3 / 19
1章 幽霊屋敷な事件
1-3
しおりを挟む
「うーん。原因の心当たりはないですねぇ」
ここ一年程体調が悪いと言う一人、白髪頭の庭師は首を捻る。
「吐いたり腹を下したり怠かったり。でも年だから色々弱ってるんだろうと言われると、あぁそうかもって気もしてくるし」
ベルティーナに向かい、自信なさげに眉尻を下げる。
ベルティーナはここ数日、あちこち調べ回っている。
人に話を聞いたり、おかしなことが起こっている現場を見に行ったり、図面を確認して計算したり。
相棒のエルンストと一緒に歩き回っていると、ベルティーナの赤毛、エルンストの金髪と青い制服で赤青黄色と賑やかな色でよく目立つ。
床に這いつくばったり、屋根に上ったりしていたかと思ったら、庭で食器を掲げて踊っていた。
ぎょっとした使用人達が、二人に付き添っている執事に助けを求めるように視線を送るが、彼は口元を少し引きつらせつつ厳かに頷くだけだった。
◇◆◇◆◇◆
ベルティーナは体調を崩した一人、伯爵の令嬢を訪ねた。基本的には健康なのだが、時に庭師と似たような症状が出ることがあり、今日もそれで部屋で休んでいるとのこと。
10歳とはいえレディの寝室なので、エルンストは外で待機しベルティーナと侍女だけ部屋に入った。
「エリザベートです。『理系屋さん』のお噂はかねがね。本当にズボンをお召しなんですね」
どんな噂だ。詳細は聞かないことにしようとベルティーナは心に決める。
ベッドの上に座る幼い美少女は、見た目は金色の波打つ髪に碧の目の儚げな妖精のようだが、貴族としての教育の賜物か、背筋を伸ばし綺麗な発音で整然とベルティーナの質問に答えた。
やはり庭師と同様、原因の心当たりを思い付かないらしい。
水や食べ物が原因なら屋敷の大半の者に症状が出てもおかしくないのに、あとは一部のメイドなど患者が限られている。
似た症状でも他の原因の可能性もある、とベルティーナは心のメモに書き込む。
ベルティーナがふと部屋の中に目をやると、書きかけの水彩画があった。
「絵がお好きなのですか」
「水彩画は貴族の淑女の教養の一つなので教師がついているのですが、私には向かないようで正直あまり興味を持てません。それより、貴女のお仕事の方が面白そうです。前から『理系屋さん』とお話してみたかったんです」
エリザベートは純真に目をキラキラさせてベルティーナを見つめる。どうやら『噂』は美化された方向性らしい。
ひょっとして、自分のような庶民がお嬢様と対談できたのは、お嬢様の要望もあったのだろうか。
ベルティーナは内心冷や汗をかく。
「取り立てて話せるようなことは……」
「何か『理系屋さん』ならではのお話を!……だめでしょうか?」
しゅーんとして眉尻を下げると、学生寮にいたモフモフ犬の『帰っちゃうの?』という悲しげな顔に重なった。ふわふわの金の髪にぺたんと倒れた犬耳が見えた。
これはモフモフ好きとして応えねばならんだろう、とベルティーナは謎の使命感に駆られる。
何が話せるだろう……と苦し紛れに辺りを見回し、小物を飾った棚に独楽(コマ)を見つけた。
木の円盤の真ん中に真っ直ぐな木の軸を差しただけの素朴な独楽だ。
「あの独楽は何か謂れのあるものですか?」
「いえ、街で普通の子供達が遊んでいる玩具と聞いてます。たまたま入手しまして、気に入ったので」
年少の使用人か誰かに貰ったのだろうか。
「あの独楽をお借りしてもいいですか?あと、恐縮ですが紙と鋏と絵の具も」
侍女が持ってきてくれた鋏を使い、紙を独楽の円盤と同じ大きさに丸く切る。ホールケーキを8等分にするように放射状に線を引き、1ピース毎に交互に黄緑色と赤を塗る。中心に穴を開け独楽の軸に差して円盤に載せる。
「この独楽を回すと、何色に見えると思いますか?」
「緑と赤が重なって見えるから黒でしょう?反対色だから両方混ざると黒。絵画の先生に習ったわ。少し色の調子はずれるかもしれないけど、それに近い色」
「では回してみましょう」
令嬢が座ったベッドからも見えるようサイドボードの上で回して見せる。
「……え?黄色?!」
綺麗な碧色の目が丸くなって瞬く。
「お嬢様は絵画で『色の三原色』を習ったかと思います。赤、青、黄色。3つ足すと黒です。お嬢様が仰ったように、絵の具の赤と緑を足しても黒になります」
実際にやると灰色とかになるが、原理はその通りだ。
「それとは別に『光の三原色』があります。赤、紺色、緑の3つです。
今回の場合、独楽の色という光を私達の目がどう受け止めるかなので、『色の三原色』でなく『光の三原色』の話になります。
そして、私達人間の目は、赤と緑の光を同時に見ると、黄色と感じる不思議な仕組みになっているのです」
