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第1章
感謝
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目を開けるとスーツ姿のリイトいた。
今日はネクタイもつけている。青いストライプのネクタイが似合っていた。
「リイト…」
「おはよう、こおりくん。
大分落ち込んでたみたいですね。自分のしたことの大きさがわかりました?」
リイトの声は落ち着いていた。
前回会った際にぼろくそに言われてから、こおりはずっとリイトに言いたいことがあった。
「やっと会えた。言いたいことがあったんだ。」
「何ですか?文句なら受け付けません。早く消してくれとかもなしです。」
リイト目がこおりを睨み、声が冷たく響いた。
「そんなこと言わないよ。
俺、リイトにありがとうって言いたかったんだ。
俺が自分勝手で、馬鹿で、何にもわかってないから、リイトが教えてくれたんだろ?」
「えっ?」
リイトは明らかに驚いた顔をしていた。
「リイトが教えてくれなかったら、俺はきっと今もあいりの気持ちもわからず、自分勝手に行動してたと思う。
もしかしたら、さらにあいりを傷つけてたかもしれない。
リイト、本当にありがとう。俺が最低なやつだって気づかせてくれて」
こおりの言葉を聞いて、リイトは苦しそうな表情になった。
「なんで…なんで、前はできなかったのに…」
「前?」
そうたの言葉にリイトが返答することはなかった。
はぁっと息を大きく吐いたリイトは、表情を変えていた。
「まぁ、わかったならいいですよ。
僕もわざわざ言ったかいがあったと言うものです。でも、あいりちゃんの気持ちはあの手紙でわかったでしょう?
もう彼女はこおりくんと関わりたくないんですよ。
償うとか、幸せにするとか、こおりくんの思い上がりです。あいりちゃんはこおりくんのこと嫌いなんですから。
こおりくんにできることはもう何もありません。」
リイトの言葉に、こおりは心が改めてずんと落ちるのを感じた。
そう、あいりはこおりに嫌いと言ったのだ。
嫌いという言葉が苦手で、決して使わなかったあいりが言ったのだ。
その時点でこおりは拒否されていた。
それに気づいていたのに、認めなくなくて気づかないふりをしたのだ。
「ああ、俺が直接できることはもう何もない。俺が何かしようとすればする程、あいりを傷つける。」
こおりはリイトの目をじっと見つめていった。
「でも、リイトは…これから何が起きるかわかるんじゃないか?
俺じゃなくて、誰かあいりの力になりそうな人を知ってるんじゃないのか?」
こおりは今までリイトと交わした会話の中で、彼がこおりはあいりをレイプすることを知っていたんじゃないかと思っていた。
予定より早い。リイトはあのときそう言っていたのだ。
こおりの言葉にリイトは一瞬顔色を変えたが、すぐにいつもの不気味な顔に戻った。
「さぁ、僕はただ見ているだけの存在ですよ。」
「頼む!俺はどんなに辛くても、酷いことになってもいいから…
少しでも、少しでも、あいりには笑顔でいて欲しいんだ。もう時間は1年もないんだ。
頼む、リイト。お願いします。」
こおりはリイトに深く頭を下げた。
頭の上でため息が聞こえた。
「保証はないです。そして可能性は低いです。後悔することになっても僕は知りません。」
「それでも、いいんだ。頼む。」
頭を下げたままこおりは懇願した。
「あいりちゃんのバイト先の、声をかけてきた店員くん、それしか言えません。」
「ありがとう!リイト。」
ほんと予定外ですよ…
小さくぼやくリイトの声が頭の上から聞こえた。
今日はネクタイもつけている。青いストライプのネクタイが似合っていた。
「リイト…」
「おはよう、こおりくん。
大分落ち込んでたみたいですね。自分のしたことの大きさがわかりました?」
リイトの声は落ち着いていた。
前回会った際にぼろくそに言われてから、こおりはずっとリイトに言いたいことがあった。
「やっと会えた。言いたいことがあったんだ。」
「何ですか?文句なら受け付けません。早く消してくれとかもなしです。」
リイト目がこおりを睨み、声が冷たく響いた。
「そんなこと言わないよ。
俺、リイトにありがとうって言いたかったんだ。
俺が自分勝手で、馬鹿で、何にもわかってないから、リイトが教えてくれたんだろ?」
「えっ?」
リイトは明らかに驚いた顔をしていた。
「リイトが教えてくれなかったら、俺はきっと今もあいりの気持ちもわからず、自分勝手に行動してたと思う。
もしかしたら、さらにあいりを傷つけてたかもしれない。
リイト、本当にありがとう。俺が最低なやつだって気づかせてくれて」
こおりの言葉を聞いて、リイトは苦しそうな表情になった。
「なんで…なんで、前はできなかったのに…」
「前?」
そうたの言葉にリイトが返答することはなかった。
はぁっと息を大きく吐いたリイトは、表情を変えていた。
「まぁ、わかったならいいですよ。
僕もわざわざ言ったかいがあったと言うものです。でも、あいりちゃんの気持ちはあの手紙でわかったでしょう?
もう彼女はこおりくんと関わりたくないんですよ。
償うとか、幸せにするとか、こおりくんの思い上がりです。あいりちゃんはこおりくんのこと嫌いなんですから。
こおりくんにできることはもう何もありません。」
リイトの言葉に、こおりは心が改めてずんと落ちるのを感じた。
そう、あいりはこおりに嫌いと言ったのだ。
嫌いという言葉が苦手で、決して使わなかったあいりが言ったのだ。
その時点でこおりは拒否されていた。
それに気づいていたのに、認めなくなくて気づかないふりをしたのだ。
「ああ、俺が直接できることはもう何もない。俺が何かしようとすればする程、あいりを傷つける。」
こおりはリイトの目をじっと見つめていった。
「でも、リイトは…これから何が起きるかわかるんじゃないか?
俺じゃなくて、誰かあいりの力になりそうな人を知ってるんじゃないのか?」
こおりは今までリイトと交わした会話の中で、彼がこおりはあいりをレイプすることを知っていたんじゃないかと思っていた。
予定より早い。リイトはあのときそう言っていたのだ。
こおりの言葉にリイトは一瞬顔色を変えたが、すぐにいつもの不気味な顔に戻った。
「さぁ、僕はただ見ているだけの存在ですよ。」
「頼む!俺はどんなに辛くても、酷いことになってもいいから…
少しでも、少しでも、あいりには笑顔でいて欲しいんだ。もう時間は1年もないんだ。
頼む、リイト。お願いします。」
こおりはリイトに深く頭を下げた。
頭の上でため息が聞こえた。
「保証はないです。そして可能性は低いです。後悔することになっても僕は知りません。」
「それでも、いいんだ。頼む。」
頭を下げたままこおりは懇願した。
「あいりちゃんのバイト先の、声をかけてきた店員くん、それしか言えません。」
「ありがとう!リイト。」
ほんと予定外ですよ…
小さくぼやくリイトの声が頭の上から聞こえた。
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