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もっと捕らえて
もっと捕らえて 7
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緋音さんはそんなオレの視線から目をそらすと、照れを隠すように、ベランダの一方向を指差して言った。
「あれ・・・入っていいんだよな?」
緋音さんの言った『あれ』とは、ベランダの片隅に設置されているバスタブのことだった。
この旅館は全室部屋風呂がついていることで有名で、結構リーズナブルなので人気の旅館だった。
今回オレが予約したのは特別室で、この部屋だけ部屋風呂が露天風呂になっている。
大きめの檜(ひのき)で作られたバスタブにはお湯が掛け流し状態で満杯になっていて、バスタブと少し離れたところには檜で作られたチェストが2脚と、簡易テーブルが置かれている。
足元は同じように檜のすのこが全面に敷かれていて、素足で立っても気持ちいいし、濡れた足で踏んでも滑らないようになっている。
「もちろんですよ。もう入ります?」
少し強めに吹いた風に、艶やかな茶色の髪をなびかせている緋音さんを見ながら、オレがそう言うと緋音さんは慌てて首を横に振った。
「いや・・・まだいい。先に大浴場行きたい」
と、何故か更に顔を赤くして、何だか拗(す)ねたように言った。
オレは緋音さんを見つめながら、小首を傾(かし)げる。
「そうですか?部屋風呂のほうが人目もないから良いかと・・・」
「いい!夜に入るから、今はまだいい」
「はあ・・・?」
緋音さんは頬を赤くしたままそっぽを向く。
疲れてるはずだから誰もいない部屋風呂のがいいと思うのに・・・何だろう・・・ん・・・?
オレはベランダから部屋に戻ろうと歩き出そうとして、思わず緋音さんを振り返った。
「あれ?もしかして・・・部屋風呂入ったら襲われると思いました?」
緋音さんが顔を赤くして部屋風呂に入りたがらない理由を考えていて、何となくそんな気がしてしまったので、思わず口に出してしまっていた。
オレについて部屋に入ろうとしていた緋音さんは、オレがいきなりそんなことを言ったから、びっくりした後に顔を更に真っ赤に染めてしまった。
あれ・・・図星だった・・・?
緋音さんは恥ずかしさと照れが混じった瞳を、きらきらと煌(きら)めかせてオレをきつく睨(にら)み付ける。
「違うし!!部屋風呂なんか入らない!!」
緋音さんは渾身(こんしん)の力でオレを横に押しのけると、怒ったような足取りでさっさと部屋に入ってしまう。
ああー・・・図星だったか・・・。
夜に入るって言ったのは、夜なら暗くて誰に見られる心配もないから、オレに襲われてもいいってことだったのかな・・・。
あれ、でも入らないって言われた・・・ええええっっっ?!
オレは緋音さんを追うように部屋に入ると、自分の荷物を広げてお風呂に行く準備をしている緋音さんに叫んだ。
「夜に、夕ご飯食べたら部屋風呂入りましょう!暗くなれば誰にも見られないし!外でセックスしてもわかんないから!」
「な・・・?!・・・っっっ・・絶対セックスなんかしないからな!!!」
「ええええっっ?!緋音さん・・・」
「しない!!」
「そんなこと言わずに・・・」
「しない!!」
オレは嫌がる緋音さんを抱きしめる。
緋音さんはふざけんなとばかりに、精一杯腕を突っぱねてオレを押し返す。
不毛(ふもう)なやり取りをしながら、思いっきり嫌そうな顔をしながらも、この状況を楽しんでいてくれる緋音さんを見て、旅行に誘って良かったと、本当に思った。
「あれ・・・入っていいんだよな?」
緋音さんの言った『あれ』とは、ベランダの片隅に設置されているバスタブのことだった。
この旅館は全室部屋風呂がついていることで有名で、結構リーズナブルなので人気の旅館だった。
今回オレが予約したのは特別室で、この部屋だけ部屋風呂が露天風呂になっている。
大きめの檜(ひのき)で作られたバスタブにはお湯が掛け流し状態で満杯になっていて、バスタブと少し離れたところには檜で作られたチェストが2脚と、簡易テーブルが置かれている。
足元は同じように檜のすのこが全面に敷かれていて、素足で立っても気持ちいいし、濡れた足で踏んでも滑らないようになっている。
「もちろんですよ。もう入ります?」
少し強めに吹いた風に、艶やかな茶色の髪をなびかせている緋音さんを見ながら、オレがそう言うと緋音さんは慌てて首を横に振った。
「いや・・・まだいい。先に大浴場行きたい」
と、何故か更に顔を赤くして、何だか拗(す)ねたように言った。
オレは緋音さんを見つめながら、小首を傾(かし)げる。
「そうですか?部屋風呂のほうが人目もないから良いかと・・・」
「いい!夜に入るから、今はまだいい」
「はあ・・・?」
緋音さんは頬を赤くしたままそっぽを向く。
疲れてるはずだから誰もいない部屋風呂のがいいと思うのに・・・何だろう・・・ん・・・?
オレはベランダから部屋に戻ろうと歩き出そうとして、思わず緋音さんを振り返った。
「あれ?もしかして・・・部屋風呂入ったら襲われると思いました?」
緋音さんが顔を赤くして部屋風呂に入りたがらない理由を考えていて、何となくそんな気がしてしまったので、思わず口に出してしまっていた。
オレについて部屋に入ろうとしていた緋音さんは、オレがいきなりそんなことを言ったから、びっくりした後に顔を更に真っ赤に染めてしまった。
あれ・・・図星だった・・・?
緋音さんは恥ずかしさと照れが混じった瞳を、きらきらと煌(きら)めかせてオレをきつく睨(にら)み付ける。
「違うし!!部屋風呂なんか入らない!!」
緋音さんは渾身(こんしん)の力でオレを横に押しのけると、怒ったような足取りでさっさと部屋に入ってしまう。
ああー・・・図星だったか・・・。
夜に入るって言ったのは、夜なら暗くて誰に見られる心配もないから、オレに襲われてもいいってことだったのかな・・・。
あれ、でも入らないって言われた・・・ええええっっっ?!
オレは緋音さんを追うように部屋に入ると、自分の荷物を広げてお風呂に行く準備をしている緋音さんに叫んだ。
「夜に、夕ご飯食べたら部屋風呂入りましょう!暗くなれば誰にも見られないし!外でセックスしてもわかんないから!」
「な・・・?!・・・っっっ・・絶対セックスなんかしないからな!!!」
「ええええっっ?!緋音さん・・・」
「しない!!」
「そんなこと言わずに・・・」
「しない!!」
オレは嫌がる緋音さんを抱きしめる。
緋音さんはふざけんなとばかりに、精一杯腕を突っぱねてオレを押し返す。
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