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第4章
2度目の儀式
エリアスが深く落ちていた意識の底から浮上し、目を覚ました時、ベッドの上でヴォルフの広い胸に背中を預けていた。
「……っ」
エリアスが身じろぎをしたのに気づき、ヴォルフが背後からぎゅっと抱き寄せてくる。
耳元に、沈痛な響きを含んだ声が落ちてきた。
「……エリアス……本当にすまない。君の身体を気遣って、休むために泊まろうと言ったのに……気絶するまで貪るなんて」
ヴォルフの深く落ち込んだ声を聞きながら、エリアスはぐったりと脱力したまま、ぼんやりとしていた。
指一本動かせないほど、身体が重く、動かない。
ヴォルフの手が、エリアスの首筋にそっと触れる。
「しかもこんな……首も噛んでしまって……痛かっただろう?」
ヴォルフの指先が触れた場所に、ジンとした熱と痛みが残っている。
エリアスは乾いた喉を鳴らし、ようやく声を絞り出した。
「…………ヴォルフ…………謝らないで、ください…………」
かすれた声で、なんとかそれだけを言葉にした。
謝らないでほしい。
これは、エリアス自身もヴォルフを求めた結果だ。
噛まれた痛みさえも、すごく嬉しかった。
まるで、もう一度結婚式を挙げたみたいに。もう一度、彼に「番」にしてもらったみたいで、魂が満たされたのだ。
そう伝えたいのに、言葉が続かない。
ヴォルフが本気で反省して青ざめるくらい、エリアスの身体は情事の痕跡だらけで、ぼろぼろだったからだ。
「……ふふ」
エリアスは身動きひとつ取れないけれど、口元だけで力なく笑った。
こんな酷い状況なのに、身体は痛むのに、心から嬉しくてたまらない。
(……なぜ、こんなにも)
なぜこんなにも自分を求めて、なりふり構わず愛してくれる人を、一人にできたのだろうか。
「ひとりにしないで」と泣いたヴォルフの声を思い出し、愛しさで胸が爆発しそうだった。
けれど、もう限界だった身体は言うことを聞かず、再びゆったりと意識が闇へと落ちかけていく。
「……あ」
エリアスのまぶたが重く閉じていくのを察し、ヴォルフはエリアスを抱きしめて優しく頭を撫でた。
「……このまま、眠っていい。私が、君が眠っている間に……部屋の浴室で綺麗にしてあげるよ」
ヴォルフのその献身的な言葉に、エリアスはかろうじてコクンと頷いた。
(ありがとう、ヴォルフ……)
絶対的な安心感の中、エリアスは気絶するように、愛する人の腕の中で再び深い眠りに落ちていった。
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