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第一章
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「うわぁああああ、ついてない、ついてないよぉおおお!」
ちょっと王子様、はしたないんで全裸で出歩かないでください。あっ、今はお姫様でしたっけ?
「どどど、どうなっているの! なんでないの!」
胸がある時点で気づきましょうや。
「えっ、胸はそんなに変わってないよ?」
「……確かに『バストの大きさ』は変わってないかもですね」
ちなみに、今のバストは太っている、から大きいんじゃないですよ?
あと、とりあえず服着てください。
隣のエクサリーさんから人殺しそうな視線で見られますので。
アレからなんとか森でのサバイバルを経て街まで戻って来た。
店に着いたとたん、エクサリーがオレの胸に飛び込んで来て、そらもうエライ騒ぎになった。
鍛冶屋さんや、冒険者達をも巻き込んで大捜査網がしかれていたらしい。
おやっさんも金に糸目をつけずあちこち頼み込んだようだ。
エクサリーとか四六時中、表のドラゴンスレイヤーをジッと見つめて離れなかったらしい。
そんなドラスレが消えた際には、人目も憚らず大声で泣いたそうだ。
慌てて女格闘家さんが、まだスライムが居るから大丈夫って慰めてくれたらしい。ありがたいことだ。
そんな女格闘家さんのパーティが口々に謝ってくる。
専属護衛として雇われていながら守れなくて申し訳ないと。
いや、仕方ないんですよ。なんせ王家の隠しアイテムを使われたんですから。
ラピスですら気づけなかったんですし。
それでも申し訳ないって落ち込んでいるので、例の仕様を説明申し上げた。ほら、スライムも20レベルになったら姿が変わるかもしれないって奴。
まあ、良くなる、ともかぎらないのだが。
それでも格闘家のお姉さんは喜んでいた。
キングスライムだと、スライムに埋もれてすごせるかも、とか。
ナイトスライムなら、人間っぽくなるから、会話も出来るようになるんじゃないか、とか。
メタルスライムもキィ、キィって言いながら飛び跳ねている。
というかスライムって鳴くんですね。えっ、5レベルになって鳴くようになった? 簡単な会話みたいな事が出来る?
10レベルになるのが楽しみですね。
頑張って20レベルにしてください。オレのカードも増えますんで。
そして夜中、事情を説明し、一枚のカードを取り出す。
「とりあえず出してあげたら?」
出して大丈夫なのだろうか? 混乱して襲い掛かって気やしないだろうか?
『出でよ! プリンセスナイト・カシュア!』
オレ達の目の前に、豪勢な鎧とフリフリのスカートを来た一人の女性が現れる。
その女性はしばらく呆然としていたかと思うと、ここは何処って聞いてくる。
オレは王様骸骨から逃げ出し、魔都を脱出し、森を抜け、街まで戻ってきた事を伝える。
「ほ、ほんとうかね! さすがはドラゴンスレイヤーだ! 君は命の恩人だね!」
いやドラスレはあんま役に立たなかったですよ?
しかし王子様、自分の状況、分かっています?
「なんだがお腹がへこんでいる気がするね! これはあれだ、運動したからかな!」
能天気な王子様だ。
ご飯が食べたいって言うんで、夕食にした。
どうやら女性になった事はさほど気にされていないようで良かった。
それにしても良く食べる王子様だ。
寝る前にお風呂に入るって言うんでラピスに風呂場まで案内してもらった。
そして暫くして慌てて風呂場から出てきた。全裸で。
気づいてなかったんかよ。
「聞いてないよぉおおお!」
まあ、言ってないし。というか普通は言わなくても気づくと思うんだ。
とりあえずラピスが王子様、じゃなかったお姫様を風呂場に引き摺って行く。
だが、暫くしてまたしても叫びながら戻ってくる。
うん、今後はちゃんと服着ているな? 何がご不満で?
「こ、これ、ボクの剣じゃないよね!? なんかボクの剣より豪勢な気もするけど。いや! それはいいんだ! ボクの剣はどこ!?」
ああ、アレ置いてきましたわ。
だって回収する余裕無かったもので。
「ええっ、そっ、そんなぁああ……」
ペタリと地面に座り込むお姫様。
アレがないと帰れないって呟いている。
いや、あってもその姿で戻るのはちょっとどうかと思われますが。
「そ、それにだね、アレを無くしたと知られると……」
「知られると?」
「例え王子であっても首が飛ぶんだよ! 物理的に!」
知られなきゃいいのでは? 今はほら、もう王子様じゃないし。きっと誰も気づきませんよ。
「なるほど! それもそうかもしれない!」
立ち直り早いなこのプリンセス。
ちょっと王子様、はしたないんで全裸で出歩かないでください。あっ、今はお姫様でしたっけ?
