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第009話 新たな仲間
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白い竜は小さな翼をパタパタさせ、渾身の力で空を飛ぶ。
いや、空を飛ぶというより、宙に浮くのが精一杯といった感じだ。
「なんてこった、生まれてしまったぞ」
俺は竜の身体を両手で優しく掴んだ。
竜は翼を休めると、豆粒のような小さな目を向けてくる。
俺と目が合うと「キュイン♪」と可愛らしく鳴いた。
「ユウタさん、その竜、スノードラゴンですよ!」
ルナが驚愕する。
その声により、竜がビクッと驚いた。
「スノードラゴン!? マジかよ!」
「間違いありません。以前、ダンジョンで幼体を見たことがありますので」
スノードラゴン。
成長するとSS級の強さになる最強の一角だ。
雪のように白い鱗は、たしかにスノードラゴンの特徴と一致する。
「だが、スノードラゴンは気性が荒いのでは?」
俺は手のひらサイズの竜に視線を落とす。
竜は俺の両手の中で身体を丸めて眠そうにしていた。
気性が荒いどころか、心から懐いているようだ。
「たしかに気性が荒いはずです。一度、村の図書館で調べませんか?」
「そうだな。ここに留まる意味もないし、村に戻って調べよう」
俺達は速やかに村へ戻った。
それから図書館に行き、情報を調べる。
「ありました! これです!」
ルナが該当のページを見つけた。
俺は竜を手に抱いたまま近づいて眺める。
竜は心地よさそうに眠っていた。
――――――――――――――――――
【スノードラゴン】
SS級の強さを誇る巨大なドラゴン。
雪の如き白さと口から吐く氷のブレスが特徴的。
気性が荒く、成体のテイムを成功させた者はいない。
その反面、幼体の頃はとても小さな身体をしている。
成体になるまでには約100年を要し、寿命は極めて長い。
孵化後、最初に見た者を親と思い込む習性がある。
――――――――――――――――――
「そうか、こいつは俺を親だと認識したのか」
「それで大人しくしているわけなんですね」
合点がいった。
それと同時に新たな問題が湧き上がる。
「すると、俺がこいつを育てる必要があるのか……?」
俺はテイマーではない。
モンスターの飼育経験などなかった。
それがいきなりSS級のお父さんになるのか!?
「さすがはユウタさんです! スノードラゴンの飼育なんて前代未聞ですよ!」
「いや、いやいや、無理だろ! 俺には!」
「ユウタさんの強運ならきっと大丈夫ですよ!」
「そんな無茶苦茶な!」
俺達が騒がしくしていると。
「キュゥゥン?」
スノードラゴンの幼体が目を覚ました。
竜は身体を横にしたまま、顔を立たせてこちらを見る。
それから、小さな口を開けて「キュイン♪」と鳴いた。
「か、可愛い……!」
俺は竜を左手で持ち、右の人差し指で撫でてみる。
小さな竜の額を、撫で撫で、撫で撫で。
「キュイン♪ キュイン♪」
竜は嬉しそうに鳴いた後、指を舐めてきた。
その愛くるしい反応が、俺に強固な決意を持たせる。
「よし、俺はこいつを飼うぞ!」
「是非この子にお名前をつけてあげましょう!」
「そうだな! よーし、お前の名は……」
俺は目を瞑り、名前を考える。
そうして直感的に浮かび上がった名を口にした。
「ハク! お前の名はハクだ!」
「キュイン! キュイイーン♪」
ハクは嬉しそうに翼をパタパタさせた。
一瞬だけ浮くと、疲れたのかすぐに我が手に着地する。
生まれたてだと飛ぶこともままならない様子だ。
「ルナ、今後はハクも仲間に加えるよ!」
「もちろんです! ハク、よろしくね。私はルナだよ」
ルナがハクの額を指で撫でる。
ハクは嫌がることなく「キュイン♪」と受け入れた。
「きゃわわぁ……」
ルナが頬をたるんたるんに緩ませる。
しかし、俺が目が合うと一瞬で引き締めた。
恥ずかしそうに顔を赤らめ、わざとらしい咳払いをする。
「ルナ、動物が好きなのか?」
「そ、そんなことありませんから!」
ルナがそーっと視線をハクに向ける。
それに気づいたハクは、ルナを見て可愛く鳴く。
ルナの頬がまたしても緩むのであった。
「SSS級の女騎士に続き、SS級ドラゴンの幼体……」
本当に俺は運がいいぜ!
いや、空を飛ぶというより、宙に浮くのが精一杯といった感じだ。
「なんてこった、生まれてしまったぞ」
俺は竜の身体を両手で優しく掴んだ。
竜は翼を休めると、豆粒のような小さな目を向けてくる。
俺と目が合うと「キュイン♪」と可愛らしく鳴いた。
「ユウタさん、その竜、スノードラゴンですよ!」
ルナが驚愕する。
その声により、竜がビクッと驚いた。
「スノードラゴン!? マジかよ!」
「間違いありません。以前、ダンジョンで幼体を見たことがありますので」
スノードラゴン。
成長するとSS級の強さになる最強の一角だ。
雪のように白い鱗は、たしかにスノードラゴンの特徴と一致する。
「だが、スノードラゴンは気性が荒いのでは?」
俺は手のひらサイズの竜に視線を落とす。
竜は俺の両手の中で身体を丸めて眠そうにしていた。
気性が荒いどころか、心から懐いているようだ。
「たしかに気性が荒いはずです。一度、村の図書館で調べませんか?」
「そうだな。ここに留まる意味もないし、村に戻って調べよう」
俺達は速やかに村へ戻った。
それから図書館に行き、情報を調べる。
「ありました! これです!」
ルナが該当のページを見つけた。
俺は竜を手に抱いたまま近づいて眺める。
竜は心地よさそうに眠っていた。
――――――――――――――――――
【スノードラゴン】
SS級の強さを誇る巨大なドラゴン。
雪の如き白さと口から吐く氷のブレスが特徴的。
気性が荒く、成体のテイムを成功させた者はいない。
その反面、幼体の頃はとても小さな身体をしている。
成体になるまでには約100年を要し、寿命は極めて長い。
孵化後、最初に見た者を親と思い込む習性がある。
――――――――――――――――――
「そうか、こいつは俺を親だと認識したのか」
「それで大人しくしているわけなんですね」
合点がいった。
それと同時に新たな問題が湧き上がる。
「すると、俺がこいつを育てる必要があるのか……?」
俺はテイマーではない。
モンスターの飼育経験などなかった。
それがいきなりSS級のお父さんになるのか!?
「さすがはユウタさんです! スノードラゴンの飼育なんて前代未聞ですよ!」
「いや、いやいや、無理だろ! 俺には!」
「ユウタさんの強運ならきっと大丈夫ですよ!」
「そんな無茶苦茶な!」
俺達が騒がしくしていると。
「キュゥゥン?」
スノードラゴンの幼体が目を覚ました。
竜は身体を横にしたまま、顔を立たせてこちらを見る。
それから、小さな口を開けて「キュイン♪」と鳴いた。
「か、可愛い……!」
俺は竜を左手で持ち、右の人差し指で撫でてみる。
小さな竜の額を、撫で撫で、撫で撫で。
「キュイン♪ キュイン♪」
竜は嬉しそうに鳴いた後、指を舐めてきた。
その愛くるしい反応が、俺に強固な決意を持たせる。
「よし、俺はこいつを飼うぞ!」
「是非この子にお名前をつけてあげましょう!」
「そうだな! よーし、お前の名は……」
俺は目を瞑り、名前を考える。
そうして直感的に浮かび上がった名を口にした。
「ハク! お前の名はハクだ!」
「キュイン! キュイイーン♪」
ハクは嬉しそうに翼をパタパタさせた。
一瞬だけ浮くと、疲れたのかすぐに我が手に着地する。
生まれたてだと飛ぶこともままならない様子だ。
「ルナ、今後はハクも仲間に加えるよ!」
「もちろんです! ハク、よろしくね。私はルナだよ」
ルナがハクの額を指で撫でる。
ハクは嫌がることなく「キュイン♪」と受け入れた。
「きゃわわぁ……」
ルナが頬をたるんたるんに緩ませる。
しかし、俺が目が合うと一瞬で引き締めた。
恥ずかしそうに顔を赤らめ、わざとらしい咳払いをする。
「ルナ、動物が好きなのか?」
「そ、そんなことありませんから!」
ルナがそーっと視線をハクに向ける。
それに気づいたハクは、ルナを見て可愛く鳴く。
ルナの頬がまたしても緩むのであった。
「SSS級の女騎士に続き、SS級ドラゴンの幼体……」
本当に俺は運がいいぜ!
応援ありがとうございます!
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