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1章 幼き魂と賢者の杖
5 巨大なものにあったのは今日だい
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爺が深刻な顔をしている。
イチゴの食べ過ぎで腹でも下したのだろうか。
「オキス様、これを。」
爺が鎖のネックレスのようなものを差し出した。
「これは?」
僕は爺に尋ねた。
「魔族の気配を消すアイテムですじゃ。
これをしていると人間と同じ気配になり、魔王種であることを隠せますじゃ。」
何も言わずにそのネックレスを受け取り首にかけた。
疑問はいろいろあるが、これが必要なのだろう。
それを見た爺が魔術回路を編み始めた。
しばらくすると魔法が発動する。
ネックレスが消えた。
「姿は消えても効果は残りますじゃ。
これで容易には見破ることはかないますまい。」
「理由を教えてくれる?」
僕はここで疑問を口にすることにした。
爺は床に転がっている小石を見た。
「悪い相が占いに出たのですじゃ。
念のためですじゃ。」
答えになっていない答えが返ってきた。
こういう時は何を聞いてもはぐらかされる。
しかたが無いので日課の食料集めに出かけることにした。
僕を見たセフリが首をかしげて臭いをかいでくる。
そしていつも通り僕を乗せてくれた。
自分ではよく分からないが、気配が変わったのだろう。
「あそこに麒麟(きりん)がいる。」
変な感じだが魔の山に住む聖獣だ。本当に麒麟なのかは知らないが、そう名付けた。その動きは素早く、触るどころか近寄ることすらできない。
爺がいうには、レアな薬の材料になったりするので貴重なのだが、狩人を生業とする魔族でも捕らえるのはかなり困難なのだという。
近づかずに眺めていると、突然麒麟に棒が生え、すごい速度で大木に吸い寄せられていく。
麒麟はそこに貼り付けられた。
次の瞬間、強烈な威圧感にさいなまれた。
「人間?何故こんなところに・・・。」
4メートルはあろうかという巨体のオーガが弓を持ってそこにいた。
腰にはナイフ・・・に一瞬見えてしまったが、ショートソードを提げている。
直前まで全く気配が無かったにもかかわらず、距離はすでに7メートルというところだ。
僕はオーガを見上げる。
凄まじい魔力だ。
「何者だ、我が領内で何をしている?」
オーガは一歩足を進める。
巨体であるにもかかわらず足音がしない。
捕獲困難な麒麟を気配も察知されることなく一撃で仕留める危険極まりない存在だ。
隠密に長けている上に、パワーもありそうだ。
冷や汗が僕の首を伝わる。
この山に来てから言葉を話す魔族に出会うのは、爺を除けは初めてだ。
隠れ住んでいたことを考えると嫌な予感しかしない。
我が領内と言っていた。
この地域のボスだろうか?
僕のことを知っている感じは無い。
狩りをしているところに不幸なエンカウントというところか。
僕が口を開こうとした瞬間、巨大なものが一つ増えた。
オーガの巨体を上回る、巨大な狼だ。
「セフリ・・・。」
変なオーラが出ているとは思っていたけど、やっぱりただ者では無かった。
青白く微光を放つ巨狼はオーガと対峙する。
その目を見ると逃げろと語っていた。
僕がいても邪魔にしかならないことは容易に想像できる。
僕は一目散に逃げた。
その瞬間オーガの強大な咆哮(ほうこう)が山を貫く。
吹き飛ばされそうな衝撃が、背中から体全体を貫いていく。
気絶しそうになり、手を土につける。
腹に力を入れ、ぐっと踏みとどまる。
とにかく足を前に出して逃げた。
役に立った魔王種の精神耐性。
無ければ今ので心臓が止まっていたかもしれない。
よろめきながらもひたすら走った。
いつか巨大化して無双できるといいな。
イチゴの食べ過ぎで腹でも下したのだろうか。
「オキス様、これを。」
爺が鎖のネックレスのようなものを差し出した。
「これは?」
僕は爺に尋ねた。
「魔族の気配を消すアイテムですじゃ。
これをしていると人間と同じ気配になり、魔王種であることを隠せますじゃ。」
何も言わずにそのネックレスを受け取り首にかけた。
疑問はいろいろあるが、これが必要なのだろう。
それを見た爺が魔術回路を編み始めた。
しばらくすると魔法が発動する。
ネックレスが消えた。
「姿は消えても効果は残りますじゃ。
これで容易には見破ることはかないますまい。」
「理由を教えてくれる?」
僕はここで疑問を口にすることにした。
爺は床に転がっている小石を見た。
「悪い相が占いに出たのですじゃ。
念のためですじゃ。」
答えになっていない答えが返ってきた。
こういう時は何を聞いてもはぐらかされる。
しかたが無いので日課の食料集めに出かけることにした。
僕を見たセフリが首をかしげて臭いをかいでくる。
そしていつも通り僕を乗せてくれた。
自分ではよく分からないが、気配が変わったのだろう。
「あそこに麒麟(きりん)がいる。」
変な感じだが魔の山に住む聖獣だ。本当に麒麟なのかは知らないが、そう名付けた。その動きは素早く、触るどころか近寄ることすらできない。
爺がいうには、レアな薬の材料になったりするので貴重なのだが、狩人を生業とする魔族でも捕らえるのはかなり困難なのだという。
近づかずに眺めていると、突然麒麟に棒が生え、すごい速度で大木に吸い寄せられていく。
麒麟はそこに貼り付けられた。
次の瞬間、強烈な威圧感にさいなまれた。
「人間?何故こんなところに・・・。」
4メートルはあろうかという巨体のオーガが弓を持ってそこにいた。
腰にはナイフ・・・に一瞬見えてしまったが、ショートソードを提げている。
直前まで全く気配が無かったにもかかわらず、距離はすでに7メートルというところだ。
僕はオーガを見上げる。
凄まじい魔力だ。
「何者だ、我が領内で何をしている?」
オーガは一歩足を進める。
巨体であるにもかかわらず足音がしない。
捕獲困難な麒麟を気配も察知されることなく一撃で仕留める危険極まりない存在だ。
隠密に長けている上に、パワーもありそうだ。
冷や汗が僕の首を伝わる。
この山に来てから言葉を話す魔族に出会うのは、爺を除けは初めてだ。
隠れ住んでいたことを考えると嫌な予感しかしない。
我が領内と言っていた。
この地域のボスだろうか?
僕のことを知っている感じは無い。
狩りをしているところに不幸なエンカウントというところか。
僕が口を開こうとした瞬間、巨大なものが一つ増えた。
オーガの巨体を上回る、巨大な狼だ。
「セフリ・・・。」
変なオーラが出ているとは思っていたけど、やっぱりただ者では無かった。
青白く微光を放つ巨狼はオーガと対峙する。
その目を見ると逃げろと語っていた。
僕がいても邪魔にしかならないことは容易に想像できる。
僕は一目散に逃げた。
その瞬間オーガの強大な咆哮(ほうこう)が山を貫く。
吹き飛ばされそうな衝撃が、背中から体全体を貫いていく。
気絶しそうになり、手を土につける。
腹に力を入れ、ぐっと踏みとどまる。
とにかく足を前に出して逃げた。
役に立った魔王種の精神耐性。
無ければ今ので心臓が止まっていたかもしれない。
よろめきながらもひたすら走った。
いつか巨大化して無双できるといいな。
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