普通の会社員の異世界冒険物語〜程々に強いがちやほやされる訳でもなく、悪い奴もそんないない異世界で必死に生きる〜

ときすでにおすし(サビ抜き)

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第4章 中級冒険者編

01.マーク攫われる

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 なんだかんだで王都にきて1年がたっていた。

 ラーメン屋の方は順調のようで、王都にいるときは週3ぐらいで食べに行く。
 チロさんのお姉さんとお弟子1号さんは結婚しました。
 閉店後の店で常連さんや近くのラーメン店も交えてみんなで壮大なパーティをして祝いました。
 アガリさんは、執筆活動中でもう少しで本が出るそうだ。できたら送ってくることになっている。
 ほかにも、中央区一帯に飛んでる魔石ラジオにコメンテーターとして、よく出るようになってきた。喋りもうまく、結構人気がでている。


 さて、俺はというと、未だDランクの冒険者です。
 マークとエリサと固定パーティを組んで、もう数ヶ月がたちますが彼らの間の進展はありません。

 ちなみにパーティ名は、「純白のコップ」
 マークが兄貴たちのファンらしくて、どうしてもコップをつけたいと懇願したため仕方なく。
 俺は、最後まで反対したんだが、エリサが多数決で裏切って名前が決定した。

 ちなみに、俺が迷い人なのと、魔法がつかえることはこの二人には話してある。
 魔術師であるエリサが、魔法に食いつくかと思ったがエルフの地力魔法って人でもつかえるのねという「ふーん」程度で、さほど驚かれなかった。こいつ俺に興味ねーなとことん。
 むしろ、マークが迷い人について、すげー食いついた。こいつは子供の頃から古い勇者のお話聞いて育ったようで、勇者様と同じじゃないか、すごいなって期待の眼差しを向けてくるので無視しておいた。


 そして、現在は王都からちょっと離れた場所にある古城を探索している。
 なんか、やっと冒険者っぽい依頼をやるようになった気がする。一時期は本気でラーメン作ってたし。

 今回の依頼は、この古城に住み着いたゴースト退治だ。周りに及ぼす影響がほとんどなかったため、ずっと放置されていた依頼だった。
 問題は、俺らに聖職者ならびに、僧侶系がいないということ。
 完全に、俺らにマッチしてない依頼だったが、マークが受けてきやがった。城がみたいとかバカか。
 なんだかんだで俺がお金もってたので、とんでもない金額のお布施を教会に渡して聖水いっぱいもらってきた。
 上客扱いされ、特別サービスでマークの剣に聖刻印をいれてもらった。マークの魔力を吸収して聖属性の剣になる優れもの。

 それで、準備はそこそこ整って、現場に乗り込んできたわけだが、案の定とんでもなく危なそうな古城。薄暗い黒い靄がかかってる。
 中は、じめーっとしていて不快感しかない。もう何年も使われてなく、あちこち朽ちていて怖い。
 もちろんエリサは怖いのダメで、俺とマークの後ろでビビりまくってる。ちょっと音が鳴るだけで、悲鳴をあげている。


 でまぁ、それなりに、ゾンビとか、切っても復活するスケルトンとか出てきて、最初は苦戦したもののマークの聖刻印の剣がつえーつえー。バッタバッタと倒して行く。
 途中でなんかすげー強そうなでかいスケルトンとか出てきたけど、あっという間にマークが倒してしまった。もうね敵はガードもできなくて、ただ一方的に切られるだけ。
 どんだけ聖属性弱点なんだよって思う。マジでいい値段寄付した会があった。
 エリサは、敵が現れるたびに悲鳴をあげていた。あなたもう帰ったほうが良いって心的ストレス半端ないだろうに・・・。

 そして、たぶんボス部屋っぽいとこまでくる。
 マークが準備とか、気合い入れるとかなしに、扉開けてどんどん中へ入っていった。まてって。
 エリサの心の準備まったげて。

 で、ボスっぽいやつが、リッチーってやつだったんだけど、「私を倒しても、すでに術式は制御できんーー」うんぬん喋ってるときに、マークが・・・。
 あいつまじで空気読まなくて、リッチーさんがなんか喋ってたんだけど、速攻で切り掛かって強制成仏させちゃって・・・。
 たぶん、リッチーになってまで生きてたんだから、何か重要なことがあったんだと思うんだけど、マークが・・・。