「どどど、どうなっているの! なんでないの!」
胸がある時点で気づきましょうや。
「えっ、胸はそんなに変わってないよ?」
「……確かに『バストの大きさ』は変わってないかもですね」
ちなみに、今のバストは太っている、から大きいんじゃないですよ?
あと、とりあえず服着てください。
隣のエクサリーさんから人殺しそうな視線で見られますので。
アレからなんとか森でのサバイバルを経て街まで戻って来た。
店に着いたとたん、エクサリーがオレの胸に飛び込んで来て、そらもうエライ騒ぎになった。
鍛冶屋さんや、冒険者達をも巻き込んで大捜査網がしかれていたらしい。
おやっさんも金に糸目をつけずあちこち頼み込んだようだ。
エクサリーとか四六時中、表のドラゴンスレイヤーをジッと見つめて離れなかったらしい。
そんなドラスレが消えた際には、人目も憚らず大声で泣いたそうだ。
慌てて女格闘家さんが、まだスライムが居るから大丈夫って慰めてくれたらしい。ありがたいことだ。
そんな女格闘家さんのパーティが口々に謝ってくる。
専属護衛として雇われていながら守れなくて申し訳ないと。
いや、仕方ないんですよ。なんせ王家の隠しアイテムを使われたんですから。
ラピスですら気づけなかったんですし。
それでも申し訳ないって落ち込んでいるので、例の仕様を説明申し上げた。ほら、スライムも20レベルになったら姿が変わるかもしれないって奴。
まあ、良くなる、ともかぎらないのだが。
それでも格闘家のお姉さんは喜んでいた。
キングスライムだと、スライムに埋もれてすごせるかも、とか。
ナイトスライムなら、人間っぽくなるから、会話も出来るようになるんじゃないか、とか。
メタルスライムもキィ、キィって言いながら飛び跳ねている。
というかスライムって鳴くんですね。えっ、5レベルになって鳴くようになった? 簡単な会話みたいな事が出来る?
10レベルになるのが楽しみですね。
頑張って20レベルにしてください。オレのカードも増えますんで。
そして夜中、事情を説明し、一枚のカードを取り出す。
「とりあえず出してあげたら?」
出して大丈夫なのだろうか? 混乱して襲い掛かって気やしないだろうか?
『出でよ! プリンセスナイト・カシュア!』
オレ達の目の前に、豪勢な鎧とフリフリのスカートを来た一人の女性が現れる。
その女性はしばらく呆然としていたかと思うと、ここは何処って聞いてくる。
オレは王様骸骨から逃げ出し、魔都を脱出し、森を抜け、街まで戻ってきた事を伝える。
「ほ、ほんとうかね! さすがはドラゴンスレイヤーだ! 君は命の恩人だね!」
いやドラスレはあんま役に立たなかったですよ?
しかし王子様、自分の状況、分かっています?
「なんだがお腹がへこんでいる気がするね! これはあれだ、運動したからかな!」
能天気な王子様だ。
ご飯が食べたいって言うんで、夕食にした。
どうやら女性になった事はさほど気にされていないようで良かった。
それにしても良く食べる王子様だ。
寝る前にお風呂に入るって言うんでラピスに風呂場まで案内してもらった。
そして暫くして慌てて風呂場から出てきた。全裸で。
気づいてなかったんかよ。
「聞いてないよぉおおお!」
まあ、言ってないし。というか普通は言わなくても気づくと思うんだ。
とりあえずラピスが王子様、じゃなかったお姫様を風呂場に引き摺って行く。
だが、暫くしてまたしても叫びながら戻ってくる。
うん、今後はちゃんと服着ているな? 何がご不満で?
「こ、これ、ボクの剣じゃないよね!? なんかボクの剣より豪勢な気もするけど。いや! それはいいんだ! ボクの剣はどこ!?」
ああ、アレ置いてきましたわ。
だって回収する余裕無かったもので。
「ええっ、そっ、そんなぁああ……」
ペタリと地面に座り込むお姫様。
アレがないと帰れないって呟いている。
いや、あってもその姿で戻るのはちょっとどうかと思われますが。
「そ、それにだね、アレを無くしたと知られると……」
「知られると?」
「例え王子であっても首が飛ぶんだよ! 物理的に!」
知られなきゃいいのでは? 今はほら、もう王子様じゃないし。きっと誰も気づきませんよ。
「なるほど! それもそうかもしれない!」
立ち直り早いなこのプリンセス。
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