リモート・ウォーリア

ラノべえ

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7 若人サロン②

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「なにっ! 強兵は新成人なのに、リモート・ウォーリアの戦闘訓練を受けているだとぅ…… 見かけないと思ったら、そういう事だったのか」 

 その話を聞いて、強兵と同い年の坂江正吉は少しショックを受けたようだ。

「普通、新成人はリモート・ワーカーの訓練から始めるもんだけどな」
「さすがは、一人だけ異次元の強さだっただけの事はあるわね、私たちはリモート・ワーカーで地下都市の拡張や修復工事をやっているのよ」

 強兵の話を聞いた蒼井と環奈も、興味深そうに驚いている。

「リモート・ワーカーというのは、なんです?」
「武装が付いてない作業用のロボットだよ、リモート・ウォーリアとほぼ同じ立体スクリーンの操縦席から遠隔操作できる」
「オレたちの先輩方は、いまのフソウよりも安全な深層の地下に、新たな都市を建設しているんだ」
「でも、強兵がリモート・ウォーリアの訓練センターに配属されたとは驚いたな、今のフソウではリモート・ウォーリアでの戦闘よりも地下都市での繁栄に力を入れているからな」
「乱暴な言い方をすれば、人工太陽とエターナルがあれば、人類は地下で生きていかれるんだからな」

 強兵は、自由領域が宇宙人との戦闘に備えて緊迫している様子を想像していたので、意外に感じた。
 彼が、今受けている訓練は、近く行われる少数のリモート・ウォーリアによる地上の強行偵察を想定したものである。
 もちろんその事を外部に漏らすことは出来ないが、みんなが地上のことについて、今どう思っているのかとても興味があった。

「自由領域の人たちは、地上の事について普段どう思っているんです? リモート・ウォーリアを使って地上の事を調べたらいいんじゃないでしょうか?」
「ああ、そういう話はもう何年も前から聞くけど実際は難しいだろうね、フソウの事が地上にバレるリスクも多少あるし、なんといっても市長が、宇宙人との戦闘に反対しているんだからね」

 市長が、宇宙人との戦闘に反対している! 強兵は意外すぎる話に仰天した。

「でも、地上の事について調査したり、宇宙人との戦闘に備えたりするのは必要な事だと思う、オレだって、今でも工事の作業をしながらリモート・ウォーリアの操縦技術を磨いているんだからな!」

 蒼井勇輝は、いつでもフソウのために戦えるように鍛錬を続けているのだった。
 さすがは強兵の尊敬する兄貴分の蒼井先輩である。

「あっ! それと訓練センターに、個別居住領域では聞いた事がない強い操縦者がいるのですが、あの人たちはいったいどうなっているんでしょう?」
「それは、たぶん自由領域で育った人間だろう、自由領域にも例外的に子供がいるんだよ」
「一般的には、有力者の家系の子孫だよ」

 有力者の子孫! それを聞いて強兵は、納得した。
 三船水樹は長官の娘だし、もしかしたら七海ヒビキも、有力者の子供なのかもしれない。

「良かったら、場所を代えて別の所で話さないか? ここは混雑していて、どうもいけない」
「街の中をドライブするのもいいんじゃない?」

 蒼井と環奈の提案により、数人で街の中に繰り出す事になった。
 自由領域では、自動運転の無人タクシーが市民の交通手段になっていて、自分で運転しなくても目的地に行く事ができる。腕時計型の端末を使って空いている無人タクシーを呼び寄せて、好きな時に利用する事ができるので、個人でクルマを所有する必要もないのである。
 蒼井勇輝が、目的地をドライブにセットすると、強兵たちを乗せた無人タクシーは、滑らかに加速し始めた。
 訓練センターと自分の部屋を行き来するだけの生活だった強兵にとっては、新鮮な体験である。
 しばらく走っても、地底の中を未来的な建物が、どこまでも続いていて壮観である。それらは、人工太陽に照らされて昼間の地上のように明るい。

 「わぁぁーー!」

 フソウの都市は、強兵が想像していたよりも発展していて大きかった。ざっと見ただけで、ありとあらゆる食べ物の店や、コンビニにスーパーなどの販売店、映画館やテーマパークなどの娯楽施設、おもちゃ屋や模型店まである。

「自由領域では、意外と娯楽が発達しているんですね」
「窮屈な地下での生活には、娯楽が重要だからね」

 地下都市の中で、新しい文化が花開いると言ってもいいだろう。
 だが、これは本当の繁栄なのだろうか? 強兵は、外の景色を眺めながら、心の中がモヤモヤした気持ちになった。
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