1 / 1
転生したら雄猫だった
しおりを挟む
目を開けると目の前にきれいな少女の顔があった。
「ねぇ、この子、私の猫?」
「そうよマリアのよ。かわいがってあげてね」
近くから別な女性の声が聞こえる。
「うん、大事にする。お母さまありがとう」
どうやら前世の記憶を持ったまま俺は猫に転生したようだ。
俺を見つめててる少女が俺のご主人様か。猫って言うのもいいな。
「ねえ、抱っこしていいかな」
そう言いながら少女が抱きあげる。
……
………
…………
この娘、マリアは前世の愛妻万梨阿の生まれ変わりだ。こんなところで出会えるなんて。何て幸運だ。猫でも彼女のそばにいれるのはうれしい。
「マリア、この子に名前を付けてあげて。それからお食事させるからマーサに渡してあげなさい」
「そうねぇ。白いから……ケン」
マリアはおれを侍女に手渡しながらそう言った。
周りからくすくす笑い声が聞こえる。白いからケンって。でも前世の俺の名前は健太郎。もしかして俺のこと覚えているのかも。
どうやらマリアは良いところのお嬢様というか貴族令嬢のようだ。俺が離乳したころ屋敷の中を巡回していて知った知識だ。
屋敷の中がバタバタしている。今日はマリアの婚約者が来るらしい。複雑な気持ちだが今は猫と人、結ばれないのはわかる。だから祝福しよう。
入ってきた令息はなかなかの美男子だった。マリアと並ぶと美男美女だ。見つめるマリアの耳元がかすかに赤い。はぁ、仕方ないな。
応接室で二人が話す様子を侍女に抱っこされて見つめる。にこやかに談笑する二人はやがて顔をくっつけるようにして話し始めた。マリアが驚いたように口の前に手を当てる。やがて涙を流しながら婚約者のレイモンドに抱き着く。
なんだ、何があったんだ。
落ち着いたころ俺はマリアに呼ばれてそばに寄る。レイモンドが俺を抱きあげた瞬間わかった。こいつ前世の親友怜だ。
その日は赤くなったマリアの目が元に戻るころレイモンドは帰っていった。
その後も順調に交際を重ねやがて結婚式が近くなった。
幸せそうな二人。俺は見ていることしかできなかった。
今日も応接間で俺を抱っこしながらレイモンドを待つマリア。ノックの後入ってきたレイモンドを見て俺を床におろして抱きつく。
「あぁ、転生してもあなたと一緒になれるなんて神様のおかげね。またあなたの子供が欲しいわ」
ショックだった。万梨阿と怜は前世から? 俺たちの子供だと思っていたのは怜との子供? 俺は怜の足元を抜け外に出た。
誰もいない裏庭で俺は声を出さずに泣いた。前世、俺たちは確かに愛していると思った。それなのに万梨阿は俺じゃなくて怜が好きだったなんて。しかも俺たちの子供だと思ったのは怜との子供だったんだな。
落ち着いたところで俺は屋敷の外に向かって歩き出す。塀の近くの茂みに差し掛かったところで音がした。見ると、黒猫がうずくまっていた。
『どうした、こんなところで』
『頼む、何か食べるものを』
『猫なんだからそこらの……』
『猫じゃない、頼む、せめてミルクを』
黒猫が懇願するのでかわいそうになった俺は聞く。
『歩けるか』
『無理かも』
俺は仲の良い料理人見習いの少女を猫のそばまで連れてきた。
彼女は黒猫を見て心得たとばかりに頷く。
「ケンにも彼女かぁ。私もいい人いないかなぁ」
そう言って戻っていった彼女はミルクと鶏肉をボールに入れて持ってきてくれた。
黒猫は雌猫で名前をエリザベスというらしい。そして、
『私は偉大なる魔女なの、あんたは私を助けてくれた。お礼をしてあげる、よろこびなさい』
と偉そうに言う。偉そうに言っても猫だ。黒猫にしか見えない。
『まぁ、今は力もない黒猫なのよね』
ちょっとかわいそうかな。
「ケン~、どこにいるの?」
俺は隠れようとしたけれどエリザベスに邪魔される。
「ここにいたのね、あら、彼女さん? ケンもしあわせなのね」
エリザベスもマリアの飼い猫になった。
『ふむ、面白いな、お主たち共通の魂の色が見える。前世で縁があったのか』
『彼女は、前世の妻……いや違う』
『どうやら訳があるようだな、そうね、私に聞かせてみなさい』
『……』
『聞かせなさい』
エリザベスの迫力にまけて俺は洗いざらい答えた。
『そう、ちょっとおかしいのよね、あなた元の身体からおいだされて猫に封じられたみたいなの』
『えっ?』
『婚約者とやらにあってみたいわね』
翌日きたレイフォードにマリアがエリザベスを紹介する。大人しくレイフォードに抱かれたエリザベスは床におろされると一直線に俺の方にきた。
促されるようにして部屋を出て裏庭に向かった二匹。
