148 / 279
第九章
レベル148 第九章完結
しおりを挟む
どうやら心当たりがあったようで暫く黙り込む。
そうして暫くして、大きなため息を吐く。
「ハァ……こんな事を考えていたら、僕の行動は全て彼女に操作されているように思えて怖くなる」
そう思っておいて間違いはないと思うぞ。
それがそういう奴とつき会う時の心構えだ。
うちにも一匹居るからな。怖いのが。誰とは言わない。
「それで、その大会に出たらどんな罰ゲームが待っているんだ?」
「別に罰ゲームなんてないよ! 上位入賞者には、名声が欲しいなら貴族位でも、お金が欲しいなら高額な賞金を、各地からそれ目当てで多くの人が集る」
大会のルールは、スキルどころがどんな武器・防具・魔道具を持ち込もうと構わないとか。
「なんだよソレ? じゃんじゃん死人がでないか?」
「自分が今持てる全ての力を出しきって戦う舞台だからね。ただし、対人戦はほとんどないよ」
基本は技術を見せて審査員が採点するとか。
よく達人は寸止めも容易だろう勘違いされるが、斬る技術と止める技術はまったくの別物、真剣で切り合えばどちらかが死ぬ。
死なれちゃ困るから、相手をモンスターに変えたり、大岩を割ったりして技を披露するとか。
なんか大道芸みたいだな……参加するつもりはないが、ちょっと見てみたくはある。
「僕もね、手ぶらで来た訳じゃないんだよ」
懐から、なにやら小さな子瓶を取りだす。
その中には、小さな羽の生えた小人が入っていた。
「樹木の妖精ニンフだ。好きなんだろう、こういうのが」
おまっ、また誤解されるような言い回しをしやがって。
残念ながらつい昨日、カードは使いきってしまった。
貰ってもどうしようもない。
「そうか、ならば仕方ないな、この子は処分するか」
そう言うと、瓶の蓋に風を纏った手を近づける。
オレは思わずソイツの手を掴む。
「ニンフと言うモンスターはね、危険害獣に指定されている。発見次第、殺さなくてはならない」
なんでも、愛くるしい見た目に反して、非常に危険なモンスターなんだと。
幻影を使って人を森に誘い出し、草木を操りそれらを捉え、食料とする。
捕まった人間は数ヶ月に渡って生気を絞りつくされ、やがて死に至る。
困った事に、ニンフは人の生気しか口に出来ない。
即ち、ニンフと人は決して相容れない存在であり、発見次第、駆除する必要があるのだと。
「これも姫様の入れ知恵か?」
「いやこれは別の……まあ、大元がフロワースである可能性は否定出来ないがな」
おめえ、そういうのは脅迫って言うんだぞ。
「餌と成る奴隷に付いては、こちらから提供してもいい」
「………………」
「おっと下手に自分の生気を与えるとか思わない方がいい。その昔、とある村でニンフを匿った事がある。数年後、その村の全ての住民が生きる気力のほとんどを失っていた。生気を吸い取られる、ということはそういう事だ」
生気を吸い取られる、ね。
ならばその生気をリセットされる存在ならどうだ?
「おいちょっとカシュア、コッチに来てくれ」
「えっ、またなんかの実験なの? もう勘弁してよ!」
うう……なにやらごっそり減ったような気がする。と、ニンフに触ったカシュアが呟いている。
そしてオレはカシュアを再召喚。
「どんな感じだ?」
「うん、さっき減った何かはもう感じないね!」
とまあ生気の方は問題なくなったが……
コイツに今後もこんな事されたら堪ったもんじゃないな。
ぶん殴って追い出そうか?
「ま、待ちたまえ、今回だけ! このような事をするのは今回だけだよ!」
なんて言っているがどうだラピス。
「信用なりませんね。ちょっと場所をお借りしますね」
そ言うとラピスはそいつの正面に回る。
「ふむふむ、スキルは英雄の導き手以外に、嵐の呼び手、さらに広角認知ですか。ダブルどころかトリプルスキル。そりゃ強いわけですね」
そいつの顔がサッと青くなる。
さらにラピスは様々なパラメータを言葉に出していく。
「待て! 待ってくれ! 君は……鑑定・極でも持っているのか!?」
「さて、どうでしょうかね」
「おいお前、確か何を持ち込んでもオッケーって言ってたな。ならばオレは、このラピスを持ち込む!」
というか、ラピスを選手にしたてればいいんじゃね?
おっ、これ名案だな!
オレは観客席で見物でもしておこう。
「なるほどコレが大会のチラシですか」
あっ、これ凄い賞金が出ますよ。なんて勝手にソイツの鞄からチラシを取りだすラピス。
ほうほう、うぉっ、億とか出るのか!
もうかってんだな、お前の国!
「ま、待ってくれ、なぜここにチラシがあると分かったんだ!?」
「ラピス、やれるか?」
「任しといてください! ドラスレ持込オッケーなんでしょ? ちょっと負ける気がしません」
ついでにパワードスーツも使うか?
魔法無効にしたらさらに勝率アップだろ。
「さすがにそれはイージーモード過ぎますよぉ」
これ毎年やってるんだよな?
いい稼ぎ場所見つけたぜ!
なんならラピス以外にカシュアとロゥリも付けるか?
竜王とか出したら確実に勝てるよな!
オレのスキルって事で、複数一気に出してカタをつけるのも有りだな!
そうして暫くして、大きなため息を吐く。
「ハァ……こんな事を考えていたら、僕の行動は全て彼女に操作されているように思えて怖くなる」
そう思っておいて間違いはないと思うぞ。
それがそういう奴とつき会う時の心構えだ。
うちにも一匹居るからな。怖いのが。誰とは言わない。
「それで、その大会に出たらどんな罰ゲームが待っているんだ?」
「別に罰ゲームなんてないよ! 上位入賞者には、名声が欲しいなら貴族位でも、お金が欲しいなら高額な賞金を、各地からそれ目当てで多くの人が集る」
大会のルールは、スキルどころがどんな武器・防具・魔道具を持ち込もうと構わないとか。
「なんだよソレ? じゃんじゃん死人がでないか?」
「自分が今持てる全ての力を出しきって戦う舞台だからね。ただし、対人戦はほとんどないよ」
基本は技術を見せて審査員が採点するとか。
よく達人は寸止めも容易だろう勘違いされるが、斬る技術と止める技術はまったくの別物、真剣で切り合えばどちらかが死ぬ。
死なれちゃ困るから、相手をモンスターに変えたり、大岩を割ったりして技を披露するとか。
なんか大道芸みたいだな……参加するつもりはないが、ちょっと見てみたくはある。
「僕もね、手ぶらで来た訳じゃないんだよ」
懐から、なにやら小さな子瓶を取りだす。
その中には、小さな羽の生えた小人が入っていた。
「樹木の妖精ニンフだ。好きなんだろう、こういうのが」
おまっ、また誤解されるような言い回しをしやがって。
残念ながらつい昨日、カードは使いきってしまった。
貰ってもどうしようもない。
「そうか、ならば仕方ないな、この子は処分するか」
そう言うと、瓶の蓋に風を纏った手を近づける。
オレは思わずソイツの手を掴む。
「ニンフと言うモンスターはね、危険害獣に指定されている。発見次第、殺さなくてはならない」
なんでも、愛くるしい見た目に反して、非常に危険なモンスターなんだと。
幻影を使って人を森に誘い出し、草木を操りそれらを捉え、食料とする。
捕まった人間は数ヶ月に渡って生気を絞りつくされ、やがて死に至る。
困った事に、ニンフは人の生気しか口に出来ない。
即ち、ニンフと人は決して相容れない存在であり、発見次第、駆除する必要があるのだと。
「これも姫様の入れ知恵か?」
「いやこれは別の……まあ、大元がフロワースである可能性は否定出来ないがな」
おめえ、そういうのは脅迫って言うんだぞ。
「餌と成る奴隷に付いては、こちらから提供してもいい」
「………………」
「おっと下手に自分の生気を与えるとか思わない方がいい。その昔、とある村でニンフを匿った事がある。数年後、その村の全ての住民が生きる気力のほとんどを失っていた。生気を吸い取られる、ということはそういう事だ」
生気を吸い取られる、ね。
ならばその生気をリセットされる存在ならどうだ?
「おいちょっとカシュア、コッチに来てくれ」
「えっ、またなんかの実験なの? もう勘弁してよ!」
うう……なにやらごっそり減ったような気がする。と、ニンフに触ったカシュアが呟いている。
そしてオレはカシュアを再召喚。
「どんな感じだ?」
「うん、さっき減った何かはもう感じないね!」
とまあ生気の方は問題なくなったが……
コイツに今後もこんな事されたら堪ったもんじゃないな。
ぶん殴って追い出そうか?
「ま、待ちたまえ、今回だけ! このような事をするのは今回だけだよ!」
なんて言っているがどうだラピス。
「信用なりませんね。ちょっと場所をお借りしますね」
そ言うとラピスはそいつの正面に回る。
「ふむふむ、スキルは英雄の導き手以外に、嵐の呼び手、さらに広角認知ですか。ダブルどころかトリプルスキル。そりゃ強いわけですね」
そいつの顔がサッと青くなる。
さらにラピスは様々なパラメータを言葉に出していく。
「待て! 待ってくれ! 君は……鑑定・極でも持っているのか!?」
「さて、どうでしょうかね」
「おいお前、確か何を持ち込んでもオッケーって言ってたな。ならばオレは、このラピスを持ち込む!」
というか、ラピスを選手にしたてればいいんじゃね?
おっ、これ名案だな!
オレは観客席で見物でもしておこう。
「なるほどコレが大会のチラシですか」
あっ、これ凄い賞金が出ますよ。なんて勝手にソイツの鞄からチラシを取りだすラピス。
ほうほう、うぉっ、億とか出るのか!
もうかってんだな、お前の国!
「ま、待ってくれ、なぜここにチラシがあると分かったんだ!?」
「ラピス、やれるか?」
「任しといてください! ドラスレ持込オッケーなんでしょ? ちょっと負ける気がしません」
ついでにパワードスーツも使うか?
魔法無効にしたらさらに勝率アップだろ。
「さすがにそれはイージーモード過ぎますよぉ」
これ毎年やってるんだよな?
いい稼ぎ場所見つけたぜ!
なんならラピス以外にカシュアとロゥリも付けるか?
竜王とか出したら確実に勝てるよな!
オレのスキルって事で、複数一気に出してカタをつけるのも有りだな!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる