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第2章 駆け出し冒険者編
02.冒険者になる。そして、魔法の適正がないということ
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受付につくと、お姉さんが営業スマイルで対応してくれた。
うわぁ美人さんだ。急に緊張してきた。
「あ、あの、田舎から出てきて、その」
「いらっしゃいませ、新規の依頼受付でしょうか?」
「いえ、冒険者登録をしたいのですが」
冒険者登録ですか?と若干驚きながら俺の格好を見るお姉さん。
数年修行をしたが、体格は変わらずひょろっとしていた。
「失礼ですが、おいくつですか?」
「36です」
お姉さんは、長くなりそうだと判断したようで受付を別の人に交代し、隣の打ち合わせスペースのような場所に俺を移動させた。
「冒険者は、とても危険な仕事ですよ。よく誰でもできると勘違いされて、冒険者登録をしようとしてくる人がいます。もともと武術や体力に自身のある方でない場合は、はっきり言ってお勧めしておりません。年齢的にもです。大体の冒険者は40越えると引退を考える方が多いのも事実です。」
あ、このお姉さん、俺のことを心配してくれてるようだ。
剣は、たぶんそれなりに使えるはず。魔法は適正ないし、魔法使いとは言えないか。
「大丈夫です、剣術の修行をしていました。あと火をつける魔法もちょっとだけ使えます。」
「魔法ですか?あぁ、生活魔法ですね。それは誰でもできますよ。魔術はつかえますか?」
魔術かぁ、無理だってカルディアに言われたな。
「魔術はできません。」
「ということは、剣術のみですね。とりあえず、心配なので適正試験を受けてください。」
「え、試験が必要なんですが?」
「ギルドとしても、無駄に死んで欲しくないのです。誰も幸せになりません。だから、適正があるか判断が必要な場合は、試験を受けていただくことになっております。」
「そうですか、わかりました。試験はいつになりますか?」
「最短で、明日の午後1時になります。」
「わかりました、ではよろしくお願いします。」
こっちのことを心配してくれてるのは、わかるけども面倒なことになった。
とりあえず、ギルドをでる。街を歩きながら、宿屋を探す。
ドーソンは、道幅が広く歩きやすい。たぶん車もこの世界にはないから、秋葉原の歩行者天国のような感じで、非常に歩きやすい。
道沿いに店がいくつも建ち並ぶ。この中から、宿屋を探すのは大変だ。
しばらく歩いていると、良い匂いがしてきた。
気がつけば匂いにつられて、一軒の店の前まできていた。月の満腹亭(宿泊もやってます)と書いてある。そういえば昼まだ食べてなかったな。
店に入り、店員さんにお勧めを聞いてそれを頼む。
焼き魚とスープが出てきた。こんがり焼けた秋刀魚のような魚が非常に美味しい。塩と柑橘系の果実が絞られているようで、さっぱりしている。スープは、具沢山でさっぱりした味付けだった。
魚が美味しかったので、おかわりして満腹になって会計に行く。
宿泊のことを思い出して店員に聞くと、朝飯付きで1泊100銅貨だそうだ。料理が美味しかったので即決だ。10日分の料金を先に支払う。所持金は、まだまだ余裕がある。
しばらくここを拠点にして、この世界のことを知ろうと思う。カルディアに聞いてはいるが、実地訓練というやつだ。
さて、お部屋はどうかというと、シンプルな作りでベッドがあるくらいだ。トイレは共同、風呂はなく、お湯をもらって体を洗うそうだ。洗濯物は追加料金で対応してくれる。カルディアに聞いた限りでは、サービスは良い方だと思う。
とりあえず、ベッドに横になった。疲れていたようでそのまま寝てしまった。
翌日、目覚めたのは11時。だいぶ寝坊してしまっている。
いつもは6時ぐらいに勝手に目が覚めるのに。
そして、非常に寝覚めが悪い。体が重く疲れがぬけていない感じがする。
