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002 セクハラ的なお願いをした結果

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 ドアの向こうに立っている、赤と白を基調としたローブを纏う、艶やかな黒くて長い髪が特徴的な、超がつくほど美人なお姉さんは、リーネと名乗った。

「私が知る限りのことで良ければお答え致します」

 リーネがそう言うので、アレコレと質問してみた。

「ここはどこ? 栃木県のどこか?」

「いえ、此処はカイト様の居られた世界とは異なる世界です。そして、私達が居るこの施設は〈コクーン〉という名前をしています」

「それって、もしかして、俺は異世界転生したのか?」

「〈神の啓示〉によればそのようです。私には理解できないのですが、啓示によりますと、『異世界ハーレムチート転生の求人に採用された』と言えば伝わるとのことですが、それで伝わっているでしょうか?」

「実に分かりやすい」

 あのふざけた求人は、金持ちではなく、神の道楽だったわけだ。

 トラックのタイミングといい、現状といい、妙に納得がいく。

 ということはつまり……。

「俺は不老不死で敵の攻撃が効かないわけか!」

「救世主様なのでもちろんです」

「しかも、全ての美女が俺に惚れるとか!?」

「はい」

「じゃあ、リーネも?」

「もちろんです」

 リーネが小さな笑みを浮かべる。

 こんな美人に微笑まれたことなど、人生で初めてだ。

 サンキュー神様。俺は神様に心から感謝した。

「すると最強装備があって、実戦形式の研修制度もあるんだよな?」

「ございます」

「早速、その研修とやらを受けるよ! どうしたらいいか教えてくれ! 世界は俺が救ってやるよ!」

 とんでもなく心が弾んでいた。

 今の俺は敵の攻撃が効かない不老不死の人間なので、仮に敵がバハムートみたいな邪龍であろうと、負けることは万に一つも無い。バハムートが存在するかは知らないけれど。

「ありがとうございます。ではコクーンの内部を散策しながら、世界を救う方法の説明などをしたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「いいよ!」

 即答で承諾したにもかかわらず、次の瞬間、俺は、

「やっぱりちょっと待って」

 と、待ったを掛けた。

 ベッドから腰を浮かせようとした所で、疑問が浮かんだのだ。

 リーネに対して、どこまでできるのだろうか、と。

 様子を見ている限りだ、俺達の関係は対等と言いがたい。

 俺は救世主として、絶対的な権力を持っているようだ。

「リーネに対して、なんでもお願いしていい感じ?」

「なんでも……とは?」

 どう言おうか悩んだ。

 オブラートの包み方を必死に考える。

 だが、興奮のあまり思い浮かばないので、直球で返した。

「例えば、裸になって、とか」

「もちろん問題ありません。カイト様に私の身体を見て頂けるなど、光栄の至りでございます。この場で脱ぎましょうか?」

 あっさり承諾される。鼻血が出そうになった。

「いや、いい。その代わりに、キスしてくれよ」

「えっ、よろしいのですか!?」

 むしろ俺が「よろしいんか!?」と訊きたいくらいだ。

「いいとも! 舌を絡めるディープなやつを頼むよ」

「ありがとうございます!」

 リーネは嬉しそうな笑みを浮かべて、俺の隣に座る。

「それでは……!」

 俺の頬に、リーネの手が添えられた。

 少し冷たくて、それがまた心地よい。

 なんて思っていると、リーネが唇を重ねてきた。

 俺の注文通りに舌と舌を絡めるディープなやつだ。

 テンションが上がってしまい、つい、服の上からリーネの胸を揉んでしまった。

 おっぱいデケェと思った次の瞬間に、まずいぞやりすぎたと焦る。

 しかし、実際には何の問題もなかった。

 リーネが恍惚とした表情で喘いだのだ。

 嫌がるでもなく、普通に受け入れている。

 俺の脳裏に「脱童貞」の文字が浮かぶ。

 だが、童貞故に怖じ気づき、大人の行為には及ばなかった。

 そこから先に進むことをしなかったのだ。

「さ、さぁ、施設の案内をしながら説明をしてくれ!」

 キスと揉み揉みを終えて、目と鼻の先にあるリーネの顔を見る。

 リーネはウットリしたような目で、頬を赤らめながら「はい」と頷く。

 改めて神に感謝しながら、リーネと共に部屋を出た。
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