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もっと捕らえて
もっと捕らえて 5
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SAの入口に入るためにウィンカーを出して左に寄り、するっとSAに滑り込んで、空いてるスペースに車を停めた。
そこそこ大きなSAには、車が多く止まっており、多くの人が建物内を出たり入ったりしていた。お土産屋さんや飲食店があるので、ここでご飯を食べたりお土産を買ったりする人が大勢見受けられた。
緋音と珀英は車を降りると、どちらが言い出した訳でもなく、とりあえずという感覚でトイレに向かう。
緋音が用を足して外に出ると、既に珀英の姿はなく、かといって車の鍵は緋音が持っているので、車に戻れるわけでもない。
仕方なく緋音は、駐車スペースの脇に備え付けられているベンチに座って、珀英が戻ってくるのを待った。
たぶん何か買いに行っているんだろうと思い、夏の日射しと湿った空気を楽しみながら、青く澄んだ空を眺めて待っていた。
ほどなくして、何となく珀英の気配を感じて、緋音は視線をそちらに向けた。
案の定、珀英が飲み物か何かを買ってきたみたいで、ビニール袋を片手に緋音のほうへ真っ直ぐ向かってきていた。
モデル並みに高い身長、背中の中程まであるストーレートの髪は今は明るい茶色に染められている。
その髪をいつものように後ろで一つに縛っていて、白いVネックのカットソーを着て、上から七分袖で裾(すそ)がお尻くらいまであるアイボリーの薄いガーディガンを羽織り、着古したジーパンを履いている。
足元は普通のスニーカーを履いているのに、精悍(せいかん)だけれど整った顔立ちのせいで、やたらと格好良く見える。
黙って立ってれば格好いいんだよな・・・アーモンド形の目も、少し厚い口唇も魅力的だし、頭が小さいのに背が高いから、モデルか俳優みたいだし、黙ってれば格好いいんだよ・・・。
緋音が珀英を見ているように、珀英も緋音を見ていた。
ただベンチに座っているだけなのに、絵画のように美しくて甘美な緋音を見ていた。
少し癖っ毛で長めの暗めの茶色い髪、陶器のような滑らかな白い肌、やたらと大きい薄茶の瞳。
薄い真っ赤な口唇。
冷房に弱いから七分袖の黒いサマーセーターを着ていて、細くて折れそうな肩から流れる滑らかな腕、投げ出された細い形の良い脚は黒いパンツに包まれている。
誰が見ても完璧に美しいと、珀英はうっとりと見つめながら近づく。
だってほら・・・周りにいる男の人も女の人も、子供もお年寄りも、みんなが緋音さんをチラ見しては話している。
オレの緋音さんを、みんなが見ている。
声が聞こえる距離まで近づいた頃合いに、珀英はぶら下げている袋から、冷えた缶コーヒーを取り出す。
「飲みます?」
緋音のために買ってきた、冷えたブラックコーヒー。
緋音は、紅い口唇を横に引いて微笑むと、華奢(きゃしゃ)な手をつい・・・っと差し出した。
「飲む」
「・・・どうぞ」
差し出された手に、思わず口吻けたいと思いながら、珀英は差し出した缶コーヒーを、白魚のような手にそっと置いた。
緋音は、キャップを回して開けると、一口二口飲んで喉を潤わせた。
その様子を、珀英が舐めるように見ていることを知りつつ、もういつもの事だから慣れきってしまい、緋音は完全放置して無視して、立ち上がった。
「そろそろ行くか」
「あ・・・はい」
立ち上がった緋音に珀英が手を差し出す。
緋音は自然な仕草で缶コーヒーを渡して、代わりにパンツのポケットに入れていた車の鍵を取り出しながら、緩やかに歩き出した。
珀英は当たり前のように半歩後ろをついて歩く。
渡された缶コーヒーは再び袋に入れて、緋音の細い腰を見つめながら、ひたすら後をついて行く。