あまりに調子が悪いので、新陳代謝をあげる補助魔法を使ったが効きがわるく、どちらかといえば悪化してしまった。こんなのは初めてだったが、とりあえず無理やり起き上がりストレッチをした。
その後、朝食を食べに食堂に移動する。朝は、パンとクリームスープだった。
パンに、チーズのようなものが乗っていて、とても美味しかった。
朝食後、街に出て周りを見て回っていると、少し回復してきた気がする。
なんだかんだで、結構移動したし、環境が変わったしで、疲れが出たのだろうか。まあいいやと、このことを深く考えることはなかった。
ぶらぶらしてると、適正試験の時間が近づいてきたのでギルドに向かう。
ギルド内は、昨日同様に酒場兼食堂らしき場所に、厳つい奴らがたむろしている。
横目で見ながら、受付に向かう。昨日と同じ受付のお姉さんがいた。
「あの、適正試験を受けにきました、タケシです。」
「お待ちしておりました。タケシさんですね。では、奥の闘技場にお進みください。そちらに試験官がおりますので指示に従ってください。」
言われるがままに、ギルドの奥にある闘技場に向かう。
奥に行くと、そこまで広くないが室内柔道場のような感じの部屋があった。
そして、中央の広場に、犬顔の獣人が立っていた。ケモミミですね、はいファンタジー。
「は、はじめまして、タケシです、適正試験を受けにきました」
「あぁ、お前がそうか。俺が試験官をやるガイだ。」
「よろしくお願いします。」
「礼儀正しいやつだな、心配になるぞ。まぁいい、とりあえず試験だ」
試験の内容は非常に簡単だ、試験官と訓練用の模擬剣で1対1の対人戦を行う。
どちらかが参ったと言うか、試験官が判断し止めたらそこまでとなる。
「さぁ始めよう」
「よろしくおねがいします」
俺が礼を終えて構えると、ガイは突っ込んできた。
とりあえず、身体強化をしてーーあれ?おかしい、身体強化ができない、力が入らない、おかしい・・・
これではカルディア流剣術の極意というか、基本ができないじゃないか、まずい。
とりあえず、横に跳んでよける。
「ほう。初動は遅かったが良い判断だ。」
そういって、まっすぐに剣を構え、こちらの様子を伺う。
この間に、何度か身体強化を試みたが、全てうまくいかない。むしろ、身体強化を行うと、朝のように体調が悪くなっていく気がする。
「おい、どうした。体調でもわるいのか?」
「いえ、大丈夫です。緊張してしまって・・・」
「実戦では、緊張してても相手は待ってくれないぞ。とは言っても、最初はみんなそんな感じだがな。」
と、話終えると行くぞという声とともに、また突っ込んでくる。
単調な動きだが、勢いがあるために厄介だ。動きは目で追うことができるので、回避はできる。
ただし、受けようとすると、今の俺では吹っ飛ばされるだろう。どうしたら良い。
何度か回避して、攻略方法を考える。相手の勢いを殺すしかないが、身体強化がない状態で、剣を受けるのはリスクが大きい。どうしようかと考えていると、今までよりも早い速度でガイが突っ込んできた。
ガイはきっと終わらせようとしているのだろう。
そして俺は、ガイが突っ込んでくるタイミングに合わせて後ろに下がり、相手の剣を受け流し、回し蹴りでガイの顔を蹴ろうとした。自分で言うのもなんだが、かなり良い感じの流れができた。
ガイは、寸前で回避して、俺から離れる。
「合格だ」
「えっ」
「36から冒険者やるとかいうから、どんなやつかと思ったが、お前の動きは良いな。もたついてるところもあるけど、体術はいいもの持っている。あと目が良いな。よく見えてるようだ。」
「あ、ありがとうございます。」
すごい嬉しかった、あのじゃれあいというシゴキの成果が、日の目をみた。
「とりあえず、受付にいって正式な手続きすませろ。頑張れよ新人。」
「ありがとうございます!」
本当にちょっとしか関わっていないが、ガイには好感がもてた。
そして、受付に行って、合格したことを話す。
すぐに奥に行った。あ、あいつ信じてないな、ガイに聞きに行ってるな。
しばらくして、何事もなかったかのような顔をして戻ってくる。
