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6 若人サロン①
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リモート・ウォーリアの訓練センターの周りには、歩いて行ける範囲にいろいろな施設が整っている。
強兵が住んでいる部屋も、訓練センターのすぐそばにあった。
彼は、自由領域に来てから間もない休日に、とある場所へと出かける事にした。
<若人サロン>、遅くても20歳までには結婚しなければならないフソウの若者たちにとっての出会いの場である。
若人サロンは、300人ほどが収容できる広さの部屋で、前方に歌や踊りを披露するためのステージを備えている。部屋の真ん中には、複数の椅子やテーブルが並べてあって結婚式の披露宴会場のような雰囲気である。
一部は有料だが、ちょっとした飲み物や軽食が無料で振る舞われていて、結構混雑している。椅子があっても、座るのは容易な事ではなそうだ。
だが、強兵にとってはそれも好都合だった、人が多ければそれだけ多くの出会いがある事だろう。
彼が、今日ここへやって来たのは、自由領域に来てから疑問に思っている事を解消するためなのである。
その疑問というのは、個別居住領域にいた頃にモニター越しに対戦して知り合ったライバルたちを、リモート・ウォーリアの訓練センターで見かけない事である。
そして、七海ヒビキや三船水樹など歳が近くて強い操縦者なら知っているはずの人物が、初めて聞く名前だったからである。
自由領域と個別居住領域間の情報は、少年少女たちの育成に与える影響を考えて制限されている。だから強兵も解らない事がたくさんあるのだ。
「あれ、キミはもしかして氷上強兵くんじゃないの?」
飲み物を片手に、サロンを見回していた強兵の後ろから誰かが声をかけてきたので、驚いて振り向くと見覚えのある妖しい美女が立っていた。
「あっ! あなたは……」
そう言いかけた強兵だったが、顔に見覚えはあるのだが、どういうわけか名前が出てこなかった。
「はい、自分は氷上強兵です。たしか、あなたとは以前にリモート・ウォーリアの大会で対戦した事がありましたね?」
そうは言っても、個別居住領域での対戦はモニター越しの事なので、実際に会うのは、今日が初めてである。
「あたしは、喜多村環奈あまり覚えてないのも無理ないワ、3年以上前の事だし余り強い方じゃなかったしね」
「いやぁ……、こんなキレイな人の名前を覚えてないなんて、自分が子供だっただけです」
強兵は、個別居住領域での知り合いに初めて出会ったので、とても嬉しかった。
これで、自由領域での生活の事や疑問をいろいろ聞けると思った。
「なにっ! 氷上強兵だとぅ……」
「氷上強兵だ! 成人して自由領域に来ていたのか――」
環奈と話していると、いつの間にか見覚えのある数人の男たちが強兵の周りに集まってきた。
「やぁ、強兵! 大きくなったな! と言っても会うのは初めてだけど……」
「あっ! あなたは蒼井先輩ですか?」
話しかけてきた男の名は蒼井勇輝、強兵にとって個別居住領域での兄貴分のような存在であり、強兵と萌絵奈を除けば最強レベルのリモート・ウォーリアの操縦者である。
他の個別居住領域での知り合いも、顔は知っていても実際に会うのは初めてである。
強兵はみんなと再開できた事が嬉しくて、あらためて自己紹介がてらに、リモート・ウォーリアの訓練センターでの事などを話し始めた。
強兵が住んでいる部屋も、訓練センターのすぐそばにあった。
彼は、自由領域に来てから間もない休日に、とある場所へと出かける事にした。
<若人サロン>、遅くても20歳までには結婚しなければならないフソウの若者たちにとっての出会いの場である。
若人サロンは、300人ほどが収容できる広さの部屋で、前方に歌や踊りを披露するためのステージを備えている。部屋の真ん中には、複数の椅子やテーブルが並べてあって結婚式の披露宴会場のような雰囲気である。
一部は有料だが、ちょっとした飲み物や軽食が無料で振る舞われていて、結構混雑している。椅子があっても、座るのは容易な事ではなそうだ。
だが、強兵にとってはそれも好都合だった、人が多ければそれだけ多くの出会いがある事だろう。
彼が、今日ここへやって来たのは、自由領域に来てから疑問に思っている事を解消するためなのである。
その疑問というのは、個別居住領域にいた頃にモニター越しに対戦して知り合ったライバルたちを、リモート・ウォーリアの訓練センターで見かけない事である。
そして、七海ヒビキや三船水樹など歳が近くて強い操縦者なら知っているはずの人物が、初めて聞く名前だったからである。
自由領域と個別居住領域間の情報は、少年少女たちの育成に与える影響を考えて制限されている。だから強兵も解らない事がたくさんあるのだ。
「あれ、キミはもしかして氷上強兵くんじゃないの?」
飲み物を片手に、サロンを見回していた強兵の後ろから誰かが声をかけてきたので、驚いて振り向くと見覚えのある妖しい美女が立っていた。
「あっ! あなたは……」
そう言いかけた強兵だったが、顔に見覚えはあるのだが、どういうわけか名前が出てこなかった。
「はい、自分は氷上強兵です。たしか、あなたとは以前にリモート・ウォーリアの大会で対戦した事がありましたね?」
そうは言っても、個別居住領域での対戦はモニター越しの事なので、実際に会うのは、今日が初めてである。
「あたしは、喜多村環奈あまり覚えてないのも無理ないワ、3年以上前の事だし余り強い方じゃなかったしね」
「いやぁ……、こんなキレイな人の名前を覚えてないなんて、自分が子供だっただけです」
強兵は、個別居住領域での知り合いに初めて出会ったので、とても嬉しかった。
これで、自由領域での生活の事や疑問をいろいろ聞けると思った。
「なにっ! 氷上強兵だとぅ……」
「氷上強兵だ! 成人して自由領域に来ていたのか――」
環奈と話していると、いつの間にか見覚えのある数人の男たちが強兵の周りに集まってきた。
「やぁ、強兵! 大きくなったな! と言っても会うのは初めてだけど……」
「あっ! あなたは蒼井先輩ですか?」
話しかけてきた男の名は蒼井勇輝、強兵にとって個別居住領域での兄貴分のような存在であり、強兵と萌絵奈を除けば最強レベルのリモート・ウォーリアの操縦者である。
他の個別居住領域での知り合いも、顔は知っていても実際に会うのは初めてである。
強兵はみんなと再開できた事が嬉しくて、あらためて自己紹介がてらに、リモート・ウォーリアの訓練センターでの事などを話し始めた。
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