1 / 8
第1話 未来ある若者へ
しおりを挟む
僕は『タコヤキ・マン』。
胸にマヨネーズをつけたたこやきヒーローだよ。本職は食べられることだけど、ちょっと食べられるの恐いびびりっ子さ。
苦手なものは、まぁわかると思うけど、風と寒さ。風で青のりヘアーと鰹節ヘアーが飛ばされると恥ずかしいんだよね。ヘアーが乱れるのは苦手さ。
いざというときは爪楊枝で戦うけれど、抜けたところから蒸気が抜けるとやる気も飛んでいくんだ。どうしたらいいかな?
それでなくても、寒くなるとやる気なくなるんだ。まぁ、限定って興味が湧くだろ?そう僕は、あのかの有名な赤い巨人さんと同じ3ミニッツ活動ヒーローだよ。
やる気は最初はあるんだよ?僕を信じて応援して欲しい。これは僕が毎日正義のために戦う話。
◆
「おい、君、今スマホを見ながら歩いていただろ?歩きスマホは危ないんだぞ!」
僕は熱気に溢れた身体で、高校生っぽい学ラン姿の男の子に声をかけた。
「んっ、えっ、はい?」
男の子は僕を見て明らかにびびっていた。頭部はタコヤキで、その下ににゅるんと胴体が延びていて。腕と足は細くて短い。赤いマントがファッションのアクセント。僕みたいなのはとてもレアキャラだ。おまけに首からはひもをつけたマヨネーズがかけてある。いつでもかけ放題。マヨラーに大人気さ。
「なっなに?」
男の子はスマホを片手に後ずさった。僕の熱気にやられたのだろう。彼は若い、まだ全然公正できる。僕は優しく声をかけた。
「歩きスマホをしてただろ?前を見ずに歩いたら、君自身も周りの人も危ないんだ。気を付けた方がいい」
「は、はぁ、すみません」
男の子は素直に謝った。わかればいい、グチグチと過去の過ちを後悔するよりも、進むが良い若者よ。
「いや、わかってくれればいいんだ。では」
僕には時間がない。胸元のマヨネーズもすでに汗をかきはじめている。僕は彼に背を向けて、その場を立ち去ろうとした。
カシャカシャ
後ろから音が聞こえた。振り替えると男の子が僕の写真をとっていた。彼の罪に肖像権の侵害がプラスされた。
「ちょっと、勝手に困るよ。取るならもっと熱々でかつお節ふさふさのときにしてくれないと」
手を伸ばして彼を静止しようとしたが、夢中になった彼は聞いていなかった。
「宇宙人見つけた。っと。やべー」
そんなことを言ってスマホをいじっている。SNSに投稿でもしているようだ。そしてそのまま逃げるように歩き出した。
また歩きスマホをしてるなぁ。
冷めてきた心で僕はそう思った。これはいけない。多少乱暴をしても、早く若者を公正させなければ。
「ちょ、ちょっと待って!」
武器の爪楊枝を抜こうとしたが、今回は大分上の方に差してあって、僕の短い手では届かなかった。っというか、ほぼほぼ毎回届かないことが多い。店主の考えなしにも困ったものだ。
「つ、つまようじを抜いてくれないか……」
手を伸ばして、弱々しい声で頼む僕に、彼は恐る恐る手を伸ばした。
「えっ、抜くんですか?」
びびりながらもやってくれそうな彼は、根は優しい少年なんだろうと思った。剣を交えればもっとわかりあえるであろう。
「おねがい~あっ折らないように気を付けてぇ」
僕は更に弱々しく頼んだ。冷めてきてやる気がつきかけていた。
「は、はい、えいっ!」
ズボッ!
「うわぁ!!」
爪楊枝は勢いよく抜けた。彼の姿はさながら、伝説の剣を抜く勇者のようだった。
「ああ、なんてことだ……」
僕は店主を恨んだ。彼の抜いてくれた爪楊枝の先には大きなタコが刺さっていた。熱気の中心を抜かれた僕の身体は、無惨な傷口でどんどん冷たくなっていった。
「あの、何かすみません」
爪楊枝を持った彼は、倒れてしまった僕を抱き抱えて謝った。
彼は悪くない。悪いのは店主と、まだ若い彼にこんな残酷な事をさせてしまった僕だ。
「気にしないで~、どうか気にせず~。でも写真ととるときはちゃんといってね」
伝えたい事は伝えることができた。彼と出会って2分半程か、少し短くなったが僕の命はもう終わりのようだ。
「すみません。あと、これどうしたらいいですか?」
彼は僕の目をみて謝ってくれた。それで十分だった。若者よ強く生きてくれ。
「できれば食べて欲しい」
そういって僕の意識は途切れた。
「これ、食うの?」
彼の困惑した声が最後にきこえた。
僕はタコヤキ・マン。命をかけて正義のために戦うヒーロー。今日は未来ある若者に大事なことを伝えた。
みんな歩きスマホや無断の写真撮影はやめようね。
そして、食べ物は大切に。
この世に過ちがあるかぎり、伝えたいことがあるかぎり、タコヤキ・マンの戦いは続いていく。
胸にマヨネーズをつけたたこやきヒーローだよ。本職は食べられることだけど、ちょっと食べられるの恐いびびりっ子さ。
苦手なものは、まぁわかると思うけど、風と寒さ。風で青のりヘアーと鰹節ヘアーが飛ばされると恥ずかしいんだよね。ヘアーが乱れるのは苦手さ。
いざというときは爪楊枝で戦うけれど、抜けたところから蒸気が抜けるとやる気も飛んでいくんだ。どうしたらいいかな?