 と、とりあえず、これで依頼クリアになったぽい。
 古城の靄は晴れて、嘘のように古びたいい感じの古城になった。
 リッチーさん倒した後に、落ちた魔石とリッチーさんが持っていた本のような物を回収して、ギルドに戻った。



 報酬を受け取り、やつれてるエリサを宿に送って、ギルドの酒場兼食堂で酒飲みながら、マークに1時間ぐらい小言をいってしまった。
 あいつは本当にわかってるのかわからないが、楽しそうにしている。まぁ、いいや。
 とりあえず、生きて帰ってきてるしな。俺が目くじらたててもしょうがない。危なそうなら止めればいいかと諦めた。
 ちなみに、今日の依頼で俺もマークもエリサも、Cランクの昇級試験が受けられるようになった。

 翌日、ギルドの食堂に3人で座ってのんびりコーヒー飲みながらCランクの昇級試験をいつ受けようか相談をしていたときだった。



 ギルドの受付の人に呼ばれる。

 昨日回収して納品したリッチーさんの本に問題があるらしい。
 本はリッチーの日記だったらしいが、比較的最近の日記にどうも魔族を召喚する儀式を行なっていた日記が見つかったそうだ。
 内容的には、生前から研究していた術式がやっと完成してかわいい魔族っ娘を召喚しようとしていたが、気合い入れて用意した魔石と魔族っ娘に対する情熱が大きすぎて召喚術が制御できない状態になったから、やばいのが出てくる前に撤退したって記されていたそうだ。
 動機が・・・。


 あの時、その辺のことをリッチーさんが言おうとしたのかもしれない。
 あの本持って帰ってきてよかったぁーーあっぶねー。
 つか、なんか、危機的なイベントが起きそうな気配がしてきたぞ。

 すぐに緊急招集がかかり王都のSランク、Aランク、そして教会所属の聖騎士達の合同パーティで儀式の現場に向かうことになったそうだ。
 古城から、すこし離れた場所にある棄てられた神殿で儀式は行われていたようだ。リッチーさん、日記に書きすぎだろう。
 俺たちにも、指名依頼がでて、古城内の儀式に関する資料回収となった。ギルドの調査員も同行するようだ。


 急いで準備を整えて、古城に向かおうとする俺たち。合同パーティの人たちも出発するようだ。
 しかし、王都の門をでたところで、空の色が暗くなりはじめた。
 あ、これは、やべーやつだ。襲来系イベントですね。テンプレ的な展開がやっときた。

 俺たちの前の空間が歪みはじめた。いそいで、合同パーティさんのところに行く。
 やべえぇ、お出ましだなこれは。


 歪みから、徐々に姿がでてきた。
 それはそれは可愛らしい魔族っ娘だった。
 リッチーさん。あんた、やったよ、やり遂げたよ。


 ただ、ちょっと、魔族っ娘は不機嫌そうだ。無慈悲な虐殺パターンかこれは。
 若干他人事っぽい感覚だったが、ほのぼの展開が一変しそうな現実に直面して、急にビビる俺。
 お、おい、やばいんじゃないかこれ?だれかなんとかして!


 そして、魔族っ娘が喋る。

「静かに暮らしてたのに、すごい気持ち悪い魔力でこんな場所に呼び出しやがって、おかげで抵抗した時に部屋がめちゃくちゃになっちゃったじゃない。絶対に許さない。呼び出したやつ出てこい。この街にいるのはわかってる、出てこないなら街ごと潰す」

 激おこですね。そして、威圧感がすごくて、体が強張って動けない。
 リッチーさんの魔族っ娘に対する執念は凄まじいものだったようだ。
 しかも、リッチーさんの所為で王都ピンチっすわ。


 ぞろぞろと王国騎士たちも外に出てきて、えらいことになってる。
 なんか、結界みたいのを王国の魔術師さんが張ろうとしてたが、張った瞬間に魔族っ娘さんに無効化されてた。
 詰んだな。この魔族っ娘さんはガチ勢だ。



