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第十三章
レベル202 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらボーカロイドに
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「見てみよ! これがアイリスブラッドのマンドラゴラじゃぁあああ!」
そう叫びながら虹色のマンドラゴラを高々と掲げる。
うわっ、毒々しい。
カラフルな植物って、いかにも毒もってますって感じがする。
なんでもホウオウが居なくなった後、山をずっと彷徨ってアイリスブラッド種のマンドラゴラを探していたらしい。
この数ヶ月間、ずっと探していたのか……さすがアンデッド、時間の感覚が人とは違うな。
ようやく見つけて歓喜を上げたのも束の間、辺りを見渡すと誰も居ない。
ローゼマリアもオレ達が帰ったのを気づいて無かった模様。
「えっ、数ヶ月も気づいてなかったの?」
「たかが数ヶ月など、わらわにとっては瞬きする間もないなっ」
「そういやお前が瞬きしているのを見たこと無いな。というかするの?」
いやそれはどうでもいいか。
歩いて帰ろうにも山の中、どっちがどっちやらさっぱり。
ちょうどそんな時、目の前にワイバーンの死体があった。
まだ生まれたてのようで、どうやら親が死んだか何かで放置されていたご様子。
此れ幸いとアンデッドにして眷属にしたとか。
「えっ、お前、死体眷属に出来るの?」
「わらわはリッチじゃぞ! それぐらい朝飯前じゃっ! 但し、やったのは始めてじゃがなっ」
「始めてなんかよ……」
「というかお主こそ、まさかわらわの事を忘れておった訳じゃなかろうな?」
うん、忘れてました。と言う訳にも行かず、慌ててごまかしてみる。
「おおっ、これは超レアなマンドラゴラじゃないか! これならきっと凄い楽器になるに違いない!」
「ほうほう、それは楽しみじゃのっ!」
「えっ、最後の一枚、こんなものに使うのですか?」
いやだっておめえ、さすがにこの状況で断れないだろ?
一応アイリスブラッド種なんだ、もしかしたら、もの凄く良いものに化けるかもしれない。
虹色のギターとか、弦を弾くたびに虹が出るとか?
「それ、良いものなんですかねえ……」
オレは呼び出したモンスターカードをマンドラゴラに向かって掲げる。
モンスターカードから発せられる光を受けて徐々に透き通っていくマンドラゴラ。
その姿が消えうせたかと思うと、カードに虹色の光の奔流が集る!
そして、いつもは無音なそのシーン、なぜか様々音が、まるでカードに吸い込まれるように聞こえてくる。
最後に光と音が弾けとんだ後、キラキラと輝く虹色のカードが一枚。
おおっ、こいつはスゲーもんが出たぞ!
見てくれラピス!
「シンセサイザー? ですか」
そう、そのカードのタイトルはシンセサイザー!
『シンセサイザー』
☆8・レベル1
スキル:奏者
とりあえずカードから出してみる。
ステージピアノの様に足つきの88鍵盤のキーボード。
その上に様々な、つまみやボリューム、スイッチなど。
左右には丸い大きなスピーカーまでついている。
さらに、可動式のモニターまでついていると言う優れ物!
オレはそのシンセに触れてみる。
すると何やら頭の中に使い方が思い浮かんでくる。
なるほど、これが『奏者』のスキルか。
様々な機能、説明書無しには使いこなせない。
どうやら奏者のスキルがその代わりを果たせてくれている模様。
至れり尽くせりだな!
「なんじゃ此れは? お主が持っておるものと随分違うようじゃが……?」
えっ、ギターが良かった?
まあまあ、そう言わずにちょっとこっちへ来て見ろ。
そうだな……ふむ、こういう機能もあるのか。
オレはモニターを操作して、とあるボタンをタップする。
するとキーボードの鍵盤が次々と光っては消えて行く。
「この、光ったと同時に押してみな」
「ふむ……おおっ!」
ローゼマリアがキーボードを押し込むたびに音が流れる。
それはぎこちなく、音楽に変わって行く。
どうやら電子ピアノのように選択した曲の音源を指示してくれるようだ。
「なんじゃこれは! ピアノじゃないのかっ!?」
押し込む鍵盤にギターやドラムの音が混じっていく。
そう、シンセサイザーの良いところは、ピアノだけじゃなく、様々な楽器の音が流せるってとこだ。
シンセサイザーとは、あらかじめインプットされている音源をキーボードを用いて再現する。
音楽を演奏する、というよりは、音楽を作り出す、と言ったほうがしっくりくる。
そしてこいつには様々な音源が登録されていた。
ちょっと難しい曲だったが、ローゼマリアはモンスターである動体視力を生かして正確に鍵盤を押して行く。
「うぬっ! 楽しい! 楽しいぞ此れはっ!」
気に入ってくれて何よりです。
そのうち防音室にシンセサイザーを持ち込んで閉じこもってしまった。
ううむ、これはローゼマリア専用の防音室を作った方が良いかもしれないな。
「ギャォ……」
ふと悲しそうな声で泣くモンスターが居る事に気づく。
……どうすんのこのワイバーンゾンビ。
おい、お前が拾ってきたんだろ! 先にこっちなんとかしていけ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ちょうど良かったかもしれませんね」
何が?
ラピスがどこかへ魔道電話をかけている。
しばらくするとカユサルが店にやって来た。
「新しいピアノが出来たと聞いたのですが……?」
「ピアノと言うかなんというか、ちょっとこっちへ来てください」
そのカユサルを、ラピスの奴がローゼマリアの元へ誘導する。
おい、いいのか、その二人会わせて?
どうなっても知らないぞ?
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
アレも一種のシンセサイザーですよね☆
そう叫びながら虹色のマンドラゴラを高々と掲げる。
うわっ、毒々しい。
カラフルな植物って、いかにも毒もってますって感じがする。
なんでもホウオウが居なくなった後、山をずっと彷徨ってアイリスブラッド種のマンドラゴラを探していたらしい。
この数ヶ月間、ずっと探していたのか……さすがアンデッド、時間の感覚が人とは違うな。
ようやく見つけて歓喜を上げたのも束の間、辺りを見渡すと誰も居ない。
ローゼマリアもオレ達が帰ったのを気づいて無かった模様。
「えっ、数ヶ月も気づいてなかったの?」
「たかが数ヶ月など、わらわにとっては瞬きする間もないなっ」
「そういやお前が瞬きしているのを見たこと無いな。というかするの?」
いやそれはどうでもいいか。
歩いて帰ろうにも山の中、どっちがどっちやらさっぱり。
ちょうどそんな時、目の前にワイバーンの死体があった。
まだ生まれたてのようで、どうやら親が死んだか何かで放置されていたご様子。
此れ幸いとアンデッドにして眷属にしたとか。
「えっ、お前、死体眷属に出来るの?」
「わらわはリッチじゃぞ! それぐらい朝飯前じゃっ! 但し、やったのは始めてじゃがなっ」
「始めてなんかよ……」
「というかお主こそ、まさかわらわの事を忘れておった訳じゃなかろうな?」
うん、忘れてました。と言う訳にも行かず、慌ててごまかしてみる。
「おおっ、これは超レアなマンドラゴラじゃないか! これならきっと凄い楽器になるに違いない!」
「ほうほう、それは楽しみじゃのっ!」
「えっ、最後の一枚、こんなものに使うのですか?」
いやだっておめえ、さすがにこの状況で断れないだろ?
一応アイリスブラッド種なんだ、もしかしたら、もの凄く良いものに化けるかもしれない。
虹色のギターとか、弦を弾くたびに虹が出るとか?
「それ、良いものなんですかねえ……」
オレは呼び出したモンスターカードをマンドラゴラに向かって掲げる。
モンスターカードから発せられる光を受けて徐々に透き通っていくマンドラゴラ。
その姿が消えうせたかと思うと、カードに虹色の光の奔流が集る!
そして、いつもは無音なそのシーン、なぜか様々音が、まるでカードに吸い込まれるように聞こえてくる。
最後に光と音が弾けとんだ後、キラキラと輝く虹色のカードが一枚。
おおっ、こいつはスゲーもんが出たぞ!
見てくれラピス!
「シンセサイザー? ですか」
そう、そのカードのタイトルはシンセサイザー!
『シンセサイザー』
☆8・レベル1
スキル:奏者
とりあえずカードから出してみる。
ステージピアノの様に足つきの88鍵盤のキーボード。
その上に様々な、つまみやボリューム、スイッチなど。
左右には丸い大きなスピーカーまでついている。
さらに、可動式のモニターまでついていると言う優れ物!
オレはそのシンセに触れてみる。
すると何やら頭の中に使い方が思い浮かんでくる。
なるほど、これが『奏者』のスキルか。
様々な機能、説明書無しには使いこなせない。
どうやら奏者のスキルがその代わりを果たせてくれている模様。
至れり尽くせりだな!
「なんじゃ此れは? お主が持っておるものと随分違うようじゃが……?」
えっ、ギターが良かった?
まあまあ、そう言わずにちょっとこっちへ来て見ろ。
そうだな……ふむ、こういう機能もあるのか。
オレはモニターを操作して、とあるボタンをタップする。
するとキーボードの鍵盤が次々と光っては消えて行く。
「この、光ったと同時に押してみな」
「ふむ……おおっ!」
ローゼマリアがキーボードを押し込むたびに音が流れる。
それはぎこちなく、音楽に変わって行く。
どうやら電子ピアノのように選択した曲の音源を指示してくれるようだ。
「なんじゃこれは! ピアノじゃないのかっ!?」
押し込む鍵盤にギターやドラムの音が混じっていく。
そう、シンセサイザーの良いところは、ピアノだけじゃなく、様々な楽器の音が流せるってとこだ。
シンセサイザーとは、あらかじめインプットされている音源をキーボードを用いて再現する。
音楽を演奏する、というよりは、音楽を作り出す、と言ったほうがしっくりくる。
そしてこいつには様々な音源が登録されていた。
ちょっと難しい曲だったが、ローゼマリアはモンスターである動体視力を生かして正確に鍵盤を押して行く。
「うぬっ! 楽しい! 楽しいぞ此れはっ!」
気に入ってくれて何よりです。
そのうち防音室にシンセサイザーを持ち込んで閉じこもってしまった。
ううむ、これはローゼマリア専用の防音室を作った方が良いかもしれないな。
「ギャォ……」
ふと悲しそうな声で泣くモンスターが居る事に気づく。
……どうすんのこのワイバーンゾンビ。
おい、お前が拾ってきたんだろ! 先にこっちなんとかしていけ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ちょうど良かったかもしれませんね」
何が?
ラピスがどこかへ魔道電話をかけている。
しばらくするとカユサルが店にやって来た。
「新しいピアノが出来たと聞いたのですが……?」
「ピアノと言うかなんというか、ちょっとこっちへ来てください」
そのカユサルを、ラピスの奴がローゼマリアの元へ誘導する。
おい、いいのか、その二人会わせて?
どうなっても知らないぞ?
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アレも一種のシンセサイザーですよね☆
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