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第3章
非対応 6月29日②
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こおりはしんみりと良い雰囲気になったと思ったが、いきなりあいりは思い出したかのように笑い始めた。
「ふっふふっ、っていうか、こおりくんっ」
「えっ何で笑うの?」
あいりはお腹を抱えて笑い始めた。
「水川さんは恋愛非対応だから、ふふっ。私と付き合うとかあり得ないよ」
あいりの言っている意味がわからなかった。
あいりの笑いがおさまったあと、話を聞いた。
水川優一さんは恋愛非対応らしい。
彼はあの見た目だから、普通にしていてもモテる。お客さんにも、バイト仲間にも。
だか、彼は告白される度に「すみません。俺、恋愛は非対応です」の一言で全ての相手を一蹴しているとのことだった。
「噂できいてたけど、嘘かなと思ってたら、本当に真顔で言ってたの。水川さん」
とあいりが言った。
美人でも、可愛い女子高生でも、幼児でも、男性でも、おばあちゃんでも、彼は変わらずそう言うらしい。それはバイト内では有名な話だった。
「水川さんて学生さんだろ?大学でもモテてそうだな」
バイトとゲームに忙しい彼は、比較的必修授業の少ない学部の大学生かとこおりは思っていた。
「水川さんもう大学卒業してるよ。んーっと、現役で入って、卒業は3年前って言ってたから今25歳かな?フリーターさんだよ」
しっかりしていそうな彼がフリーターなのは、意外な事実だった。こおりの中にフリーターに対する偏見があったのかもしれない。
あいりが教えてくれた水川の出身大学は、県で一番の国立の総合大学だった。
「会社とかに縛られたくないって就活一切せずにフリーターになったんだって。すごい勇気あるよね。コンビニバイトとFXとかして、年間収支しっかり計算して生活してるみたいだよ。
水川さん、自由な時間が好きで、無理強いされたり縛られるのストレス溜まるみたい。だから、バイトも人が足りなくてシフトぎゅうぎゅうになったりすると嫌がってるんだよね」
バイトが忙しくて寝不足で、こおりにブチキレていた水川の顔が思い出された。
「彼女さんも大学時代まではいたみたいなんだけど、あるときから全部断るようになったんだって。人から聞いた話だけど。でも、彼女じゃなくても相手はいるみたいだよ」
「相手?」
あいりの言葉にこおりが聞き返すと、
「多分、身体の相手はいるみたい」
と言いにくそうにあいりが言った。
「だから、水川さんと私が付き合うことなんて絶対あり得ないからね。こおりくん」
こおりは、水川さんが全然何の感情もない女の子のために、色々してくれたのかと思うとすごいと思った。
あいりを守る彼の目にはそれ以上の感情が見えた気がしていた。
「でも、体調戻ってきたし、水川さんにはお世話になってるし、お金も稼がないといつまでもこおりくんに申し訳ないから、バイト行くよ」
あいりはそう言って、楽しそうに返信を打ち始めた。
「ふっふふっ、っていうか、こおりくんっ」
「えっ何で笑うの?」
あいりはお腹を抱えて笑い始めた。
「水川さんは恋愛非対応だから、ふふっ。私と付き合うとかあり得ないよ」
あいりの言っている意味がわからなかった。
あいりの笑いがおさまったあと、話を聞いた。
水川優一さんは恋愛非対応らしい。
彼はあの見た目だから、普通にしていてもモテる。お客さんにも、バイト仲間にも。
だか、彼は告白される度に「すみません。俺、恋愛は非対応です」の一言で全ての相手を一蹴しているとのことだった。
「噂できいてたけど、嘘かなと思ってたら、本当に真顔で言ってたの。水川さん」
とあいりが言った。
美人でも、可愛い女子高生でも、幼児でも、男性でも、おばあちゃんでも、彼は変わらずそう言うらしい。それはバイト内では有名な話だった。
「水川さんて学生さんだろ?大学でもモテてそうだな」
バイトとゲームに忙しい彼は、比較的必修授業の少ない学部の大学生かとこおりは思っていた。
「水川さんもう大学卒業してるよ。んーっと、現役で入って、卒業は3年前って言ってたから今25歳かな?フリーターさんだよ」
しっかりしていそうな彼がフリーターなのは、意外な事実だった。こおりの中にフリーターに対する偏見があったのかもしれない。
あいりが教えてくれた水川の出身大学は、県で一番の国立の総合大学だった。
「会社とかに縛られたくないって就活一切せずにフリーターになったんだって。すごい勇気あるよね。コンビニバイトとFXとかして、年間収支しっかり計算して生活してるみたいだよ。
水川さん、自由な時間が好きで、無理強いされたり縛られるのストレス溜まるみたい。だから、バイトも人が足りなくてシフトぎゅうぎゅうになったりすると嫌がってるんだよね」
バイトが忙しくて寝不足で、こおりにブチキレていた水川の顔が思い出された。
「彼女さんも大学時代まではいたみたいなんだけど、あるときから全部断るようになったんだって。人から聞いた話だけど。でも、彼女じゃなくても相手はいるみたいだよ」
「相手?」
あいりの言葉にこおりが聞き返すと、
「多分、身体の相手はいるみたい」
と言いにくそうにあいりが言った。
「だから、水川さんと私が付き合うことなんて絶対あり得ないからね。こおりくん」
こおりは、水川さんが全然何の感情もない女の子のために、色々してくれたのかと思うとすごいと思った。
あいりを守る彼の目にはそれ以上の感情が見えた気がしていた。
「でも、体調戻ってきたし、水川さんにはお世話になってるし、お金も稼がないといつまでもこおりくんに申し訳ないから、バイト行くよ」
あいりはそう言って、楽しそうに返信を打ち始めた。
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