18 / 262
1章 幼き魂と賢者の杖
18 失笑する師匠
しおりを挟む
冒険者を舐めていた。
うまく隠れているつもりだったのに、僕達の気配などとっくにバレていたのだ。
考えて見れば当然だ。
どこにどんな敵が隠れているか分からないような場所が、彼らのフィールドなのだ。
子供が茂みに隠れている程度気がつかないような冒険者は、とっくに墓場の中だ。
否、墓場の中にすら入れない。
チンピラ風の男から容易に逃げおおせたのが仇になった。
変な自信を付けてしまっていたのだ。
ジキルとルディンは、状況の把握が追いつかずポカンとしている。
僕は相手の出方をうかがう。
「貴方たち、こんなところで何をしているの?」
冒険者の女は、弓の構えを解かない。
まっすぐこちらを狙っている。
「子供か。
事情を聞いた方が良さそうだな。」
気がつくと他の冒険者にも包囲されていた。
僕が冒険者の女の気配に気がつくことが出来たのは、わざとそうさせたからだ。
囮を出して連携し、僕達を包囲したのだ。
これが本物の冒険者だと思うと、感嘆の気持ちでいっぱいだ。
「誘拐されたんです。
小屋の中に閉じ込められたところ、なんとか逃げてきました。」
僕はさらに細かい事情も付け加えて話す。
嘘は一つもついていないのだけれど、大剣を背負った男が訝しげな表情を浮かべる。
「逃げてきたのか・・・。
どっちか場所は分かるか?」
現在いる場所が自体が分からなかったので、町から小屋までの経路を説明した。
大剣の男がうなずくと、他の冒険者と相談を始めた。
「よし、仲間が町まで送ろう。
俺はその小屋の様子を見にいく。」
大剣の男と槍の男は小屋の方へ行くようだ。
弓の女とメイスの男が僕達を町まで送ってくれるようだ。
僕達は町に向かって歩き出した。
「私はレイリス、彼がポリテオ。
よろしくね。
それとさっきは驚かせてごめんなさい。
まさか子供がいるなんて思わなかったわ。」
僕は自己紹介をして、孤児院で暮らしていることや、町で雑貨屋の手伝いをしていることなどを話した。
メイスを腰に下げているポリテオさんは無口だった。
「あの孤児院、エリザ様はお元気?」
「エリザ様?ああ、ええっとエリザさんなら元気ですよ。
この前、このズボンが破れたのを縫ってもらったばかりです。」
ズボンの恥ずかしいワンポイントを見せる。
彼女はどうやら「気むずかしい婆さん」ことエリザさんを知っているようだ。
「お知り合いなんですか?」
「私は直接の知り合いでは無いんだけど。
カイデウス、大剣を持っていた彼の師匠なのよ。」
「・・・。」
ちょっと思考停止した。まさかとは思うので、一番確率の高い答えを確認しておく。
「あのぉ、カイデウスさんは洋裁の趣味が?」
「違うわよ。
いえ、違わないわね。
たしかに得意、でも習ったのは剣よ。」
「・・・。」
落ち着こう。ここは、落ち着こう。
カイデウスさんは洋裁が得意、うん、理解した。
「彼は未だエリザ様には追いつけないっていっていたわ。
仕事が片付いたら行くことになっていたの。
会うのが楽しみね。」
色々な可能性がある。
妥当なところは、カイデウスさんが子供の頃に、ちょっとした棒の振り方や心構えをエリザさんが教えた。
そして未だそれを感謝して、恩を返していないように感じている、そんな流れだろう。
気むずかしい婆さんが無双している姿を想像したくない。
「エリザ様は昔、有名な冒険者だったのよ。」
僕の推理は瞬殺された。
婆さん無双、勘弁してください。
うまく隠れているつもりだったのに、僕達の気配などとっくにバレていたのだ。
考えて見れば当然だ。
どこにどんな敵が隠れているか分からないような場所が、彼らのフィールドなのだ。
子供が茂みに隠れている程度気がつかないような冒険者は、とっくに墓場の中だ。
否、墓場の中にすら入れない。
チンピラ風の男から容易に逃げおおせたのが仇になった。
変な自信を付けてしまっていたのだ。
ジキルとルディンは、状況の把握が追いつかずポカンとしている。
僕は相手の出方をうかがう。
「貴方たち、こんなところで何をしているの?」
冒険者の女は、弓の構えを解かない。
まっすぐこちらを狙っている。
「子供か。
事情を聞いた方が良さそうだな。」
気がつくと他の冒険者にも包囲されていた。
僕が冒険者の女の気配に気がつくことが出来たのは、わざとそうさせたからだ。
囮を出して連携し、僕達を包囲したのだ。
これが本物の冒険者だと思うと、感嘆の気持ちでいっぱいだ。
「誘拐されたんです。
小屋の中に閉じ込められたところ、なんとか逃げてきました。」
僕はさらに細かい事情も付け加えて話す。
嘘は一つもついていないのだけれど、大剣を背負った男が訝しげな表情を浮かべる。
「逃げてきたのか・・・。
どっちか場所は分かるか?」
現在いる場所が自体が分からなかったので、町から小屋までの経路を説明した。
大剣の男がうなずくと、他の冒険者と相談を始めた。
「よし、仲間が町まで送ろう。
俺はその小屋の様子を見にいく。」
大剣の男と槍の男は小屋の方へ行くようだ。
弓の女とメイスの男が僕達を町まで送ってくれるようだ。
僕達は町に向かって歩き出した。
「私はレイリス、彼がポリテオ。
よろしくね。
それとさっきは驚かせてごめんなさい。
まさか子供がいるなんて思わなかったわ。」
僕は自己紹介をして、孤児院で暮らしていることや、町で雑貨屋の手伝いをしていることなどを話した。
メイスを腰に下げているポリテオさんは無口だった。
「あの孤児院、エリザ様はお元気?」
「エリザ様?ああ、ええっとエリザさんなら元気ですよ。
この前、このズボンが破れたのを縫ってもらったばかりです。」
ズボンの恥ずかしいワンポイントを見せる。
彼女はどうやら「気むずかしい婆さん」ことエリザさんを知っているようだ。
「お知り合いなんですか?」
「私は直接の知り合いでは無いんだけど。
カイデウス、大剣を持っていた彼の師匠なのよ。」
「・・・。」
ちょっと思考停止した。まさかとは思うので、一番確率の高い答えを確認しておく。
「あのぉ、カイデウスさんは洋裁の趣味が?」
「違うわよ。
いえ、違わないわね。
たしかに得意、でも習ったのは剣よ。」
「・・・。」
落ち着こう。ここは、落ち着こう。
カイデウスさんは洋裁が得意、うん、理解した。
「彼は未だエリザ様には追いつけないっていっていたわ。
仕事が片付いたら行くことになっていたの。
会うのが楽しみね。」
色々な可能性がある。
妥当なところは、カイデウスさんが子供の頃に、ちょっとした棒の振り方や心構えをエリザさんが教えた。
そして未だそれを感謝して、恩を返していないように感じている、そんな流れだろう。
気むずかしい婆さんが無双している姿を想像したくない。
「エリザ様は昔、有名な冒険者だったのよ。」
僕の推理は瞬殺された。
婆さん無双、勘弁してください。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました
丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、
隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。
だが私は知っている。
原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、
私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。
優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。
私は転生者としての知識を武器に、
聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、
王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。
「婚約は……こちらから願い下げです」
土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。
私は新しい未来を選ぶ。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる