心中雪-my heart is always in the snow-

みほこ

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心の雪解け

こんな事してくれるなんて

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Sさんはつきあいが始まり、すぐの頃

「みほこのご両親にきちんと挨拶がしたい」

と言ってくれていた

つきあいたてで、しかも彼の方からそんな事を言ってくれる人は今までつきあってきた人で唯一Sさんだけでした
それは当時も今も変わりません

そういわれ、私はSさんに母の事を正直に話した

話すことで、フラれるかもしれないという恐怖があったので、今までは誰にも言えなかったけど、Sさんなら大丈夫じゃないか?と思えた

Sさんは黙って私の話を聞いてくれた

そして、それでも私の両親に挨拶をしたいと言ってくれた

こそこそ隠れてつきあいたくない
みほことは遊びでつきあってるわけではないのをきちんと自分で説明したい

そう言ってくれたのだ

母は、パートがある日は外に出て、パートが休みの日は相変わらず家から一歩も出ない生活を送っていたが、前よりはマシになったほうだった

職場の人間関係は相変わらずだったみたいで、機嫌が悪い日と悪くない日の差が激しかった

そして、私がバイトで家にいない時にSさんは私の両親にアポを取り挨拶に来た

挨拶をしたいとは聞いていたが、Sさん1人で来るとは思わなかったので、バイトから帰ってきて

「今日Sっていう人が挨拶にきた」

と父から聞かされるまで知らなかった

「Sさんに会ったの!?え?お父さんだけ??」

そう聞くと

「いや、お母さんも一緒にいたよ。前もって家に電話をかけてくれたんだ。ご両親に挨拶したいので、お時間くれませんか?って」

母にも挨拶したんだ・・・
会いたくないな・・きっと機嫌悪いだろうな・・・

そう思い、父と2人で母の待つ自宅へ帰った

「ただいま・・・」

母はきっと機嫌悪い上に、文句を言ってくると思ったのでいつも以上に控えめに言った

すると満面の笑みで母が

「Sくんって素敵ね。あんなにきちんと挨拶できるなんて。そんな人と知り合えたの?正直、彼氏なんてあんたにはまだ早いと思っていたから、挨拶に来るって言われた時はどうしようかと思ったけど、Sくんなら合格」

と思いがけない言葉が母から聞けたのだった

Sさんと、うちの両親がどんな会話をしたのかはいくら聞いても教えてくれなかったが、あの母に気に入られるなんて、なんてSさんはすごいのだろうと思った

ただ、この時、Sさんとうちの両親の間で約束事が交わされていた

「高3の夏、自分は就職活動が始まります。就職先が決まるまで、みほこさんとは会いません。その代わり、電話は許してください」

そう言われたそうだ

会わない?なんで??

初耳だったので、すぐSさんに連絡をした

結果、思いがけないことを提案されたのだった
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