「どうすんだよ、マークが成仏させちゃったじゃんリッチーさん」

「マークが、やっつけたことをいえばいいんじゃない?」

「それで納得するのか?しねーだろ、ここにいるとか言ってるし」

 俺とエリサで喋ってると、マークが魔族っ娘の前にでていってる。何やってんのあいつ。


「俺はマーク。この剣でリッチーは消滅させた。だから、もういない。帰ってくれないか。この街は関係ない、気が済まないなら俺を好きにしてくれ」

「ふーん。あんた可愛い顔してるじゃない。嫌いじゃないわ」


 魔族っ娘が食いついた。くそ、イケメンくそう。
 エリサが急に不機嫌になり始めるが抑えてくれ。
 マークは顔と性格はイケメンだけど、考えがたりないというか・・・まさか一人で責任を取ろうとしてるのかイケメンすぎるだろ。俺もワンチャンあるかもしれん。

「おい、マーク、お前一人でいいおも、ちがった責任なんてとらせないぞ」

 強引に体を動かして、マークの元に向かうが俺とエリサも、マークの近くに近寄ることができない。


「確かに剣から気持ち悪い魔力の残滓を感じるわね。でも、この街からもまだ気持ち悪い魔力を感じるのよ」

 そういって魔族っ娘が指を鳴らす。次の瞬間にはマークの剣が跡形もなく消える。
 あ・・・その剣、聖属性の刻印してもらうのに、けっこういい値段したんだけど。
 そこまで嫌だったのね・・・。


 なんだ魔力を感じるって、なんでだ。
 とりあえず、それを出せばこの娘さんおさまるんじゃないのか。なんだなんなんだ。あ、魔石か。そういや、あいつ倒した、魔石回収してたな。あと日記。


 急いでギルドの人に、あいつの魔石と日記を持ってきてもらう。
 そして、これですかと見せる。

「そうそう、それよ。まだ召喚術の影響がのこってて気持ち悪い魔力の繋がりがのこってるわ」

 そして、また魔族っ娘が指を鳴らすと、魔石と日記が消える。
 どんなけ、リッチーさん嫌われちゃったの。


「これでいいわ。呼び出したバカがいないんじゃしょうがない。マーク、私のお部屋のお片づけを手伝ってちょうだい」


 そう言い残し、魔族っ娘は消えた。
 やべぇ、マークも一緒にきえてるぅーーーーーーー。

「なんで、マークまで消えのよ!タケシなんとかしなさいよ!」

 エリサが切れながら俺を揺する。なんで、俺なの・・・。

 あれ、王国騎士の人っとか帰って行くよ。
 まって、まだ終わってなから、あなた達が守るべき若者がさらわれてますよ。
 え、いずれ帰ってくるだろうって?
 まてって、何言ってんだよ。ダメだろ、おい。まじか。

 どうしようどうしよう。
 魔族ってどこいんの。俺、転移魔法とかできるのかな。
 ちょっと試してみるか。
 くそ、カルディアがいれば・・・。あいつどこいるんだ。





 数日後、俺がどこでもドアのイメージによって転移の魔法に成功して、とりあえず特定の魔力をおって転移できるようになった。
 マークレスで病み始めたエリサと一緒に、マークのそばに転移しようと王都からちょっと離れたところで魔素をためていたら、また王都の空が暗くなり初めた。

 急いで、王都の近くまで戻ると、前回同様に空間が歪んで、魔族っ娘とマークが出てきた。
 どうやら、向こうから帰ってきたようだ。よかったよかった。

 魔族っ娘は、「マークまたね」っていってて手を振る。
 マークも手を振ってる。「またねアディ」って。
 そして、魔族っ娘が消えて、空も元に戻る。


 王国騎士とかで、王都入り口がすごいことになっているが、なんだまたお前らかってわかると帰って行った。いいの?それでいいの?

 マークよ。あとで、おじさんに詳細をおしえておくれ。どんなお部屋だったのかとか、この数日なにしてたのか詳細に聞きたい。
 あと、マークの腰に禍々しい漆黒の剣と左手薬指に真っ黒い指輪があるのが気になるが、それよりも、エリサが病んでるからまじでどうにかして。
 たぶん、さっきの会話とか聞いてたからもう極限近いと思う。


 とりあえず、無事、元の平穏な生活にもどるだろう。きっと。


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