『あいつがあなたの体を乗っ取った。それはたしか。でも、それをやったのは……』
『どうした?』
『まぁいいわ。結婚式はいつ? その時に元に戻すわ』
二人の結婚式は雨模様だった。それでも新郎新婦はしあわせそうだった。
式はつつがなく進み、二人が誓いの言葉を交わそうとしたとき、強い風が式場である聖堂の中に吹き込んできた。風がやむと隣にエリザベスの姿がなく新郎新婦の前には黒い衣装の女性が立っていた。
「誓いの前にわたしから祝福を」
そういうと神官が頷く。
「元ある形に戻りなさい。そして幸せになりなさい」
その言葉と共に俺は猫の体から抜けて人の身体に入る。
目の前には新婦であるマリアが。ただ、周りは凍り付いたように誰も動かなくなっていた。そして魔女は続ける。
「ナタリー、居るんでしょ、でてらっしゃい」
「お姉さまのバカ。私をほっぽって……」
同じく黒い衣装の女性が現われるとエリザベスをののしる。エリザベスが彼女の方に手をかざすと彼女はエリザベスの方に引き寄せられた。
「お姉さま、私は、むぐぅ」
お、女同士でキスをしている。
「すまないね、痴話げんかに巻き込んで。この娘はちゃんとお仕置きをするから。あとあの猫もこっちで引き取るから安心したまえ。幸せにおなり」
彼女たちが消え去ると魔法がとけ周りが動き始める。外は日が差している様だ。
「それでは誓いの言葉とキスを」
神官に即され結婚式は続く。すべてが終わって外に出るといつのまにか空は晴れ渡り黒い雲が去っていくのが見えた。
初夜を迎え二人きりの寝室。
「あぁ、本当に夢みたい。前世でね死ぬときに来世もケンちゃんと一緒がいいって神様にお願いしたの。願いって叶うのね。いっぱいしあわせになろうね」
そこに微笑んでるのは確かに俺が愛した妻万梨阿。どうやら猫に転生した怜は俺の体を乗っ取り万梨阿を自分のものにしようとしたらしい。それを助けたのはエリザベスの恋人のナタリー。痴話げんかの当てつけで怜の願いをかなえたらしい。前世で怜は俺を妬み恨んでいたのだろう。そして前世からマリアは俺のことを代わらず愛してくれていた。
俺はゆっくりとマリアを押し倒しキスを交わした。
「ねぇ、この子、私の猫?」
「そうよマリアのよ。かわいがってあげてね」
近くから別な女性の声が聞こえる。
「うん、大事にする。お母さまありがとう」
どうやら前世の記憶を持ったまま俺は猫に転生したようだ。
俺を見つめててる少女が俺のご主人様か。猫って言うのもいいな。
「ねえ、抱っこしていいかな」
そう言いながら少女が抱きあげる。
……
………
…………
この娘、マリアは前世の愛妻万梨阿の生まれ変わりだ。こんなところで出会えるなんて。何て幸運だ。猫でも彼女のそばにいれるのはうれしい。
「マリア、この子に名前を付けてあげて。それからお食事させるからマーサに渡してあげなさい」
「そうねぇ。白いから……ケン」
マリアはおれを侍女に手渡しながらそう言った。
周りからくすくす笑い声が聞こえる。白いからケンって。でも前世の俺の名前は健太郎。もしかして俺のこと覚えているのかも。
どうやらマリアは良いところのお嬢様というか貴族令嬢のようだ。俺が離乳したころ屋敷の中を巡回していて知った知識だ。
屋敷の中がバタバタしている。今日はマリアの婚約者が来るらしい。複雑な気持ちだが今は猫と人、結ばれないのはわかる。だから祝福しよう。
入ってきた令息はなかなかの美男子だった。マリアと並ぶと美男美女だ。見つめるマリアの耳元がかすかに赤い。はぁ、仕方ないな。
応接室で二人が話す様子を侍女に抱っこされて見つめる。にこやかに談笑する二人はやがて顔をくっつけるようにして話し始めた。マリアが驚いたように口の前に手を当てる。やがて涙を流しながら婚約者のレイモンドに抱き着く。
なんだ、何があったんだ。
落ち着いたころ俺はマリアに呼ばれてそばに寄る。レイモンドが俺を抱きあげた瞬間わかった。こいつ前世の親友怜だ。
その日は赤くなったマリアの目が元に戻るころレイモンドは帰っていった。
その後も順調に交際を重ねやがて結婚式が近くなった。
幸せそうな二人。俺は見ていることしかできなかった。
今日も応接間で俺を抱っこしながらレイモンドを待つマリア。ノックの後入ってきたレイモンドを見て俺を床におろして抱きつく。
「あぁ、転生してもあなたと一緒になれるなんて神様のおかげね。またあなたの子供が欲しいわ」
ショックだった。万梨阿と怜は前世から? 俺たちの子供だと思っていたのは怜との子供? 俺は怜の足元を抜け外に出た。
