌の後に肉にかぶりつく。怪物牛はもともと牧畜だったのか、ほんのりとミルクのような風味がした。焼き加減もいい塩梅で、柔らかく仕上がっている。
舌鼓を打ちながら、ローハがマーシャたちに言った。
「きみらはほんとにすごいな……。その歳でしっかりしている」
「え~? 別に普通だよ?」
「わたしがきみらくらいの頃は、ほとんど母がしてくれたからな……」
「あー、あたしら早いうちにお父さんもお母さんも死んじゃったからかな」
「それあるかも」ジェラも言う。
「……すまん」
「謝んないでよ」マーシャは笑う。「親がいなくてもこうして素敵な仲間がいるしさ。ねえアリちゃん?」
急に話を振られたためか、アリテームはびっくりした顔をする。
「す、素敵……? ボクが?」
「こんなことで嘘はつかないよ。でしょ? お兄やん」
「ああ。アリテームも、ローハさんも、ぼくらの大事な仲間だ」
「……うれしい……ありがと……」
「お、また赤くなった」
マーシャはにやにや笑いで言うと、あることを思いついた。
「ねえ、もしこの隠遁生活が終わったらさ、あたしら四人で一緒に暮らさない?」
「いいね、それ。アリテームは魔法が使えるし、ローハさんは力持ちだし、きっと村のみんなも歓迎してくれるよ」
「わたしは……正直願ったり叶ったりだが……、雇ってくれるところあるだろうか……」
「そのへんはまあ、けっこうユルい村だから……。あたしらもほとんど自給自足で生活してるし」
「たまに村の人に用事を頼まれたりはするね。収穫の手伝いとか店番とか」
ジェラはアリテームに訊く。
「どうかな?」
「……考えとく……。イヤってわけじゃないんだけど……その……」
「まあ、急だよね。ゆっくり考えといて」
ほどなくして食事は終わり、後片付けを済ませて四人は各々の用に手をつけようとする。
その時だった。
マーシャのグリモアにメッセージが来た。
「お、ポックァ村長からだ。久しぶりだな~どれどれ……」
彼女は陽々と文章を読もうとする。が、その表情は一瞬で凍りつき、眉間にしわが寄る。
ジェラたちは首を傾げ、彼女に問いかけた。
「……どうしたの?」
「……あたしたちの村に――ランダウル一味が来た」
◇
ポックァ夫妻は、突然現れた灰色の服の一団に拘束され、森の中を歩いていた。
先頭を歩くのは両手に鉤爪をつけた若い女だ。長身で、美しい顔立ちだが、残虐な心の持ち主であることはその鋭い目が物語っている。
さらに二人は背後から、兵士たちに銃を突きつけられていた。抵抗などできるはずもない。
女はこちらに顔も向けず訊いてくる。
「どこへ行くのか訊かないの?」
「訊いたところで何になるんだ?」
「それもそうね……。でも退屈なのよ」
彼女は横目でこちらを見た。
「こんなきれいな自然の中を歩いているんだもの、すこしくらいおしゃべりしたくて」
「なら私たちじゃなくて手下の兵隊と話したほうがいいんじゃなくて?」
言ったのはポックァ夫人だった。
「知らない人と話すから楽しいんじゃないの」女はため息をつく。「そうだわ。アタシとランダウルさまの馴れ初めを話してあげるわね」
「馴れ初めですって?」
「ええ。アタシはあなたたちのことを知ってるけど、あなたたちはアタシを知らないでしょう?」
「……そうね。あなたがどうやってランダウルを誑かしたのか、教えてもらおうかしら」
「アタシはね、海底都市の地下闘技場ではちょっと名の知れたファイターだったの。急所攻撃アリ凶器アリ、なんでもありのルール無しなデスマッチに明け暮れてたわ……なにせ海の底だからこうして散歩もできなくて……。で、ある日、妙に身なりの良い殿方が現れたと思ったら、アタシを仲間にしたいと言ってきたの」
「それでついて行ったの? ランダウルの顔の良さに惚れて?」
女は笑った。
