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2章 爆発な事件
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「ふぁ…ふ……」
ベルティーナは大口を開けてあくびをする。
ベルティーナの村は小さくて、乗合馬車など出ていない。
翌日早朝、村人が街へ野菜を納品する荷車にエリザベートと2人で同乗させてもらい、街でエルンストと合流して、長距離の乗合馬車に乗り込んだところであくびが出た。
エルンストが大口に気づいて言う。
「朝早くから悪いな。しかし普段昼夜逆転してるせいもあるだろう。星の観測をしたいのは分かるが、毎晩夜通し必要とは限らんだろう。少しは昼間に起きるようにしないと体に悪いぞ」
「エルンストのオカン…」
そう、研究は観測だけでなく机に向かう時間も多いものだ。机に向かうのは昼間でもいい。というか、蝋燭代を考えると昼間のがいい。
しかし、春に伯爵家の案件を解決した報酬でいいレンズが買えて、嬉しくてつい観測に力を入れてしまうのだ。
エリザベートを弟子に迎えたので、時間が押してしまうという理由もある。
現在の生活はこうだ。
朝、エリザベートは一人で起きて、作りおきのおかずやポリッジや朝配達される牛乳で朝食をとる。
午前、前日の復習などの自習と簡単な家事と自由時間。
昼、起きてきたベルティーナと昼食(ベルティーナにとっては朝食)をとる。
午後、2人で授業。授業の合間にベルティーナも多少の家事。
夜、夕食をとり、エリザベートは休む。ベルティーナは次の授業の計画をたてたり自分の研究をし合間に夜食をとり、明け方近くに眠る。
エリザベートの母親の実家から払われる授業料の一部で、近所の家事請負人に洗濯と夕飯作りと買い出しという大物は頼んでいるので、家事負担はなんとかなっている。
洗濯は、家中の鍋を総動員で台所で湯を沸かし、盥に湯を張っては入れ替え、洗濯物を洗濯棒で半時間かき回し手で絞るのを何度も繰り返し…と、洗うだけでも1日仕事だ。
いつか湯でなく水でも溶ける石鹸が開発されて、湯沸かしの手間だけでも減ってくれれば泣いて喜ぶ、と思うのはベルティーナだけではあるまい。
更にアイロンがけや糊づけもある。週一回程度とはいえ、とても授業や研究と平行して続けられるものではない。
弟子入りは、弟子に家事労働をさせて授業料とすることも多いが、ベルティーナは児童労働に否定的だ。現実には、平民の子供の労働は当たり前に行われてはいるけれど。
エリザベートには自分の朝食の用意や簡単な掃除位はしてもらってるが、それは人として最低限身につけた方がいいことだからた。それが当たり前にできると人生の自由度が格段に上がる。
授業料は全てベルティーナの懐に入れても文句は言われなかったかもしれないが、ここはお金の遣いどころだろう、とエリザベートのためにも大物の家事は外注している。
子供を預かる大人として、エリザベートが朝起きて夜眠り、適切な食事をとり、清潔に暮らせるようにと今のライフスタイルになっている。
ベルティーナ自身は一人暮らしだった頃はろくなものを食べてなかったし、今も昼夜逆転しているが、子供の福祉は別腹だろう、と気を付けている。
がたん、と馬車が揺れる。
馬車が街の門を出て、街同士を繋ぐ街道に入った。街の喧騒が少しずつ遠ざかり、車輪のガタゴトという音や馬の蹄の音に鳥の声が混じるのが聞こえる位に静かになってきた。
乗り合い馬車は貴族の馬車と違い緩衝装置もろくにないので大変揺れる。しかも座席が狭いし音が大きい。細々した話に不向きなので、車内では本格的な授業をするのも本を読むにも向かない。
隣のエリザベートは今は馬車や窓の外の景色を珍しげに見ているが、目的地までは3日かかる。折角弟子入りしたのに勉強の時間を無駄にさせてしまうのも何なので、ちょっと工夫した授業をしてみる。
「エリザベート」
「はい」
「クイズです」
エリザベートは美しい翠の目を瞬かせる。
「エリザベートの目の前に象がいるとします。この体重を量るにはどうしたらいいでしょう? 秤は人間一人分の重さを量れる位のものしかありません。どうやって量りますか?」
エリザベートの反対側の隣にいるエルンストが言った。
「象は生きてるのか?」
何故かエルンストが当たり前のように参加した。
「生きてます」
「死んでたら、小さく切断して量れば」
「却下」
喰い気味に答える。令嬢の前で猟奇展開へ持ちこみたくない。その選択肢がないように、岩とかでなく生き物の設定なのだ。
「秤の他に道具を使ってもいいのですか?」
エリザベートが首を傾げつつ真剣な顔で言う。
「いい質問です。そう、何を使えば量れるか考えてください」
翠の目で前方を睨むようにして考え込むエリザベート。彼女は上品に妖精のよう美しく微笑むこともできるけど、こうして好奇心と知性で目を輝かせて頭を巡らせている時が一番生き生きしている、と師匠バカはニヨニヨする。
翠の視線がきらりとして、ベルティーナに戻る
「昨日の授業の、『浮力』を使いますか?」
黙って頷くベルティーナに、エリザベートは正解を確信する。
「船と石を使います。まず象を船にのせます。すると重さの分だけ船が沈んで水面が船の縁に近づく。船体にこの水面の高さの印をつけてから象を下ろします。
次にその印に水面が来るまで石を載せる。これで、象と同じ重さだけ石が量りとれます。
あとは石を少しずつ秤で量ればいい」
「正解です!」
他の乗客に迷惑にならないよう、音をたてず拍手する。
正解した達成感と満足感で、エリザベートが輝く笑顔になる。
いい笑顔!師匠冥利につきるな!うちの弟子賢い!格好いい!最高!
「科学では、測定したい対象が直接測れないことも大変多いです。その時、代わりに何をどんな風に測定すればいいか、考えることが答に辿り着く道になります。
空の星までの距離を測れる巻き尺はありませんよね?でも三角法という方法で測定できる、というのも先人が見つけた道です」
クイズという形式をとっているけど、これは、既に持っている知識や道具を使って新しいことを可能にするための思考訓練だ。
もう一つ、もっと難しいけどこれもやってみよう。
「次の問題です。
鍋に8割程まで水を入れて、木のコップを浮かべます。このコップには小石が1個入っています。
そして、鍋の内側に、水面の高さで線を引いて印をつけます。
その後、コップの中の小石を鍋の中に落としました。
さて、鍋の水面は、印の位置より上がりますか?下がりますか?同じですか?」
エリザベートは目をまん丸にする。
「浮力は、物体が水を押し退けた体積分の水の質量と同じ大きさで…コップは小石の質量の分沈んでその分水面は上がっていたけど、それがなくなるから…でも小石が鍋に沈んだ分水面は上がって…えええ---?!」
ベルティーナはわざと意地悪そうに笑ってみせる
「実験するとすぐ分かるんだけどね。科学では実験や測定ができないことがあるし、思考実験で直感的に理解するって、科学を勉強していく上で力になるよ。
コツは、『極端な例』ならどうなるか考えてみること」
エリザベートはもう一度「えええ---!」というと眉間に深い皺を刻んで考え込む。
「…小石が殆ど重さがない場合…だと水面は変わらなくて例にする意味がないか。大きさが凄く小さいと…?」
ふとベルティーナが顔を上げるとエルンストはニコニコしながら2人を見ている。
「弟子入りの授業ってどんなかと思ったけど、こんな感じなんだな」
「家だともっと本を引用したり計算式書いたりして、もう少し違うけどね」
「いやぁ、2人とも楽しそうだなぁって。授業って俺は退屈な記憶しかないけど」
2人? 自分もそんなに楽しそうだったろうか、とベルティーナは振り返る。
確かに、自分の好きな分野の話で同志と盛り上がれるのは、どの分野でも楽しいことかもしれない。
「エルンストは分かった?」
「いや、潔く諦めた。こういうのはベルティーナとエリザベート様に任せる。俺は脳筋で生きていくんだ」
澄まして胸を張るエルンスト。
そんな彼にベルティーナはふっと笑みがもれる。
男性は、女性や子供に負けると、プライドが傷ついたと攻撃的になる人が大変多い。ベルティーナ自身、心が凍るような思いをした経験は数知れない。けれど、エルンストはそういうことがなくて凄くほっとする。
学生時代周囲は男性だらけで、本当に随分色々あった。あの頃の男性でつきあいが続いているのがエルンストだけなのは、こうした面が大きい気がする。
ベルティーナの視線に気付いてエルンストが言う。
「あ、朝早かったから腹減ったか? 飴舐めるか? 最近街で流行ってる飴なんだ。旨いぞ」
ポケットから小さな缶を出してベルティーナとエリザベートの手に一つ一つずつ飴を載せる。
エルンストはやっぱりオカンだった。
=====
読んでくださりありがとうございます。
皆様は鍋の問題、解けましたか?
