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2.元悪役令嬢の恋人
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まだ赤ん坊のころ、ぼくは陛下と初めてお会いしたらしい。そのときはこんなことになるとは思わなかったと母上も父上もおっしゃる。
この国の女王陛下は既に三十路を越えられている。それにも関わらず独身なのはいまだに初恋を忘れられないから。そうささやかれている。初恋の相手は我が父。朴念仁にもほどがある。地味な母より女王様の方が何倍も美しいしその頭脳も素晴らしいし人を引き付ける魅力にあふれている。
そう言うと父には殴られ床に座らされて何時間も説教される。その様子を母と弟たちがあきれた表情で見ているのが常だ。解せない。後でこっそり母上に言われた。
「あの人にとって女王陛下はね、神にも等しいの。そんな方の足を引っ張るようなことを言ったら怒られるにきまってるじゃない」
母上もちょっとずれているような。
話は変わるが、幼い頃から陛下に可愛がられていたぼくは宮廷内で遊ぶことが多かった。そのためいろいろなう技話を聞くことが多い。聞いた話をいろいろ組み立てて考えるのが好きだった。考えついたことをすぐに大人に話すといろいろ怒られる。生意気だと。そんな僕の話を聞いてくれるおじいちゃんがいた。
「なるほどなるほど、じゃが、こう考えたらどうだ?」
「えーー、そうかぁ、そこはわからなかった。おじいちゃん物知りだぁ、すごいなぁ」
あとで知ったのだけど、このお爺ちゃん、先代の宰相閣下だった。お爺ちゃんのススメでいろいろな本も読むようになりさらに本来は高位貴族の子弟でないと学べないようなことも学ばせてもらえた。そんなぼくは今は宰相閣下の懐刀と言われる方の元で働いている。
女王陛下は働きすぎと言っていいほどよく働く。なので、ぼくが幼い頃は陛下を適度に休ませるのが役目だった。母などの女官が言っても手を止めない陛下もぼくが言うと手を止めて休んでくれるから。
さすがに成人した今ではそんなことはないが、ときどき仕事のお使いで陛下の前に行くとそれを口実に手を休める。なので、いまでも女官たちに感謝されていた。それでも、働き過ぎは止まらずとうとう倒れてしまわれた。
子供のころ、熱を出し寝込まれた陛下に庭園で庭師に頼んで花をもらいお見舞いしたな。そんなことを思い出してこっそり夜中に陛下の書斎に忍び込むと……仕事をしている陛下がいた。
「さすがに怒りますよ、今はとにかく寝てください」
「えー、一人じゃ淋しいから一緒に寝てぇ」
「子供じゃないんですからそんなこと言わないでください」
「じゃあ、仕事する」
ぼくは溜息をついて陛下に言う。
「今夜だけですよ。それに少しだけ。すぐに帰りますから」
「じゃあね、もう一つお願い、横抱きにしてベッドまで連れて行って」
こうなったら言うこと聞かないわがままお嬢様なんだから。
ぼくは仕方なく陛下をベッドまで連れて行くとそのまま陛下に首筋に手をまわされ、キスをされた。ただでさえ大好きな陛下にこんなことされて止まるわけがない。ぼくはそのまま陛下と肌を合わせ大人の階段を昇った。
何度かこういうことがあって陛下は懐妊された。相手は……バレバレだった。なにせ陛下のまわりに目がいる。そして僕にも目が付けられていた。さらに陛下の思惑と宰相閣下の思わくが一致した結果、ぼくは異例な年下すぎる王配となった。
結婚式も終わり赤ん坊を抱えていらっしゃる陛下。今日は母上と父上も一緒にいる。母上が陛下のそばに寄ってニコニコしながらこう言った。
「私、男の子ばかりだったから娘が欲しかったのよね。よろしくお願いしますわ、アクヤクレイジョウ様」
陛下は笑顔を見せているけれど頬はぴくぴく動いている。父上と二人してこの茶番を見ていたら父上にこう耳打ちされた。
「いいか、絶対にあの二人一緒のときには逆らうなよ」