見た目ではっきり色が変わって不思議に見えるので、これは素人目にも楽しい実験だ。だから選んでみた。
説明については、退屈そうにしていたらここまでで止めようと思っていたが、ますます目を輝かせ食い入るように聞いているので、更に踏み込んだ所まで話すことにする。少し難しい話になるのでゆっくり話す。
「人間の目には色を感じる『錐体(すいたい)』という細胞があります。それぞれ赤・緑・青を感じる3種類の錐体です。ーー個人差もありますが大雑把には。
これが光を受けて反応します。
この3つの錐体の反応のバランスで、私達は色を認識します。赤い光を受けると、赤の錐体だけ反応するので赤と認識する、というように。
黄色い光を受けると、人は黄色に対応する錐体を持ちませんが、代わりに赤と緑の錐体の両方が反応します。それを私達の目は黄色と解釈する仕組みとなっています。
ところがこの独楽のように、赤と緑の両方を同時に見ると、赤と緑の錐体が反応するので、それも私達の目は『黄色』と解釈してしまうのです」
錐体の話までは子供には難しすぎるだろうか、とも思ったが、こういうことこそ科学のワクワクする面白さだとベルティーナは思うので、話してみた。
そしてーーとベルティーナは思う。
自分の目に見えているものは『事実』そのものとは限らず、自分自身の目の仕組みによる『解釈』かもしれない。
その視点を持つことは、彼女が今後貴族としてーー人の上に立つ者として生きる上で、きっとこの先プラスになるだろう。
ーーそれから部屋にはいくつも紙の円盤が散らばった。
紺色と黄緑の独楽は明るい水色になり、紺色と赤の独楽はピンク色。3つ揃えば白。色を塗るピースの形を変えるとどうなる?
エリザベートは好奇心が満たされる興奮で頬を赤く染め、手を叩いて素朴な独楽に見入った。
貴族のレディでも妖精でもなく、一人の好奇心溢れる10歳の子供として、とても楽しそうだった。
ここ一年程体調が悪いと言う一人、白髪頭の庭師は首を捻る。
「吐いたり腹を下したり怠かったり。でも年だから色々弱ってるんだろうと言われると、あぁそうかもって気もしてくるし」
ベルティーナに向かい、自信なさげに眉尻を下げる。
ベルティーナはここ数日、あちこち調べ回っている。
人に話を聞いたり、おかしなことが起こっている現場を見に行ったり、図面を確認して計算したり。
相棒のエルンストと一緒に歩き回っていると、ベルティーナの赤毛、エルンストの金髪と青い制服で赤青黄色と賑やかな色でよく目立つ。
床に這いつくばったり、屋根に上ったりしていたかと思ったら、庭で食器を掲げて踊っていた。
ぎょっとした使用人達が、二人に付き添っている執事に助けを求めるように視線を送るが、彼は口元を少し引きつらせつつ厳かに頷くだけだった。
◇◆◇◆◇◆
ベルティーナは体調を崩した一人、伯爵の令嬢を訪ねた。基本的には健康なのだが、時に庭師と似たような症状が出ることがあり、今日もそれで部屋で休んでいるとのこと。
10歳とはいえレディの寝室なので、エルンストは外で待機しベルティーナと侍女だけ部屋に入った。
「エリザベートです。『理系屋さん』のお噂はかねがね。本当にズボンをお召しなんですね」
どんな噂だ。詳細は聞かないことにしようとベルティーナは心に決める。
ベッドの上に座る幼い美少女は、見た目は金色の波打つ髪に碧の目の儚げな妖精のようだが、貴族としての教育の賜物か、背筋を伸ばし綺麗な発音で整然とベルティーナの質問に答えた。
やはり庭師と同様、原因の心当たりを思い付かないらしい。
水や食べ物が原因なら屋敷の大半の者に症状が出てもおかしくないのに、あとは一部のメイドなど患者が限られている。
似た症状でも他の原因の可能性もある、とベルティーナは心のメモに書き込む。
ベルティーナがふと部屋の中に目をやると、書きかけの水彩画があった。
「絵がお好きなのですか」
「水彩画は貴族の淑女の教養の一つなので教師がついているのですが、私には向かないようで正直あまり興味を持てません。それより、貴女のお仕事の方が面白そうです。前から『理系屋さん』とお話してみたかったんです」
エリザベートは純真に目をキラキラさせてベルティーナを見つめる。どうやら『噂』は美化された方向性らしい。
ひょっとして、自分のような庶民がお嬢様と対談できたのは、お嬢様の要望もあったのだろうか。
ベルティーナは内心冷や汗をかく。
「取り立てて話せるようなことは……」
「何か『理系屋さん』ならではのお話を!……だめでしょうか?」
しゅーんとして眉尻を下げると、学生寮にいたモフモフ犬の『帰っちゃうの?』という悲しげな顔に重なった。ふわふわの金の髪にぺたんと倒れた犬耳が見えた。
これはモフモフ好きとして応えねばならんだろう、とベルティーナは謎の使命感に駆られる。
何が話せるだろう……と苦し紛れに辺りを見回し、小物を飾った棚に独楽(コマ)を見つけた。
木の円盤の真ん中に真っ直ぐな木の軸を差しただけの素朴な独楽だ。
「あの独楽は何か謂れのあるものですか?」
「いえ、街で普通の子供達が遊んでいる玩具と聞いてます。たまたま入手しまして、気に入ったので」
年少の使用人か誰かに貰ったのだろうか。
「あの独楽をお借りしてもいいですか?あと、恐縮ですが紙と鋏と絵の具も」
侍女が持ってきてくれた鋏を使い、紙を独楽の円盤と同じ大きさに丸く切る。ホールケーキを8等分にするように放射状に線を引き、1ピース毎に交互に黄緑色と赤を塗る。中心に穴を開け独楽の軸に差して円盤に載せる。
「この独楽を回すと、何色に見えると思いますか?」
「緑と赤が重なって見えるから黒でしょう?反対色だから両方混ざると黒。絵画の先生に習ったわ。少し色の調子はずれるかもしれないけど、それに近い色」
「では回してみましょう」
令嬢が座ったベッドからも見えるようサイドボードの上で回して見せる。
「……え?黄色?!」
綺麗な碧色の目が丸くなって瞬く。
「お嬢様は絵画で『色の三原色』を習ったかと思います。赤、青、黄色。3つ足すと黒です。お嬢様が仰ったように、絵の具の赤と緑を足しても黒になります」
実際にやると灰色とかになるが、原理はその通りだ。
「それとは別に『光の三原色』があります。赤、紺色、緑の3つです。
今回の場合、独楽の色という光を私達の目がどう受け止めるかなので、『色の三原色』でなく『光の三原色』の話になります。
そして、私達人間の目は、赤と緑の光を同時に見ると、黄色と感じる不思議な仕組みになっているのです」
見た目ではっきり色が変わって不思議に見えるので、これは素人目にも楽しい実験だ。だから選んでみた。
説明については、退屈そうにしていたらここまでで止めようと思っていたが、ますます目を輝かせ食い入るように聞いているので、更に踏み込んだ所まで話すことにする。少し難しい話になるのでゆっくり話す。
「人間の目には色を感じる『錐体(すいたい)』という細胞があります。それぞれ赤・緑・青を感じる3種類の錐体です。ーー個人差もありますが大雑把には。
これが光を受けて反応します。
この3つの錐体の反応のバランスで、私達は色を認識します。赤い光を受けると、赤の錐体だけ反応するので赤と認識する、というように。
黄色い光を受けると、人は黄色に対応する錐体を持ちませんが、代わりに赤と緑の錐体の両方が反応します。それを私達の目は黄色と解釈する仕組みとなっています。
ところがこの独楽のように、赤と緑の両方を同時に見ると、赤と緑の錐体が反応するので、それも私達の目は『黄色』と解釈してしまうのです」
錐体の話までは子供には難しすぎるだろうか、とも思ったが、こういうことこそ科学のワクワクする面白さだとベルティーナは思うので、話してみた。
そしてーーとベルティーナは思う。
自分の目に見えているものは『事実』そのものとは限らず、自分自身の目の仕組みによる『解釈』かもしれない。
その視点を持つことは、彼女が今後貴族としてーー人の上に立つ者として生きる上で、きっとこの先プラスになるだろう。
ーーそれから部屋にはいくつも紙の円盤が散らばった。
紺色と黄緑の独楽は明るい水色になり、紺色と赤の独楽はピンク色。3つ揃えば白。色を塗るピースの形を変えるとどうなる?
エリザベートは好奇心が満たされる興奮で頬を赤く染め、手を叩いて素朴な独楽に見入った。
貴族のレディでも妖精でもなく、一人の好奇心溢れる10歳の子供として、とても楽しそうだった。
0
あなたにおすすめの小説
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました
さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。
裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。
「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。
恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……?
温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。
――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!?
胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる