杏梨ちゃんは癒されたい

彼氏と元彼の通話内容 元彼side 5月3日

杏梨が金田とたこパに挑んだ日、そうたは家で待機していた。
何かあったら連絡していいよと杏梨にいってしまったからだ。

家にいなくてはいけないため、そうたは撮りためていたドラマをみることにしていた。
コーラにポテチ、チョコ菓子に、イカそうめん、冷凍庫にはアイス、準備は万端だった。

ドラマが5話まで見終わり、ちょっと目がつかれたなと思ったころ杏梨から電話がかかってきた。

金田さんが帰るには早すぎるな？どうしたかな？

「杏梨？どした？」
「あっそうた…」

杏梨の声が聞こえたが、すぐ聞こえなくなった。足音と、ガチャンとドアを閉める音が聞こえる。

移動した？何があった？
そうたの心に不安がよぎる。

「もしもし！杏梨！どうした？」

そこから聞こえてきたのは、杏梨の彼氏の金田の声だった。




あっえっ？金田さん？！
どうも…はい。はじめまして。

あの僕、杏梨さんの友達のこおりそうたと言います。

えっあっ、聞いてるんですか？

はいっ、杏梨さんが言ってた通りです。

一応前に付き合ってて、でも僕のことはそんなに好きじゃなかったかと…


本当にたいしたことしてません。

寂しかったんだと思います。

恋愛感情はないです。お互いに。

本当に、ただ寂しいの埋めてるだけで。

金田さんはどう思ってるんですか？

えっ、あぁ、そっそうなんですか？

んー、えっそれでいいんですか？

そうなんですね。僕にはできないなぁ。

はい、僕にできることはさせてもらいます。

えっ、こつですか？えー

いや、難しいなぁ。んー時に優しく時に激しくみたいな感じですかね？

できれば…、甘えさせてあげてください。

お酒も弱いのに顔に出ないから、分かりにくいけど、

子どもを思い切り可愛がるみたいな感じで。

して欲しいこと聞いてあげてください。

ふふっ、わかります。めっちゃ可愛いですよね。

あっあれですか、ばればれですよね。しっかりしてるようにみえて、詰めが甘いというか

あーなんか安心しました。

金田さん、そういえば、たこ焼きどうでした？

えっ焼かせなかったんですか？結構みっちり仕込んだんですよー俺。

感想ききたかったなぁ。

えっ、はい、そうですね。今度飲みにいきましょう。

番号きいてもいいですか？

○○○の○○○○ですね。

ありがとうございます。

また何かあったら連絡もらえればー。

こちらからもあんまり酷ければ連絡してもいいですか？

はい、わかりました。電話よりそっちのがいいんですね。

えっ、ああ大丈夫ですよ。僕はドラマ観てただけですから。

ははっいえとんでもない。

金田さん、今日は頑張ってください。応援してます。

はーい、では。失礼しまーす。


通話が切れた。スマホをぽいっとソファーに投げる。

「楽しそうでいいなぁ～」
そうたはそう呟いて、リモコンの再生ボタンを押した。ポテチが塩気が心に染みた。