杏梨ちゃんは癒されたい

tonari0407

文字の大きさ
11 / 51

たこパwith彼氏①任せておけ 5月3日

しおりを挟む
4月29日にそうたからたこパの真髄?を教わってから、ついにこの日が来た。

たこパ本番の杏梨vs金田戦だ。

メイクよーし。
髪の毛よーし。
服よーし。
材料下準備よーし。
たこ焼き器よーし。
お部屋よーし。
セコンドよーし。(撮り貯めたドラマを家でみてるから何かあったら連絡してといってくれたそうた)

準備万端っ!いざ勝負よ、金田さんっ!
本日の勝利ポイントは

①美味しいと言ってもらう
②好きと言ってもらう
③いつもよりいちゃいちゃする

この3つだ。

たまには金田さんにも私にどきどきして欲しい。がんばるっ!


金田さんとは11時に家に来てもらうように約束してあった。仕事の日は寝るのが遅いみたいだったので、少し遅めの集合だ。

金田さんが来る前に、タコや野菜を下準備しておいた。後は焼くだけの状態だ。

今日のコーディネートは髪の毛は軽く巻いてアップにした。
メイクはナチュラル、唇は春っぽい淡いピンクでぷるぷるにした。

Vネックのセーターに黒のスキニーパンツを履いている。

下着はあえて可愛い系を用意してみた。出番はあるだろうか?


恋愛映画やコメディ、サスペンスやホラー等映画も借りてきているし、いざというときは私が撮りためているお気に入りの映画等をみればいい。

飲み物類も種類豊富に揃えている。

お昼ごはんにたこパをして、まったりとテレビをみる。夜ごはんは仕込んでおいたローストビーフにおつまみをちょちょっと作って食べ、その後の流れは金田さん次第だ。

頑張れ私、この日のために用意してきたのよ!

ピンポーン チャイムが鳴った。10時55分、5分前集合だ。

いざ、出陣である。

「金田さんっ、いらっしゃいませ!きてもらってありがとうございます。」

「っん、あぁ、おはよ」
金田さんは眠そうだった。

ロンTにチノパンにスニーカーのラフな格好だ。

いつもスーツも似合ってるけど、なんか今日は自然体で違う意味でどきどきする。

「どうぞっ入ってください」
手招きして招き入れる。

この間はあっという間だったけど、金田さんがじぶんの家にいると思うとどきどきする。
なんか…一緒に住んでるみたい。

開始30秒で既に杏梨は金田に負けそうだった。

「なんか、飲みますか?」
リビングでぽやんとする金田に声をかける。

「んっいや、いいよ。ごめん、ちょっと横になっていいかな?」

なんだか、金田はだるそうだった。

「もちろんです。体調悪いですか?」
金田はソファーに倒れ込むように横になった。そしてなんとそのまますやすやと寝てしまった。

安らかな金田の顔に思わず杏梨はみいってしまう。

寝ちゃった。疲れてるのかな?かわいい。

金田と一緒に寝たことはあるがいつも先に起きて、何か仕事をしていることが多い。無防備な顔をみるのは初めてだった。

目の下にうっすらとくまができている。

お仕事忙しいんだよね…あんまり寝れてないのかな?

肌触りのよいブランケットを持ってきてそっと金田にかける。

スペースあるから大丈夫かな…?せっかく一緒にいるんだから

いそいそと金田の横に添い寝する。

触れている部分が金田の体温で心地よく温かい。

えーなんか、すごく幸せ。

少しだけ金田にすりより、首もとに顔を埋めた。
金田の匂いがする。男っぽくて、ちょっと汗の匂いもも交じっていて、とにかく安心する匂いだ。

この匂い好き。普段はあまり嗅げないので、起こさないようにそっと、でも遠慮なく吸う。

いい匂い
んー、金田さん金田さん、好きー。

鼻を少しだけすりすりしてしまう。

私もなんか心地よくなってきちゃった…。
杏梨はうとうとと眠りに落ちた。





ものすごく気持ちよく寝ていた。温かくて心地よかった。

頬にざらっとした感触を感じ、杏梨は目を覚ました。

目は開けていないので何かわからないが、ほっぺたに生暖かい感触がある。

…!もしかして金田さん、私のほっぺたにキスしてる?

どきどきどきどき

気づかれたら止めちゃうかも、寝たふりをしておこう。

頭をそっと撫でられている。

ええーそんなことされたことないよー

撫でてくれる手が優しい。

そして、唇に温かいものが触れた。
最初はそっと、でもだんだん強く押し当てられる。
金田の舌が杏梨の唇を舐めた。そして、そのまま押し入ってくる。

舌を吸われ、口のなかを舐められる。

金田の手が杏梨の頭をそっと支えて、キスから逃れられないようにした。

こんなキス、金田さんするんだ?
そろそろ、目覚めたふりをした方がいいかな?