「「なにかしら?」」
「「なっ、なんでもありません!」」
今日も王宮は平和です。
この国の女王陛下は既に三十路を越えられている。それにも関わらず独身なのはいまだに初恋を忘れられないから。そうささやかれている。初恋の相手は我が父。朴念仁にもほどがある。地味な母より女王様の方が何倍も美しいしその頭脳も素晴らしいし人を引き付ける魅力にあふれている。
そう言うと父には殴られ床に座らされて何時間も説教される。その様子を母と弟たちがあきれた表情で見ているのが常だ。解せない。後でこっそり母上に言われた。
「あの人にとって女王陛下はね、神にも等しいの。そんな方の足を引っ張るようなことを言ったら怒られるにきまってるじゃない」
母上もちょっとずれているような。
話は変わるが、幼い頃から陛下に可愛がられていたぼくは宮廷内で遊ぶことが多かった。そのためいろいろなう技話を聞くことが多い。聞いた話をいろいろ組み立てて考えるのが好きだった。考えついたことをすぐに大人に話すといろいろ怒られる。生意気だと。そんな僕の話を聞いてくれるおじいちゃんがいた。
「なるほどなるほど、じゃが、こう考えたらどうだ?」
「えーー、そうかぁ、そこはわからなかった。おじいちゃん物知りだぁ、すごいなぁ」
あとで知ったのだけど、このお爺ちゃん、先代の宰相閣下だった。お爺ちゃんのススメでいろいろな本も読むようになりさらに本来は高位貴族の子弟でないと学べないようなことも学ばせてもらえた。そんなぼくは今は宰相閣下の懐刀と言われる方の元で働いている。
女王陛下は働きすぎと言っていいほどよく働く。なので、ぼくが幼い頃は陛下を適度に休ませるのが役目だった。母などの女官が言っても手を止めない陛下もぼくが言うと手を止めて休んでくれるから。
さすがに成人した今ではそんなことはないが、ときどき仕事のお使いで陛下の前に行くとそれを口実に手を休める。なので、いまでも女官たちに感謝されていた。それでも、働き過ぎは止まらずとうとう倒れてしまわれた。
子供のころ、熱を出し寝込まれた陛下に庭園で庭師に頼んで花をもらいお見舞いしたな。そんなことを思い出してこっそり夜中に陛下の書斎に忍び込むと……仕事をしている陛下がいた。
「さすがに怒りますよ、今はとにかく寝てください」
「えー、一人じゃ淋しいから一緒に寝てぇ」
「子供じゃないんですからそんなこと言わないでください」
「じゃあ、仕事する」
ぼくは溜息をついて陛下に言う。
「今夜だけですよ。それに少しだけ。すぐに帰りますから」
「じゃあね、もう一つお願い、横抱きにしてベッドまで連れて行って」
こうなったら言うこと聞かないわがままお嬢様なんだから。
ぼくは仕方なく陛下をベッドまで連れて行くとそのまま陛下に首筋に手をまわされ、キスをされた。ただでさえ大好きな陛下にこんなことされて止まるわけがない。ぼくはそのまま陛下と肌を合わせ大人の階段を昇った。
何度かこういうことがあって陛下は懐妊された。相手は……バレバレだった。なにせ陛下のまわりに目がいる。そして僕にも目が付けられていた。さらに陛下の思惑と宰相閣下の思わくが一致した結果、ぼくは異例な年下すぎる王配となった。
結婚式も終わり赤ん坊を抱えていらっしゃる陛下。今日は母上と父上も一緒にいる。母上が陛下のそばに寄ってニコニコしながらこう言った。
「私、男の子ばかりだったから娘が欲しかったのよね。よろしくお願いしますわ、アクヤクレイジョウ様」
陛下は笑顔を見せているけれど頬はぴくぴく動いている。父上と二人してこの茶番を見ていたら父上にこう耳打ちされた。
「いいか、絶対にあの二人一緒のときには逆らうなよ」
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「「なっ、なんでもありません!」」
今日も王宮は平和です。
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