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番外編
悩める弟4
しおりを挟むあの日、キスの味で互いの想いを告げ合ってから、ヨハンとカイは正式に付き合うようになった。
花屋の仕事が終わってから、ヨハンの部屋にカイを招き、誰の目も気にせずに二人きりの時間を過ごすのが日課となっていた。
「……ん、……っ」
ベッドの上で、カイが仰向けに寝転がり、ヨハンがその逞しい身体の上に跨るように乗っかっていた。
カイは年下だからか、それともヨハンを尊重してくれているのか、ヨハンがしたいようにさせてくれている。
「カイ……好き、大好きだよ……」
「俺もだ。……愛してる、ヨハン」
甘い言葉を囁き合いながら、ヨハンは上から降り注ぐように、ちゅ、ちゅ、と小鳥のようなキスを繰り返した。
だが、次第に熱がこもり、興奮してくると、カイはゆっくりと唇を開き、ヨハンの口腔内へと舌を侵入させてきた。
「んぅ……っ」
キスが深くなるにつれ、カイの大きくゴツゴツした手が、ヨハンの細い腰を愛おしそうに撫で回す。
ヨハンはこうなると、途端に身体が痺れて思考が霞んでくる。
(僕の方が年上なんだから……こうして、僕がリードしてあげなきゃいけないのに……)
必死に兄貴風を吹かせようと頑張っていたのに、カイに触れられるだけで思考がまとまらなくなり、訳が分からなくなってしまう。
クチュ、と湿った音がして、絡み合う舌からカイの唾液を感じた瞬間。
「ッ……!」
脳が溶けるほどに凄く甘く感じてしまって、ヨハンの身体がビク!と大きく震えた。
何度もこうしてキスをしているが、この蜂蜜のような、あるいは熟した果実のような甘さを感じると、ヨハンの本能の留め金が外れそうになってしまう。
(……これ以上は、まずい)
快感が許容量を超えそうになり、ヨハンは一旦落ち着こうと身体を引こうとした。
だが、カイも興奮のスイッチが入っていたのか、ヨハンが逃げようとしたその瞬間、逃がさないとばかりにヨハンの後頭部を大きな手で押さえつけた。
「んっ!?」
さらに深く、吸い尽くすようにキスされる。
そして、いつもはカイの逞しい身体に乗っている状態だったのに、この日初めて、視界がぐるんと反転した。
「あっ!」
カイがヨハンの身体を軽々と抱き上げ、そのままベッドに押し倒したのだ。
ヨハンが戸惑って目を見開いていると、覆い被さったカイは改めて深く唇を塞いできた。
「ん、ぁ……っ!」
逃げ場のない状態で、指と指をきつく絡められ、甘い唾液を口腔内にたっぷりと注がれる。
そのあまりの濃密さに、ヨハンはパニックになった。
甘い、気持ちいい、怖い……どうにかなってしまいそうだ。
混乱した思考のまま、身体の奥の熱が一気に沸点に達した。
「あ、ぅ、イッ……ーーッ!!」
なんと、ヨハンは性器に触れられてもいないのに、ただキスをされただけで射精してしまった。
ビクビク!と大きく身体が痙攣したのをカイも感じたのか、驚いて唇を離した。
「……ヨハン?」
至近距離で目が合う。
カイの唇は濡れていて、瞳は熱を帯びている。
ヨハンは、自分の下腹部が濡れてしまった感覚に襲われ、怖いくらいに震えてしまった。
(こんな……キスしただけで、イクなんて……)
(やっぱり、僕の身体はおかしいんだ……。変態なんだ……)
困惑と恥ずかしさが一気に押し寄せ、ヨハンの目からポロポロと涙が溢れ出した。
「う、うぅ……っ」
「ヨハン!?どうした、俺なにか痛いこと……」
カイも、突然泣き出したヨハンに困惑したようで、覆い被さっていた身体を慌てて起こした。
その隙を、ヨハンは見逃さなかった。
「ごめんっ!!」
「えっ、おい!」
ヨハンは脱兎のごとくカイの身体の下から逃げ出し、靴も履かずに部屋を飛び出した。
そのまま、家から逃げるように駆け出した。
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