「まさか! 男前なのは認めるけどそれだけじゃあねえ……? だから彼を闘技場で一番腕の立つ男と闘わせてみたのよ。そしたらもう秒殺。あっという間に首の骨をへし折ってノックアウト。あの鮮やかな手つき、シビれたわね……。運命を感じたわ。ほら、アタシ髪の色もランダウルさまに似てるでしょ? で、今に至るってわけ」
女は足を止め、焼け跡の廃風車を見上げた。
「ついたわね」
村長夫妻は焼け残った柱に縛りつけられる。
「さて……あのコたち来るといいわねえ」
女は二人に背を向け、腕を組んだ。
「楽しみだわ」
◇
マーシャたちが故郷の村の近くまで帰るころには、太陽は西に傾いていた。
四人はまず、小高い丘で敵の様子を窺う。
兄妹は双眼鏡を、アリテームは観測手用のフィールドスコープを使うが、ローハはそのままでも見えるらしく、何も持っていない。
「――見つけた」マーシャは向こうを指差す。「焼け跡の風車近くにいる」
「……村長さんたちが縛られてる」ジェラが言った。「傷は見当たらないけど……」
「あの女がリーダーかな? フレーシやブライレムと同じような服着てるけど……」
「わたしも初めて見る顔だ。たぶんフレーシと同じで戦力増強にスカウトされたんだろう」
それから本村の方を見る。
「……こっからじゃよくわかんないな……。ローハさん見える? 村の様子」
マーシャはローハに双眼鏡を渡した。
「……兵士の姿が。占領というほどではなさそうだがうかつに手出しできなさそうだ」
「警備手の人は?」とアリテーム。
「ちゃんとした警備手はいないんだ……警魔もないよりマシ程度のもので……」
「くそ、卑怯なヤツらだ」
四人は身を隠し、話し合う。
「どうする?」
「リーダー格の女は間違いなくあたしとお兄ちゃんを狙ってる。だからあっちにはあたしたちで行く。アリちゃんとローハさんは村をおねがい」
「わかった」
アリテームは頷き、ジェラに訊ねた。
「村の警魔ってどんなのかわかる?」
「うん。だいたいは」
ジェラが答えるとアリテームはスクロールを展開した。
「なるべく詳しく教えて」
その横で、マーシャはローハに言う。
「村の兵隊をやっつけてからでいいから、あたしたちのところに来てほしいんだけど、頼める?」
「ああ。もちろんだ」
「ありがとう。たぶんあの女の人もヴァンダル化してるだろうから、あたしとお兄ちゃんだけじゃ勝ち目ないと思って……」
「せめてアノットがいればな……。まだ連絡はつかないか?」
「うん。返事待ち」
「先生も海底都市にいてるし……ボクらでやるしかないね」
「あたしたちならやれるよ」
マーシャは剣を抜いた。
「行こう」
兄妹はアリテーム、ローハと分かれて村長夫妻の縛られている焼け跡までやって来た。
女はくつろいだ様子だったが、こちらに気づくと立ち上がる。同時に隙が消えた。
「はじめまして、おチビちゃんたち。アタシはミィパ、よろしく」
「どーも。名乗る必要は無いよね?」
「ええ。ヒュシャンから聞いてるわ」
「村長さんたちを解放して」
「それはまだできないわねぇ。あなたたち、闘う気満々じゃないの」
「じゃあ、武器を置いたら?」
「さあ……?」ミィパはくすくすと笑う。「どうかしらね」
それから彼女は訊いてきた。
「ところで人数足りなくない? ヴァンダルとか、あのストロベリーブロンドのかわいいコとか……」
「何さ、あなたもあのオジサンと同じで効率を重んじるタイプ?」
「まさか! アタシはむしろ遊びたいタイプよ」
ミィパは鉤爪の先をこちらに向けて構えた。
「でも、今回は二人がかりで来てほしいわね。ちっちゃいのに一人ずつだと物足りなさそう」
「だめだ!」村長が叫ぶ。「彼女はタダモノじゃない! 私たちはいいから逃げるんだ!」
「村長……」
「……大丈夫です」ジェラが答えた。「ブレシッドを信じて」
「ジェラ……」
ミィパは横目で夫妻を見てから、鼻で笑う。
「ブレシッド……その恩恵はランダウルさまのものよ」
爪を鳴らして、ミィパは突進してきた。
両手を広げて二人に斬りかかる。が、兄妹は左右に散って避けた。
マーシャはミィパの背後を取り、斬撃を繰り出す。
ミィパは身を屈め躱した。
同時に彼女は両手を地面につき脚で斬撃をはじく。
マーシャとジェラはのけぞり、この隙に背後を取られる。ミィパは腕力で跳んだのだ。
鉤爪の斬撃が二人を襲う。
ジェラは盾と剣でどうにか防ぎ続けるが、マーシャは何発か間に合わず攻撃を受けてしまう。
マーシャの腕と脚に刀傷ができた。
そればかりではない。剣身が刃こぼれしていた。
ミィパはマーシャに顔を向けると、後ろに軽く身を引き、それから突っ込んだ。
ジェラは咄嗟に盾を構えマーシャの前に出る。
ミィパの貫手がジェラの盾に突き立った。
衝撃でジェラは吹き飛ばされマーシャにぶつかる。
二人はしたたかに背を打つが、すぐ立ち上がって構え直した。
「腕大丈夫? お兄ちゃん」
「今回は防ぎきってくれたよ」
「あらあら、頑丈な盾ねえ」
ミィパは舌なめずりする。
「頑丈なのは好きよ。壊し甲斐があるもの」
「ならやってみなよ」
ジェラが盾での打撃を繰り出した。
ミィパはそれをたやすく避けるが、ジェラは盾をミィパの眼前に振り上げた。
兄の視界封じに乗じて、マーシャは斬りかかる。ジェラもミィパの脚を狙った。
ジェラの刺突は蹴りでガードされたが、マーシャの斬撃は薙いだ爪を押して体勢を崩させる。
好機だった。
マーシャは柄頭でミィパの顎を打つ。クリーンヒットである。
ミィパは大きく傾き、そこにジェラのタックルが入った。
吹っ飛んだミィパはよろめきつつも立った状態を保つ。
彼女は血の唾を吐き捨て、言った。
「さすがね……あんなに小さかったのが立派に育って。あの方も鼻が高いでしょうね……」
「……どういうこと?」
「あら? 知らなかったの?」
ミィパはポックァ夫妻に向き直る。
村長が叫んだ。
「よせ! そのことは――!」
「ヒドイわねえ……アタシは事細かに教えてもらったわよ」
「さっきから何わかんないこと言ってんのさ!」
「マーシャちゃん、この場所……どうして焼け跡になったか、なんて教えてもらった?」
ミィパの質問に、マーシャは斬撃で答える。
「惑わそうったって無駄だから!」
剣と爪がぶつかり、ミィパはさらにこう言う。
「あのポックァという人、とても良い人ね。村長にふさわしいわ」
ジェラも斬りかかる。
ミィパは二人の攻撃を防御しながら続けた。
「だけどアタシ知ってるのよ。先代の村長はどうしようもないゴミクズだったって」
「だからなに!」
「あの方をノッポ野郎だなんて悪意たっぷりに言って執拗に嫌がらせしてたのよ? ひどいわよね。大事な村民なのに」
マーシャとジェラの斬撃を、ミィパは受け止めて膠着した。
「この村、昔はもっと大きかったけどそれだけ老害がでかい顔してたんですって」
左手の鉤爪にヒビが入る。だがミィパはお構いなしの様子だ。
「まだ赤ちゃんだったから覚えてないでしょうねえ……。だけどあの方が念入りにゴミ掃除してくれたから、あなたたちも伸び伸びと良い子に育った。感謝なさいよ?」
「遠回しに言わずにハッキリ言ったらどうなのさ!」
マーシャは剣を力任せに引っ張る。
ミィパの鉤爪が折れた。
ジェラも剣を手放しシールドバッシュで攻める。
ミィパはジェラの剣を捨て、回し蹴りで兄妹の攻撃をいなした。
強烈な衝撃。マーシャは地に伏せ、ジェラは壁の残骸にぶつかる。
「マーシャ! ジェラ!」村長夫妻の叫び声。
マーシャは立ち上がろうと手をつく。
そんな彼女の後頭部に、ミィパは足の裏を乗せた。
「お望み通り、はっきり言ってあげるわね」
マーシャの頭を踏みつける足の力が増す。
「あなたたちの伯父なのよ。ランダウルさまは」
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そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
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