「おめでとうございます。タケシさんの冒険者登録がこちらで完了となります。」
「ありがとうございます」
お姉さんはギルドのルールを説明してくれた。
特に変なものはなく、よくあるテンプレ的なものだった。
ちなみに、最初のランクはFだった。
慣れないうちは素材回収とかをしながら、ランクをあげるのがおすすめですよと、澄ました顔でアドバイスをくれる。嫌いじゃない、この受付のお姉さん。
今日は依頼を受けずに、急いで宿屋にもどる。
さて、たぶん魔法が使えなくなっている。やばいやばい、キキの気分がわかった。が別に恋はしてないはずだ。
まぁ、数年一緒にいたカルディアが武者修行に行ってしまったのはショックだったけども。
でも、昨日は、普通に魔法が使えていた。なぜだ。
初歩の初歩で、手のひらに火を点そうとしたが、かすれるような火しかつかず、そして、消えてしまった。
やばい、やばい、やばい、なんでだ、なんでだ。
ん?そういえば、この辺って魔素がまったくないな。魔素が入ってくる感じが一切しない。
そうか、だとしたら。と、宿を駆け出し、門を出て、草原に向かう。
しばらく草原を走り、適当なところで、手のひらに火を灯す。
あ、魔素が入ってくる感じがすると同時に、火がついた。
ただ、森にいた時よりも魔素も火力もだいぶ弱い。
そうか、街中は魔素が非常に薄いようだ。魔素を集める力がない俺には、ある程度魔素がある場所じゃないと魔法が使えないようだ。
これが適正か、くっそ。思わぬ弱点ができてしまった。
これは、参ったな。カルディア剣術は、魔法と組み合わせて使う剣術なので、魔素があるところでないと使えない。魔法も同様だ。そうなると、どこでも使えるものは、体術ぐらいしかない。
幸いにも、草原ならば、魔素がある。たぶん魔法の威力はさがるが、街の外でならば、魔法を駆使した戦闘ができそうだ。
森は、魔素が多かった。だから、あんなに魔法が使えていたのか。
とりあえず、しばらくは、体術主体の剣術に切り替えて行くしかない。
じゃれあっててよかった。
ありがとう、カルディア。
ありがとうカルディアの従属ドラゴン。
うわぁ美人さんだ。急に緊張してきた。
「あ、あの、田舎から出てきて、その」
「いらっしゃいませ、新規の依頼受付でしょうか?」
「いえ、冒険者登録をしたいのですが」
冒険者登録ですか?と若干驚きながら俺の格好を見るお姉さん。
数年修行をしたが、体格は変わらずひょろっとしていた。
「失礼ですが、おいくつですか?」
「36です」
お姉さんは、長くなりそうだと判断したようで受付を別の人に交代し、隣の打ち合わせスペースのような場所に俺を移動させた。
「冒険者は、とても危険な仕事ですよ。よく誰でもできると勘違いされて、冒険者登録をしようとしてくる人がいます。もともと武術や体力に自身のある方でない場合は、はっきり言ってお勧めしておりません。年齢的にもです。大体の冒険者は40越えると引退を考える方が多いのも事実です。」
あ、このお姉さん、俺のことを心配してくれてるようだ。
剣は、たぶんそれなりに使えるはず。魔法は適正ないし、魔法使いとは言えないか。
「大丈夫です、剣術の修行をしていました。あと火をつける魔法もちょっとだけ使えます。」
「魔法ですか?あぁ、生活魔法ですね。それは誰でもできますよ。魔術はつかえますか?」
魔術かぁ、無理だってカルディアに言われたな。
「魔術はできません。」
「ということは、剣術のみですね。とりあえず、心配なので適正試験を受けてください。」
「え、試験が必要なんですが?」
「ギルドとしても、無駄に死んで欲しくないのです。誰も幸せになりません。だから、適正があるか判断が必要な場合は、試験を受けていただくことになっております。」
「そうですか、わかりました。試験はいつになりますか?」
「最短で、明日の午後1時になります。」
「わかりました、ではよろしくお願いします。」
こっちのことを心配してくれてるのは、わかるけども面倒なことになった。
