心中雪-my heart is always in the snow-

みほこ

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地獄から光が差した

初めてのお客さん

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スイミングスクール
合唱部
選抜水泳部
助っ人陸上部

この4つをこなしてから帰宅すると当たり前だがクタクタだった

私の帰宅の時間よりも、店を閉める時間のほうが早いので、店に帰るよりも父が迎えに来てくれる事が増えた

また台風が近づいて来たので緊急集団下校となった日

私は父の店に向かった

久々に学校から店に直帰する

傘が風で壊れ、走って店まで急いだ

ビショビショになりながら店に入ると父がタオルを出してくれた

この頃私と父は、家に帰る事もあったが母の酒乱は治ったわけではなかったので母が暴れると店に泊まるという生活を送っていた

今まではなかったものがどんどん店に増えていった

駐車場の一部で家庭菜園
料理が作れるように一口ガスコンロ
洗濯ができるように洗濯機
買って来たご飯も温かく食べれるように電子レンジ
パンを焼けるようにトースター
ごはんを炊けるように炊飯器
さすがに布団は置けなかったので、寝袋のままだったけど
それでも母のいる家に帰るよりは全然マシだった

母は益々ひどくなる一方だった
家から一歩も出ないのは当たり前
お酒はAばあちゃんに電話して買ってきてもらう
家にいてもごはんも作らない、洗濯もしない、布団もひかずに年中出しっぱなしのコタツで横になって寝ながら、TVを見てお酒を飲む

父の仕事を手伝うわけでもなければ、家のことも全くしない
そんな母を見て、悲しくなった

授業参観の紙をコタツに置いたら、無言ですぐゴミ箱に捨てられた

父は仕事で自分が授業参観に行けないので、母に代わりに行くように伝えた
それでも母はお酒を飲んで寝ていたので授業参観は来なかった
結果、私の家だけ授業参観両親不参加・・・
友達からも

「みほこの家誰も来ないんだな」

と言われた

授業参観の日は親と一緒に下校する決まりになっていたので、いつも父が来てくれていた
でもその日だけはどうしても仕事を休めず、来れなかった
母に頼んだからという安心感もあったのだろう
父は今でもその時のことを謝罪してくる
母のあの性格や状態を知っていたのに、なぜ母に頼んでしまったのだろうと・・・
その日は、家が近い友達が一緒に帰ってくれた
今でも同窓会などで、その友達に会うとその時のことを話す
「あの日、みほこが泣きそうな顔していたのを覚えてる。だから『一緒に帰ろう』と声をかけた」
と・・・

ビショビショになった体を店の裏手にある倉庫で拭く
倉庫の中は、内側からも鍵がかけられるので、着替えなどは倉庫で行っておこなっていた

服を着替え、ハンガーに干していると父が

「みほこ、食べ物なにかあるか?」

と聞いてきた

当時のみほこは給食を全部食べれないぐらい小食だった
そのため、給食の残りのパンを持ち帰っていた
それを知っていた父が聞いてきた

「今日は食パン少し残しちゃったんだ・・・」

給食を残したことを怒られるのかもしれないと思い、小声でそう答えると

「実は・・・ちょっと来い」

と、先ほどまで着替えていた倉庫へ呼ばれた

母と同じように怒られるのではないか?と優しかった父ですら疑ってしまう

"なんだろう?何か怒られることしたのかな?怖い"

そんな気持ちで父の待つ倉庫へ向かった

「初めてのお客さんが来たんだ」

そういって、段ボールの中を見せてくれた

そこにはガリガリに痩せた子猫が1匹警戒するような目でこちらを見ていた

「え???この子、どうしたの???」

元々動物が大好きだった
母と2人の時は静かに過ごさなければいけないので、父が買ってくれた動物図鑑をずっと見ていた
それぐらい動物は大好きだった
「もしうちに犬や猫がいて、しゃべってくれたら、話し相手になってくれたらいいのに」
なんて想像するぐらい大好きだった
でも母は動物が大嫌い
というより、元々は好きだったのが大嫌いになっていた
※母は昔、自分が子供のころハムスターを飼っていたが、不注意からハムスターを死なせてしまったそうだ

ある日、まだ店ではなく母の待つ家に帰っていたころ
雨に打たれて子猫が捨てられていた
傘をさしていても濡れるぐらいの大雨の日だったので、私は子猫を抱えて家に帰った
玄関に入ると、すぐ母に見つかり

「何この猫!!!すぐ元の場所に戻してきなさい!!!」

と怒鳴った

「この子、電柱の下に捨てられていたんだよ。こんな雨のなか外にいたら死んじゃうよ!せめて雨が止むまではお願い!家の中に入れてあげて」

と、お願いをした

それでも母は

「ダメだったらダメだ!猫を家に入れるならお前も家に入るな!かわいそうだと思うなら一緒に雨に濡れてろ!」

と言った

結局、玄関の前で家に入らずに猫と2人で何時間か過ごした
雨が上がって、外は真っ暗になったころ、猫は歩いてどこかにいった
その後、母に何回も「ごめんなさい」と土下座をして、やっと家にいれてもらった

そんなことがあってから
動物が大好きでも
捨て猫や捨て犬がいても
なるだけ目を合わさず、目の前を通らなければいけない場合は小走りで通り過ぎた

父も母が動物嫌いなのは知っている

なのになぜここに子猫がいるのか、不思議だった

「朝、駐車場で野菜に水をあげていたらフラフラになったこいつが歩いてきたんだ」
「ケガもしてるみたいで、ほっておけないから段ボールで保護してみた」
「病院につれていこうと思ったけど、誰かの飼い猫かもしれないからどうしたらいいか、わからない」

父も自分が子供のころに動物を飼っていた
でも可愛がっていた動物をある時、食事用として処分された過去があった
それから動物は好きだが飼うのはためらいがあった、と前に話してくれた

「ケガしてるなら、飼い主を探すよりまずは病院に行ったほうがいいんじゃない!?お隣さんに聞いてくる!」

私はそう父に伝え、お隣さんのところへ向かった

なぜお隣さんなのか、
それはお隣さんは犬や猫を飼っていて、たまに触らせてもらっていた
そのお隣さんなら病院などを教えてくれると思ったから・・・
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