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陥れて殺したはずの幼馴染に新妻を寝取られた

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結婚式も終わり俺は新妻の待つ寝室に向かう。

 俺を酔わせようとする男たちとそれを邪魔する女たち。まぁ、この地方の風習だ。男たちも本気で酔わせようとしているわけではない。だから足元もしっかりしているはずだ。



 窓の外には暗闇が広がっている。ガラスには僕の顔だけが映っている。ふと、いわかんを感じて窓の外をのぞき込もうとすると、そこに映っているのは俺ではなく半年前に死んだ幼馴染の顔。

 俺は悲鳴を飲み込みもう一度見るとそこにはずっと見慣れた自分の顔が映っていた。



 新妻のフローレンスは掛け布の中に隠れていた。

 俺が服に手をかけるとびくっと反応した。それを気にせず服を剥ぐ。服の下からは白い肌に豊かな胸、豊満な腰が現れる。

「やさしくして、アーサー」



 俺はショックを受けた。アーサーは俺が殺した幼馴染。なんでいまここでその名前が。

 壁に貼ってある鏡を見るといままさにフローレンスを抱こうとしているのはアーサーだった。



 俺は混乱してフローレンスから離れようとした。でも体が自由に動かない。そのままたゆんと揺れる胸に口づけをして男を知らない秘所に手をやる。



「あぁ……」



 かわいらしい乳首に口づけをするとフローレンスは悩まし気な声を漏らす。手の動きに眉をしかめる。痛いのか気持ちいいのか頭を振ると波のように金色の髪が揺れる。これは全部俺のものだったのに、いま、まさに初夜なのにアーサーに奪われている。



 やがて秘所は愛液で満たされアーサーはその逸物を花びらの中心に合わせフローレンスの中に入った。彼女は痛みに耐えながらアーサーを受け入れていた。





◆◆◆

 

 半年ほどしてフローレンスは妊娠した。お腹の子供は順調に育ち翌年にはアーサーにそっくりな子供を産んだ。

 俺はそれを見てようやく体をすべてアーサーに奪われたことを自覚して館を出た。



 気が付いたらアーサーを殺した森にいた。そこで何日もさ迷い歩いた。

 どのくらいたっただろう、初めて訪問者が訪れた。アーサーだ。



「ここにいたのか」

「……」

「ここでお前を見かけたと村の人が言っていたが本当だったのだな」

「……」

「お前が死んでから3年か。ようやく下手人を捕まえたよ。隣の領の手下だ。フローレンスとこの森が欲しかったようだ」

「……」

「とばっちりだよ、俺はこれでアリサ様、フローレンスのおば様と永遠に結ばれることがなくなったよ」

「フローレンスはお前と結婚するのを楽しみにしていた」

「俺はフローレンスがかわいい、けれど彼女が好きだったのは今でもお前だ」



  そのあと黙りこくったアーサーだがのろのろと立ち上がり踵を返して森を去っていった。

 

 死んだのは俺だったのか。そしてあの初夜で俺が乗り移られたのではなくて俺が乗り移って見ていたのか。



 死んだことを自覚したからか森から動くことはできなくなった。だんだんと感覚も朧になり自分が消えつつあるのがわかった。

 二人を恨む、二人を祝福する、そんなことはどうでもよかった。とにかく眠い、静かに眠りたい、それがさいごだった。
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