とりあえず、ギルドをでる。街を歩きながら、宿屋を探す。
ドーソンは、道幅が広く歩きやすい。たぶん車もこの世界にはないから、秋葉原の歩行者天国のような感じで、非常に歩きやすい。
道沿いに店がいくつも建ち並ぶ。この中から、宿屋を探すのは大変だ。
しばらく歩いていると、良い匂いがしてきた。
気がつけば匂いにつられて、一軒の店の前まできていた。月の満腹亭(宿泊もやってます)と書いてある。そういえば昼まだ食べてなかったな。
店に入り、店員さんにお勧めを聞いてそれを頼む。
焼き魚とスープが出てきた。こんがり焼けた秋刀魚のような魚が非常に美味しい。塩と柑橘系の果実が絞られているようで、さっぱりしている。スープは、具沢山でさっぱりした味付けだった。
魚が美味しかったので、おかわりして満腹になって会計に行く。
宿泊のことを思い出して店員に聞くと、朝飯付きで1泊100銅貨だそうだ。料理が美味しかったので即決だ。10日分の料金を先に支払う。所持金は、まだまだ余裕がある。
しばらくここを拠点にして、この世界のことを知ろうと思う。カルディアに聞いてはいるが、実地訓練というやつだ。
さて、お部屋はどうかというと、シンプルな作りでベッドがあるくらいだ。トイレは共同、風呂はなく、お湯をもらって体を洗うそうだ。洗濯物は追加料金で対応してくれる。カルディアに聞いた限りでは、サービスは良い方だと思う。
とりあえず、ベッドに横になった。疲れていたようでそのまま寝てしまった。
翌日、目覚めたのは11時。だいぶ寝坊してしまっている。
いつもは6時ぐらいに勝手に目が覚めるのに。
そして、非常に寝覚めが悪い。体が重く疲れがぬけていない感じがする。
あまりに調子が悪いので、新陳代謝をあげる補助魔法を使ったが効きがわるく、どちらかといえば悪化してしまった。こんなのは初めてだったが、とりあえず無理やり起き上がりストレッチをした。
その後、朝食を食べに食堂に移動する。朝は、パンとクリームスープだった。
パンに、チーズのようなものが乗っていて、とても美味しかった。
朝食後、街に出て周りを見て回っていると、少し回復してきた気がする。
なんだかんだで、結構移動したし、環境が変わったしで、疲れが出たのだろうか。まあいいやと、このことを深く考えることはなかった。
ぶらぶらしてると、適正試験の時間が近づいてきたのでギルドに向かう。
ギルド内は、昨日同様に酒場兼食堂らしき場所に、厳つい奴らがたむろしている。
横目で見ながら、受付に向かう。昨日と同じ受付のお姉さんがいた。
「あの、適正試験を受けにきました、タケシです。」
「お待ちしておりました。タケシさんですね。では、奥の闘技場にお進みください。そちらに試験官がおりますので指示に従ってください。」
言われるがままに、ギルドの奥にある闘技場に向かう。
奥に行くと、そこまで広くないが室内柔道場のような感じの部屋があった。
そして、中央の広場に、犬顔の獣人が立っていた。ケモミミですね、はいファンタジー。
「は、はじめまして、タケシです、適正試験を受けにきました」
「あぁ、お前がそうか。俺が試験官をやるガイだ。」
「よろしくお願いします。」
「礼儀正しいやつだな、心配になるぞ。まぁいい、とりあえず試験だ」
試験の内容は非常に簡単だ、試験官と訓練用の模擬剣で1対1の対人戦を行う。
どちらかが参ったと言うか、試験官が判断し止めたらそこまでとなる。
「さぁ始めよう」
「よろしくおねがいします」
俺が礼を終えて構えると、ガイは突っ込んできた。
とりあえず、身体強化をしてーーあれ?おかしい、身体強化ができない、力が入らない、おかしい・・・
これではカルディア流剣術の極意というか、基本ができないじゃないか、まずい。
とりあえず、横に跳んでよける。
「ほう。初動は遅かったが良い判断だ。」
そういって、まっすぐに剣を構え、こちらの様子を伺う。
この間に、何度か身体強化を試みたが、全てうまくいかない。むしろ、身体強化を行うと、朝のように体調が悪くなっていく気がする。