そう思ったときだった。

金田のもう片方の手が杏梨の鼻に伸び、指で鼻をつまんだ。

「んっ!!?」

口はキスされているし、鼻はつままれているので息ができない。

そのまま強引にキスを継続される。

「っん、んんっ、んーんん」

手で金田の胸をとんとん叩いて講義する。

杏梨の目が涙目になったころ、金田は杏梨を解放した。

「っん、はぁ…はぁ…かっ金田さん、何するんですか?」

杏梨は息が上がっていた。つままれていた鼻が少しいたい。

「途中から起きてたでしょ?」

そういって金田はふっと馬鹿にしたように笑った。

「えっいや、だからってひどい…」

せっかく、なんかいい感じだったのに、杏梨は茶化した金田にふてくされた。

「そっか、嫌だったんだ?キス」
「キスは嫌じゃ…」

杏梨はもう何も言えなかった。


時計はもう13時半になっていた。
「金田さん、昨日も遅くまで仕事だったんですか?」
「ああ」

「お腹すきました?たこパ始めます?」
「ああ」

金田はまだぼんやりしている様子だった。

たこ焼き食べたら、元気になるかな?

杏梨はたこ焼き器をテーブルにセットし、具材を並べ始めた。

「あれ?下準備ももうしてくれたの?」
「はい、あとは焼くだけですよ」

「別に切ったりやったのに」
「金田さんはお仕事忙しいじゃないですか、今日は私にもてなさしてください」

「えっ、いやだ」
…はい?

「具材は全部でこれだけ?道具はこれで、箸はこれつかっていいの?」

「はい、そうですけど…」

「んじゃ後は俺がやるから、杏梨はゆっくりしてて」

「えっいや、あの今日は私が金田さんにふるまおうかと…それか一緒にやりましょ?」

「任せておけって言っただろ?」

ああ、あのメッセージはそういう意味ですか

「一緒にやりたいです。特訓したんです」

「特訓?…だれと?」

「えっと…友達に教えてもらって」

「うん、男ね。」
なぜか、ばれてる?!

「俺が焼く」
有無を言わせない言い方に杏梨は何も言えなかった。

あっという間に生地、具材を乗せて、手際よく焼いている。

金田はとてもたこ焼きを焼くのが上手かった。

「金田さんめっちゃお上手ですね」

「誰かににわかに仕込まれた杏梨よりは上手い」

言葉になんか嫌味が混ざっている。

「…」
強めな金田の言い方に杏梨はなにも言えなかった。


たこ焼きが丸く美しく焼き上がっていく。

その中でも美味しそうな一つを皿にとり、金田はソース、鰹節、青のり、マヨネーズをトッピングした。

その皿を杏梨の前に置く。

「はい、食べて」

「えっ、金田さんお先にどうぞ?」

「食べて?」

言葉に圧を感じる。

「ありがとうございます。いただきます。」


たこ焼きを一口で口の中に入れる。

熱くて、ほふほふしてしまうが、外はかりっと中はとろとろで金田の焼いてくれたたこ焼きはとても美味しかった。

「んっはふっ、はふっ、
んーー、金田さんおいしいですっ!」

「それは良かった」

金田の口元がゆるみ、目が優しくなったのがわかった。

またたこ焼きを数個皿に乗せ、トッピングをして杏梨の前に置く。

「いっぱい食べろ」

「金田さんは?」

「俺も食べてる」
いつの間にか金田の前にもたこ焼きが並んでいた。

たこやきをほふほふしながら食べている金田はなんだか可愛かった。

しかし、金田に何かしてあげようとしても先手をとられ、次々とたこやきを給仕され、杏梨はなにもできなかった。


金田さんばっかに働かせて私なにもしてない
こんなんじゃだめだ


「金田さん、私がやるので金田さんはゆっくりしててください」

「…たこやきを教えた男はどうだったか知らないけど…今日は俺が杏梨といるからやらせない」

金田は顔をそらして、そっぽを向いてしまう。

「金田さん、確かにたこ焼きを教えてはもらいましたけど、それは…金田さんと一緒に楽しく過ごしたかったからです。
寂しいなら他に男作れって言ったのは金田さんじゃないですか?」


「そうだな、寂しくなくなったか?」

「…っ!一時的に癒されますけど、余計寂しいです!」

悔しさと悲しさと杏梨の目には涙がにじんでいた。

「そっか、じゃあ、俺はいない方がいいな」

杏梨の頭に衝撃が走る。
金田さんに捨てられる。そんなに私は必要ないの?

「…いなきゃっだめです。私が好きなのは金田さんだけです。何でわかってくれないの?」

杏梨の目から涙がこぼれる。

金田が振り向いた。杏梨をみて驚いたように目を見開く。

「杏梨はどうして欲しいの?」

……金田がどうしたいのかが聞きたいのに、また私に聞くの

「私に聞かないでください!いつも金田さんの気持ちが全然わかんない。
金田さんはどうしたいんですか?」


「杏梨、俺は杏梨がして欲しいことをしたいんだけど」

金田の顔が明らかに困っている。

「一緒にいて、金田さんが私にしたいことをしてください」

金田は私といていちゃいちゃしたいとか思わないのだろうか?

「えっ?でも俺がしたいようにしたら杏梨いやじゃない?」

「金田さんなら何でも嫌じゃないです」

金田はしばらく考え込んでいた。

「んじゃ、とりあえず俺の焼いたたこ焼き食べて」

お腹いっぱいになるまでたこ焼きをたべされられた。

金田は片付けもやってくれた。ほぼ手を出すことがなかったくらいだった。

「よし、じゃあ次は何したいかな?」
金田が優しく聞いてくれる。何か子ども扱いされているような気がするのは気のせいか。

「映画みたいです」
いちゃいちゃシーン多めの恋愛映画を用意してある。

「これみましょ」
これをきっかけに金田ともっとくっつけるだろうか。
「これ?まぁ…いいけど」
金田はちょっと嫌そうだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...