誰もいない裏庭で俺は声を出さずに泣いた。前世、俺たちは確かに愛していると思った。それなのに万梨阿は俺じゃなくて怜が好きだったなんて。しかも俺たちの子供だと思ったのは怜との子供だったんだな。
落ち着いたところで俺は屋敷の外に向かって歩き出す。塀の近くの茂みに差し掛かったところで音がした。見ると、黒猫がうずくまっていた。
『どうした、こんなところで』
『頼む、何か食べるものを』
『猫なんだからそこらの……』
『猫じゃない、頼む、せめてミルクを』
黒猫が懇願するのでかわいそうになった俺は聞く。
『歩けるか』
『無理かも』
俺は仲の良い料理人見習いの少女を猫のそばまで連れてきた。
彼女は黒猫を見て心得たとばかりに頷く。
「ケンにも彼女かぁ。私もいい人いないかなぁ」
そう言って戻っていった彼女はミルクと鶏肉をボールに入れて持ってきてくれた。
黒猫は雌猫で名前をエリザベスというらしい。そして、
『私は偉大なる魔女なの、あんたは私を助けてくれた。お礼をしてあげる、よろこびなさい』
と偉そうに言う。偉そうに言っても猫だ。黒猫にしか見えない。
『まぁ、今は力もない黒猫なのよね』
ちょっとかわいそうかな。
「ケン~、どこにいるの?」
俺は隠れようとしたけれどエリザベスに邪魔される。
「ここにいたのね、あら、彼女さん? ケンもしあわせなのね」
エリザベスもマリアの飼い猫になった。
『ふむ、面白いな、お主たち共通の魂の色が見える。前世で縁があったのか』
『彼女は、前世の妻……いや違う』
『どうやら訳があるようだな、そうね、私に聞かせてみなさい』
『……』
『聞かせなさい』
エリザベスの迫力にまけて俺は洗いざらい答えた。
『そう、ちょっとおかしいのよね、あなた元の身体からおいだされて猫に封じられたみたいなの』
『えっ?』
『婚約者とやらにあってみたいわね』
翌日きたレイフォードにマリアがエリザベスを紹介する。大人しくレイフォードに抱かれたエリザベスは床におろされると一直線に俺の方にきた。
促されるようにして部屋を出て裏庭に向かった二匹。
『あいつがあなたの体を乗っ取った。それはたしか。でも、それをやったのは……』
『どうした?』
『まぁいいわ。結婚式はいつ? その時に元に戻すわ』
二人の結婚式は雨模様だった。それでも新郎新婦はしあわせそうだった。
式はつつがなく進み、二人が誓いの言葉を交わそうとしたとき、強い風が式場である聖堂の中に吹き込んできた。風がやむと隣にエリザベスの姿がなく新郎新婦の前には黒い衣装の女性が立っていた。
「誓いの前にわたしから祝福を」
そういうと神官が頷く。
「元ある形に戻りなさい。そして幸せになりなさい」
その言葉と共に俺は猫の体から抜けて人の身体に入る。
目の前には新婦であるマリアが。ただ、周りは凍り付いたように誰も動かなくなっていた。そして魔女は続ける。
「ナタリー、居るんでしょ、でてらっしゃい」
「お姉さまのバカ。私をほっぽって……」
同じく黒い衣装の女性が現われるとエリザベスをののしる。エリザベスが彼女の方に手をかざすと彼女はエリザベスの方に引き寄せられた。
「お姉さま、私は、むぐぅ」
お、女同士でキスをしている。
「すまないね、痴話げんかに巻き込んで。この娘はちゃんとお仕置きをするから。あとあの猫もこっちで引き取るから安心したまえ。幸せにおなり」
彼女たちが消え去ると魔法がとけ周りが動き始める。外は日が差している様だ。
「それでは誓いの言葉とキスを」
神官に即され結婚式は続く。すべてが終わって外に出るといつのまにか空は晴れ渡り黒い雲が去っていくのが見えた。
初夜を迎え二人きりの寝室。
「あぁ、本当に夢みたい。前世でね死ぬときに来世もケンちゃんと一緒がいいって神様にお願いしたの。願いって叶うのね。いっぱいしあわせになろうね」
そこに微笑んでるのは確かに俺が愛した妻万梨阿。どうやら猫に転生した怜は俺の体を乗っ取り万梨阿を自分のものにしようとしたらしい。それを助けたのはエリザベスの恋人のナタリー。痴話げんかの当てつけで怜の願いをかなえたらしい。前世で怜は俺を妬み恨んでいたのだろう。そして前世からマリアは俺のことを代わらず愛してくれていた。
俺はゆっくりとマリアを押し倒しキスを交わした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。
なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。
超ご都合主義のハッピーエンド。
誰も不幸にならない大団円です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる