魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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2章 放たれた魔銃と幸運の石

47 左遷させんは無理だった

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 僕は脂汗を流しながら考える。

 正直に本当のことを言うか?
 どこまで?
 僕が魔王の息子だということ?
 僕が転生者だということ?

 しかし魔王の息子だと告白するのは、魔族と敵対する人間の国では自殺行為だ。
 タダでは済まないだろう。
 では嘘をついてごまかすか?
 この柔やかに微笑む白髭の老人に嘘が通用するか?
 否、するわけが無い。
 八方塞がりだ。

 そんな様子を見ていた師匠は口を開いた。

「ふむ、そんなに困るとは思っておらなんだ。
 記憶が無いのであろう。
 詮無きことを聞いたな。
 ふぉっふぉっふぉ。」

 僕は思った、糞ジジイ・・・と。
 どこまで見通されているか全く分からない。
 砦の調査は僕が来た時に既に死んでいた案内人のことを調べ上げている可能性もある。

「我が弟子よ。
 ヌシには役に立ってもらうぞ。」

 そう言うと僕の頭に優しく手を乗せて撫でた。
 こうして魔術師ワイアデスと対峙したときを超える危機を回避した。

 深呼吸をして精神を安定させる。
 そして話を逸らすなら今だと、いくつか疑問に思ったことを口にした。

「師匠、エムルライド教授に使ったのは精神魔法ですよね。」

「ほう、精神魔法だと見抜いたか。」

「アレが使えるのなら、僕の調査は必要なかったのでは?」

「いやいや、そんなことは無いぞ。
 私がいきなり精神魔法をかけて回ったら、無法者もいいところじゃ。
 しかもあの魔法の使用条件はそう簡単では無い。」

「条件?」

「意識が酩酊(めいてい)状態にあること、精神的に疲弊して追い込まれていることじゃ。」

 そう言うと師匠は再び僕の頭に手を乗せた。

「ヌシが証拠を固めて追い込まねば、魔法にはかかっておらぬ。」

「でも、調べようと思えば僕で無くても何とかなりましたよね。」

「魔銃の細工の件は、研究に携わっていた者で無ければ見つけることは出来ぬ。
 そして指紋とは、面白いことをするではないか。
 事件のピースを組み合わせていく洞察力もなかなかのものじゃ。
 私は万能では無いのでな、本当に助かっておる。」

 師匠は僕の目を見て続けて言った。

「ヌシを見ていると飽きん。
 ジェイソンは私に良い者を残してくれた。
 奴は・・・もう少し幸せになっても罰(ばち)は当たらなかったであろうに。」

 一瞬ではあるが、師匠は寂しい目をした気がする。
 そして気がかりを質問することにした。

「師匠、テイラン先輩とブラニカさんの罪は・・・。」

「テイランは研究所を解雇、ブラニカも今の職場にはいられまいて。」

 僕は悔しかった。
 彼らが悪いわけでは無いのだ。

「ブレンマイカの街に魔石資源の研究施設を作る予定じゃ。
 テイランにはそこの所長として働いてもらう。
 秘書も必要になるであろうな。」

 そう言って僕に笑顔を向けた。
 ブレンマイカの街の近くには、色々な魔石が採掘される冒険者にとっては美味しい。
 珍しいものもとれるので、研究には事欠かないだろう。
 そしてブラニカさんの実家にも近いということだ。

「そうですか、ありがとうございます。」

「ヌシにお礼を言われるようなことでは無い。
 左遷であるからの。
 罰を下すだけじゃ。」

 そういうと師匠は白い髭を撫でた。




 温情判決無双だった。
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