エリザベートと一緒に考えてみてください。
エルンストと一緒に回答待ちの方は、次回をご覧ください。
待ちきれない方はご自宅の鍋とお椀で実験してみてください(^^)
なお、近世頃の石鹸は水では溶けません。現代でも欧米ではお湯で洗濯するのはその名残りとも言われています。
ベルティーナは大口を開けてあくびをする。
ベルティーナの村は小さくて、乗合馬車など出ていない。
翌日早朝、村人が街へ野菜を納品する荷車にエリザベートと2人で同乗させてもらい、街でエルンストと合流して、長距離の乗合馬車に乗り込んだところであくびが出た。
エルンストが大口に気づいて言う。
「朝早くから悪いな。しかし普段昼夜逆転してるせいもあるだろう。星の観測をしたいのは分かるが、毎晩夜通し必要とは限らんだろう。少しは昼間に起きるようにしないと体に悪いぞ」
「エルンストのオカン…」
そう、研究は観測だけでなく机に向かう時間も多いものだ。机に向かうのは昼間でもいい。というか、蝋燭代を考えると昼間のがいい。
しかし、春に伯爵家の案件を解決した報酬でいいレンズが買えて、嬉しくてつい観測に力を入れてしまうのだ。
エリザベートを弟子に迎えたので、時間が押してしまうという理由もある。
現在の生活はこうだ。
朝、エリザベートは一人で起きて、作りおきのおかずやポリッジや朝配達される牛乳で朝食をとる。
午前、前日の復習などの自習と簡単な家事と自由時間。
昼、起きてきたベルティーナと昼食(ベルティーナにとっては朝食)をとる。
午後、2人で授業。授業の合間にベルティーナも多少の家事。
夜、夕食をとり、エリザベートは休む。ベルティーナは次の授業の計画をたてたり自分の研究をし合間に夜食をとり、明け方近くに眠る。
エリザベートの母親の実家から払われる授業料の一部で、近所の家事請負人に洗濯と夕飯作りと買い出しという大物は頼んでいるので、家事負担はなんとかなっている。
洗濯は、家中の鍋を総動員で台所で湯を沸かし、盥に湯を張っては入れ替え、洗濯物を洗濯棒で半時間かき回し手で絞るのを何度も繰り返し…と、洗うだけでも1日仕事だ。
いつか湯でなく水でも溶ける石鹸が開発されて、湯沸かしの手間だけでも減ってくれれば泣いて喜ぶ、と思うのはベルティーナだけではあるまい。
更にアイロンがけや糊づけもある。週一回程度とはいえ、とても授業や研究と平行して続けられるものではない。
弟子入りは、弟子に家事労働をさせて授業料とすることも多いが、ベルティーナは児童労働に否定的だ。現実には、平民の子供の労働は当たり前に行われてはいるけれど。
エリザベートには自分の朝食の用意や簡単な掃除位はしてもらってるが、それは人として最低限身につけた方がいいことだからた。それが当たり前にできると人生の自由度が格段に上がる。
授業料は全てベルティーナの懐に入れても文句は言われなかったかもしれないが、ここはお金の遣いどころだろう、とエリザベートのためにも大物の家事は外注している。
子供を預かる大人として、エリザベートが朝起きて夜眠り、適切な食事をとり、清潔に暮らせるようにと今のライフスタイルになっている。
ベルティーナ自身は一人暮らしだった頃はろくなものを食べてなかったし、今も昼夜逆転しているが、子供の福祉は別腹だろう、と気を付けている。
がたん、と馬車が揺れる。
馬車が街の門を出て、街同士を繋ぐ街道に入った。街の喧騒が少しずつ遠ざかり、車輪のガタゴトという音や馬の蹄の音に鳥の声が混じるのが聞こえる位に静かになってきた。
乗り合い馬車は貴族の馬車と違い緩衝装置もろくにないので大変揺れる。しかも座席が狭いし音が大きい。細々した話に不向きなので、車内では本格的な授業をするのも本を読むにも向かない。
隣のエリザベートは今は馬車や窓の外の景色を珍しげに見ているが、目的地までは3日かかる。折角弟子入りしたのに勉強の時間を無駄にさせてしまうのも何なので、ちょっと工夫した授業をしてみる。
「エリザベート」
「はい」
「クイズです」
エリザベートは美しい翠の目を瞬かせる。
「エリザベートの目の前に象がいるとします。この体重を量るにはどうしたらいいでしょう? 秤は人間一人分の重さを量れる位のものしかありません。どうやって量りますか?」
エリザベートの反対側の隣にいるエルンストが言った。
「象は生きてるのか?」
何故かエルンストが当たり前のように参加した。
「生きてます」
「死んでたら、小さく切断して量れば」
「却下」
喰い気味に答える。令嬢の前で猟奇展開へ持ちこみたくない。その選択肢がないように、岩とかでなく生き物の設定なのだ。
「秤の他に道具を使ってもいいのですか?」
エリザベートが首を傾げつつ真剣な顔で言う。
「いい質問です。そう、何を使えば量れるか考えてください」
翠の目で前方を睨むようにして考え込むエリザベート。彼女は上品に妖精のよう美しく微笑むこともできるけど、こうして好奇心と知性で目を輝かせて頭を巡らせている時が一番生き生きしている、と師匠バカはニヨニヨする。
翠の視線がきらりとして、ベルティーナに戻る
「昨日の授業の、『浮力』を使いますか?」
黙って頷くベルティーナに、エリザベートは正解を確信する。
「船と石を使います。まず象を船にのせます。すると重さの分だけ船が沈んで水面が船の縁に近づく。船体にこの水面の高さの印をつけてから象を下ろします。
次にその印に水面が来るまで石を載せる。これで、象と同じ重さだけ石が量りとれます。
あとは石を少しずつ秤で量ればいい」
「正解です!」
他の乗客に迷惑にならないよう、音をたてず拍手する。
正解した達成感と満足感で、エリザベートが輝く笑顔になる。
いい笑顔!師匠冥利につきるな!うちの弟子賢い!格好いい!最高!
「科学では、測定したい対象が直接測れないことも大変多いです。その時、代わりに何をどんな風に測定すればいいか、考えることが答に辿り着く道になります。
空の星までの距離を測れる巻き尺はありませんよね?でも三角法という方法で測定できる、というのも先人が見つけた道です」
クイズという形式をとっているけど、これは、既に持っている知識や道具を使って新しいことを可能にするための思考訓練だ。
もう一つ、もっと難しいけどこれもやってみよう。
「次の問題です。
鍋に8割程まで水を入れて、木のコップを浮かべます。このコップには小石が1個入っています。
そして、鍋の内側に、水面の高さで線を引いて印をつけます。
その後、コップの中の小石を鍋の中に落としました。
さて、鍋の水面は、印の位置より上がりますか?下がりますか?同じですか?」
エリザベートは目をまん丸にする。
「浮力は、物体が水を押し退けた体積分の水の質量と同じ大きさで…コップは小石の質量の分沈んでその分水面は上がっていたけど、それがなくなるから…でも小石が鍋に沈んだ分水面は上がって…えええ---?!」
ベルティーナはわざと意地悪そうに笑ってみせる
「実験するとすぐ分かるんだけどね。科学では実験や測定ができないことがあるし、思考実験で直感的に理解するって、科学を勉強していく上で力になるよ。
コツは、『極端な例』ならどうなるか考えてみること」
エリザベートはもう一度「えええ---!」というと眉間に深い皺を刻んで考え込む。
「…小石が殆ど重さがない場合…だと水面は変わらなくて例にする意味がないか。大きさが凄く小さいと…?」
ふとベルティーナが顔を上げるとエルンストはニコニコしながら2人を見ている。
「弟子入りの授業ってどんなかと思ったけど、こんな感じなんだな」
「家だともっと本を引用したり計算式書いたりして、もう少し違うけどね」
「いやぁ、2人とも楽しそうだなぁって。授業って俺は退屈な記憶しかないけど」
2人? 自分もそんなに楽しそうだったろうか、とベルティーナは振り返る。
確かに、自分の好きな分野の話で同志と盛り上がれるのは、どの分野でも楽しいことかもしれない。
「エルンストは分かった?」
「いや、潔く諦めた。こういうのはベルティーナとエリザベート様に任せる。俺は脳筋で生きていくんだ」
澄まして胸を張るエルンスト。
そんな彼にベルティーナはふっと笑みがもれる。
男性は、女性や子供に負けると、プライドが傷ついたと攻撃的になる人が大変多い。ベルティーナ自身、心が凍るような思いをした経験は数知れない。けれど、エルンストはそういうことがなくて凄くほっとする。
学生時代周囲は男性だらけで、本当に随分色々あった。あの頃の男性でつきあいが続いているのがエルンストだけなのは、こうした面が大きい気がする。
ベルティーナの視線に気付いてエルンストが言う。
「あ、朝早かったから腹減ったか? 飴舐めるか? 最近街で流行ってる飴なんだ。旨いぞ」
ポケットから小さな缶を出してベルティーナとエリザベートの手に一つ一つずつ飴を載せる。
エルンストはやっぱりオカンだった。
=====
読んでくださりありがとうございます。
皆様は鍋の問題、解けましたか?
エリザベートと一緒に考えてみてください。
エルンストと一緒に回答待ちの方は、次回をご覧ください。
待ちきれない方はご自宅の鍋とお椀で実験してみてください(^^)
なお、近世頃の石鹸は水では溶けません。現代でも欧米ではお湯で洗濯するのはその名残りとも言われています。
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