魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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1章 幼き魂と賢者の杖

6 転位には天意が絡んでるんですかね

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 僕が洞穴へ戻ると爺が待っていた。

「こっちですじゃ。」

 洞窟の入り口からぐるっと反対側に回ったところに祭壇がある。
 そこに連れて行かれた。

「時間が無いので手短に話しますじゃ。
 これからオキス様は転移門を通って、東の地へ。
 そちらに案内人を用意しております故、細かいことはその者にお尋ねくだされ。
 目印に腕に青い布を巻いておりますじゃ。」

「爺は?」

「やることを残しておりますので、お供できませぬじゃ。
 お許しくだされ。」

 目の前には複雑な魔方陣が刻まれている。
 爺が魔方陣に魔力を込める。
 相当な量の魔力が注がれている。

 魔法を行使する場合、魔力を意味のある形にするため魔術回路を作る必要がある。
 基本的に魔術師はその場で使い捨ての魔術回路を構成する。
 しかし魔方陣のようにあらかじめ魔術回路を作っておくこともできるのだ。
 作れると言っても簡単に作れるものでは無いらしいのだけど。

 魔方陣から光があふれ目の前が真っ白に染まる。
 感覚が消失する。



 光が収束し、感じるのは脱力感、体の重さ、そして視界に広がるのはほのおだった。

「炎・・・火事?」

 ここは木造の住居のようだ。
 すでにかなり燃え広がり、倒壊が始まっている。
 転移には成功したらしい。
 ただし転移先が最悪だ。
 煙がひどい。
 火事の死因のほとんどは焼死では無く窒息死だ、非常にまずい。
 転移の影響なのか体が重い。
 体を屈めると床に魔方陣があるのに気がついた。
 転送先の役割をした魔方陣なのだろう。
 出口を探して一歩また一歩と踏み出す。
 そして・・・コケた。

 名誉のために言っておくが、何も無いところで突然コケたわけでは無い。
 何かに躓いたのだ。
 何に躓いたのか・・・人だった。
 煙で涙目になりながら確認すると、人間の男だ。
 息をしていない、心音もなさそうだ。
 腹部に出血、床に血だまりが見られる。
 おそらく失血死だ。
 ・・・そして不幸なことにその男は腕に青い布を巻いていた。

 案内人死んでるよ。
 終わった。
 というかこのままだと、人生が終わってしまう。
 とにかく煙が流れていく先に進んだ。
 必死だ、どこをどう抜けたのか分からない。
 とにかく進む。
 そして外に出た。

 火傷はなさそうだけど、煙をかなり吸い込んでしまった。
 咳で呼吸ができない。
 苦しい。
 地面に這いつくばりながら何とか呼吸を整える。
 情けないことに涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
 少しだけ落ち着いたところで、顔を上に上げた。

 真っ赤だった。

 炎のあか、夕日のあか、そして血のあかが広がっていた。





 いつか好きなところに転移しまくって無双できるといいな。
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