「おい、どうした。体調でもわるいのか?」
「いえ、大丈夫です。緊張してしまって・・・」
「実戦では、緊張してても相手は待ってくれないぞ。とは言っても、最初はみんなそんな感じだがな。」
と、話終えると行くぞという声とともに、また突っ込んでくる。
単調な動きだが、勢いがあるために厄介だ。動きは目で追うことができるので、回避はできる。
ただし、受けようとすると、今の俺では吹っ飛ばされるだろう。どうしたら良い。
何度か回避して、攻略方法を考える。相手の勢いを殺すしかないが、身体強化がない状態で、剣を受けるのはリスクが大きい。どうしようかと考えていると、今までよりも早い速度でガイが突っ込んできた。
ガイはきっと終わらせようとしているのだろう。
そして俺は、ガイが突っ込んでくるタイミングに合わせて後ろに下がり、相手の剣を受け流し、回し蹴りでガイの顔を蹴ろうとした。自分で言うのもなんだが、かなり良い感じの流れができた。
ガイは、寸前で回避して、俺から離れる。
「合格だ」
「えっ」
「36から冒険者やるとかいうから、どんなやつかと思ったが、お前の動きは良いな。もたついてるところもあるけど、体術はいいもの持っている。あと目が良いな。よく見えてるようだ。」
「あ、ありがとうございます。」
すごい嬉しかった、あのじゃれあいというシゴキの成果が、日の目をみた。
「とりあえず、受付にいって正式な手続きすませろ。頑張れよ新人。」
「ありがとうございます!」
本当にちょっとしか関わっていないが、ガイには好感がもてた。
そして、受付に行って、合格したことを話す。
すぐに奥に行った。あ、あいつ信じてないな、ガイに聞きに行ってるな。
しばらくして、何事もなかったかのような顔をして戻ってくる。
「おめでとうございます。タケシさんの冒険者登録がこちらで完了となります。」
「ありがとうございます」
お姉さんはギルドのルールを説明してくれた。
特に変なものはなく、よくあるテンプレ的なものだった。
ちなみに、最初のランクはFだった。
慣れないうちは素材回収とかをしながら、ランクをあげるのがおすすめですよと、澄ました顔でアドバイスをくれる。嫌いじゃない、この受付のお姉さん。
今日は依頼を受けずに、急いで宿屋にもどる。
さて、たぶん魔法が使えなくなっている。やばいやばい、キキの気分がわかった。が別に恋はしてないはずだ。
まぁ、数年一緒にいたカルディアが武者修行に行ってしまったのはショックだったけども。
でも、昨日は、普通に魔法が使えていた。なぜだ。
初歩の初歩で、手のひらに火を点そうとしたが、かすれるような火しかつかず、そして、消えてしまった。
やばい、やばい、やばい、なんでだ、なんでだ。
ん?そういえば、この辺って魔素がまったくないな。魔素が入ってくる感じが一切しない。
そうか、だとしたら。と、宿を駆け出し、門を出て、草原に向かう。
しばらく草原を走り、適当なところで、手のひらに火を灯す。
あ、魔素が入ってくる感じがすると同時に、火がついた。
ただ、森にいた時よりも魔素も火力もだいぶ弱い。
そうか、街中は魔素が非常に薄いようだ。魔素を集める力がない俺には、ある程度魔素がある場所じゃないと魔法が使えないようだ。
これが適正か、くっそ。思わぬ弱点ができてしまった。
これは、参ったな。カルディア剣術は、魔法と組み合わせて使う剣術なので、魔素があるところでないと使えない。魔法も同様だ。そうなると、どこでも使えるものは、体術ぐらいしかない。
幸いにも、草原ならば、魔素がある。たぶん魔法の威力はさがるが、街の外でならば、魔法を駆使した戦闘ができそうだ。
森は、魔素が多かった。だから、あんなに魔法が使えていたのか。
とりあえず、しばらくは、体術主体の剣術に切り替えて行くしかない。
じゃれあっててよかった。
ありがとう、カルディア。
ありがとうカルディアの従属ドラゴン。
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