その様子が散歩している犬にそっくりなことに、珀英は気づいていない。
緋音はチラッと、珀英に視線を送って、やっぱり犬だな、と再確認していた。
そこそこ大きなSAには、車が多く止まっており、多くの人が建物内を出たり入ったりしていた。お土産屋さんや飲食店があるので、ここでご飯を食べたりお土産を買ったりする人が大勢見受けられた。
緋音と珀英は車を降りると、どちらが言い出した訳でもなく、とりあえずという感覚でトイレに向かう。
緋音が用を足して外に出ると、既に珀英の姿はなく、かといって車の鍵は緋音が持っているので、車に戻れるわけでもない。
仕方なく緋音は、駐車スペースの脇に備え付けられているベンチに座って、珀英が戻ってくるのを待った。
たぶん何か買いに行っているんだろうと思い、夏の日射しと湿った空気を楽しみながら、青く澄んだ空を眺めて待っていた。
ほどなくして、何となく珀英の気配を感じて、緋音は視線をそちらに向けた。
案の定、珀英が飲み物か何かを買ってきたみたいで、ビニール袋を片手に緋音のほうへ真っ直ぐ向かってきていた。
モデル並みに高い身長、背中の中程まであるストーレートの髪は今は明るい茶色に染められている。
その髪をいつものように後ろで一つに縛っていて、白いVネックのカットソーを着て、上から七分袖で裾(すそ)がお尻くらいまであるアイボリーの薄いガーディガンを羽織り、着古したジーパンを履いている。
足元は普通のスニーカーを履いているのに、精悍(せいかん)だけれど整った顔立ちのせいで、やたらと格好良く見える。
黙って立ってれば格好いいんだよな・・・アーモンド形の目も、少し厚い口唇も魅力的だし、頭が小さいのに背が高いから、モデルか俳優みたいだし、黙ってれば格好いいんだよ・・・。
緋音が珀英を見ているように、珀英も緋音を見ていた。
ただベンチに座っているだけなのに、絵画のように美しくて甘美な緋音を見ていた。
少し癖っ毛で長めの暗めの茶色い髪、陶器のような滑らかな白い肌、やたらと大きい薄茶の瞳。
薄い真っ赤な口唇。
冷房に弱いから七分袖の黒いサマーセーターを着ていて、細くて折れそうな肩から流れる滑らかな腕、投げ出された細い形の良い脚は黒いパンツに包まれている。
誰が見ても完璧に美しいと、珀英はうっとりと見つめながら近づく。
だってほら・・・周りにいる男の人も女の人も、子供もお年寄りも、みんなが緋音さんをチラ見しては話している。
オレの緋音さんを、みんなが見ている。
声が聞こえる距離まで近づいた頃合いに、珀英はぶら下げている袋から、冷えた缶コーヒーを取り出す。
「飲みます?」
緋音のために買ってきた、冷えたブラックコーヒー。
緋音は、紅い口唇を横に引いて微笑むと、華奢(きゃしゃ)な手をつい・・・っと差し出した。
「飲む」
「・・・どうぞ」
差し出された手に、思わず口吻けたいと思いながら、珀英は差し出した缶コーヒーを、白魚のような手にそっと置いた。
緋音は、キャップを回して開けると、一口二口飲んで喉を潤わせた。
その様子を、珀英が舐めるように見ていることを知りつつ、もういつもの事だから慣れきってしまい、緋音は完全放置して無視して、立ち上がった。
「そろそろ行くか」
「あ・・・はい」
立ち上がった緋音に珀英が手を差し出す。
緋音は自然な仕草で缶コーヒーを渡して、代わりにパンツのポケットに入れていた車の鍵を取り出しながら、緩やかに歩き出した。
珀英は当たり前のように半歩後ろをついて歩く。
渡された缶コーヒーは再び袋に入れて、緋音の細い腰を見つめながら、ひたすら後をついて行く。
その様子が散歩している犬にそっくりなことに、珀英は気づいていない。
緋音はチラッと、珀英に視線を送って、やっぱり犬だな、と再確認していた。
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