残365日のこおり。

tonari0407

文字の大きさ
上 下
9 / 113
第1章

選択肢 4月11日

しおりを挟む
目を開けるとベットの上だった。


あいりを殺す?


リイトの声がする。

「奪われたくないのなら殺しちゃえばいいのに」

にまーとあの不気味な笑顔が思い出される。


いや、そんな、俺は人殺しなんて…

あいりを殺すなんて…
あいつ小さいから、身体を押さえて首を…

頭をぶんぶんとふる。


殺したところでどっきりでしたーとかなったら、とんでもない悲劇だ。いや、その場合はもしかしたらあいりもグルの可能性もある。

1年後に本当に俺が消える保証なんてない。存在消去とか、どっかのSFでもないんだから、無理に決まってる。
大がかりな心理実験かもしれない。

とにかく情報が足らない。次にリイトが出てきたら、上手く聞き出さなければ。

あいつとはどこで会った?部屋?いや、俺の部屋じゃなかった。リイトの言葉ばかりに気を取られて周りをみるのを忘れていた。

結局あいつは何なんだ?

担当とかいってたけど、もしかして俺の他にも同じようなことになっている人がいるのか?

いやいやいや、難しく考えすぎている。
結局、どうなるかはわからないんだし、そもそも人生いつ死ぬかは誰にもわからないんだし、
死んだ後に他の人からどう思われようが、自分が死んでるんならどうでもよくないか?

こんなことで悩むこと自体がリイトの思うつぼなんじゃないか?

笑っているリイトの顔が思い浮かぶ、間違いなくあいつは俺が悩めば悩むほど喜ぶだろう。

いいだろう。あいつが何を言おうが、何しようが俺は気にしない。

毎日好きなようにしてやる。

次に会ったら、こっちが笑う番だ。

ベッドサイドの時計をみる。今日は4月11日の月曜日、朝の7時半だ。

こおりは起き上がり、仕事に行く準備を始めた。





ブーブー…
テーブルに置かれたスマホが鳴る。

あいり
「今日、病院いってくる」

    
しおりを挟む

処理中です...