それでなくても、寒くなるとやる気なくなるんだ。まぁ、限定って興味が湧くだろ?そう僕は、あのかの有名な赤い巨人さんと同じ3ミニッツ活動ヒーローだよ。
やる気は最初はあるんだよ?僕を信じて応援して欲しい。これは僕が毎日正義のために戦う話。
◆
「おい、君、今スマホを見ながら歩いていただろ?歩きスマホは危ないんだぞ!」
僕は熱気に溢れた身体で、高校生っぽい学ラン姿の男の子に声をかけた。
「んっ、えっ、はい?」
男の子は僕を見て明らかにびびっていた。頭部はタコヤキで、その下ににゅるんと胴体が延びていて。腕と足は細くて短い。赤いマントがファッションのアクセント。僕みたいなのはとてもレアキャラだ。おまけに首からはひもをつけたマヨネーズがかけてある。いつでもかけ放題。マヨラーに大人気さ。
「なっなに?」
男の子はスマホを片手に後ずさった。僕の熱気にやられたのだろう。彼は若い、まだ全然公正できる。僕は優しく声をかけた。
「歩きスマホをしてただろ?前を見ずに歩いたら、君自身も周りの人も危ないんだ。気を付けた方がいい」
「は、はぁ、すみません」
男の子は素直に謝った。わかればいい、グチグチと過去の過ちを後悔するよりも、進むが良い若者よ。
「いや、わかってくれればいいんだ。では」
僕には時間がない。胸元のマヨネーズもすでに汗をかきはじめている。僕は彼に背を向けて、その場を立ち去ろうとした。
カシャカシャ
後ろから音が聞こえた。振り替えると男の子が僕の写真をとっていた。彼の罪に肖像権の侵害がプラスされた。
「ちょっと、勝手に困るよ。取るならもっと熱々でかつお節ふさふさのときにしてくれないと」
手を伸ばして彼を静止しようとしたが、夢中になった彼は聞いていなかった。
「宇宙人見つけた。っと。やべー」
そんなことを言ってスマホをいじっている。SNSに投稿でもしているようだ。そしてそのまま逃げるように歩き出した。
また歩きスマホをしてるなぁ。
冷めてきた心で僕はそう思った。これはいけない。多少乱暴をしても、早く若者を公正させなければ。
「ちょ、ちょっと待って!」
武器の爪楊枝を抜こうとしたが、今回は大分上の方に差してあって、僕の短い手では届かなかった。っというか、ほぼほぼ毎回届かないことが多い。店主の考えなしにも困ったものだ。
「つ、つまようじを抜いてくれないか……」
手を伸ばして、弱々しい声で頼む僕に、彼は恐る恐る手を伸ばした。
「えっ、抜くんですか?」
びびりながらもやってくれそうな彼は、根は優しい少年なんだろうと思った。剣を交えればもっとわかりあえるであろう。
「おねがい~あっ折らないように気を付けてぇ」
僕は更に弱々しく頼んだ。冷めてきてやる気がつきかけていた。
「は、はい、えいっ!」
ズボッ!
「うわぁ!!」
爪楊枝は勢いよく抜けた。彼の姿はさながら、伝説の剣を抜く勇者のようだった。
「ああ、なんてことだ……」
僕は店主を恨んだ。彼の抜いてくれた爪楊枝の先には大きなタコが刺さっていた。熱気の中心を抜かれた僕の身体は、無惨な傷口でどんどん冷たくなっていった。
「あの、何かすみません」
爪楊枝を持った彼は、倒れてしまった僕を抱き抱えて謝った。
彼は悪くない。悪いのは店主と、まだ若い彼にこんな残酷な事をさせてしまった僕だ。
「気にしないで~、どうか気にせず~。でも写真ととるときはちゃんといってね」
伝えたい事は伝えることができた。彼と出会って2分半程か、少し短くなったが僕の命はもう終わりのようだ。
「すみません。あと、これどうしたらいいですか?」
彼は僕の目をみて謝ってくれた。それで十分だった。若者よ強く生きてくれ。
「できれば食べて欲しい」
そういって僕の意識は途切れた。
「これ、食うの?」
彼の困惑した声が最後にきこえた。
僕はタコヤキ・マン。命をかけて正義のために戦うヒーロー。今日は未来ある若者に大事なことを伝えた。
みんな歩きスマホや無断の写真撮影はやめようね。
そして、食べ物は大切に。
この世に過ちがあるかぎり、伝えたいことがあるかぎり、タコヤキ・マンの戦いは続いていく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる